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第七章 王都編
第五話 妹よ、俺は今「剣聖」に約束の品を渡しています。
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叫んだ後も頭を上げようとしないマーカス。ブルブルと震える体からは嗚咽が漏れ始める。
大の大人が見せる男泣き、それも並の人物ではない。S級冒険者にして「剣聖」スキル保持者、近接戦最強と謳われるマーカス ハルトマンが、その屈強な体を小さく縮め、土下座をしたままブルブルと震えながら嗚咽を漏らし泣いている。
だが、その姿を笑う者などこの場には一人も居ない。マーカスと同じく、既に涙腺が崩壊している友。目に涙を溜めながら、うん、うん、と何度も頷く先輩。対戦相手だった師までもが鼻を啜っている。
そんな中、遂に我慢の限界を迎えたオスカーがマーカスへ駆けだすと、服が汚れるのもお構いなしに膝でスライディングしながらマーカスの背に覆いかぶさりバンバンと背中を叩く。それでも興奮の収まらないオスカーは、マーカスの上半身を強引に起こし上げると両手で頬を挟み、至近距離なのに大声で叫び始めた。
「やはり私の目に狂いはなかった!初めて会った時からお前こそ本物、必ず何かを成し遂げる男だと私は気付いていたぞ!だが、お前はそんな私の想像を遥かに超える剣士だった!たとえ剣だけとはいえ先生と肩を並べられるなんて、お前はなんと凄い男なのだ!友として誇りに思う!マーカス ハルトマン、お前の友で居られることを、心から誇りに思う!凄い奴だ・・・本当に、お前は・・凄い奴だ・・」
「あ、ありがとう・・・」
不思議なもので、興奮状態であっても自分より興奮している者を目の当りにすると、あっさり冷静になったりする。今のマーカスがそんな状態。オスカーの両手からそっと逃れると、恥ずかしそうに袖で顔を擦りながら放りっぱなしになっていた剣をそそくさと拾い鞘に納める。そこへコタローを肩の乗せたサンセラが歩みより、力強く肩に手を置いた。
「見事だったぞ、マーカス。よくぞここまで腕を上げた、お前は私にとっても自慢の後輩だ」
「ありがとうございます」
サンセラの奴め、俺とコタロー以外の誰かがいる時は妙に大人ぶりやがって・・・まあ、実際もの凄く年上ではあるが・・・まあいいや、折角いい雰囲気だから、最後のお楽しみと行きますか!
「マーカス、改めて「剣聖」スキルカンストおめでとう。約束の品だ」
マジックボックスから鞘に入ったままの剣を取り出す。以前約束した、俺がマーカスの為に造った最高の剣。
「なっ、ななっ、なんですか、その剣は!」
「ほお、流石は「剣聖」。わかるか」
まだ鞘から抜きもしておらず、マーカスは手に取ってもいない。それでもこの剣の凄さが伝わるのは制作者として喜ばしい。
「マーカス、たしかに立派な剣だが、まだ振りもしていないのに何をそんなに驚いているのだ?」
「何をって・・・オスカー、お前にはこの剣の凄さがわからないのか?」
「先生が作られたのだから凄い剣だというのは間違いないのだろうが・・」
「いや、そういった次元ではない!この剣は、まるで生きているみたいじゃないか!」
「はぁ?剣が生きている訳ないだろう、大丈夫かマーカス?」
「いや、だから・・」
俺と出会った頃に比べれば剣士としても腕を上げたオスカーだが、それでもB級冒険者レベル。「剣聖」スキルをカンストさせたマーカスのようにはいかない。しかし、生きているようだとは、なかなかに言い得て妙だ。
この剣は俺の刀やオスカーの短剣と同じ素材が使ってある。その鉱物に名は無い。魔獣の大森林最奥地での修行中に偶然見つけた物で、いつかこの世界の人が発見した時に名を付ければいいと思っているので俺が名を付けるつもりはない。
この鉱物には特徴は三つかある。第一に重い。第二に硬い。この時点で相当に優れた鉱物ではあるが、最も特筆すべきは第三の特徴、魔力伝導率が高いだ。ただし、良いことばかりではない。この鉱物は魔力属性を付与すればするほど重量と硬さを失う。だからオスカーには短剣しか作れなかった。短剣で尚且つ三属性の魔力を付与することでようやくオスカーにも扱える重量となった。俺が使う斬究は一見軽そうに見えるが、斬ることに特化させているため一切魔法属性を付与していない。並の剣士なら持ち上げるだけで一苦労するだろう。
「オスカー、持ってみろ」
「えっ、いいのですか!では、って、重っ!なんですかこれ、こんなのいくらマーカスでも振れませんよ!」
普通はこうなる。オスカーから剣を返してもらい改めてマーカスに剣を差し出すと、マーカスはその場で片膝をつき、両手を頭上で広げ、仰々しく受け取った。いや、俺、王様とか教皇じゃないから!
「凄い・・・これ程の剣を、本当に私如きが頂いてもよろしいのでしょうか?」
「当り前だ。この剣はマーカス、お前の為だけに俺が造った、お前専用の剣だ。名付けるならマーカスソードと言ったとことかな。お前以外が使っても只の重い剣で十全に能力は発揮できない。さあ、振ってみろ」
「はい」
俺から剣を受け取り、軽々と鞘から抜き出すマーカス。
「えっ、なんで?」
オスカーが不思議に思うのも当然。基本ステータスの高いマーカスだからといって軽々と持てる重量ではない。では、何故マーカスには軽々と扱えるのか。それには材料に使った鉱物第三の特徴、魔力伝導率の高さと「剣術」スキルが関わってくる。
斬究にもこの鉱物は使われているが、斬ることに重きを置いたため魔力属性は付与しなかった。ある意味贅沢な使い方だが、俺には「双剣」スキルがあったため、魔力属性はもう一本の刀、雷鳴に付与することが出来た。そこで偶然知ることになる。魔力属性は付与していなくても魔力は循環させることが出来たのだ。逆に魔力属性を付与した雷鳴は魔力を流せば魔法が発動してしまうため循環させられない。まあ、魔力が循環させられるからと言っても属性が付与させていなければ魔法を放つことは出来ないので何の役にも立たない。だが、やけに馴染む。「剣術」と「双剣」スキルのレベルが上がれば上がるほどその感覚は顕著に表れてきた。重たいのに重たくない、だからといって軽いわけでもない、丁度いい感じ。それはもう、体の一部ではないかと思えるくらいに馴染むのだ。改めて観察してみると、魔力伝導率が高すぎるからか俺の意思に関係なく、握った瞬間知らぬ間に俺の魔力が循環していた。
マーカスに剣を送ると約束した時、すぐにこの剣の構想が浮かんだ。「剣術」スキルや「双剣」スキルしか持たない俺でこれなのだ、剣における最高峰「剣聖」スキルを持つマーカスならもっと重い両刃剣でも扱えるのではないか?そもそも、この世界に剣として生み出された物で「剣聖」スキルをカンストさせた者が扱えない剣などあるのか?
マーカスが「剣聖」スキルをカンストさせた瞬間、ステータスが爆発的に上がったことで自分の考えが間違ってはいなかったと確信に至る。途轍もなく重く、途轍もなく硬い剣。強化魔法などかけなくても刃こぼれ一つせず、絶対に折れない剣。「剣聖」スキルをカンストさせたのなら、普通の剣士では扱えない剣を使ってもらいたい。
そうして生まれたのがこの剣。試しに俺も振ってみたが、魔力を循環させても少し重すぎた。だが、俺より体格もよく、上位互換のスキルを持つマーカスにはこれくらいが丁度良い。もしマーカスにも重すぎるのなら、一つだけ魔力属性を付与すればいいと思ったのだが、その必要もなさそうだ。流石は「剣聖」スキル。
さあ、見せてくれ。俺の作った剣に命(魔力)を吹き込んでくれ。「剣聖」スキルをカンストさせた剣士が、魔力属性を付与していなくても勝手に魔力を循環させてしまう剣で何を斬れるのか教えてくれ。
上段の構えから、何もない宙に向かってマーカスが剣を振り下ろす。
シーン・・・
「す、凄いな、マーカス・・・一瞬静寂が訪れたかのように感じたぞ。まるで、音を斬ったみたいだ」
「まるでじゃない。マーカスは今、本当に音を斬ったんだ」
「はぁ?先生、どういう意味ですか?」
「そのままの意味だ」
俺とオスカーの会話が耳に届いていないのか、マーカスは手に持つ剣をマジマジと見つめている。
「形のあるものは勿論、形のない物、目に見えぬ物をも斬ることが出来る。マーカス、それが「剣聖」スキルの力だ」
「は、はい・・・」
まあ、徐々に慣れていけばいいさ。なにせ「剣聖」スキルをカンストさせたのは人類の歴史上マーカスが初めてなのだから、何が出来るのかは自分で確かめていくしか方法が無い。
「マーカス、ここからはお前自身で道を切り開け。お前が辿り着いた地点が次代の「剣聖」スキル保持者、剣を志す者すべての目標になる。剣の頂は、まだ遥かに上だぞ」
「はい。私にとっての師匠の様に、これからの剣士が乗り越えねばならぬ高き壁となれるよう精進いたします」
うん、よろしい。まあ、俺はたったの三年で抜かれちゃったから、大した壁にはなれなかったけど・・
「ところで、今後はどうするんだ?王都に戻って冒険者として活動するのか?それとも地元のアトルに一旦帰るのか?どちらにしろ何かあれば連絡したいからホームが決まったら一度連絡をくれ」
「えっ、私は何処にも行きませんよ。今迄と同じでホームはトロンの街です」
「おっ、遂に魔獣の大森林最奥地を目指すのか!」
「まさか。そんな暇ありませんよ」
「だったら何をするんだ?魔獣の大森林最奥地を目指す以外でマーカスがトロンの街に残る理由はないだろう?」
「師匠、それ本気でおっしゃられています?」
「勿論だ。「剣聖」スキルをカンストさせた今のマーカスなら何にだって挑戦できる。必ずやブルジエ王国の歴史に名を残す剣士になるだろう」
「そんなものには全く興味ありませんよ。私がやりたいのはこの国に名を残すことではなく、この世界の礎となることです。折角「剣聖」スキルをカンストできて、これからは今まで以上に師匠がなさろうとされていることを助力できるというのに、トロンの街を出ていく訳がないじゃないですか」
「いや、勿体ないだろう!折角今迄誰も成し得なかった「剣聖」スキルをカンストさせたのに・・」
「それを師匠が仰っては駄目ですよ。剣や魔法は勿論、学問や物作り、何をやってもこの国の歴史に名を残せるお力を持ちながらも地方の一教員をされているお人にだけは言われたくありません」
「えぇぇ、だって、俺は先生になるのが夢だったから・・・」
「私にも新たな夢が出来ました。その為にもトロンの街を離れることは出来ません」
「マーカスの夢って?」
トキオの問いに、マーカスは神妙な面持ちで語った。
