幼馴染が夫を奪った後に時間が戻ったので、婚約を破棄します

天宮有

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第25話

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バハムス視点

 俺はメリタが待機している場所へ向かい、頭を下げる。
 本来ならここに、ルーミエを連れてくる予定だった。

「すまない……ルーミエを連れてくることが、できなかった」

「仕方ないでしょう。こうなることは予想していましたし、バハムス殿下の協力もあって準備は万全にしています」

 王子の権力を使い、優秀な魔法使いを大量に雇って待機させている。

 魔力による竜巻が突然発生すると言っても、信じようとしないだろう。
 狂暴なモンスターが現れたから、捜索するよう話していた。

 実際には狂暴なモンスターなんて存在しないが、待機していればいい。
 発生した魔力の竜巻をモンスターだと思っていたことにすれば、雇った者は納得するはずだ。

 俺とメリタがいる場所は、竜巻が発生したら視認できる場所だ。
 距離はかなりあるから、大丈夫だとこの時は考えていた。

■◇■◇■◇■◇■

 魔力による竜巻の災害が発生して、雇った魔法使い達が魔法を繰り出している。
 動きを抑えることに成功しているが、竜巻は消滅しないようだ。

「このままだと、多大な被害が出てしまいます!」

「竜巻が向かう方向にいる領民達は、避難させてください!!」

 魔法使い達の発言を聞き、俺は苛立ちながらも行動する。
 優秀だと聞いていたが、ルーミエの魔法の方が凄かった。

 領民に指示を出し、避難させていく。
 それでもこのままだと、ナーリサ領は大惨事になってしまうだろう。

「バハムス殿下! ルーミエを呼びましょう!!」

「ああ。ここまでの規模とは思わなかった! 問題が発生したのだから、ルーミエは助けに来るだろう!」

 メリタの提案を聞き、俺達は再びルーミエの屋敷に向かう。

 災害が起きたことを話せば、協力してくれるに決まっている。
 今までのルーミエから、俺はそんなことを考えてしまった。
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