孤島送りになった聖女は、新生活を楽しみます

天宮有

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第10話

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 国王と宰相が、アールド国の現状を話し合っている。

 私を連れ戻して利用する計画は、他の人には話せないようだ。

 カルロスが仕掛けた魔法道具で、その内容は私達が把握できる。

 話を聞いて、私はカルロスに尋ねた。

「魔物の被害が凄いみたいですけど、私が聖女でなくなるとここまで違うものなのですか?」

 アールド国は他の国に比べると平和な国だったけど、私が聖女になると世界で最も平和な国と呼ばれるようになる。

 今のアールド国は、魔物の被害が凄くて――先代の聖女のよりも、遥かに被害が出ていた。

 リノスの力が微弱なせいだと思うけど、私が予想していた以上の被害だ。

 恐らく陛下と宰相も同じ考えで、焦っているのは間違いない。

 ここまでの被害が理解できず尋ねると、カルロスは応えてくれる。

「魔物からすれば警戒している国より、呑気に構えている国の方が攻めやすいからだ」

 どうやら魔物は、平和で警戒心が薄れたアールド国を狙い行動しているようだ。

 魔物はそこそこ知性があるようだけど、冒険者ギルドはあえて防衛を弱める方法で大量発生した魔物を一網打尽にしているらしい。

 今回は罠とかではなくアールド国の愚行によるものだから、被害は相当出ているようだ。

「魔物は魔力を使い遠くからでも魔物と意思疎通していると聞く……弱った国を狙うのは、魔物としては普通のことだ」

 魔物が魔物を呼んで、防衛力が弱まっているアールド国を襲撃する。

 そして守りの要は微弱な力しかない聖女リノスだから――アールド国は、追い詰められているようだ。
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