「私は無知でした。冒険者が危険な仕事だと理解していながら、それが原因で多くの孤児が生み出されていることに気付いていませんでした。いや、気付いていない振りをしていただけかもしれません。トロンの街に来て、セラ学園で初めて孤児達とふれあいました。私は孤児とは恵まれない子供達だと思い込んでいました。ですがセラ学園に通う孤児達は違った。皆、目が輝いていました。未来に希望を持っていました。でも、それはマザーループやシスターパトリ、そして師匠が居てくれたからです。冒険者である私は仲間たちが残していった子供達に何もしてあげられていない、それを情けなく思いました。セラ学園で冒険者志望の子供達を指導するようになって、ただ単に冒険者としてのイロハを教えるだけではなく、もっと何かできるのではないかと考えるようになりました」
冒険者だからといってマーカスが孤児に対して責任を感じる必要などない。だが、弟子がそんな考えを持っていてくれたことは嬉しい。
「サンセラ先輩に師匠の高き御志を聞かせて頂いたとき感じた胸の高鳴りは日に日に増すばかり、しかし私には師匠やサンセラ先輩、オスカーのように子供達に勉強を教えることは出来ません。そんなことばかりを考えておりましたが、最初の教え子でもあるノーラン達がセラ学園を卒業して冒険者となった時、自分は何故トロンにの街に導かれたのか、何故師匠に弟子入りが叶いセラ学園で子供達に指導しているのか、何故これまで冒険者を続けてきたのか、すべてが繋がりました。私がすべきことは、教え子たちが無事仕事を終え帰ってこられるようにすること。冒険者という仕事のやりがいだけでなく、危険性、準備の大切さ、トラブルの対処方などを正しく教育し、教え子たちが親となった時、新たな孤児を生み出させないことです。その為にはセラ学園での指導と同時に冒険者組合も改革せねばなりません」
マーカスの言う通りだ。孤児となった子供達に手を差し伸べることは大切だが、それ以上に大切なのは子供達を孤児にさせないこと。それをするには、教会や学校だけでは限界がある。
「私はこの地で子供達の指導をしながら冒険者ギルド長を目指します。師匠がセラ学園を模範に世界の教育が変わっていく事を目指すように、私は冒険者ギルドトロン支部を模範に世界中の冒険者ギルドが変わっていく事を目指します。世界で一番安全な冒険者ギルドを目指します。冒険者達が一日の仕事を終え、家族が待つ家へ無事帰り、毎日笑って暮らすことのできる世界を目指します。その使命を知るために私はトロンの街へ導かれ、師匠に教えを授けて頂き、「剣聖」スキルをカンストできたのだと考えます。歴史に名を残すことなどより、一人でも多くの子供が孤児とならない世界の礎になることの方が遥かに価値があります。それをもって我が師、トキオ セラ様にご助力できるのであれば、これに勝る充実した人生はございません」
ノーランやガイアソーサと同じだ。この世界最強クラスの一つ「剣聖」スキルは正しき人物に受け継がれた。マーカスの弟子入りを断ろうとしていた三年前の自分をぶん殴ってやりたい。これ程の人物が土下座をしてまで教えを乞うたのに、未熟な俺は断ろうとしていた。なんて人を見る眼が無いのだ。あの時、強引に弟子入りを後押ししてくれたギルド長に心から感謝する。
「マーカスの気持ちは理解した。これからも、どうかよろしく頼む。師弟関係など関係なく、俺に至らないところがあれば助言して欲しい」
「や、止めてくださいよ、師匠!ようやく剣が少し使えるようになっただけで、人としてまだ、私など師匠の足元にも及びません」
「そんなことはない。マーカス、お前は凄い男だ。それに俺も一応冒険者登録はしているから、マーカスがギルド長になったら遠慮なくこき使ってくれ」
「そんなこと出来る訳ないじゃないですか、サンセラ先輩に殺されますよ!」
コラッ、サンセラ!そこで頷くのはやめなさい!
