英雄の条件

渡辺 佐倉

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暴虐王の過去5

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「お前の瞳の色に似ている。」

皆こういう石なのか?

「さあ? でも父は黄色い美しい石を持っていましたね。」

王族に知り合いはいない。生まれる時に持っていない人間の方が多いという知識はあるが実物を見たことは無い。

「まあ、形式上のものなので、お好きにしてください。」

劉祜は逡巡した後、首飾りをそのままレオニードの首にかけた。


それから、ソファーにどっかりと腰をかける。

「俺は沢山の人を殺した。」

静かな声だった。けれどレオニードを見据える目には覚悟が灯っている。
レオニードは劉祜の横に座る。

「自分なりの理由はあった。
もうこれまでに何人殺したのか、正確な数は分からない。」

けれど……。
劉祜はそこで一度、言葉を区切った。

「俺にはやらねばならぬ事がある。」

まるで自分自身に言い聞かせる様な物言いだ。

「やらねばならぬ事?」

人質として、巻き込まれぬ事が一番なのはレオニードにも分かっていた。
けれど、自分の意思が聞かねばならぬと命じてしまった。 

「世界を変えたい。」

 それはとても抽象的な答えだった。
 けれど、その次の言葉に別に抽象的な一般論の問答をしている訳ではない事に、レオニードも気が付いた。

「そのためなら世界征服でもなんでもするつもりだ。」

 相手が劉祜出なければ、妄言か冗談だと思われる様な台詞だ。
 けれど今、世界で一番それが可能な劉祜がそう断言していることに意味がある。

 多分この男はすべての国を征服することも厭わないのだろう。
 それを簡略するため、レオニードの様な人質が必要なのだろう。

 それで仮初の同盟も結べない国は亡ぼすつもりなのだろう。

 彼の最終目標はまだ聞いていないのに、ゾクリと背中を冷たいものが伝う様だ。

「世界を変えるって?」

 レオニードがたずね返す。

「聞いたんだろう?」

 奇跡の代償になった憐れな少女の話を。劉祜は口角を上げる。
 けれど瞳がまるで笑っていない。それで、レオニードは晃が言っていたことが概ね真実なのだと確信した。

 けれど、この話と劉祜の目指しているものの関係がレオニードには分からなかった。
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