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目線の先にはベッドの天蓋。
足の間には逞しい裸体を惜しげもなくさらした男。
「ふぅんっ……あああっ」
指が抜かれ、すぐさま相手のその熱は体の中に入ってきた。
思わずシーツを掴む両手を、男に両方外され指を絡めて握り込まれる。そのため今までその男の手で支えられていた自分の腰が不安定になる。
それなのに奥へ奥へと進んでいこうとする刺激が背骨を通って伝わるように脳まで直接届きそうだった。
その強烈な痺れに反射的に体が逃れようとする。
逃すまいとしたのか、慎重さを皆無にして最奥まで一気に突かれてしまった。
「あああはあ、んっ、ひど……、奥、くるし」
「自業自得だ」
そういうわりには動かずいてくれる。
くちゅくちゅと音がするほどのキスをして体がその体積になれる頃、律動は始まる。
ストロークが長くゆっくりしたもの。
小刻みにリズムよく。
焦らすようにポイントをずらしながら、奥に叩きつけるように。気分によって様々だ。
それに従い翻弄されるだけの行為にでも、体は確実に高まっていく。
「はぁ、あ、いき……たいよ」
「まだだ」
勝手にイけばお仕置きだ。
それでも我慢なんてできない。
「やだっ、んぅ、イク」
「まったく、勝手なやつだ」
今日は許してくれるらしく、直接しごいて射精を促してくれる。
「あっぁあっ、イイ、やばっ…………もうっんんんああ」
達すれば終わりなんて甘いことはなく、体内への刺激は続く。
「はぁ、ぁうっ、ちょ、待って……」
「待つわけがない」
分かってはいるが、呼吸が整わないせいで、快感をうまく受け止められない。
「あぁ、ま、マジ、まっ……んっああ、ひっぅ、あぁつ」
体が熱に浮かされた様になり、自分の体なのにコントロールが効かない。
このままではすぐまたイッてしまう。そんなことになったら、終わりを迎えるころには吐き出すものがないほどに干からびてしまう。
何度か経験しているが故に、過ぎる快感の苦痛が思い出される。
意を決して、主導権を握りにかかる。
なんとかタイミングを合わせて相手の上に乗り上げ、体格差があるので押し倒すまではできずとも、男が座り込む上で自分の膝で体が支えられるようになった。
一瞬だけ驚き止まった腰だったが、すぐさま下から突き上げるように再開される。
「っんう、はぁあっ」
俺はめげずに目の前の肩に手を置いて少しでも上に伸び上がろうと頑張りながら、相手の腹筋に自分のものを押し付け快感を自分のものにできるようにする。
「本当に自分勝手なやつだな」
座った状態で腰を振るため片手をベッドについて支えねばならない相手は、動きが少しだけ制限されるおかげでなんとか追いつめられずに済む。
それでも快感の刺激がなくなったわけではないので、そのせいで滲む目で顔を見ればギラギラと恐ろしい目をしながら口元を僅かに上げているのがわかった。
「っ、そん、なのを、抱く、ぁは、王様が、ぁわるぃ」
腰を支えていたもう片腕が俺の頭をボールのように掴み、無理やり口づけされる。その間ももちろん下からの動きは止まらない。
自分でも腰を振っている分、ダイレクトに刺激されるのをかわしてなんとか長期戦に耐える。
そんな行為が楽しいのかと言われれば楽しいのだ。
訳わかんないくらいに抱かれることもある。思考しない時間と言うのは案外貴重で、それもまたいい。
俺はコウモリの化身で魔王城の雑用を仕事としている。掃除、洗濯、簡単な頼まれ事を解決するくらい。
大きな城だから、メイドも執事も庭師もちゃんといるし、当然役人も軍人もいる。そういう人達が一時手が足りないときに、俺に用がまわってくるわけだ。
俺は基本的に完全夜行性で、多くの人とは生活リズムが違う。
魔界と言えども、普通は朝起きて夜眠るのだ。
例外で俺みたいのも少しはいる。
さらに例外なのがこの城の王様、魔王様だ。魔界にいてわざわざ魔王とは言わないことも多いから、俺は普段、王様と言う。その王様には睡眠自体が必要ないのだ。朝とか夜とか関係ない。
だから俺が起き出す夕方に部屋に引きずり込まれて事を始められるのもよくある話で、まともに仕事している日は少ない。
そもそもこの魔王城ができる前から、俺はここに住んでいた。
いや、元から城が建ってたわけじゃなくて、ここにはもともと小さな洞窟があったんだ。
そこで一人、気ままに暮らしていた。
周りは果物や木の実が豊富な森が半分、あとの残りは俺を害する者は誰もいないただの平原だった。
コウモリは群れて暮らすものだけど、人になれるやつは俺以外まだ会ったことはない。
だからコウモリ達とは一緒に暮らせなかった。簡単にいうならハブられたのだ。
それに俺は吸血の必要もなくて、バンパイアとも違うから大した力もない。
