85 / 89
第85話
しおりを挟む
ジトアが屋敷から去って、私は部屋で思案する。
ドラゴンの底力を見たことで、本来の時間がどうなったのか気になっていた。
「……メリタの預言書には、本来はドラゴンが襲撃すると書かれていました」
襲撃を阻止するために、生贄を用意して見逃してもらう。
それが生贄の儀式を行う理由だけど、それなら――本来の時間では、問題が解決していない。
生贄の私は生きているし、ドラゴンも撤退して生きていた。
「それなら、本来の時間では――数十年後、ドラゴンが襲撃する可能性が高そうです」
生贄を差し出すと言ったのに戦いになったから、ドラゴンは怒っていそう。
本来なら数十年後のはずだけど、襲撃する時間が早まっているかもしれない。
もしドラゴンが襲撃する場合、防衛するために必要な戦力の私とジトアがルゴアス国にいない。
私に関しては魔法の知識は高かったのだから、魔法道具で魔力を宿せば戦力になれた。
「全て解決したから切り捨てたけど……それなら元の時間では、いずれ後悔していたのでしょうか?」
そんなことを考えてしまうけど、私にはもう関係のない世界の話だ。
考えることは止めて――私はこれから、ジトアと幸せな日々を送ろう。
ドラゴンの底力を見たことで、本来の時間がどうなったのか気になっていた。
「……メリタの預言書には、本来はドラゴンが襲撃すると書かれていました」
襲撃を阻止するために、生贄を用意して見逃してもらう。
それが生贄の儀式を行う理由だけど、それなら――本来の時間では、問題が解決していない。
生贄の私は生きているし、ドラゴンも撤退して生きていた。
「それなら、本来の時間では――数十年後、ドラゴンが襲撃する可能性が高そうです」
生贄を差し出すと言ったのに戦いになったから、ドラゴンは怒っていそう。
本来なら数十年後のはずだけど、襲撃する時間が早まっているかもしれない。
もしドラゴンが襲撃する場合、防衛するために必要な戦力の私とジトアがルゴアス国にいない。
私に関しては魔法の知識は高かったのだから、魔法道具で魔力を宿せば戦力になれた。
「全て解決したから切り捨てたけど……それなら元の時間では、いずれ後悔していたのでしょうか?」
そんなことを考えてしまうけど、私にはもう関係のない世界の話だ。
考えることは止めて――私はこれから、ジトアと幸せな日々を送ろう。
171
あなたにおすすめの小説
三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します
冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」
結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。
私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。
そうして毎回同じように言われてきた。
逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。
だから今回は。
妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
もう、愛はいりませんから
さくたろう
恋愛
ローザリア王国公爵令嬢ルクレティア・フォルセティに、ある日突然、未来の記憶が蘇った。
王子リーヴァイの愛する人を殺害しようとした罪により投獄され、兄に差し出された毒を煽り死んだ記憶だ。それが未来の出来事だと確信したルクレティアは、そんな未来に怯えるが、その記憶のおかしさに気がつき、謎を探ることにする。そうしてやがて、ある人のひたむきな愛を知ることになる。
愛せないですか。それなら別れましょう
黒木 楓
恋愛
「俺はお前を愛せないが、王妃にはしてやろう」
婚約者バラド王子の発言に、 侯爵令嬢フロンは唖然としてしまう。
バラド王子は、フロンよりも平民のラミカを愛している。
そしてフロンはこれから王妃となり、側妃となるラミカに従わなければならない。
王子の命令を聞き、フロンは我慢の限界がきた。
「愛せないですか。それなら別れましょう」
この時バラド王子は、ラミカの本性を知らなかった。
王太子に婚約破棄されてから一年、今更何の用ですか?
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しいます。
ゴードン公爵家の長女ノヴァは、辺境の冒険者街で薬屋を開業していた。ちょうど一年前、婚約者だった王太子が平民娘相手に恋の熱病にかかり、婚約を破棄されてしまっていた。王太子の恋愛問題が王位継承問題に発展するくらいの大問題となり、平民娘に負けて社交界に残れないほどの大恥をかかされ、理不尽にも公爵家を追放されてしまったのだ。ようやく傷心が癒えたノヴァのところに、やつれた王太子が現れた。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる