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第5話
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モグルド視点
ルナのいるリノーマ伯爵家の屋敷に到着して、俺は応接室の扉を開けた。
噂を広めた奴は別にいるとしても、会話を記録したのはルナに決まっている。
会話を記録したことを後悔させるため、俺はルナを殴るつもりでいた。
まずは追及して、ルナが会話を記録したと認めさせる。
そう考えながら部屋の中に入ると――ルナの隣に座る男に、俺は驚く。
その男は公爵令息のヒュームで、俺に向かって話す。
「よう。約束もせずルナの屋敷に来たようだが、それは予想できたことだ」
「ヒューム!? なぜお前がここにいる!?」
王子である俺に対しても、ヒュームが対等に話せるのは力があるからだ。
父の国王も認めているほどで、城に何度も来ている。
俺よりも優秀と言われていることを知っていて、俺は敵視していた。
そんなヒュームが、この場にいることが理解できない。
激怒して叫ぶ俺に対して、ヒュームは冷静に話す。
「ルナは何も関係ない。全て俺がやったことだ」
「はぁぁっ!? ヒュームよ、お前は何を言っている!?」
「城を訪れた時にお前の部屋に侵入した。そして俺は、この発言を記録する魔法道具を設置したということさ」
そう言ってヒュームは、小箱の形をした魔法道具をテーブルの上に置く。
中に何か入っていそうだが、確認する前にヒュームが動く。
小箱に魔力を流し――俺の暴言が聞こえて、箱の中身がどうでもよくなってしまった。
『お前はヒリスと違い魔法使いとして何も活躍できていない! 婚約を破棄してヒリスを新しい婚約者にしたいと今でも思っている!!』
「なっっ!? ルナではなく、お前が俺の発言を記録していたのか!?」
「そうだ。城に来た時にこの小箱を回収して、証拠を手にした俺は噂を広めたということさ」
「馬鹿な……そんなことをして、お前に何の得がある!?」
「お前が嫌いだった。それ以外に理由が必要か?」
「ぐっっ……!?」
ヒュームに睨まれて、俺は怯んでしまった。
怒りがこめられた発言を聞き、ヒュームの今までの行動に恐怖してしまう。
「ルナの実力を理解せず暴言を吐き続ける。ルナが優秀と知っている俺からすれば不愉快でしかない」
「ふざけたことを言うな! ルナよりもヒリスの方が優秀に決まっている!」
「それならよかったじゃないか。お前はヒリスを新しい婚約者にして、俺はルナと婚約する。それだけだ」
「うっっ……」
「これから俺は、絶対にお前とルナを関わらせない。目障りだから消えてくれ」
ヒュームの発言を聞き、俺は怒りがこみ上げてくる。
ルナに向けるはずだった敵意を、俺は全てヒュームに向けていた。
「王子である俺に対して、よくそんな口がきけるものだ!」
「俺の方が優秀で、お前の他にも王子はいる……お前、いつまで王子でいられるかな」
「覚えておけ! 必ず後悔させてやる!!」
明らかに俺を見下しているヒュームとは、もう話したくない。
ルナが無関係なのは、城で毎日のように会っていたから納得できた。
ヒュームが全ての元凶と知って、俺はどんな手を使ってでも苦しめるつもりだ。
そう決意していたのに――苦しむことになるのは、俺の方だった。
ルナのいるリノーマ伯爵家の屋敷に到着して、俺は応接室の扉を開けた。
噂を広めた奴は別にいるとしても、会話を記録したのはルナに決まっている。
会話を記録したことを後悔させるため、俺はルナを殴るつもりでいた。
まずは追及して、ルナが会話を記録したと認めさせる。
そう考えながら部屋の中に入ると――ルナの隣に座る男に、俺は驚く。
その男は公爵令息のヒュームで、俺に向かって話す。
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そんなヒュームが、この場にいることが理解できない。
激怒して叫ぶ俺に対して、ヒュームは冷静に話す。
「ルナは何も関係ない。全て俺がやったことだ」
「はぁぁっ!? ヒュームよ、お前は何を言っている!?」
「城を訪れた時にお前の部屋に侵入した。そして俺は、この発言を記録する魔法道具を設置したということさ」
そう言ってヒュームは、小箱の形をした魔法道具をテーブルの上に置く。
中に何か入っていそうだが、確認する前にヒュームが動く。
小箱に魔力を流し――俺の暴言が聞こえて、箱の中身がどうでもよくなってしまった。
『お前はヒリスと違い魔法使いとして何も活躍できていない! 婚約を破棄してヒリスを新しい婚約者にしたいと今でも思っている!!』
「なっっ!? ルナではなく、お前が俺の発言を記録していたのか!?」
「そうだ。城に来た時にこの小箱を回収して、証拠を手にした俺は噂を広めたということさ」
「馬鹿な……そんなことをして、お前に何の得がある!?」
「お前が嫌いだった。それ以外に理由が必要か?」
「ぐっっ……!?」
ヒュームに睨まれて、俺は怯んでしまった。
怒りがこめられた発言を聞き、ヒュームの今までの行動に恐怖してしまう。
「ルナの実力を理解せず暴言を吐き続ける。ルナが優秀と知っている俺からすれば不愉快でしかない」
「ふざけたことを言うな! ルナよりもヒリスの方が優秀に決まっている!」
「それならよかったじゃないか。お前はヒリスを新しい婚約者にして、俺はルナと婚約する。それだけだ」
「うっっ……」
「これから俺は、絶対にお前とルナを関わらせない。目障りだから消えてくれ」
ヒュームの発言を聞き、俺は怒りがこみ上げてくる。
ルナに向けるはずだった敵意を、俺は全てヒュームに向けていた。
「王子である俺に対して、よくそんな口がきけるものだ!」
「俺の方が優秀で、お前の他にも王子はいる……お前、いつまで王子でいられるかな」
「覚えておけ! 必ず後悔させてやる!!」
明らかに俺を見下しているヒュームとは、もう話したくない。
ルナが無関係なのは、城で毎日のように会っていたから納得できた。
ヒュームが全ての元凶と知って、俺はどんな手を使ってでも苦しめるつもりだ。
そう決意していたのに――苦しむことになるのは、俺の方だった。
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