クラス転移で一人だけ地味スキル【回避】が無能だと判断され理不尽にも追放された男の復讐劇

Leiren Storathijs

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第1章 解放

第24話 信頼獲得

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 僕とグレイブは冒険者にてブロンズランクに昇格し、更に多様な依頼を受けられるようになった。ただ途中で指名手配に指定されるという予想外な出来事があったが、今は他の国に移動する予定が無い僕にとってはあまり意味のないことだった。

 ただし全く意味がないという訳もなく、王国の反逆者だという悪名は勿論帝国中にも広まっており、グレイブが折角手に入れたほんの少しの信頼も一瞬にして失ってしまった。これはどうしたものかと考えながら、僕はグレイブと一緒に依頼を選ぶ。
 王国の反逆者で指名手配といっても、そんな罪人さえ集まる冒険者ギルドでは特にこれといった対応の変化は無く、さらにグレイブがブロンズランクになったことで、これからは僕も依頼を手助けができるようになった。

 そうして僕とグレイブが選んだ依頼はより速い昇格を目指してブロンズが引き受けられる最高の難易度Cを受注した。

 難易度C 魔物討伐
 エンシェントゴーレムの破壊
『依頼を引き受けてくださりありがとうございます。私はガレオン魔導都市魔物研究会の研究員でございます。
 今回依頼させて頂くのは、古代の魔導ゴーレムのサンプルを収集したく、その名のエンシェントゴーレムの破壊・討伐を依頼します。
 しかし、今回の魔物は古代と言われるほどに未だに未知な存在であり、生息場所だけ把握しているものの、それ以外の情報が一切無いのです。一応、どんなゴーレムかと言いますと、巨大でとてつもなく硬い。ゴールドランク冒険者でも苦戦するほどでして。
 つきましては、本来なら破壊が目的ですがこちらの依頼を難易度Cと下げているのは、こちらのリストにあげたゴーレムの体部位さえ持ってきてくれれば、下記通りの報酬をお渡しします』
報酬:
・指定部位一つに付き、50万オロ。全ての部位で、100万オロ。
・破壊成功時は200万オロ。
・高値で売れる『ゴーレムの瓦礫』

 エンシェントゴーレムの討伐。文字を見ただけでも、大変そうなことが分かる。例えグレイブのレベルがいくら高くても今回は本当に苦戦するかもしれない。気を引き締めて挑まないと。

「エンシェントゴーレム。グレイブは知ってる?」

『あぁ、知ってるよ。まさか破壊対象になっているなんて。きっと処理できなかったんだろうなぁ』

「処理? 何かに使われていたのかい?」

『あぁ、僕がまだ物心が付いた頃にね、とある国との大戦争があったんだよ。戦争の理由は確か軍事力の拡大で、こちらは相手国に対する防衛戦だった。
 帝国も勿論軍事力はあったけどね。当時の皇帝、僕の父親が行方不明で軍の指揮も上手くいかず、ボロボロだったんだ。そこで帝国は何としても自国を守るために急ピッチで兵器開発を始め、利便性も性能も無視して、ただ重くて硬い防衛用ゴーレムを作り上げたんだ。
 そして帝国敗北寸前にそのゴーレムは大活躍した。圧倒的な絶壁ともいえる防御力は一切の敵国の侵攻を防ぎ、帝国は余る戦力で一網打尽だ。
 でも問題は終戦後だったんだ。ゴーレムは魔物の意思っていう自我を入れていて、破壊処理をしようも破壊を拒むゴーレムは手が負えない状態になってしまい、帝国はそのゴーレムをとある大昔にあった遺跡に閉じ込めたんだ。それが今のエンシェントゴーレムの顛末かな』

 つまりエンシェントゴーレムって過去に帝国を戦争から守った防衛用の兵器ってことだよね? いやいや、難易度Cでも高いよ。部位を取ってきてくれなんてそれすらも心配になってきた。

「僕達本当に倒せるかな?」

『どうだろうな。私もこの話は母から聞いたことであって本物を間近で見るのは今回の依頼で初めてになるよ』

「まぁ、これも信頼を獲得するためのものなんだよな。なら全力でやろう」

『あぁ』

 こうして僕は依頼書に書いてあった場所、カルデオン遺跡へ向かう。

◆◇◆◇カルデオン遺跡前◆◇◆◇

 カルデオン遺跡はノルデン帝国よりずっと西へ行った先で、馬車で片道5万オロも掛かってしまった。更に、いつの間にノルデン帝国の国境を超えていたらしい。
 遺跡の姿はそこで英雄でも祀られていたのか。派手な鎧を全身に纏って巨大な剣を地面に突き立てた姿勢の石の巨像が置かれていた。遺跡自体は砂岩で作られた、良く映画で見るような形の恐らく三階建ての建物だった。
 また、遺跡の入り口の床には見たこともない紋章が菱形の枠の中に四つ並べられており、この遺跡にとって重要なマークなのだろう考えさせられる。

「一体なんの為に作られた遺跡なんだろうねぇ?」

『すまないが私にも分からない。この遺跡は母に大英雄の墓だと教えられ、何度か連れてきてもらったことがあるが、どんな墓なのか……あまりに昔過ぎて覚えていないな』

 大英雄の墓、かぁ。まぁ、単純に考えるにその大英雄様ってのは、入り口の巨像のことなんだろうけど。うーん、分からないことはいくら考えても分かんないや。とりあえず先に進もう。

 遺跡の中へ入れば、すぐに下りの階段がずっと地下深くへ伸びており、三階建てに見えた遺跡の形は飾りなのだろうと考えた。本当はずっと地下に何かがあるんだろうね。

 階段を降りればその先は以外と狭かった。たった一つの円形の部屋。その中央に使い捨てられたような錆び切った鉄のゴーレムが居座っていた。もしかしてこれがエンシェントゴーレム?

『これが魔導ゴーレムか?』

「たぶん。いや、これでしょ。研究員の人が此処にいるって言ってたんだし、こんなあからさまに置かれてちゃこれしかいないと考える方が自然だと思うけど。
 それに他に部屋も、隠し部屋らしき仕掛けも見当たらないしね」

 僕はエンシェントゴーレムだろうその周囲をぐるぐる回り続けるが一切動く気配が無かった。もしかして長年の放置され過ぎて故障してるんじゃないか?
 なら先へ進もう。この部屋の奥にはもう一つの円形の部屋が見える。

 そうして僕は奥の部屋へ入ろうとした瞬間、背後でごろりと音がした。

『ハク! ゴーレムが!』

「え?」

 エンシェントゴーレムが動き出した。先程の鉄錆もいつのまにか剥がれ、ギラギラと光沢を放つ黒金色の体に青い光の線が全身に伸びていた。

「ヴウウウン」

 ゴーレムといえば真っ先に思いつくのは石で作られた形だが、エンシェントゴーレムは鉄製。こんなのはゴーレムではない。単なる侵入者撃退用の機械兵だ。
 僕は冷や汗をかいた。本当にこんな化け物と戦わなくちゃいけないのかと。

 でもそれは本当だった。なんと僕が入ってきた入り口が閉まってしまった。どうやら部位破壊なんて生ぬるい。エンシェントゴーレムを倒さなくちゃここから生きて帰れないようだ。

「ゴゴゴゴゴ……!」

『ハク、来るぞ!』
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