ただ人型になれるコウモリの魔物。
あ、逆かな。
コウモリになれる人の様なもの。
完璧に人間の姿になれるわけでもないから。
耳は尖っちゃうし、牙もある。あと人差し指の爪だけ鋭い。足の指は全部の爪が鋭い。
髪は真っ黒でボサボサで、尖った耳がなんとか隠れる長さ以上は伸びない。
髪には魔力が宿るから、伸びないってことはそれだけ俺が弱いってことだろう。
人間ではないのは間違いないけど、悪魔ではないし、なんとか知性がある魔物といったところかな。
そんな俺が住み処にしていた洞窟の上にある日突然城ができた。
本当に突然。
あとから王様が魔力で建てたと聞いたけど、それにしたって相当な驚きだ。
なんとか洞窟の入り口は塞がれなかったから、洞窟に住み続けることは可能か門番に訊ねた。
駄目なら仕方ないけど、かなり気に入ってたから確認してみようと思ったんだ。
さすがにこんなすごいものを建てられる人の所に勝手に住んでは怒りを買うかもしれないから、そこは俺にも分別はある。
ダメ元だったけど、門番の人は城の中のなんだか偉い人に取り次ぎ、その人になんと王様に直接聞きなさいと言われて、王様に会った。
魔王様って他にも何人かいるらしいけど、出会ったのは初めてだった。
礼儀とか全く分からないから、とにかく膝をついてずっと頭を下げて、玉座の前で待っていたらその人はやってきた。
「顔を見せろ」
言われるままに王様を見ると、真っ黒で真っ白だった。
着ているものが真っ黒で、長い髪が真っ白。
鋭い目はどこか気だるげで、それでいて威圧感があった。
座っていても分かる長い手足。
足を組んで、肘をついて俺を見下ろしていた。
「この城に住みたいのか」
俺は咄嗟に首を横に振った。
この方に何か願おうと思ったことが間違いだったと悟ったから。
力が違いすぎる。
「……すぐに出ていきます」
気に入っていたが、住み処なんてどこでもいい。
コウモリの姿で木にぶら下がっていたって眠れる。
そう思って貴重な時間を割かせて申し訳なかったと謝ろうとしたけど、先に王様が口を開いた。
「出ていかなくてもいいだろ、お前の方が先にいた場所なんだ」
「……下の洞窟にいても」
「そんな狭いところじゃなく、城の中でいい」
「あの洞窟で充分です」
「遠慮する必要はない。無駄に広い城だ、空いている部屋はいくらでもある」
「遠慮じゃなくて、洞窟のが」
「この城よりか?」
「そうです、あそこは落ち着く」
言ってからしまったと慌てた。
なんて失礼なことを言ったのかと震えてしまう。
「ご、ごめんな、さい」
「別に構わない。それほど居心地がいいなら好きにしろ」
怒らせてしまったと小さくなって震えていると、急に目の前が陰った。
いつの間にか目の前に王様が立っていて、手を伸ばしてくる。
痛いことをされると思い、さらに身を固くした。
もしかしたら消されるかもしれないとまで思って、できれば痛くないようにと、小さくうずくまる。
「俺はそんなに恐いか」
頭をなでられている感触に、ゆっくり顔を上げると、王様は困ったようにほんの少しだけ笑っていた。
「謝るのは俺の方だ。勝手に建てて悪かったな」
「だ……大丈夫、まだ、住める」
「そうか」
王様はまた俺の頭をなででから去っていった。
なんとか住む了解を得たわけだけど、その後がより大変だった。
数日後そんなに居心地がいいならと、王様が洞窟を見に来たのだ。
俺は人型が通常の形態だから、洞窟の中にはふかふかになるように落ち葉や枯れ草なんかをいっぱいに敷き詰めてあった。
その上に王様が寝そべったのだ。
「王様!」
「ん? 俺のことか?」
なぜか王様は自分が呼ばれたとは思わなかったようだ。
「そうです、王様! そんな所に寝ちゃダメです」
「お前は毎日ここで寝てるんだろ」
「俺は好きだからいい、けど偉い人はもっとふかふかな場所に寝るって知ってる!」
魔界にも村や街があって俺はたまに観光する。
金はないから泊まったりはしないけど、物々交換でたまに服ぐらいは調達する。
だから魔族にも貴族がいて、そういう人たちは豪華な暮らしをしていることくらいは知っている。
そういう人たちは藁のベッドには当然眠らないことだって。
「ふかふか、か。お前はそのふかふかに寝たくはないのか?」
「俺にはそこでも充分ふかふかだからいい」
「だったら俺も充分だ」
「嘘だ!」
「嘘じゃない、もうすぐ夜明けだ。お前も一緒に寝ろ」
「……俺が寝る時間をどうして」
「俺にはいろいろ分かるんだ、理由はない。分かるから分かる、それだけだ」
それが魔王というものか。
確かに眠たくなってきた俺は王様はすぐに勝手に帰るだろうと思って、隅っこの方で眠ることにした。
きっと物珍しかったに違いないと思ったから。俺が眠るとこまで見たら飽きて帰るはずだ。