「さて、帰るか」
「先生、飲みに行きましょう!サンセラ先輩とマーカスも一緒に!今日という日は、このまま帰るにはあまりに惜しいですよ!」
オスカーの提案にサンセラとマーカス、なぜか名前が挙がっていないコタローまで頷く。
「そうだな。折角だし、皆で行くか!」
「「「はい!」」」
前世で酒を飲むことは殆んどなかったから「今日は飲みたい気分だ」なんて言葉は理解することが出来なかった。なるほど、こういう事か。
「よし、じゃあもう俺の結界は必要ないな。マーカス」
「はい」
「斬れ!」
「えっ!」
「今のお前なら斬れる。やれ」
「わかりました・・・」
まだ「剣聖」スキルをカンストしたばかりのマーカスは、自分の力に半信半疑ながらも俺に言われて結界の前に立ち剣を抜くと中段に構える。
そのまま横薙ぎ一閃。
『お見事!』
『お見事!』
聖獣とドラゴンが念話で称賛した直後、コタローですら破壊できないと言った俺の結界が綺麗に砕け散った。
大の大人が見せる男泣き、それも並の人物ではない。S級冒険者にして「剣聖」スキル保持者、近接戦最強と謳われるマーカス ハルトマンが、その屈強な体を小さく縮め、土下座をしたままブルブルと震えながら嗚咽を漏らし泣いている。
だが、その姿を笑う者などこの場には一人も居ない。マーカスと同じく、既に涙腺が崩壊している友。目に涙を溜めながら、うん、うん、と何度も頷く先輩。対戦相手だった師までもが鼻を啜っている。
そんな中、遂に我慢の限界を迎えたオスカーがマーカスへ駆けだすと、服が汚れるのもお構いなしに膝でスライディングしながらマーカスの背に覆いかぶさりバンバンと背中を叩く。それでも興奮の収まらないオスカーは、マーカスの上半身を強引に起こし上げると両手で頬を挟み、至近距離なのに大声で叫び始めた。
「やはり私の目に狂いはなかった!初めて会った時からお前こそ本物、必ず何かを成し遂げる男だと私は気付いていたぞ!だが、お前はそんな私の想像を遥かに超える剣士だった!たとえ剣だけとはいえ先生と肩を並べられるなんて、お前はなんと凄い男なのだ!友として誇りに思う!マーカス ハルトマン、お前の友で居られることを、心から誇りに思う!凄い奴だ・・・本当に、お前は・・凄い奴だ・・」
「あ、ありがとう・・・」
不思議なもので、興奮状態であっても自分より興奮している者を目の当りにすると、あっさり冷静になったりする。今のマーカスがそんな状態。オスカーの両手からそっと逃れると、恥ずかしそうに袖で顔を擦りながら放りっぱなしになっていた剣をそそくさと拾い鞘に納める。そこへコタローを肩の乗せたサンセラが歩みより、力強く肩に手を置いた。
「見事だったぞ、マーカス。よくぞここまで腕を上げた、お前は私にとっても自慢の後輩だ」
「ありがとうございます」
サンセラの奴め、俺とコタロー以外の誰かがいる時は妙に大人ぶりやがって・・・まあ、実際もの凄く年上ではあるが・・・まあいいや、折角いい雰囲気だから、最後のお楽しみと行きますか!
「マーカス、改めて「剣聖」スキルカンストおめでとう。約束の品だ」
マジックボックスから鞘に入ったままの剣を取り出す。以前約束した、俺がマーカスの為に造った最高の剣。
「なっ、ななっ、なんですか、その剣は!」
「ほお、流石は「剣聖」。わかるか」
まだ鞘から抜きもしておらず、マーカスは手に取ってもいない。それでもこの剣の凄さが伝わるのは制作者として喜ばしい。
「マーカス、たしかに立派な剣だが、まだ振りもしていないのに何をそんなに驚いているのだ?」
「何をって・・・オスカー、お前にはこの剣の凄さがわからないのか?」
「先生が作られたのだから凄い剣だというのは間違いないのだろうが・・」
「いや、そういった次元ではない!この剣は、まるで生きているみたいじゃないか!」
「はぁ?剣が生きている訳ないだろう、大丈夫かマーカス?」
「いや、だから・・」
俺と出会った頃に比べれば剣士としても腕を上げたオスカーだが、それでもB級冒険者レベル。「剣聖」スキルをカンストさせたマーカスのようにはいかない。しかし、生きているようだとは、なかなかに言い得て妙だ。
この剣は俺の刀やオスカーの短剣と同じ素材が使ってある。その鉱物に名は無い。魔獣の大森林最奥地での修行中に偶然見つけた物で、いつかこの世界の人が発見した時に名を付ければいいと思っているので俺が名を付けるつもりはない。
この鉱物には特徴は三つかある。第一に重い。第二に硬い。この時点で相当に優れた鉱物ではあるが、最も特筆すべきは第三の特徴、魔力伝導率が高いだ。ただし、良いことばかりではない。この鉱物は魔力属性を付与すればするほど重量と硬さを失う。だからオスカーには短剣しか作れなかった。短剣で尚且つ三属性の魔力を付与することでようやくオスカーにも扱える重量となった。俺が使う斬究は一見軽そうに見えるが、斬ることに特化させているため一切魔法属性を付与していない。並の剣士なら持ち上げるだけで一苦労するだろう。
「オスカー、持ってみろ」
「えっ、いいのですか!では、って、重っ!なんですかこれ、こんなのいくらマーカスでも振れませんよ!」
普通はこうなる。オスカーから剣を返してもらい改めてマーカスに剣を差し出すと、マーカスはその場で片膝をつき、両手を頭上で広げ、仰々しく受け取った。いや、俺、王様とか教皇じゃないから!
