クラス転移で一人だけ地味スキル【回避】が無能だと判断され理不尽にも追放された男の復讐劇

Leiren Storathijs

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第3章 新たな拠点

第61話 新たな旅路

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 僕はアルカーナ大迷宮を100階層を踏破し、ついにエリクシアの製法を入手したが、到底現段階で作製出来るものでは無かった。
 なのでエリクシアの製作は一旦保留し、大迷宮の帰り道に勇者と出会ったので合流した。と言ってもその勇者である光輝は、今や『勇者』だった。ということになっているらしい。

 さて、これにて僕の仲間と呼べるのはガルムラルクのレオン、テツ、レイ、ジン、コール、レイクの6人と、元勇者の光輝、茜、麗香の3人。計8人という大所帯になってしまった。
 ただ、こんな大人数で旅をするのも斬新で良いだろう。

 僕はもう家を手に入れて、そこそこ良い環境で暮らしてはいるが、既に光輝の話によると帝国で偶然会って僕を助けてくれた、勇者メンバーの1人。岩井康太郎は、今や貴族に身分を昇格させて、裕福な暮らしをしているという。
 まぁ、僕はそこまでの暮らしは求めないかな。金を持って貴族になった所で、きっと楽な生活では無いだろう。
 貴族は貴族なりに忙しい筈だ。

 という訳で次の目標は『新たな環境でより良い暮らしをする』にしよう。
 光輝はまだ魔王討伐を諦めていないようだけど、現段階ではレベルも足りているメンバーはこの中で1人もいないだろう。
 だから暫くは光輝達にも手伝って貰おう。

◆◇◆◇◆◇

 僕はとりあえず家からクラトレス帝国に入り、冒険者ギルドで依頼を確認する。
 これで冒険者ランクを上げるのもいいが、此処で引き受ける依頼の中には、意外な出会いがあったりする。
 あのガレオン魔導都市だって元は依頼から知った場所だからね。

 さて、どんな依頼を引き受けようか。光輝やレオンに選ばせても良いが、レオンの場合は間違いなく討伐系の依頼を受けるだろう。
 また光輝の場合でも、より難しそうな依頼を引き受けそうで、面倒事に巻き込まれる気しかしない。
 だから僕が選ぶ。

 そうして僕が選んだ依頼はこれになった。

 難易度A 支援物資の救援
 至急、支援物資の補充をお願いしたい。
『私はエクトス村の村長。セルエイと申します。私たちは今まで帝国に対する厳しい税金と送られる僅かな食糧を頼りに生活していました。
 しかし、ある日を境にその食糧の補充の一切が止まってしまいました。毎週村の者が少ない収穫物を帝国に収めているのにも拘らずです。
 もう我々の食糧は底を尽き、中には餓死や病気に悩ませられる者もおり、限界です。
 これ以上我々から搾り取るというのなら、村全員で心中します。それこそが我々が思う唯一の救いなのですから。
 この依頼によって滅ぼされるのは覚悟の上です。これは我々が送る貴方達への警告なのですから』
報酬:無し

 依頼文から依頼主の相当な怒りを感じる。それも報酬無しと来た。よくこの依頼がギルドに受理されたもんだよ。

 僕はこの依頼を持って、レオンと光輝達に相談する。

「どうかな。この依頼。報酬無しってのはキツイかも知れないけど、今までこんな怒りが滲み出た依頼なんて見たことがあるかい?」

「あー、たしかに見たこと無えがよ。これちょっと不味くねぇか? 帝国に向かってこんな依頼出してんだぜ。別に村長を悪く言う訳じゃねえ。村長じゃなくて、帝国がやべえって事だ。このエクトス村についてグレイブ皇帝は知ってんのか?」

「たしかに言われてみればそうだ。報酬なしだから却下しようと思ったけど、要は村が帝国のせいで潰れそうってことなんだよな? やっと皇帝が変わったって言うのに初っ端からこの問題は現皇帝にとっては致命的だ」

 ほら来た、早速問題発生だ。いやぁ、変わってる依頼ってたまーにあるんだよね。それも誰も引き受けようしない依頼こそ、その確率が高い。

「じゃあ……グレイブ皇帝に直談判しに行こうか。運のいいことに僕は皇帝と深い面識を持っているからね。すぐに話は通ると思うよ」

「流石だな影は、一体どんな生き方していたら、帝国の皇帝と仲良くなれるんだか……」

「はは、大体成り行きだよ。僕が自分から行ったわけじゃないさ」

◆◇◆◇◆◇

 そう言うわけで僕はすぐにレオンと光輝達とで王城へ向かった。

「影白だ。僕のこと忘れたなんて言わないよね? 兵士さん」

「あぁ、勿論覚えているさ。なにか皇帝に話があるのか?」

「あぁ、ちょっとね。出来たら皇帝との話には兵士さんたちは外して欲しい。何も知らずに聞いたら騒ぎになる確率100%の話題だからさ」

「そんな凄そうな話をすると事前に言っておきながら外してくれと言うのか君は。でもすまない。そこまでの権利は君には無いのは分かっているだろう?」

「もちろん分かってるつもりで言ったさ。やっぱり駄目か。なら入っていいかな?」

「あぁ、後ろに着いては行くけれどな」

 流石に全員8人で城に入る訳にはいかないので、もっとも話を理解できる僕と光輝とレオンの3人で入ることになり、残り5人は城の前で待たせることになった。

 王城の中を通って、王の間へ。
 王の間への扉を開いてもらって、入り口の兵士が近衛兵に引き継ぐようにして、王の間へ入る。

 そして王の間にいたのは、なんとも久しぶりに感じるグレイブだった。
 玉座にゆったりと座り込みながらも、真代皇帝へと名乗り上げた時より、優しさではなく威厳を放っていた。

「ん? あぁ、ハクじゃないか。なんだか久しぶりだな。どうした? 今回は……ガルムラルクと……君は勇者か……?」
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