私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです

天宮有

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第2話

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「――ということがありまして、妹達は私を家から追い出しました」

「予想していたけど、本当にサフィラ様を追い出すとは……エイダ達は愚か過ぎる」

 私がリレック伯爵家から追い出されて、数日が経っている。
 何も持つことを許されず屋敷から追い出されたけど、私は家を追い出された場合に備えていた。
 ヴァンと元父、そして元妹エイダの発言に困惑したけど……それは今、目の前にいる人の予想した通りになると思っていなかったからだ。

 家を追い出されて平民となった私はオーベル侯爵家の屋敷に来ていて、目の前には侯爵令息のセインがいる。
 セインは私と同じ17歳で、短い緑の髪で長身の美青年だ。
 エイダが「姉に迷惑している」と言い広めているのはセインから聞き、もし家を追い出されたら屋敷に来て欲しいと言われていた。

「セイン様がいなければ、私はどうなっていたかわかりません。ありがとうございます」

「サフィラ様の力は凄く、それに優しくて素敵な人だ。私の傍から消えて欲しくなかった」

「そ、そうですか……」

 ヴァンが婚約を破棄すると話したからか、セインの今まで聞いたことのない発言に戸惑ってしまう。
 顔が赤くなってしまうと、そんな私を見つめてセインが尋ねる。

「もうサフィラ様は、リレック伯爵領に宿る魔力を強化する魔法を解除したのだろうか?」

「はい。エイダが妄言と言ったのですから、どんな目に合っても関係ありません」

「私も同じ考えだ。サフィラ様がいなくなったことで発生する問題は、追い出したエイダが解決しなければならないだろう」

 そのエイダは、私の魔法による恩恵を失うからこれから活躍できない。
 自分の力に自信があるから、余程のことがない限りは私の力によるものと認めなさそうだ。
 
 エイダのことよりも、私は聞いておきたいことがある。

「あの、セイン様……私は本当に、ここで暮らしてもいいのでしょうか?」

 セインは私の元に来て、家を追い出される可能性があると内密に話してくれる。
 もし追い出されてしまった場合の行動も話して、私はその通りに動いた。
 それでも……私がここにいると、オーベル侯爵家に迷惑がかかるかもしれない。

「さっきも言ったけど、サフィラ様が私の傍から消えて欲しくなかった……サフィラ様の魔法で、オーベル侯爵領の魔力を強化する必要はない」

「……えっ?」

「あの魔法は強力だが、サフィラ様の寿命を削る。これから私は、サフィラ様とずっと一緒にいたいんだ」

 セインは前から私に忠告していたけど、貴族の家に産まれたから仕方ないと割り切っていた。
 失う寿命もそこまで長くなくて、今まで使っていたけど半年ぐらいしか寿命は減っていないらしい。
 その程度なら構わないと考えていたけど、セインは嫌だったようだ。

 セインの発言を聞き、私は安堵する。
 それでもオーベル侯爵家の力になりたいから、提案することにしていた。

「特殊な魔法を使わなければ、私はエイダよりも優秀だから……私は領地を強化せず、普通の魔法使いとしてオーベル侯爵家の力になりたいと思っています」

「ありがとう。ヴァンの婚約破棄が正式に決まった後、私と婚約して欲しい」

「――はい。これから、よろしくお願いいたします」

 ヴァン王子が婚約者の時は、他の人を異性として見ないようにしていた。

 数日前の発言でヴァンのことはどうでもよくなって、私は真っ先にセインのことを想う。
 案じてくれた優しい発言……そして婚約して欲しいと言われて、私は嬉しかった。

 これから私は、セインと新しい人生を歩んでいく。
 私を家から追い出した妹達はこれから後悔するけど、もう関係ありません。
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