婚約破棄を謝っても、許す気はありません

第３４話

　城の大広間にいる人達は、ザノークの発言に驚いていた。

　そして陛下が、勘当を言い渡したザノークに尋ねる。

「日記……？　貴様が、日記を書いていたというのか？」

「はい。恐らくこれからルドノは証拠を消そうとするはずですが、日記の出来事を調べてもらえば証拠が出ます」

「信じられないが、証拠が出ればルドノにも重い処罰が下るだろう」

　陛下がそう言って、ルドノの家族も納得しているようだ。

　話を聞いて、ルドノは痛みを堪えながら笑う。

「ははっ、何を言い出すかと思えば……そんな物が実在するのなら、どうぞ調べてください！」

　ザノークが日記を書いていると信じていなさそうで、ルドノは余裕そうだ。

　隣でリック様が、私に小声で話す。

「ルドノは、ザノークが動揺させるための嘘をついていると考えているようですね」

「はい……私も、ルドノの動揺を誘ったのだと思います」

　もし日記が存在していれば、証拠を探すまでルドノは動けなくなるはず。

　そうすれば証拠を消そうと考えいたルドノは追い詰められそうで――それによる動揺を誘った。

　ザノークが日記を書いていたよりも、この方が納得できる。

　私はそう考えていたけど、数分後には部屋を調べた兵士が戻ってきて――兵士は手に、ザノークの日記を持っていた。