でも王様は予想の斜め上をいっていた。
目が覚めたらなんだかとんでもないところで寝ていた。
「ここ、どこ」
絶対に洞窟ではない、薄明かりが点いた真っ白な世界。
「俺の部屋だ」
「ひっ!」
振り返ると同じ場所で王様も寝ていた。
「そんな風に驚くな」
「な、な、な、」
「落ち着け」
「なんで、」
周りは薄い幕のようなもので覆われていて、外がどんな場所か分からなかった。
「ベッド?」
「なんだ、ベッドは知っているのか」
「知ってる」
「ふかふかだ、なんて言うから知らないのかと思ったんだが」
「……そこまで無知じゃない」
「じゃあなんであんな言い方をした」
今その話は必要なのかと思ったが、答えないのも失礼だ。
「俺の寝床をベッドだといったら笑われるかもしれないから、でも俺はあのふかふか加減が好きだから」
「誰かに笑われたのか?」
やたら真剣に問われたが、俺の常識が他の常識と違うことは俺が一番知ってる。
「人はああいう所では寝ないんだろ?」
「そうだな、珍しい」
「珍しいは笑われることが多い」
「つまり他のことで笑われたんだな」
「笑われた。でも今は一人だから大丈夫。俺の好きなようにできる」
もっとずっと前、生まれたての頃。
俺はなんだか心細くて、自分と姿が似ている者達に近づいたことがあった。
でも結局何処にも馴染めなかった。
人型の魔物の村でもコウモリ達にも。
生きる術が身に付けば、一人でも平気になったから、それからはずっと一人。
好きにできる毎日だ。
「それがあの洞窟か」
「お金はないから質素だけど、好きなものだけ置いてある場所」
俺だけの自慢の場所だ。
王様にはわからないかもしれないけど、俺は無駄に胸を張った。
「お前、可愛いな」
「そう、かわ……え?可愛い?」
「最初からなんか可愛らしいとは思ったが、どんどん可愛くなるな」
王様は意味不明なことを言いながら、俺をなで回し始めた。
それで安物の薄い布の服の中に手が入ってくる。
「ちょ、王様!」
「お前名前は?」
「え?」
「名前だ」
「エト……だったかな?」
「あやふやだな」
「必要ないから、忘れかけてた」
実際ここのところ名が必要なことは全くなかったから、マジで忘れるところだ。
いや、エトって名前も本当かどうか。
魔族が使う真名みたいなのが一応あるから調べられるけど、疲れるからやらない。
「まあ、俺の名前も似たようなもんだな」
確かに王様を名前で呼ぶ相手なんてそうそういないか。
それよりも手!
なんでそんなに触ってくるんだろ。
「王様……暇なの?」
「そうだな、暇だな」
「エッチなことしたい?」
「したことあるか?」
「ないよー、でも覗いたことはある」
昔、コウモリ姿で軒先にぶら下がっているとき見た。
初めて見る光景だったから、それからいろんなのを見て回った。
いい暇潰しだった。
でも自分で体験したいとは思わなかった。
だって、相手が必要じゃん。
そんなの探すだけで面倒だ。
「王様は相手いないのか?」
「そうだな」
「ふーん、カッコいいのに変だね」
「変か?」
「カッコいいのは人気でしょ? そういう人はいっぱい選べるって聞いたよ」
「誰に聞いた?」
「えーっと、昔、群れになんとか入ろうとしてるときに誰かが言ってた」
「そうだとしても、選ぶかどうかは俺の自由だろ」
「へー、そうなんだ」
なんだかいっぱい撫でられているせいで、よく分からなかった。
「全部脱がすぞ」
「王様も?」
「俺も脱ぐ、そうなるともう逃げられないぞ」
「今なら逃げれるってこと?」
「できないな」
「あはは、一緒じゃーん」
王様は俺のシャツもズボンも全部剥ぎ取ると、自分の真っ黒な服を全部脱いだ。
「わぁー、王様は裸もカッコいいな」
「気に入ったならいい」
「んっ」
王様は俺の頭を両手で挟むと、唇をくっつけてきた。
それで舌が口のなかに入ってきて、撫でられるよりずっと気持ちいい。
俺も試しに舌を動かしてみるともっと気持ちよくて、ずっと夢中になった。
「っ……あ、ん……ぁ、はあ、も、おわり?」
唇が離れていったからちょっと切なくなった。
「もっと良くしてやる」
俺を広いベッドに寝転ばせると、王様はさっきみたいにまた体を撫で始めた。
「キスのが気持ちよかったよ?」
「ここはどうだ?」
なんのためにあるのか分からなかった胸の突起を王様が摘まむ。
「ひゃあはは、くすぐったい」
「なら合格だ、直によくなる」
「きゃは、っはは、本当にー? ふふふ」
摘まんだりこねたり、潰されたりしてるうちに、だんだん熱くなってきてちょっとずつ体がピクピクし始めた。
「わぁ、ジンジンする」
「もう一歩だな」
「ひゃ! ぁ、あ」
乳首がなめられてビックリした。
「あっ、ぅあ、きもちぃぃ」
右も左も平等に触ってくれて、どっちも気持ちいい。
たっぷりなめられたら、王様の口は下に下がっていった。
