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第13話
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ヴァン視点
俺とエイダがサフィラを追い出してから、約半年後が経っていた。
我慢の限界がきたのか、屋敷に乗り込んできた侯爵貴族ソラドが激怒して叫ぶ。
「ヴァン様! サフィラ様が戻り次第連絡しろと言ったが一切ない! どういうことだ!?」
「それは……サフィラは行く場所を伝えずに消えたようで、行方不明になっています」
激怒するソラドに対して、俺は全てサフィラが悪いと思わせようとした。
これで納得すると考えていたのに――ソラドの怒りは、更に増すこととなる。
「ふざけたことを言うな! サフィラ様とは何度か話をしているが、そんなことをする人ではない!」
「うっっ――」
「大方、姉のエイダが夫の貴様が領主になるべきと提案して、サフィラ様を屋敷を追い出したのだろう……どうするつもりだ!」
「ぐぅぅっっっ!? そ、それなら、新しい聖水化の魔法道具を差し上げます!!」
「それは他の貴族の者達に売る分だろう! 渡せば解決するという話ではない!」
水を聖水に変える魔法道具はかなり大規模で、工場のような見た目をしている。
設置するのに時間がかかるが、その効力はとてつもなく……壊れた時は買い替えではなく修理して欲しいと、サフィラは説明していたようだ。
何も言い返せない俺に対して、呆れ果てた様子のソラドが言う。
「私もサフィラ様を探すとしよう……ヴァンよ、何もできない癖にウォルク家の領主を名乗るな!」
そう叫んでソラドが屋敷を出て、俺は焦るしかない。
そして翌日――俺とエイダは、屋敷を追い出されることとなっていた。
俺とエイダがサフィラを追い出してから、約半年後が経っていた。
我慢の限界がきたのか、屋敷に乗り込んできた侯爵貴族ソラドが激怒して叫ぶ。
「ヴァン様! サフィラ様が戻り次第連絡しろと言ったが一切ない! どういうことだ!?」
「それは……サフィラは行く場所を伝えずに消えたようで、行方不明になっています」
激怒するソラドに対して、俺は全てサフィラが悪いと思わせようとした。
これで納得すると考えていたのに――ソラドの怒りは、更に増すこととなる。
「ふざけたことを言うな! サフィラ様とは何度か話をしているが、そんなことをする人ではない!」
「うっっ――」
「大方、姉のエイダが夫の貴様が領主になるべきと提案して、サフィラ様を屋敷を追い出したのだろう……どうするつもりだ!」
「ぐぅぅっっっ!? そ、それなら、新しい聖水化の魔法道具を差し上げます!!」
「それは他の貴族の者達に売る分だろう! 渡せば解決するという話ではない!」
水を聖水に変える魔法道具はかなり大規模で、工場のような見た目をしている。
設置するのに時間がかかるが、その効力はとてつもなく……壊れた時は買い替えではなく修理して欲しいと、サフィラは説明していたようだ。
何も言い返せない俺に対して、呆れ果てた様子のソラドが言う。
「私もサフィラ様を探すとしよう……ヴァンよ、何もできない癖にウォルク家の領主を名乗るな!」
そう叫んでソラドが屋敷を出て、俺は焦るしかない。
そして翌日――俺とエイダは、屋敷を追い出されることとなっていた。
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