「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう

天宮有

文字の大きさ
4 / 46

第4話

しおりを挟む
モグルド視点

 ルドスラ国の第3王子の俺は今、精神的に追い詰められていた。
 こんな時はヒリスに会いたくなって、俺はヒリスの部屋までやって来ていた。

 伯爵令嬢のルナが婚約者だが、それは父の国王が勝手に決めている。
 ヒリスの方が好きでも父の発言には従うしかなくて、誰にも知られず俺はヒリスと付き合っていた。

 今日も俺は誰にも行き先を話さず、ヒリスの屋敷に向かっている。
 部屋に来て話すひと時が幸せなのに、なぜかヒリスの表情は暗い。

「ヒリスよ。何かあったのか?」

 思い当たることは、俺に対する噂だろう。
 ルナに対しての発言が、貴族の者達に知られてしまった。

 俺としては、噂なんてすぐに忘れ去られると考えている。
 ルナが無能なのが悪いだけで、俺の発言がありえると思われてしまった。
 やはり婚約者を変えたいと考えていると、ヒリスが話す。

「モグルド殿下、ここ最近の噂について調べてみたのですが……私と殿下が浮気をしていると、疑われているようです」

「噂だから、気にしなくていいだろう」

「それでも今は、あまり私と会わない方がいいでしょう」

「ぐっっ……!? 噂を流した奴を見つけ出して、必ず後悔させてやる!!」

 最近ルドスラ国で広まっている噂は、俺が婚約者ルナに対して暴言を吐いているというものだ。

 その暴言の内容は俺自身の発言で、真っ先に怪しいのはルナだった。
 それでもルナは毎日のように城にいるから、貴族達に噂を流せるとは思えない。
 城の者が聞いたのだと思うが、調べても噂を流した犯人は未だに見つからなかった。

 その後――俺は馬に乗って城へ戻り、玉座のある部屋へ向かっている。
 城に到着すると、国王が話したいことがあると兵士に言われたからだ。

 恐らく噂についてだが、否定してしまえばいい。
 歩きながら現状を思案していると部屋に到着して、部屋にいた父の国王は激怒して俺に叫ぶ。

「モグルドよ! 貴様はとんでもない暴言をルナ様に吐いていたようだな!!」

「父上!? それはただの噂、私は何も話していません!!」

「嘘をつくな! 魔法道具で記録されていたお前の発言を聞いた! 皆が信じているのは言い逃れることのできない証拠があるからだ!!」

「はぁぁぁっ!?」

 父の怒声を聞いて、俺は驚愕するしかない。
 会話を記録する魔法道具の存在は知っているが、大きい代物のはずだ。
 そんな物をルナが持ち歩いている姿は見たことはなくて、取り乱していると父が話す。

「どうやら、会話を記録する魔法道具の小型化に成功したようだ……噂を聞いた後の貴様の暴言も追加で記録されているようだから、言い逃れることができん!!」

「ぐっっ……ルナの奴め! 何もわからないというのは嘘ではないか!」

「貴様がヒリスと浮気をしているのは事実だろう……もはや慰謝料を払い、ルナ様との婚約を破棄するしかない。とてつもない損失だ!」

 どうやら父は俺を調べたようで、ヒリスと付き合っていることを知ってしまったらしい。
 ルナ如きが消えたからといって、そこまで損失はないはず。
 婚約破棄できるのなら、ヒリスを新しい婚約者にできるから構わない。

 今はそんなことよりも、俺はルナが許せなかった。
 問い詰めるために、翌日ルナの元へ向かう。
 俺は、ルナのいるリノ―マ伯爵家の屋敷に到着して――そこには、公爵令息のヒュームがいた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結 冗談で済ますつもりでしょうが、そうはいきません。

音爽(ネソウ)
恋愛
王子の幼馴染はいつもわがまま放題。それを放置する。 結婚式でもやらかして私の挙式はメチャクチャに 「ほんの冗談さ」と王子は軽くあしらうが、そこに一人の男性が現れて……

