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第4話
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城を出て王都を歩いていると、私はジトアと再会した。
ジトアに一緒に時間を戻らないか聞かれたけど、私は意味がわかっていない。
それでも……時間を戻せるのなら、戻したいと考えてしまう。
話を聞こうと考えて、ジトアと一緒に宿までやって来た。
部屋で椅子に座り対面していると、ジトアが頭を下げる。
「まず……ドラゴンがやって来たのに、守ることができず申し訳ありませんでした」
「ジトア様が謝ることは何もありません。悪いのはバハムス達です」
そう言って、私はメリタから聞いた話をジトアにする。
メリタの預言書は信じられなかったけど、ドラゴンは私を狙っていた。
全てジトアに話すと、メリタとバハムスに怒っている様子だ。
「そんなことが、あったのですか……」
「ジトア様は、何も知らなかったのですか?」
「はい。私は人生をやり直そうと、時間を戻す魔法を編み出して……ルーミエ様が魔力を失ったと知り、一緒に時間を戻るべきだと考えました」
「そ、そうでしたか」
人生をやり直すため、時間を戻す魔法を編み出したことに驚いてしまう。
ジトアの魔法の実力は私と同じぐらい凄かったけど、頑張ればそこまでできるようだ。
「生涯で一度しか使えないようです。なので時間を戻してしまうと記憶はありますが、私とルーミエ様は時間を戻せなくなります」
「時間を戻せるだけで、凄いことだと思います。あの、どうして時間を戻そうと考えたのですか?」
私と違いジトアは魔力がある。
優秀な魔法使いだけど、誰とも婚約していないと聞いていた。
時間を戻したいようだけど、理由が気になってしまう。
そしてジトアは、私を眺めて話した。
「私は――ルーミエ様のことがずっと好きでした」
「……えっ?」
「バハムスの妻になったので、時間を戻して人生をやり直そうとしていたのです」
そんなことを言われて、私は驚いてしまう。
私としても、バハムスよりジトアと一緒にいたかった。
それでも立場的に無理だと考えていたけど……ジトアも好きなら、いいのだろうか?
「嬉しいけど、バハムスとメリタの本性を知ったからそう思っているだけな気がします」
「もうバハムス達のことは忘れましょう。時間を戻して、私と一緒にいて欲しいと想っています」
バハムス達のことを忘れる。
ルゴアス国を助けなければよかったと思っていたし、それがいいのかもしれない。
ジトアから告白されて、私は嬉しいと実感できている。
それならもう――私は、バハムス達のことを忘れよう。
「そうですね。ジトア様と一緒に戻れるのなら、私も時間を戻りたいです」
「はい! 時間を戻す魔法を私が使い、触れてくれれば一緒に時間を戻せます!」
私が本心を話すと、喜んだジトアが魔法を使う。
宿の部屋で準備をしていたようで、時間を戻す魔法が成功すると私達はこの世界から消えるようだ。
そして数年前の私とジトアに、魂が一体化するらしい。
この部屋で魔法陣を作っていたようで、膨大な魔力を感じ取る。
時間が本当に戻ったら、バハムスとの婚約を破棄しよう。
婚約破棄する理由なんて、今までの態度から余裕で作れるに決まっている。
そう決意して――ジトアと私は、時間を戻すことに成功した。
ジトアに一緒に時間を戻らないか聞かれたけど、私は意味がわかっていない。
それでも……時間を戻せるのなら、戻したいと考えてしまう。
話を聞こうと考えて、ジトアと一緒に宿までやって来た。
部屋で椅子に座り対面していると、ジトアが頭を下げる。
「まず……ドラゴンがやって来たのに、守ることができず申し訳ありませんでした」
「ジトア様が謝ることは何もありません。悪いのはバハムス達です」
そう言って、私はメリタから聞いた話をジトアにする。
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全てジトアに話すと、メリタとバハムスに怒っている様子だ。
「そんなことが、あったのですか……」
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「はい。私は人生をやり直そうと、時間を戻す魔法を編み出して……ルーミエ様が魔力を失ったと知り、一緒に時間を戻るべきだと考えました」
「そ、そうでしたか」
人生をやり直すため、時間を戻す魔法を編み出したことに驚いてしまう。
ジトアの魔法の実力は私と同じぐらい凄かったけど、頑張ればそこまでできるようだ。
「生涯で一度しか使えないようです。なので時間を戻してしまうと記憶はありますが、私とルーミエ様は時間を戻せなくなります」
「時間を戻せるだけで、凄いことだと思います。あの、どうして時間を戻そうと考えたのですか?」
私と違いジトアは魔力がある。
優秀な魔法使いだけど、誰とも婚約していないと聞いていた。
時間を戻したいようだけど、理由が気になってしまう。
そしてジトアは、私を眺めて話した。
「私は――ルーミエ様のことがずっと好きでした」
「……えっ?」
「バハムスの妻になったので、時間を戻して人生をやり直そうとしていたのです」
そんなことを言われて、私は驚いてしまう。
私としても、バハムスよりジトアと一緒にいたかった。
それでも立場的に無理だと考えていたけど……ジトアも好きなら、いいのだろうか?
「嬉しいけど、バハムスとメリタの本性を知ったからそう思っているだけな気がします」
「もうバハムス達のことは忘れましょう。時間を戻して、私と一緒にいて欲しいと想っています」
バハムス達のことを忘れる。
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それならもう――私は、バハムス達のことを忘れよう。
「そうですね。ジトア様と一緒に戻れるのなら、私も時間を戻りたいです」
「はい! 時間を戻す魔法を私が使い、触れてくれれば一緒に時間を戻せます!」
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そして数年前の私とジトアに、魂が一体化するらしい。
この部屋で魔法陣を作っていたようで、膨大な魔力を感じ取る。
時間が本当に戻ったら、バハムスとの婚約を破棄しよう。
婚約破棄する理由なんて、今までの態度から余裕で作れるに決まっている。
そう決意して――ジトアと私は、時間を戻すことに成功した。
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