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第3話
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侯爵令息の婚約者ジノザとしては、伯爵令嬢の私なんて脅せば従うと考えていたのでしょう。
クラスメイトのマルク第二王子は話を聞き、私の前に立ってくれる。
マルク様は短い青髪の美少年で、温厚な雰囲気があり目立つことはしない人だ。
そんなマルク様が話に入ってきたことに、教室の人達が驚いていた。
注目を浴びているジノザは、全身を震わせ恐怖している。
今まで私を蔑んできた時にマルク様は何も気にしなかったのに、婚約を破棄する現状で声をかけてきたからだ。
これには理由があって――私が入学したばかりの頃、ジノザから嫌いなところを教室で言われた時に、マルク様は私を心配してくれた。
当時の私はお礼を伝えて気にしないで欲しいと頼んだけど、マルク様はジノザに知られないよう何度も気遣ってれる。
そしてジノザが婚約を破棄したいと言い出してから、マルク様のある提案を聞き賛同したのが現状だ。
もし婚約を破棄したいと再びジノザが言った時に、私が賛同するとマルク様が協力すると約束してくれる。
予定通りになっているけど、本当にマルク様が助けてくれたことに私は安堵していた。
そして何も知らないジノザは困惑しながらも、対面しているマルク様に言う。
「……マルク様には、関係のないことです」
「今までは婚約者同士の間だから関係なかったが、婚約を破棄してからも脅すのは見過ごせないな」
「婚約は破棄していません! マルク様はなにか勘違いしています!」
「勘違いはお前の方だ。婚約を破棄したいと宣言してミリスが受け入れた。この場で婚約を破棄したいと軽い気持ちで言ったのか?」
「そ、それは……」
マルク王子の発言に、ジノザは何も言い返せなくなっている。
婚約を破棄したいと、貴族達が注目している中で言ったのはジノザの方だ。
これは紛れもない事実で、ジノザが何を言ってもマルク王子を筆頭に教室の人達が証人となってくれる。
ジノザも現状は理解できているようで、軽い気持ちで言ったとは言えないらしい。
婚約破棄を受け入れるしかない状況なのに、ジノザはマルク様の後ろに立つ私に向かって叫ぶ。
「……ミリスよ! 俺以外の誰もお前と婚約したいとは思わない! 現状を受け入れろ!!」
マルク王子には何も言えないから、私の考えを変えようとしてくる。
現状を受け入れる気はないけど、私が拒んでも諦めるとは思えない。
この場で私が何を言っても、立場が上だからジノザは説得できると考えてそう。
そんなジノザに対して、マルク王子が呆れながら告げる。
「それなら、俺がミリスと婚約すれば問題ないな」
今日の予定を話した時に、マルク王子は私と婚約したいと話してくれる。
本来なら婚約破棄の手続きを終えてから婚約を公表するつもりだったけど、ジノザを納得させるためマルク王子はこの場で宣言したいようだ。
婚約したいとマルク様は言ってたけど、この場で本当に婚約すると宣言したことに私は驚いてしまう。
婚約破棄を受け入れてからすぐに、私はマルク王子の婚約者になれそうだ。
クラスメイトのマルク第二王子は話を聞き、私の前に立ってくれる。
マルク様は短い青髪の美少年で、温厚な雰囲気があり目立つことはしない人だ。
そんなマルク様が話に入ってきたことに、教室の人達が驚いていた。
注目を浴びているジノザは、全身を震わせ恐怖している。
今まで私を蔑んできた時にマルク様は何も気にしなかったのに、婚約を破棄する現状で声をかけてきたからだ。
これには理由があって――私が入学したばかりの頃、ジノザから嫌いなところを教室で言われた時に、マルク様は私を心配してくれた。
当時の私はお礼を伝えて気にしないで欲しいと頼んだけど、マルク様はジノザに知られないよう何度も気遣ってれる。
そしてジノザが婚約を破棄したいと言い出してから、マルク様のある提案を聞き賛同したのが現状だ。
もし婚約を破棄したいと再びジノザが言った時に、私が賛同するとマルク様が協力すると約束してくれる。
予定通りになっているけど、本当にマルク様が助けてくれたことに私は安堵していた。
そして何も知らないジノザは困惑しながらも、対面しているマルク様に言う。
「……マルク様には、関係のないことです」
「今までは婚約者同士の間だから関係なかったが、婚約を破棄してからも脅すのは見過ごせないな」
「婚約は破棄していません! マルク様はなにか勘違いしています!」
「勘違いはお前の方だ。婚約を破棄したいと宣言してミリスが受け入れた。この場で婚約を破棄したいと軽い気持ちで言ったのか?」
「そ、それは……」
マルク王子の発言に、ジノザは何も言い返せなくなっている。
婚約を破棄したいと、貴族達が注目している中で言ったのはジノザの方だ。
これは紛れもない事実で、ジノザが何を言ってもマルク王子を筆頭に教室の人達が証人となってくれる。
ジノザも現状は理解できているようで、軽い気持ちで言ったとは言えないらしい。
婚約破棄を受け入れるしかない状況なのに、ジノザはマルク様の後ろに立つ私に向かって叫ぶ。
「……ミリスよ! 俺以外の誰もお前と婚約したいとは思わない! 現状を受け入れろ!!」
マルク王子には何も言えないから、私の考えを変えようとしてくる。
現状を受け入れる気はないけど、私が拒んでも諦めるとは思えない。
この場で私が何を言っても、立場が上だからジノザは説得できると考えてそう。
そんなジノザに対して、マルク王子が呆れながら告げる。
「それなら、俺がミリスと婚約すれば問題ないな」
今日の予定を話した時に、マルク王子は私と婚約したいと話してくれる。
本来なら婚約破棄の手続きを終えてから婚約を公表するつもりだったけど、ジノザを納得させるためマルク王子はこの場で宣言したいようだ。
婚約したいとマルク様は言ってたけど、この場で本当に婚約すると宣言したことに私は驚いてしまう。
婚約破棄を受け入れてからすぐに、私はマルク王子の婚約者になれそうだ。
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