失踪していた姉が財産目当てで戻ってきました。それなら私は家を出ます

第３０話

　数ヶ月が経過して――ヴァンとエイダの末路を、私達は昨日アウスから聞いていた。

　ヴァンは魔法使いとして腕が立つから、奴隷として酷使されて生涯を終えるようだ。
　エイダは再び失踪しようと脱獄を目論むも失敗して――その際に問題を起こしたようで、処刑にまでなったらしい。

　ヴァンの家も没落していて、財産を全て受け取ることとなっていた。

　貴族の人達の信頼は金額ではないけど――これは仕方ないことで、私はウォルク家領主として相応しい行動をとることにしている。

　今日の朝、食事を終えた私はセインに聞くことにした。

「これからやることが多すぎて、セイン様が嫌にならないか不安です」

「サフィラ様が不安になることなど何もありません……私は、サフィラ様と一緒にいられて幸せです」

　不安になっていたけど……一緒にいられて幸せだと、セインは断言してくれる。

　失踪していた姉が財産目当てで戻ってきたから、私は家を出ることにした。

　その際に協力してくれるセインがいてくれて――結婚できてよかったと、私は心から想っていた。