これまた今までほとんど意味のなかった男の象徴を食べられた。
「あっ、ああ! やだ、やっダメ、王様!」
排泄の必要のない体だけど、魔力の受け渡しのために生殖器はある。
渡すほどの魔力もないから、ただできるだけだけど。
この器官で子を成すこともないことはないけど、俺みたいに弱いのは余程の事がなければ、できないし。
なんだか初めての感触に怖くなって、王様の頭を離そうと手で押すけど、離れない。
「やっ、あぁああ……ぅだ、だめ、やだ」
しばらく口のなかに入れられたままで、それに耐えていると、そのもっと奥に違和感がやってきた。
「あっ、な、なに」
「大丈夫だ、解してやるから大人しくな」
「あう、……うん」
王様は無理矢理とかはしない主義みたいで、俺を快感で溶かしてから段階を踏むようだ。
俺が同意したかどうかは関係ない辺りは、魔王様ってことなのかな。
暇潰しに抱かれるのは、ちょっとどうかなとは思うけど、今後こういう機会もないだろうから、好奇心もあって身を委ねてみた。
痛いことは逃げたいけど、気持ち良くしてくれるなら試してみるって感じだ。
本来なら俺が王様を気持ち良くしないといけないんだろうけど、そういう役目の人が王様くらいになればいる気もするから、それを望むならプロに頼んでくれと思うわけ。
「あっ、……はぁう」
王様は俺のモノからは口を放して、入れるために俺の体を開拓するのに集中している。
俺は取り合えず気持ちいいから、任せっぱなし。
知らない感覚だけど、王様の慎重さが感じられるから怖くはない。
よっぽど暇なのかなー。
初心者に時間かけても構わないくらいには時間があるのか。
お城の中にいろんな人がいっぱいいるのは知ってるけど、話したことないから全然知らない。
知る必要はないと、このときは思ってた。
「エト、そろそろ入れる」
「ふぁ、あー、王様の大きくなってるな」
比較対象をあまり知らないから、王様のモノがどれ程かはわからないけど、確実に俺のより大きい。
さっき裸を見たときも思ったけど、入れれるほどに育ったそれは逞しさが桁違いだ。
「キツいのは最初だけだ」
俺が釘付けになっていたからか、王様は俺を気遣うように一度抱き締めた。
これは熟練者の余裕だな。
俺が覗いた人たちは、攻める側のこの段階は切羽詰まっている感じだったから、一呼吸おけるのはすごいんじゃないかな。
それとも俺が覗けるような環境でやってる人たちは余裕のない人達だったかもしれない。
どうすればいいのか全然分からないから、呼吸だけ整えた。
「王様、いいよぉ」
王様はちょっとだけ笑って、俺の太ももを開いた。
「後ろからのがお前は楽なんだけどな、俺が顔を見たいからこのまま入れる」
「どっちも知らないから気にしないよ」
「代わりに天国味わわせてやる」
「魔界で天国って、変なの。ァんっ」
王様の熱を持った塊が、俺のそこにあてがわれるのが分かった。
「じゃあ極楽だ」
「ひぅ、あ、あ、くっんんんーああぁ」
脚を思いっきり広げられて、それ以上に体が拓(ひら)かれていく衝撃は目の前に星が飛び交うほどだった。
痛いとか苦しいとか超えた、体が重たくなる、なんとも言えない感覚。
「っ、エト。息を止めるな」
「ぃんん……はあ、あああ」
自分の体じゃなくなったみたいで、なんともしようがない。
けれど、体に入ってくる熱の量はゆっくりだけど増えていき、俺の体まで熱くなっていく。
身体中から汗が噴き出してくる。
「初めてじゃ全部は無理か」
「あっあぁ、くゅぅ……はぁ、はあ」
熱の侵入が止まり、でも少しでも動こうものなら痺れるようにそこから衝撃がくる。
なんだかお腹のなかが爆発しそうだと思って、自分のお腹に手を当ててみると、ひんやり冷たくてビックリした。
「どうした?」
動きを止めた王様が、その俺の手に触れる。
「お腹、熱いのに、冷たいから」
「ん? 熱い? 冷たい?」
「ひっ、ぁ、う、動かないで」
王様が少しだけ揺らすようにするだけで、ビリビリする。
「熱いのは中か」
「うんっ、ぁ……あ」
お腹に置いた俺の手を王様が掴んでそのまま覆い被さるように俺の手をごと顔の横に手をついた。
「汗が乾いていくから冷えるんだろ、寒いか?」
王様の白く長い髪がカーテンの様に顔の回りを覆って、王様しか見えなくなる。
「おうさま……きれい」
「この顔か? 気に入ったか?」
「うん、スキ」
「クククっ、じゃあしばらく眺めとけ。そのうち良くなって、冷えなんて感じなくなるからな」
寒くはなかったんだけど、抱き締めるようにして少しずつ王様は動き始めた。
それからはもうあまり覚えてない。
気持ち良くなったのは間違いないけど、俺の知ってる気持ち良さなんて比較にならないくらいで、悲鳴に近い声をあげる以外は何にもできなくて、ずっと王様には揺さぶられていた。
