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第4話
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私は応接室でカインの発言を聞いて、驚いてしまう。
今まで誰も、私よりシアノの方が優秀だと考えていた。
それはシアノが結果を出して、私が聖女の扱う魔法を失敗していたからだ。
元婚約者ルグドも、妹シアノも、家族も信じなかったけど――何も聞かずに、カインは私の方が優秀と断言してくれる。
「カイン様は、私がシアノより劣っていないと考えているのですか?」
「当然だ。シアノの魔力量とミレッサの魔力量は大きな差がある――ミレッサは、聖女の魔法を失敗し続けているのだったか」
「はい……体内の魔力を使い、聖魔法を扱うことがあまりできません」
「成功することもあるのなら、慣れれば解決する問題だ。俺のように魔力量を把握できなくとも、魔法の質で理解できるはずだ」
カインは魔法の実力があって、実戦経験から生物の魔力を把握できるようになったらしい。
私と会うことでシアノとの魔力を比べて、私の方が優秀だと確信しているようだ。
気が楽になった私は、カインに本心を話す。
「私は聖女として聖魔法を成功させ、人々を守りたいと思っています」
「素晴らしい心がけだ。婚約者となったのだから、俺も協力しよう!」
「ありがとうございます。これから、よろしくお願いします」
私が頭を下げると、カインが手を伸ばして――私は、婚約者と握手をする。
シアノにとっては苦手そうな人かもしれないけど、私にとってカインは素敵な人だった。
■◇■◇■◇■◇■
私はカインの、ロガムラ侯爵家の屋敷に住んで数日が経っている。
来た日にカインの両親に挨拶すると、シアノとは全然違う反応のようで驚かれてしまった。
屋敷に私の部屋が用意されていて、そこには聖女のことが記された本もあった。
本来はシアノのために用意していた本らしいけど、感覚で聖魔法が使えたシアノは一度も読まなかったようだ。
数日の間、私は聖女の魔法を試して――成功する回数が増えている。
朝食の時間になって、私はそのことをカインに報告していた。
「ロガムラ侯爵家の人達が支援してくれTことで、私は聖魔法を失敗する回数が減りました」
「それはよかった。これから俺は魔物退治に向かうが、ミレッサは自由にしていて欲しい」
家族で朝食をとっている際にお礼を伝えると、カインがこれからの予定を話す。
カインはロガムラ侯爵家の次期領主だけど、前線に出て魔物と戦っていた。
ほとんど屋敷にいることはなくて、私はカインに言いたいことがある。
「あの、私も同行しても構わないでしょうか?」
「……なんだって?」
「聖女の魔法が成功するようになってきましたので、カイン様の力になれると思います」
私が扱える聖魔法は、光で盾を作り、その盾を円形にしてバリアにもできる防御魔法。
そして攻撃に使える閃光魔法と、回復魔法の4種類で――実戦で使ってみたいと思っていた。
私が提案すると、カインのお父様とお母様が心配してくれる。
「ミレッサ様、それは危険なのではありませんか?」
「婚約者に合わせる必要はありませんよ。ミレッサ様の回復魔法で、助かっていますもの」
カインの両親が、私を心配して止めようとしてくれる。
そんな中で、カインは両親に対して話した。
「ミレッサが提案したことですし、俺が必ずミレッサを守ります。何も問題はありません!」
「そ、そうか……ミレッサ様は、シアノ様とは全然違う方のようだ」
シアノは危険な目に合いたくないから、魔物が多いロガムラ領には来たくなかったようだ。
私は魔物の多さを気にすることがなくて、シアノを知っているから驚いているようだ。
カインの発言を聞いて、私も大丈夫だと考えていた。
そして――実戦で魔法を使うことにより、私はシアノより優秀と確信することとなる。
今まで誰も、私よりシアノの方が優秀だと考えていた。
それはシアノが結果を出して、私が聖女の扱う魔法を失敗していたからだ。
元婚約者ルグドも、妹シアノも、家族も信じなかったけど――何も聞かずに、カインは私の方が優秀と断言してくれる。
「カイン様は、私がシアノより劣っていないと考えているのですか?」
「当然だ。シアノの魔力量とミレッサの魔力量は大きな差がある――ミレッサは、聖女の魔法を失敗し続けているのだったか」
「はい……体内の魔力を使い、聖魔法を扱うことがあまりできません」
「成功することもあるのなら、慣れれば解決する問題だ。俺のように魔力量を把握できなくとも、魔法の質で理解できるはずだ」
カインは魔法の実力があって、実戦経験から生物の魔力を把握できるようになったらしい。
私と会うことでシアノとの魔力を比べて、私の方が優秀だと確信しているようだ。
気が楽になった私は、カインに本心を話す。
「私は聖女として聖魔法を成功させ、人々を守りたいと思っています」
「素晴らしい心がけだ。婚約者となったのだから、俺も協力しよう!」
「ありがとうございます。これから、よろしくお願いします」
私が頭を下げると、カインが手を伸ばして――私は、婚約者と握手をする。
シアノにとっては苦手そうな人かもしれないけど、私にとってカインは素敵な人だった。
■◇■◇■◇■◇■
私はカインの、ロガムラ侯爵家の屋敷に住んで数日が経っている。
来た日にカインの両親に挨拶すると、シアノとは全然違う反応のようで驚かれてしまった。
屋敷に私の部屋が用意されていて、そこには聖女のことが記された本もあった。
本来はシアノのために用意していた本らしいけど、感覚で聖魔法が使えたシアノは一度も読まなかったようだ。
数日の間、私は聖女の魔法を試して――成功する回数が増えている。
朝食の時間になって、私はそのことをカインに報告していた。
「ロガムラ侯爵家の人達が支援してくれTことで、私は聖魔法を失敗する回数が減りました」
「それはよかった。これから俺は魔物退治に向かうが、ミレッサは自由にしていて欲しい」
家族で朝食をとっている際にお礼を伝えると、カインがこれからの予定を話す。
カインはロガムラ侯爵家の次期領主だけど、前線に出て魔物と戦っていた。
ほとんど屋敷にいることはなくて、私はカインに言いたいことがある。
「あの、私も同行しても構わないでしょうか?」
「……なんだって?」
「聖女の魔法が成功するようになってきましたので、カイン様の力になれると思います」
私が扱える聖魔法は、光で盾を作り、その盾を円形にしてバリアにもできる防御魔法。
そして攻撃に使える閃光魔法と、回復魔法の4種類で――実戦で使ってみたいと思っていた。
私が提案すると、カインのお父様とお母様が心配してくれる。
「ミレッサ様、それは危険なのではありませんか?」
「婚約者に合わせる必要はありませんよ。ミレッサ様の回復魔法で、助かっていますもの」
カインの両親が、私を心配して止めようとしてくれる。
そんな中で、カインは両親に対して話した。
「ミレッサが提案したことですし、俺が必ずミレッサを守ります。何も問題はありません!」
「そ、そうか……ミレッサ様は、シアノ様とは全然違う方のようだ」
シアノは危険な目に合いたくないから、魔物が多いロガムラ領には来たくなかったようだ。
私は魔物の多さを気にすることがなくて、シアノを知っているから驚いているようだ。
カインの発言を聞いて、私も大丈夫だと考えていた。
そして――実戦で魔法を使うことにより、私はシアノより優秀と確信することとなる。
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