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1章
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――聖具は汝に託された。覚醒せよ、選ばれし者
突如として脳内に再生されたその言葉で、俺はハッとした。
あれ、これって……前やってたゲームの台詞だよな。所謂『乙女ゲーム』というジャンルの。
「おい、聞いているのか。早く治癒魔法を施せ」
……なんで目の前に居るのかな。
難攻不落、なんならゲームのバグとまで言われた……攻略対象の1人である聖騎士『イーサン・ガイ・クライヴ』が。
――
【幻想夜想曲】
「天使の聖具」を拾った主人公『フタバ』が、「天使」と呼ばれる聖女として異世界転移をした後、
王子ライザ・聖騎士イーサン・黒騎士ウィリアム・商人クラーク・聖職者コナー・殺し屋レオン
以上の個性豊かな6人と恋愛を繰り広げる大人気乙女ゲーム。
仲の良い職場の先輩から『間違いなく名作だから、食わず嫌いせずにやってみろよ』と勧められ、多少興味を持ちやった事がある。
大人気というだけあって、ストーリーは普通に面白かった。……まぁ、攻略対象たちが口にする甘い言葉には砂を吐くしかなったが。
――
「おい、いつまで待たせるんだよ」
そのキャラの1人が今、目の前居て……動いて、いる?
夢……いや違う現実だ。その証拠に抓った頬は痛い。
「おーい、聞いてんのか」
「き、聞いてます。えっと……俺って何者ですかね」
「は……? お前は医者だろ」
フワッと右で分けた長い前髪の向こうから、紺碧の瞳でこちらをじっと見ている絶世の色男。
整いすぎたその顔が、俺の言葉に眉を寄せている。
「あ、そう……ですよね」
ふと視線を下に向けると、しっかりと水色のスクラブを着用中。
その瞬間、前世の記憶が一気に俺の中に舞い戻ってきた。
――
『今年も終わりですねぇ』
雪がちらつく大晦日の夜。
カウントダウンだと街が騒ぎ立てる中、先輩と飲んだ俺は電灯の少ない近道を互いに体を支え合いながら歩いていた。
『そういえばこの道……最近治安悪いから気を付けろって、看護師の皆さんが言ってたな』
元々人通りの少ない道には、休みの為かいつもに増して人気がない。
『ここはぁ~家かぁ~レオンはどこだァ~』
『家じゃないし、レオンは居ません。もー、ちゃんと歩いてください』
そんな俺たちの前に、鈍く光る銀色の何かを携えた男が立ち塞がる。
『んー? 誰ですか、あんた』
それが俺の発した最期の言葉となった。
――
「……そして通り魔に、刺された……」
「過激派組織に刺されたんだ、俺は。全く……何を言っているんだ、頭でも打ったのか? 病人は俺なんだがな」
向かいに座る顔面国宝は、あからさまに苛立っているが正直俺はそれどころでは無い。
まさか生まれ変わり先が乙女ゲームの世界なんて聞いてないが!?
――よりにもよって「名も無きモブ医者」、だなんて。
突如として脳内に再生されたその言葉で、俺はハッとした。
あれ、これって……前やってたゲームの台詞だよな。所謂『乙女ゲーム』というジャンルの。
「おい、聞いているのか。早く治癒魔法を施せ」
……なんで目の前に居るのかな。
難攻不落、なんならゲームのバグとまで言われた……攻略対象の1人である聖騎士『イーサン・ガイ・クライヴ』が。
――
【幻想夜想曲】
「天使の聖具」を拾った主人公『フタバ』が、「天使」と呼ばれる聖女として異世界転移をした後、
王子ライザ・聖騎士イーサン・黒騎士ウィリアム・商人クラーク・聖職者コナー・殺し屋レオン
以上の個性豊かな6人と恋愛を繰り広げる大人気乙女ゲーム。
仲の良い職場の先輩から『間違いなく名作だから、食わず嫌いせずにやってみろよ』と勧められ、多少興味を持ちやった事がある。
大人気というだけあって、ストーリーは普通に面白かった。……まぁ、攻略対象たちが口にする甘い言葉には砂を吐くしかなったが。
――
「おい、いつまで待たせるんだよ」
そのキャラの1人が今、目の前居て……動いて、いる?
夢……いや違う現実だ。その証拠に抓った頬は痛い。
「おーい、聞いてんのか」
「き、聞いてます。えっと……俺って何者ですかね」
「は……? お前は医者だろ」
フワッと右で分けた長い前髪の向こうから、紺碧の瞳でこちらをじっと見ている絶世の色男。
整いすぎたその顔が、俺の言葉に眉を寄せている。
「あ、そう……ですよね」
ふと視線を下に向けると、しっかりと水色のスクラブを着用中。
その瞬間、前世の記憶が一気に俺の中に舞い戻ってきた。
――
『今年も終わりですねぇ』
雪がちらつく大晦日の夜。
カウントダウンだと街が騒ぎ立てる中、先輩と飲んだ俺は電灯の少ない近道を互いに体を支え合いながら歩いていた。
『そういえばこの道……最近治安悪いから気を付けろって、看護師の皆さんが言ってたな』
元々人通りの少ない道には、休みの為かいつもに増して人気がない。
『ここはぁ~家かぁ~レオンはどこだァ~』
『家じゃないし、レオンは居ません。もー、ちゃんと歩いてください』
そんな俺たちの前に、鈍く光る銀色の何かを携えた男が立ち塞がる。
『んー? 誰ですか、あんた』
それが俺の発した最期の言葉となった。
――
「……そして通り魔に、刺された……」
「過激派組織に刺されたんだ、俺は。全く……何を言っているんだ、頭でも打ったのか? 病人は俺なんだがな」
向かいに座る顔面国宝は、あからさまに苛立っているが正直俺はそれどころでは無い。
まさか生まれ変わり先が乙女ゲームの世界なんて聞いてないが!?
――よりにもよって「名も無きモブ医者」、だなんて。
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