足の間には逞しい裸体を惜しげもなくさらした男。
「ふぅんっ……あああっ」
指が抜かれ、すぐさま相手のその熱は体の中に入ってきた。
思わずシーツを掴む両手を、男に両方外され指を絡めて握り込まれる。そのため今までその男の手で支えられていた自分の腰が不安定になる。
それなのに奥へ奥へと進んでいこうとする刺激が背骨を通って伝わるように脳まで直接届きそうだった。
その強烈な痺れに反射的に体が逃れようとする。
逃すまいとしたのか、慎重さを皆無にして最奥まで一気に突かれてしまった。
「あああはあ、んっ、ひど……、奥、くるし」
「自業自得だ」
そういうわりには動かずいてくれる。
くちゅくちゅと音がするほどのキスをして体がその体積になれる頃、律動は始まる。
ストロークが長くゆっくりしたもの。
小刻みにリズムよく。
焦らすようにポイントをずらしながら、奥に叩きつけるように。気分によって様々だ。
それに従い翻弄されるだけの行為にでも、体は確実に高まっていく。
「はぁ、あ、いき……たいよ」
「まだだ」
勝手にイけばお仕置きだ。
それでも我慢なんてできない。
「やだっ、んぅ、イク」
「まったく、勝手なやつだ」
今日は許してくれるらしく、直接しごいて射精を促してくれる。
「あっぁあっ、イイ、やばっ…………もうっんんんああ」
達すれば終わりなんて甘いことはなく、体内への刺激は続く。
「はぁ、ぁうっ、ちょ、待って……」
「待つわけがない」
分かってはいるが、呼吸が整わないせいで、快感をうまく受け止められない。
「あぁ、ま、マジ、まっ……んっああ、ひっぅ、あぁつ」
体が熱に浮かされた様になり、自分の体なのにコントロールが効かない。
このままではすぐまたイッてしまう。そんなことになったら、終わりを迎えるころには吐き出すものがないほどに干からびてしまう。
何度か経験しているが故に、過ぎる快感の苦痛が思い出される。
意を決して、主導権を握りにかかる。
なんとかタイミングを合わせて相手の上に乗り上げ、体格差があるので押し倒すまではできずとも、男が座り込む上で自分の膝で体が支えられるようになった。
一瞬だけ驚き止まった腰だったが、すぐさま下から突き上げるように再開される。
「っんう、はぁあっ」
俺はめげずに目の前の肩に手を置いて少しでも上に伸び上がろうと頑張りながら、相手の腹筋に自分のものを押し付け快感を自分のものにできるようにする。
「本当に自分勝手なやつだな」
座った状態で腰を振るため片手をベッドについて支えねばならない相手は、動きが少しだけ制限されるおかげでなんとか追いつめられずに済む。
それでも快感の刺激がなくなったわけではないので、そのせいで滲む目で顔を見ればギラギラと恐ろしい目をしながら口元を僅かに上げているのがわかった。
「っ、そん、なのを、抱く、ぁは、王様が、ぁわるぃ」
腰を支えていたもう片腕が俺の頭をボールのように掴み、無理やり口づけされる。その間ももちろん下からの動きは止まらない。
自分でも腰を振っている分、ダイレクトに刺激されるのをかわしてなんとか長期戦に耐える。
そんな行為が楽しいのかと言われれば楽しいのだ。
訳わかんないくらいに抱かれることもある。思考しない時間と言うのは案外貴重で、それもまたいい。
俺はコウモリの化身で魔王城の雑用を仕事としている。掃除、洗濯、簡単な頼まれ事を解決するくらい。
大きな城だから、メイドも執事も庭師もちゃんといるし、当然役人も軍人もいる。そういう人達が一時手が足りないときに、俺に用がまわってくるわけだ。
俺は基本的に完全夜行性で、多くの人とは生活リズムが違う。
魔界と言えども、普通は朝起きて夜眠るのだ。
例外で俺みたいのも少しはいる。
さらに例外なのがこの城の王様、魔王様だ。魔界にいてわざわざ魔王とは言わないことも多いから、俺は普段、王様と言う。その王様には睡眠自体が必要ないのだ。朝とか夜とか関係ない。
だから俺が起き出す夕方に部屋に引きずり込まれて事を始められるのもよくある話で、まともに仕事している日は少ない。
そもそもこの魔王城ができる前から、俺はここに住んでいた。
いや、元から城が建ってたわけじゃなくて、ここにはもともと小さな洞窟があったんだ。
そこで一人、気ままに暮らしていた。
周りは果物や木の実が豊富な森が半分、あとの残りは俺を害する者は誰もいないただの平原だった。
コウモリは群れて暮らすものだけど、人になれるやつは俺以外まだ会ったことはない。
だからコウモリ達とは一緒に暮らせなかった。簡単にいうならハブられたのだ。
それに俺は吸血の必要もなくて、バンパイアとも違うから大した力もない。
ただ人型になれるコウモリの魔物。
あ、逆かな。
コウモリになれる人の様なもの。
完璧に人間の姿になれるわけでもないから。
