呪いを受けたせいで婚約破棄された令息が好きな私は、呪いを解いて告白します

第５話

　授業を終えて屋敷に戻り、私は部屋で今日の出来事を思い返す。

　サダムの呪いを解くことができて、お父様には婚約者になれそうだと報告している。

　この後はお父様がファーレド侯爵家と話し合って手続きを済ませ、数日後には婚約者だと正式に決まるはず。

　私はサダムの呪いを解けたこと、そして告白することができたことが嬉しい。

「行動して正解でした。私が、サダム様の婚約者になれた……」　

　今まで夢見ていたけど、絶対に無理だと考えていたことでもある。

　私はサダム以上に素敵な男性を知らなくて、好きだけど想いを隠し続けていた。

　友人でも傍にいられるだけで幸せだったのに、告白して婚約者になることができている。

　部屋で1人になると嬉しさが込み上げてきて、ずっと笑顔でいてしまう。

「これ以上ないぐらい幸せだけど……気にすることもあります」

　私は自分を落ち着かせるために、一番気にしていることを口にする。

「サダム様ならわかるかと思いましたけど――呪いをかけた人は、わかりませんでした」
　
　呪いの効力がどれほどだったのかは、早急に解いたからわからない。
　それでも……誰かがサダムに呪いをかけたという点は、警戒するべき点だ。

「呪いをかけるには――その人の魔力を把握して、強い憎しみの感情が必要のはず」

　あまりにも危険だから、呪い魔法についての情報は解き方ぐらいしかあまり知ることができなかった。

　それでも知っている知識から、呪いをかけた人は、サダムの身近にいる人だと推測できる。

　学園の誰かか、家族か……誰が呪いをかけたのかを知ることはできなかったし、呪いの魔法についても詳しくはない。

　サダムなら犯人を知っているかもしれないけど、それなら私に伝えていそうな気がする。

　伝えない方がいいと判断したのだろうか？
　知らない可能性もあるし、気になったけど聞かないでおこう。

「もし犯人が行動するとしたら、呪いを解いたことが広まってからですね」

　その時に何か起こるかもしれないけど、私とサダムなら大丈夫のはず。

　そして数日後――クノレラがラウドを新しい婚約者にしたことが、学園内で噂になっていた。