失踪していた姉が財産目当てで戻ってきました。それなら私は家を出ます

第２０話

　政府の人間アウスの発言を聞いて、ヴァンは明らかに焦っていた。

　そんな中で……ヴァンの隣にいるエイダが、余裕そうに話す。

「アウス様、愚妹サフィラに何を言われたか知りませんけど……私はウォルク家の長女。お父様が亡くなった時点で、ウォルク伯爵家は私のものです」

「そうだ！　それこそこの国の決まり……むしろアウス様は、サフィラに俺に従うよう注意する必要があるでしょう！」

　エイダの説明を聞いて、ヴァンが私を指差して叫ぶ。

　普通ならそうだけど、お父様はこの時の為に手続きを済ませている。

　それは追い出される前に説明したのに、エイダは本気で家族の縁を切られていないと思い込んでいるようだ。

　私を従えて全て解決できると思い込んでいる２人に対して、アウスが話す。

「エイダ様、ヴァン様……私は調査をしたと言いました」

「それが、どうしたのですか？」

「エイダ様が家を出てすぐ、ウォルク家は家族の縁を切る手続きを済ませています。その時点で、エイダ様はただの平民です」

　そう言ってから――半年間のエイダとヴァンの罪を、アウスが話そうとしていた。