耳は尖っちゃうし、牙もある。あと人差し指の爪だけ鋭い。足の指は全部の爪が鋭い。
髪は真っ黒でボサボサで、尖った耳がなんとか隠れる長さ以上は伸びない。
髪には魔力が宿るから、伸びないってことはそれだけ俺が弱いってことだろう。
人間ではないのは間違いないけど、悪魔ではないし、なんとか知性がある魔物といったところかな。
そんな俺が住み処にしていた洞窟の上にある日突然城ができた。
本当に突然。
あとから王様が魔力で建てたと聞いたけど、それにしたって相当な驚きだ。
なんとか洞窟の入り口は塞がれなかったから、洞窟に住み続けることは可能か門番に訊ねた。
駄目なら仕方ないけど、かなり気に入ってたから確認してみようと思ったんだ。
さすがにこんなすごいものを建てられる人の所に勝手に住んでは怒りを買うかもしれないから、そこは俺にも分別はある。
ダメ元だったけど、門番の人は城の中のなんだか偉い人に取り次ぎ、その人になんと王様に直接聞きなさいと言われて、王様に会った。
魔王様って他にも何人かいるらしいけど、出会ったのは初めてだった。
礼儀とか全く分からないから、とにかく膝をついてずっと頭を下げて、玉座の前で待っていたらその人はやってきた。
「顔を見せろ」
言われるままに王様を見ると、真っ黒で真っ白だった。
着ているものが真っ黒で、長い髪が真っ白。
鋭い目はどこか気だるげで、それでいて威圧感があった。
座っていても分かる長い手足。
足を組んで、肘をついて俺を見下ろしていた。
「この城に住みたいのか」
俺は咄嗟に首を横に振った。
この方に何か願おうと思ったことが間違いだったと悟ったから。
力が違いすぎる。
「……すぐに出ていきます」
気に入っていたが、住み処なんてどこでもいい。
コウモリの姿で木にぶら下がっていたって眠れる。
そう思って貴重な時間を割かせて申し訳なかったと謝ろうとしたけど、先に王様が口を開いた。
「出ていかなくてもいいだろ、お前の方が先にいた場所なんだ」
「……下の洞窟にいても」
「そんな狭いところじゃなく、城の中でいい」
「あの洞窟で充分です」
「遠慮する必要はない。無駄に広い城だ、空いている部屋はいくらでもある」
「遠慮じゃなくて、洞窟のが」
「この城よりか?」
「そうです、あそこは落ち着く」
言ってからしまったと慌てた。
なんて失礼なことを言ったのかと震えてしまう。
「ご、ごめんな、さい」
「別に構わない。それほど居心地がいいなら好きにしろ」
怒らせてしまったと小さくなって震えていると、急に目の前が陰った。
いつの間にか目の前に王様が立っていて、手を伸ばしてくる。
痛いことをされると思い、さらに身を固くした。
もしかしたら消されるかもしれないとまで思って、できれば痛くないようにと、小さくうずくまる。
「俺はそんなに恐いか」
頭をなでられている感触に、ゆっくり顔を上げると、王様は困ったようにほんの少しだけ笑っていた。
「謝るのは俺の方だ。勝手に建てて悪かったな」
「だ……大丈夫、まだ、住める」
「そうか」
王様はまた俺の頭をなででから去っていった。
なんとか住む了解を得たわけだけど、その後がより大変だった。
数日後そんなに居心地がいいならと、王様が洞窟を見に来たのだ。
俺は人型が通常の形態だから、洞窟の中にはふかふかになるように落ち葉や枯れ草なんかをいっぱいに敷き詰めてあった。
その上に王様が寝そべったのだ。
「王様!」
「ん? 俺のことか?」
なぜか王様は自分が呼ばれたとは思わなかったようだ。
「そうです、王様! そんな所に寝ちゃダメです」
「お前は毎日ここで寝てるんだろ」
「俺は好きだからいい、けど偉い人はもっとふかふかな場所に寝るって知ってる!」
魔界にも村や街があって俺はたまに観光する。
金はないから泊まったりはしないけど、物々交換でたまに服ぐらいは調達する。
だから魔族にも貴族がいて、そういう人たちは豪華な暮らしをしていることくらいは知っている。
そういう人たちは藁のベッドには当然眠らないことだって。
「ふかふか、か。お前はそのふかふかに寝たくはないのか?」
「俺にはそこでも充分ふかふかだからいい」
「だったら俺も充分だ」
「嘘だ!」
「嘘じゃない、もうすぐ夜明けだ。お前も一緒に寝ろ」
「……俺が寝る時間をどうして」
「俺にはいろいろ分かるんだ、理由はない。分かるから分かる、それだけだ」
それが魔王というものか。
確かに眠たくなってきた俺は王様はすぐに勝手に帰るだろうと思って、隅っこの方で眠ることにした。
きっと物珍しかったに違いないと思ったから。俺が眠るとこまで見たら飽きて帰るはずだ。
でも王様は予想の斜め上をいっていた。
目が覚めたらなんだかとんでもないところで寝ていた。
「ここ、どこ」
絶対に洞窟ではない、薄明かりが点いた真っ白な世界。