「凄い・・・これ程の剣を、本当に私如きが頂いてもよろしいのでしょうか?」
「当り前だ。この剣はマーカス、お前の為だけに俺が造った、お前専用の剣だ。名付けるならマーカスソードと言ったとことかな。お前以外が使っても只の重い剣で十全に能力は発揮できない。さあ、振ってみろ」
「はい」
俺から剣を受け取り、軽々と鞘から抜き出すマーカス。
「えっ、なんで?」
オスカーが不思議に思うのも当然。基本ステータスの高いマーカスだからといって軽々と持てる重量ではない。では、何故マーカスには軽々と扱えるのか。それには材料に使った鉱物第三の特徴、魔力伝導率の高さと「剣術」スキルが関わってくる。
斬究にもこの鉱物は使われているが、斬ることに重きを置いたため魔力属性は付与しなかった。ある意味贅沢な使い方だが、俺には「双剣」スキルがあったため、魔力属性はもう一本の刀、雷鳴に付与することが出来た。そこで偶然知ることになる。魔力属性は付与していなくても魔力は循環させることが出来たのだ。逆に魔力属性を付与した雷鳴は魔力を流せば魔法が発動してしまうため循環させられない。まあ、魔力が循環させられるからと言っても属性が付与させていなければ魔法を放つことは出来ないので何の役にも立たない。だが、やけに馴染む。「剣術」と「双剣」スキルのレベルが上がれば上がるほどその感覚は顕著に表れてきた。重たいのに重たくない、だからといって軽いわけでもない、丁度いい感じ。それはもう、体の一部ではないかと思えるくらいに馴染むのだ。改めて観察してみると、魔力伝導率が高すぎるからか俺の意思に関係なく、握った瞬間知らぬ間に俺の魔力が循環していた。
マーカスに剣を送ると約束した時、すぐにこの剣の構想が浮かんだ。「剣術」スキルや「双剣」スキルしか持たない俺でこれなのだ、剣における最高峰「剣聖」スキルを持つマーカスならもっと重い両刃剣でも扱えるのではないか?そもそも、この世界に剣として生み出された物で「剣聖」スキルをカンストさせた者が扱えない剣などあるのか?
