アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-閑話 観察者

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―――アルケディア・オンライン。
 その世界では・・・・・・VRMMOとして認識されており、日々多くのプレイヤーたちがログインして入り込み、日夜楽しんでいるものである。

 オンラインゲームだからこそ、世界中の様々な国で親しまれて、中にはオンライン内で他国との交流を深めるなど、現実世界でやろうとすればそれなりの費用が掛かることだとしても、ある程度削減して済ませるなどの活用を行う人もいるだろう。


 先日のコスプレイベントがその最たるもので、現実ならばコスプレ衣装、移動費等の様々な費用も、ゲーム内であればゲーム内の通貨で抑えたり、現実では厳しいコスプレも難なく着こなすことが出来るなど、ゲーム内ならではの利点を活かしていた。

 それと同様のことを、例えジャンルが異なろうとも、現実では得られないこの仮想現実の中で数多くのイベントを他のプレイヤーたちも行い始めた。

 普通ならできない。でも、ここならばできる。
 アルケディア・オンラインが稼働した当初は料理のほうに目が向いていた人も多かったようだが…時間も経ち、アップデートされて様々な要素が盛り込まれれば、それだけ対応した人たちがより適した形で行えるようにと動くのは当然のことだったかもしれない。

 その分、数多くのデータが出てくるのは、運営側からもプレイヤー側からしても、現実ではどうなるのかという経験に活かしやすく、積極的な活動を行うのは両者にとってありがたいことであった。





…そう、それが例え、他の立場にいる者たちから見てもだ。
 直接的な影響がなくとも、人がそれに捧げる情熱があるのならば、それは自然と伝播していく。

 分かり合える者たちがいるからこそ、国を生まれを問わずして、垣根を越えてしまうのだ。





 だが、逆に言えば分かり合えない者たちも同時に存在しており、超えてきた者に対しては排除に姿勢を取るか、あるいは都合の良い様に変えようと動き…



「…だからこそ、良からぬ輩も出てくるのか」

 ごうごうと目の前でブレスで焼き払われているものを見ながら、彼はそうつぶやく。


 世界の垣根を超えるのは、別に妨害する意味もなく、勝手にして良いだろう。
 けれども、その掛値を超える中で迷惑を…それも世界を揺るがしかねないような輩が出た場合は、こうやって潰さなければならなくなる。


「よいしょっと…おーい、大丈夫か、そこのオーク」
【ブブモモ…手間を、かけさせたようでかたじけない…】

 燃えさかるものの中、がごんっと掘り起こした玉。
 その中には、この輩によって囚われていたというオーク…世界広しと言えども、珍しく高潔な魂を持つオークは答える。

【どこのどなたかは知らぬが、助かった…。危うく、世界を滅ぼす兵士たちを生み出す糧にされるところであった】
「正直言って、オークの大群で世界が滅びるなら、様々な異世界がヤバそうだけど…うーん、ここの者に限っては、何とも言えないなぁ」

 何にしても、悪しき企みはついえただろう。
 違うな、これは企みというよりも、実験に近いものがある。

「…どちらかといえば、手を出せるかそうでないかの、確認のためにやってみたことか」

 滅ぼしたりするのはこのオークを利用した者にとって、ついでにやれないかという興味で引き起こされたものの様な気がする。
 実験し、手を出せるついでに証拠隠滅も兼ねて考えていたのだろうが、何とも迷惑な話だろうか。

 まぁ、既にその行動は抑えられているが。
 オークを利用したコピー施設は崩壊しており、その大本の元凶は現在、位置を捕らえられている。
 あとは後片付けのために関係者が向かうだけであり、ここでの目的は果たしたと言えるだろう。


「良ければ、そちらの主の元まで送り届けようか?」
【ブモ、いや、別にそこまではいらぬ。解放されれば、すぐに送還できるからな】

 最後まで手を貸す必要もないようで、問題もなさそうだ。
 見た感じ、本当に珍しいタイプの魂の持ち主であり…だからこそ、変態共の世話役に回っているのはもったいない気がするのだが、制御できねばアレはアレで世界に大迷惑をかけかねないものだという情報はもらっているので、止めることもない。

「時間が空いたし…そうだな、せっかくここへ来たんだ。少しばかり暇つぶしのために、ここの星々をめぐってみるか…」



 面倒ごとの種は潰し、しばらくは平穏になったと言えるだろう。
 ならば、帰る前にちょっとばかり、ここで遊ぶのも悪くはない。

「それに、気になることもあるし…そちらにも、顔を出してみようかなぁ…」

 オークの方から感じ取れた、ある神の類の気配。
 眷属ではなく、激突した形跡があるようだが、悪意をもってぶつかり合ったものではなく、真剣勝負で残されていたものが感じ取れていた。
 その気配が少々気になり、彼は翼を広げ、辿ってみることにしたのであった…

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