「俺の部屋だ」
「ひっ!」
振り返ると同じ場所で王様も寝ていた。
「そんな風に驚くな」
「な、な、な、」
「落ち着け」
「なんで、」
周りは薄い幕のようなもので覆われていて、外がどんな場所か分からなかった。
「ベッド?」
「なんだ、ベッドは知っているのか」
「知ってる」
「ふかふかだ、なんて言うから知らないのかと思ったんだが」
「……そこまで無知じゃない」
「じゃあなんであんな言い方をした」
今その話は必要なのかと思ったが、答えないのも失礼だ。
「俺の寝床をベッドだといったら笑われるかもしれないから、でも俺はあのふかふか加減が好きだから」
「誰かに笑われたのか?」
やたら真剣に問われたが、俺の常識が他の常識と違うことは俺が一番知ってる。
「人はああいう所では寝ないんだろ?」
「そうだな、珍しい」
「珍しいは笑われることが多い」
「つまり他のことで笑われたんだな」
「笑われた。でも今は一人だから大丈夫。俺の好きなようにできる」
もっとずっと前、生まれたての頃。
俺はなんだか心細くて、自分と姿が似ている者達に近づいたことがあった。
でも結局何処にも馴染めなかった。
人型の魔物の村でもコウモリ達にも。
生きる術が身に付けば、一人でも平気になったから、それからはずっと一人。
好きにできる毎日だ。
「それがあの洞窟か」
「お金はないから質素だけど、好きなものだけ置いてある場所」
俺だけの自慢の場所だ。
王様にはわからないかもしれないけど、俺は無駄に胸を張った。
「お前、可愛いな」
「そう、かわ……え?可愛い?」
「最初からなんか可愛らしいとは思ったが、どんどん可愛くなるな」
王様は意味不明なことを言いながら、俺をなで回し始めた。
それで安物の薄い布の服の中に手が入ってくる。
「ちょ、王様!」
「お前名前は?」
「え?」
「名前だ」
「エト……だったかな?」
「あやふやだな」
「必要ないから、忘れかけてた」
実際ここのところ名が必要なことは全くなかったから、マジで忘れるところだ。
いや、エトって名前も本当かどうか。
魔族が使う真名みたいなのが一応あるから調べられるけど、疲れるからやらない。
「まあ、俺の名前も似たようなもんだな」
確かに王様を名前で呼ぶ相手なんてそうそういないか。
それよりも手!
なんでそんなに触ってくるんだろ。
「王様……暇なの?」
「そうだな、暇だな」
「エッチなことしたい?」
「したことあるか?」
「ないよー、でも覗いたことはある」
昔、コウモリ姿で軒先にぶら下がっているとき見た。
初めて見る光景だったから、それからいろんなのを見て回った。
いい暇潰しだった。
でも自分で体験したいとは思わなかった。
だって、相手が必要じゃん。
そんなの探すだけで面倒だ。
「王様は相手いないのか?」
「そうだな」
「ふーん、カッコいいのに変だね」
「変か?」
「カッコいいのは人気でしょ? そういう人はいっぱい選べるって聞いたよ」
「誰に聞いた?」
「えーっと、昔、群れになんとか入ろうとしてるときに誰かが言ってた」
「そうだとしても、選ぶかどうかは俺の自由だろ」
「へー、そうなんだ」
なんだかいっぱい撫でられているせいで、よく分からなかった。
「全部脱がすぞ」
「王様も?」
「俺も脱ぐ、そうなるともう逃げられないぞ」
「今なら逃げれるってこと?」
「できないな」
「あはは、一緒じゃーん」
王様は俺のシャツもズボンも全部剥ぎ取ると、自分の真っ黒な服を全部脱いだ。
「わぁー、王様は裸もカッコいいな」
「気に入ったならいい」
「んっ」
王様は俺の頭を両手で挟むと、唇をくっつけてきた。
それで舌が口のなかに入ってきて、撫でられるよりずっと気持ちいい。
俺も試しに舌を動かしてみるともっと気持ちよくて、ずっと夢中になった。
「っ……あ、ん……ぁ、はあ、も、おわり?」
唇が離れていったからちょっと切なくなった。
「もっと良くしてやる」
俺を広いベッドに寝転ばせると、王様はさっきみたいにまた体を撫で始めた。
「キスのが気持ちよかったよ?」
「ここはどうだ?」
なんのためにあるのか分からなかった胸の突起を王様が摘まむ。
「ひゃあはは、くすぐったい」
「なら合格だ、直によくなる」
「きゃは、っはは、本当にー? ふふふ」
摘まんだりこねたり、潰されたりしてるうちに、だんだん熱くなってきてちょっとずつ体がピクピクし始めた。
「わぁ、ジンジンする」
「もう一歩だな」
「ひゃ! ぁ、あ」
乳首がなめられてビックリした。
「あっ、ぅあ、きもちぃぃ」
右も左も平等に触ってくれて、どっちも気持ちいい。
たっぷりなめられたら、王様の口は下に下がっていった。
これまた今までほとんど意味のなかった男の象徴を食べられた。
「あっ、ああ! やだ、やっダメ、王様!」
