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王の責任1
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翌日から、複数の人間がレオニードにこの国のことやそれ以外の事を教えるようになった。
一目みてはレオニードの容姿に酷く落胆した様子の“先生”達を見て、これが普通の反応なのだと改めて思う。
美しさを求めて婚姻関係を結んだはずの旦那様は、最初はまるでレオニードに興味がなさそうだった。
それなのに突然こうやって教師を手配することに、なにか意味があるようには到底思えない。
しかも、身の回りの世話をする人間も数人手配されていた。
さすがに、着替えまで手伝われそうになってレオニードはなるべく丁寧に断る。
けれど、それが王族として普通の事だと言われても、少なくともレオニードにとっての普通ではなかったのだ。
暴虐王もこんな生活をしているのだろうか。
考えて、やめる。
彼を基準に物事を考えても仕方がないと思ったのだ。
レオニードは仕方がなく、首からのびる紐を引っ張る。
紐の先についていたのは小さな宝石の様な石だった。
「これは、我が王族に伝わる守り石です。
この石を他人に触れられる訳にはいかないので。」
この石は昔話に出てくる位有名なものだ。
目の前でレオニードの服を脱がせようとしていた男は別の人間と目配せをして、それから手を離した。
「この件は大臣にご報告いたします。」
大臣に報告するということの意味もよくわからないまま、レオニードはようやく開放されるのかと安堵した。
別に口からでまかせだった訳ではない。
事実王族に近い血筋の人間は生まれてくるときに石を握り締めている事があるのだ。
俺の首からぶらさがっているこれも、俺が生まれてきたときに持っていたものだ。
本当に昔話に出てくる様に王の大切な人を守ってくれる石なのかはレオニードにも分からない。
けれど、王族として選ばれたのはこの石があったからだろう。
昔話では伴侶を守るために身代わりになった石らしい。
実際は少し違うのだと、王族の末席に名を連ねる父に会ったときに教えてもらってはいた。
少なくともレオニードの伴侶である“暴虐王”に渡すつもりは無い。
使われる事もなく、一生レオニード自身の首からぶら下がっているだけのただの紫色の石だ。
それでもとりあえず今日の風呂はのんびりと入れるのだとレオニードは息を吐いた。
◆
翌朝目を覚ますと、そこには暴虐王がいた。
軍隊にいたときはこんな事は無かった。
誰かが接近したときに気がつかずに寝てしまっている事など絶対に無かった。
レオニードは飛び起きると、思わず身構える。
暴虐王は全く表情を変えず、ただレオニードのことを見ている。
「守り石を持っているというのは本当か?」
思ったより砕けた言葉で暴虐王はレオニードに尋ねる。
何故、わざわざレオニードの元に来たのか、真意が読めない。
レオニードはどのような答えが正解なのかわからず「はい。」とだけ答えた。
「……そうか。」
暴虐王はそれだけ言うと黙り込んでしまう。
何のためにわざわざレオニードの元に来たのか。
伴侶と寝室を伴ににするのが普通なのだろうとは思うが、この人が自分の元を訪れる事は一度たりとも無かったし、そもそも婚姻が正式なものとなっているのかも怪しい。
こういった時、なんと声をかけたら良いのかさえレオニードは知らない。
一目みてはレオニードの容姿に酷く落胆した様子の“先生”達を見て、これが普通の反応なのだと改めて思う。
美しさを求めて婚姻関係を結んだはずの旦那様は、最初はまるでレオニードに興味がなさそうだった。
それなのに突然こうやって教師を手配することに、なにか意味があるようには到底思えない。
しかも、身の回りの世話をする人間も数人手配されていた。
さすがに、着替えまで手伝われそうになってレオニードはなるべく丁寧に断る。
けれど、それが王族として普通の事だと言われても、少なくともレオニードにとっての普通ではなかったのだ。
暴虐王もこんな生活をしているのだろうか。
考えて、やめる。
彼を基準に物事を考えても仕方がないと思ったのだ。
レオニードは仕方がなく、首からのびる紐を引っ張る。
紐の先についていたのは小さな宝石の様な石だった。
「これは、我が王族に伝わる守り石です。
この石を他人に触れられる訳にはいかないので。」
この石は昔話に出てくる位有名なものだ。
目の前でレオニードの服を脱がせようとしていた男は別の人間と目配せをして、それから手を離した。
「この件は大臣にご報告いたします。」
大臣に報告するということの意味もよくわからないまま、レオニードはようやく開放されるのかと安堵した。
別に口からでまかせだった訳ではない。
事実王族に近い血筋の人間は生まれてくるときに石を握り締めている事があるのだ。
俺の首からぶらさがっているこれも、俺が生まれてきたときに持っていたものだ。
本当に昔話に出てくる様に王の大切な人を守ってくれる石なのかはレオニードにも分からない。
けれど、王族として選ばれたのはこの石があったからだろう。
昔話では伴侶を守るために身代わりになった石らしい。
実際は少し違うのだと、王族の末席に名を連ねる父に会ったときに教えてもらってはいた。
少なくともレオニードの伴侶である“暴虐王”に渡すつもりは無い。
使われる事もなく、一生レオニード自身の首からぶら下がっているだけのただの紫色の石だ。
それでもとりあえず今日の風呂はのんびりと入れるのだとレオニードは息を吐いた。
◆
翌朝目を覚ますと、そこには暴虐王がいた。
軍隊にいたときはこんな事は無かった。
誰かが接近したときに気がつかずに寝てしまっている事など絶対に無かった。
レオニードは飛び起きると、思わず身構える。
暴虐王は全く表情を変えず、ただレオニードのことを見ている。
「守り石を持っているというのは本当か?」
思ったより砕けた言葉で暴虐王はレオニードに尋ねる。
何故、わざわざレオニードの元に来たのか、真意が読めない。
レオニードはどのような答えが正解なのかわからず「はい。」とだけ答えた。
「……そうか。」
暴虐王はそれだけ言うと黙り込んでしまう。
何のためにわざわざレオニードの元に来たのか。
伴侶と寝室を伴ににするのが普通なのだろうとは思うが、この人が自分の元を訪れる事は一度たりとも無かったし、そもそも婚姻が正式なものとなっているのかも怪しい。
こういった時、なんと声をかけたら良いのかさえレオニードは知らない。
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