マーカスが「剣聖」スキルをカンストさせた瞬間、ステータスが爆発的に上がったことで自分の考えが間違ってはいなかったと確信に至る。途轍もなく重く、途轍もなく硬い剣。強化魔法などかけなくても刃こぼれ一つせず、絶対に折れない剣。「剣聖」スキルをカンストさせたのなら、普通の剣士では扱えない剣を使ってもらいたい。
そうして生まれたのがこの剣。試しに俺も振ってみたが、魔力を循環させても少し重すぎた。だが、俺より体格もよく、上位互換のスキルを持つマーカスにはこれくらいが丁度良い。もしマーカスにも重すぎるのなら、一つだけ魔力属性を付与すればいいと思ったのだが、その必要もなさそうだ。流石は「剣聖」スキル。
さあ、見せてくれ。俺の作った剣に命(魔力)を吹き込んでくれ。「剣聖」スキルをカンストさせた剣士が、魔力属性を付与していなくても勝手に魔力を循環させてしまう剣で何を斬れるのか教えてくれ。
上段の構えから、何もない宙に向かってマーカスが剣を振り下ろす。
シーン・・・
「す、凄いな、マーカス・・・一瞬静寂が訪れたかのように感じたぞ。まるで、音を斬ったみたいだ」
「まるでじゃない。マーカスは今、本当に音を斬ったんだ」
「はぁ?先生、どういう意味ですか?」
「そのままの意味だ」
俺とオスカーの会話が耳に届いていないのか、マーカスは手に持つ剣をマジマジと見つめている。
「形のあるものは勿論、形のない物、目に見えぬ物をも斬ることが出来る。マーカス、それが「剣聖」スキルの力だ」
「は、はい・・・」
まあ、徐々に慣れていけばいいさ。なにせ「剣聖」スキルをカンストさせたのは人類の歴史上マーカスが初めてなのだから、何が出来るのかは自分で確かめていくしか方法が無い。
「マーカス、ここからはお前自身で道を切り開け。お前が辿り着いた地点が次代の「剣聖」スキル保持者、剣を志す者すべての目標になる。剣の頂は、まだ遥かに上だぞ」
「はい。私にとっての師匠の様に、これからの剣士が乗り越えねばならぬ高き壁となれるよう精進いたします」
うん、よろしい。まあ、俺はたったの三年で抜かれちゃったから、大した壁にはなれなかったけど・・
「ところで、今後はどうするんだ?王都に戻って冒険者として活動するのか?それとも地元のアトルに一旦帰るのか?どちらにしろ何かあれば連絡したいからホームが決まったら一度連絡をくれ」
「えっ、私は何処にも行きませんよ。今迄と同じでホームはトロンの街です」
「おっ、遂に魔獣の大森林最奥地を目指すのか!」
「まさか。そんな暇ありませんよ」
「だったら何をするんだ?魔獣の大森林最奥地を目指す以外でマーカスがトロンの街に残る理由はないだろう?」
「師匠、それ本気でおっしゃられています?」
「勿論だ。「剣聖」スキルをカンストさせた今のマーカスなら何にだって挑戦できる。必ずやブルジエ王国の歴史に名を残す剣士になるだろう」
「そんなものには全く興味ありませんよ。私がやりたいのはこの国に名を残すことではなく、この世界の礎となることです。折角「剣聖」スキルをカンストできて、これからは今まで以上に師匠がなさろうとされていることを助力できるというのに、トロンの街を出ていく訳がないじゃないですか」
「いや、勿体ないだろう!折角今迄誰も成し得なかった「剣聖」スキルをカンストさせたのに・・」
「それを師匠が仰っては駄目ですよ。剣や魔法は勿論、学問や物作り、何をやってもこの国の歴史に名を残せるお力を持ちながらも地方の一教員をされているお人にだけは言われたくありません」
「えぇぇ、だって、俺は先生になるのが夢だったから・・・」
「私にも新たな夢が出来ました。その為にもトロンの街を離れることは出来ません」
「マーカスの夢って?」
トキオの問いに、マーカスは神妙な面持ちで語った。
「私は無知でした。冒険者が危険な仕事だと理解していながら、それが原因で多くの孤児が生み出されていることに気付いていませんでした。いや、気付いていない振りをしていただけかもしれません。トロンの街に来て、セラ学園で初めて孤児達とふれあいました。私は孤児とは恵まれない子供達だと思い込んでいました。ですがセラ学園に通う孤児達は違った。皆、目が輝いていました。未来に希望を持っていました。でも、それはマザーループやシスターパトリ、そして師匠が居てくれたからです。冒険者である私は仲間たちが残していった子供達に何もしてあげられていない、それを情けなく思いました。セラ学園で冒険者志望の子供達を指導するようになって、ただ単に冒険者としてのイロハを教えるだけではなく、もっと何かできるのではないかと考えるようになりました」