排泄の必要のない体だけど、魔力の受け渡しのために生殖器はある。
渡すほどの魔力もないから、ただできるだけだけど。
この器官で子を成すこともないことはないけど、俺みたいに弱いのは余程の事がなければ、できないし。
なんだか初めての感触に怖くなって、王様の頭を離そうと手で押すけど、離れない。
「やっ、あぁああ……ぅだ、だめ、やだ」
しばらく口のなかに入れられたままで、それに耐えていると、そのもっと奥に違和感がやってきた。
「あっ、な、なに」
「大丈夫だ、解してやるから大人しくな」
「あう、……うん」
王様は無理矢理とかはしない主義みたいで、俺を快感で溶かしてから段階を踏むようだ。
俺が同意したかどうかは関係ない辺りは、魔王様ってことなのかな。
暇潰しに抱かれるのは、ちょっとどうかなとは思うけど、今後こういう機会もないだろうから、好奇心もあって身を委ねてみた。
痛いことは逃げたいけど、気持ち良くしてくれるなら試してみるって感じだ。
本来なら俺が王様を気持ち良くしないといけないんだろうけど、そういう役目の人が王様くらいになればいる気もするから、それを望むならプロに頼んでくれと思うわけ。
「あっ、……はぁう」
王様は俺のモノからは口を放して、入れるために俺の体を開拓するのに集中している。
俺は取り合えず気持ちいいから、任せっぱなし。
知らない感覚だけど、王様の慎重さが感じられるから怖くはない。
よっぽど暇なのかなー。
初心者に時間かけても構わないくらいには時間があるのか。
お城の中にいろんな人がいっぱいいるのは知ってるけど、話したことないから全然知らない。
知る必要はないと、このときは思ってた。
「エト、そろそろ入れる」
「ふぁ、あー、王様の大きくなってるな」
比較対象をあまり知らないから、王様のモノがどれ程かはわからないけど、確実に俺のより大きい。
さっき裸を見たときも思ったけど、入れれるほどに育ったそれは逞しさが桁違いだ。
「キツいのは最初だけだ」
俺が釘付けになっていたからか、王様は俺を気遣うように一度抱き締めた。
これは熟練者の余裕だな。
俺が覗いた人たちは、攻める側のこの段階は切羽詰まっている感じだったから、一呼吸おけるのはすごいんじゃないかな。
それとも俺が覗けるような環境でやってる人たちは余裕のない人達だったかもしれない。
どうすればいいのか全然分からないから、呼吸だけ整えた。
「王様、いいよぉ」
王様はちょっとだけ笑って、俺の太ももを開いた。
「後ろからのがお前は楽なんだけどな、俺が顔を見たいからこのまま入れる」
「どっちも知らないから気にしないよ」
「代わりに天国味わわせてやる」
「魔界で天国って、変なの。ァんっ」
王様の熱を持った塊が、俺のそこにあてがわれるのが分かった。
「じゃあ極楽だ」
「ひぅ、あ、あ、くっんんんーああぁ」
脚を思いっきり広げられて、それ以上に体が拓(ひら)かれていく衝撃は目の前に星が飛び交うほどだった。
痛いとか苦しいとか超えた、体が重たくなる、なんとも言えない感覚。
「っ、エト。息を止めるな」
「ぃんん……はあ、あああ」
自分の体じゃなくなったみたいで、なんともしようがない。
けれど、体に入ってくる熱の量はゆっくりだけど増えていき、俺の体まで熱くなっていく。
身体中から汗が噴き出してくる。
「初めてじゃ全部は無理か」
「あっあぁ、くゅぅ……はぁ、はあ」
熱の侵入が止まり、でも少しでも動こうものなら痺れるようにそこから衝撃がくる。
なんだかお腹のなかが爆発しそうだと思って、自分のお腹に手を当ててみると、ひんやり冷たくてビックリした。
「どうした?」
動きを止めた王様が、その俺の手に触れる。
「お腹、熱いのに、冷たいから」
「ん? 熱い? 冷たい?」
「ひっ、ぁ、う、動かないで」
王様が少しだけ揺らすようにするだけで、ビリビリする。
「熱いのは中か」
「うんっ、ぁ……あ」
お腹に置いた俺の手を王様が掴んでそのまま覆い被さるように俺の手をごと顔の横に手をついた。
「汗が乾いていくから冷えるんだろ、寒いか?」
王様の白く長い髪がカーテンの様に顔の回りを覆って、王様しか見えなくなる。
「おうさま……きれい」
「この顔か? 気に入ったか?」
「うん、スキ」
「クククっ、じゃあしばらく眺めとけ。そのうち良くなって、冷えなんて感じなくなるからな」
寒くはなかったんだけど、抱き締めるようにして少しずつ王様は動き始めた。
それからはもうあまり覚えてない。
気持ち良くなったのは間違いないけど、俺の知ってる気持ち良さなんて比較にならないくらいで、悲鳴に近い声をあげる以外は何にもできなくて、ずっと王様には揺さぶられていた。
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