婚約破棄? 結構ですわ。私は領地を立て直します

鍛高譚
恋愛
――婚約破棄? むしろ好都合ですわ! 王太子エドワード殿下の婚約者として完璧な淑女教育を受けてきた伯爵令嬢ルシア。 だがある日、殿下は彼女を公衆の面前で一方的に婚約破棄し、新たな婚約者として平民出身の令嬢レイラを選んだ。 「あなたのような冷たい女より、愛に生きるレイラのほうがふさわしい!」 突然の屈辱に、一時は落ち込むルシアだったが――すぐに吹っ切れる。 「王太子妃になるための苦労をしなくて済むなんて、むしろ幸せでは?」 伯爵家の一員として新たな人生を歩むことを決意したルシアは、父の領地の改革に取り組みはじめる。 不作にあえぐ村を助け、農業改革や商業振興に奔走するうちに、村人たちから慕われるように。 そして、彼女の努力はやがて王宮にまで届き―― 「君のような女性こそ、王国に必要だ。」 そんな彼女のもとを訪れたのは、まさかの第二王子・アルベルト殿下!? 婚約破棄で人生が終わるどころか、むしろ最高の人生が始まった!? 元婚約者が没落する一方、ルシアは国を動かす存在へと成長していく――!

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

病弱な幼馴染を守る彼との婚約を解消、十年の恋を捨てて結婚します

佐藤 美奈
恋愛
セフィーナ・グラディウスという貴族の娘が、婚約者であるアルディン・オルステリア伯爵令息との関係に苦悩し、彼の優しさが他の女性に向けられることに心を痛める。 セフィーナは、アルディンが幼馴染のリーシャ・ランスロット男爵令嬢に特別な優しさを注ぐ姿を見て、自らの立場に苦しみながらも、理想的な婚約者を演じ続ける日々を送っていた。 婚約して十年間、心の中で自分を演じ続けてきたが、それももう耐えられなくなっていた。

【片思いの5年間】婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。

五月ふう
恋愛
「君を愛するつもりも婚約者として扱うつもりもないーー。」 婚約者であるアレックス王子が婚約初日に私にいった言葉だ。 愛されず、婚約者として扱われない。つまり自由ってことですかーー? それって最高じゃないですか。 ずっとそう思っていた私が、王子様に溺愛されるまでの物語。 この作品は 「婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。」のスピンオフ作品となっています。 どちらの作品から読んでも楽しめるようになっています。気になる方は是非上記の作品も手にとってみてください。

完結 若い愛人がいる?それは良かったです。

音爽(ネソウ)
恋愛
妻が余命宣告を受けた、愛人を抱える夫は小躍りするのだが……

【完結】この運命を受け入れましょうか

なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」  自らの夫であるルーク陛下の言葉。  それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。   「承知しました。受け入れましょう」  ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。  彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。  みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。  だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。  そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。  あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。  これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。  前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。  ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。     ◇◇◇◇◇  設定は甘め。  不安のない、さっくり読める物語を目指してます。  良ければ読んでくだされば、嬉しいです。

実兄の嘘で悪女にされた気の毒な令嬢は、王子に捨てられました

恋せよ恋
恋愛
「お前が泣いて縋ったから、この婚約を結んでやったんだ」 婚約者である第一王子エイドリアンから放たれたのは、 身に覚えのない侮蔑の言葉だった。 10歳のあの日、彼が私に一目惚れして跪いたはずの婚約。 だが、兄ヘンリーは、隣国の魔性の王女フローレンスに毒され、 妹の私を「嘘つきの悪女」だと切り捨てた。 婚約者も、兄も、居場所も、すべてを奪われた私、ティファニー16歳。 学園中で嘲笑われ、絶望の淵に立たされた私の手を取ったのは、 フローレンス王女の影に隠れていた隣国の孤高な騎士チャールズだった。 「私は知っています。あなたが誰よりも気高く、美しいことを」 彼だけは、私の掌に刻まれた「真実の傷」を見てくれた。 捨てられた侯爵令嬢は、裏切った男たちをどん底へ叩き落とす! 痛快ラブ×復讐劇、ティファニーの逆襲が始まる! 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

処理中です...