冒険者だからといってマーカスが孤児に対して責任を感じる必要などない。だが、弟子がそんな考えを持っていてくれたことは嬉しい。
「サンセラ先輩に師匠の高き御志を聞かせて頂いたとき感じた胸の高鳴りは日に日に増すばかり、しかし私には師匠やサンセラ先輩、オスカーのように子供達に勉強を教えることは出来ません。そんなことばかりを考えておりましたが、最初の教え子でもあるノーラン達がセラ学園を卒業して冒険者となった時、自分は何故トロンにの街に導かれたのか、何故師匠に弟子入りが叶いセラ学園で子供達に指導しているのか、何故これまで冒険者を続けてきたのか、すべてが繋がりました。私がすべきことは、教え子たちが無事仕事を終え帰ってこられるようにすること。冒険者という仕事のやりがいだけでなく、危険性、準備の大切さ、トラブルの対処方などを正しく教育し、教え子たちが親となった時、新たな孤児を生み出させないことです。その為にはセラ学園での指導と同時に冒険者組合も改革せねばなりません」
マーカスの言う通りだ。孤児となった子供達に手を差し伸べることは大切だが、それ以上に大切なのは子供達を孤児にさせないこと。それをするには、教会や学校だけでは限界がある。
「私はこの地で子供達の指導をしながら冒険者ギルド長を目指します。師匠がセラ学園を模範に世界の教育が変わっていく事を目指すように、私は冒険者ギルドトロン支部を模範に世界中の冒険者ギルドが変わっていく事を目指します。世界で一番安全な冒険者ギルドを目指します。冒険者達が一日の仕事を終え、家族が待つ家へ無事帰り、毎日笑って暮らすことのできる世界を目指します。その使命を知るために私はトロンの街へ導かれ、師匠に教えを授けて頂き、「剣聖」スキルをカンストできたのだと考えます。歴史に名を残すことなどより、一人でも多くの子供が孤児とならない世界の礎になることの方が遥かに価値があります。それをもって我が師、トキオ セラ様にご助力できるのであれば、これに勝る充実した人生はございません」
ノーランやガイアソーサと同じだ。この世界最強クラスの一つ「剣聖」スキルは正しき人物に受け継がれた。マーカスの弟子入りを断ろうとしていた三年前の自分をぶん殴ってやりたい。これ程の人物が土下座をしてまで教えを乞うたのに、未熟な俺は断ろうとしていた。なんて人を見る眼が無いのだ。あの時、強引に弟子入りを後押ししてくれたギルド長に心から感謝する。
「マーカスの気持ちは理解した。これからも、どうかよろしく頼む。師弟関係など関係なく、俺に至らないところがあれば助言して欲しい」
「や、止めてくださいよ、師匠!ようやく剣が少し使えるようになっただけで、人としてまだ、私など師匠の足元にも及びません」
「そんなことはない。マーカス、お前は凄い男だ。それに俺も一応冒険者登録はしているから、マーカスがギルド長になったら遠慮なくこき使ってくれ」
「そんなこと出来る訳ないじゃないですか、サンセラ先輩に殺されますよ!」
コラッ、サンセラ!そこで頷くのはやめなさい!
「さて、帰るか」
「先生、飲みに行きましょう!サンセラ先輩とマーカスも一緒に!今日という日は、このまま帰るにはあまりに惜しいですよ!」
オスカーの提案にサンセラとマーカス、なぜか名前が挙がっていないコタローまで頷く。
「そうだな。折角だし、皆で行くか!」
「「「はい!」」」
前世で酒を飲むことは殆んどなかったから「今日は飲みたい気分だ」なんて言葉は理解することが出来なかった。なるほど、こういう事か。
「よし、じゃあもう俺の結界は必要ないな。マーカス」
「はい」
「斬れ!」
「えっ!」
「今のお前なら斬れる。やれ」
「わかりました・・・」
まだ「剣聖」スキルをカンストしたばかりのマーカスは、自分の力に半信半疑ながらも俺に言われて結界の前に立ち剣を抜くと中段に構える。
そのまま横薙ぎ一閃。
『お見事!』
『お見事!』
聖獣とドラゴンが念話で称賛した直後、コタローですら破壊できないと言った俺の結界が綺麗に砕け散った。
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追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
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