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1章 これから始まる物語
1-6 隠せるものは隠せたり
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‥‥‥ハクロが前世のゲームとかでアラクネと呼ばれそうな容姿になった。
まぁ、この世界のモンスターとかはどういうのがあるのかはまだ勉強不足なので分からない。
なので、しっかりと知るためにも教育を受けようという心構えがよりついたような気がする。
「何にしても、真面目に勉学に励む気はあるけどね」
【キュルルルルゥ】
ガタガタと揺れる馬車の中で僕がそうつぶやくと、ハクロはむしゃむしゃと持って来た果物にかぶりつきながら返答する。
一応この馬車自体は、帝都へ向かう定期便の一つなのだが…‥‥どうやら今年度、領地から帝都の教育機関へ向かって入学する生徒は僕一人しかいないらしい。
そもそも、貧乏領地なので領民も乏しいのだが…‥‥そのおかげで、馬車内でハクロを出していても誰にも気が付かれないので気は楽だろう。
とはいえ、御者の人とかいるのだが‥‥‥牽引している馬の制御に意識を向けており、内部まではそう見ることはない。
なので、特に困る事もないのだ。
「とはいえ、盗賊とかも出そうな旅路なのに、護衛とかそう言うのがいないのは不安だけどね」
【キュルゥ?】
‥‥‥そう、良く異世界転生や異世界転移などでありがちな盗賊の強襲の可能性が無いわけではない。
薬などで対応できそうだが…‥‥たかが10歳の男子が相手できるわけもないだろう。
あ、でもそのために透明化できる薬などはあるので、いざとなれば空っぽに見せかけてやり過ごすことはできる。
もしくは、ハクロに使っているのと同じ小さくなる薬で小さくなって逃亡したり、はたまたは変身薬で大空へ…‥‥あれ?案外盗賊の脅威って僕らには関係ないのか?
疑問に思ってしまったが、一番良いのは盗賊が来ないことであろう。
そう、平和な道のりでゆったりと進み、教育機関を平穏無事に拝めればいいだけの話だ。
「何にしても、到着まで時間がかかるし…‥‥ゆっくりと昼寝をしようかな?やる事もないしね」
【キュルゥ!】
賛成、と言うようにうなずきながら、果物の汁で汚れた手を拭くハクロ。
ごそごそと動き、僕の頭が当たる位置に移動し、どうぞと言うそぶりをする。
「ありがとう、ハクロ」
【キュルル】
ひとまずは彼女のふわもこな蜘蛛部分を枕にさせてもらいつつ、ゆったりと馬車の旅を楽しむのであった…‥‥
【キュル、キュルル】
「ん?出来ればもう一個、果物頂戴って?ちゃっかりしているね‥‥‥」
【キュル】
人に似た容姿を手に入れた分、ウルウルした目でおねだりしてくるとか、なんかずる賢さも手に入れてないかな?綺麗な容姿だけど、こうやって小さいと可愛くも見える。
‥‥‥アルスがハクロのお腹でゆったりと安眠している丁度その頃。
その向かっている先‥‥‥エルスタン帝国の帝都エルスタンの中央部にある王城では今、会議が開かれていた。
「…‥‥今年も我が国の教育制度によって生徒が集められてくるが…‥‥人数差をどうにかしたいな」
「各貴族領によって子供の数は違いますし、平民に門戸を開いておっても家の手伝いを優先して通うのを拒否するなど、問題はありますからなぁ」
王城内の会議室内で、出されたその議題に対して話し合う、王城勤務の貴族たち。
何かと頭を悩ます案件を会議しているがゆえに、各自の席には胃薬や頭痛薬が完備されており、王城内には薬屋も常設されていた。
「一応、現状の改善策としては教育の浸透や学園内での平民・貴族の暗黙の了解の差を受け入れさせつつ、できるだけ抵抗の無いようにとしたいのだが‥‥‥いかんせん、意識改革は難しいからな」
「ああ、きちんと貴族の矜持をもった生徒もいるのだが、はき違えてやらかすのが出たりするのが頭が痛い」
「また、爵位が低いのに貴族であるので偉いとして、平民に対して高慢的過ぎるのが‥‥‥」
今の議題である、教育に関しての問題。
帝国のより良い発展を目指すために、国民をより高めようとして設立された教育機関についてなのだが、まだまだ問題はあるようだ。
「それに、最近では無断でダンジョンなどに挑もうとして、突き進む子らも出ましたからな‥‥‥救出されたとはいえ、それでも懲りないのはいるようです」
「まぁ、宝の山と言っても過言でもないし、うまく功績を残せば叙爵や陞爵も、と考える輩がいるからな…‥‥それ相応の実力が無ければいけないのに、なぜこうも自分の実力を把握しないのやら」
「過去の功績で貴族家に成りあがったは良いが、何代か経過するうちに落ちぶれるところもありますからな‥‥‥良い例が、ヘルズ男爵家でしょう。過去に王族を救ったことで侯爵家まで上がりつつも、今の当主の代では男爵家まで下降してますからな。いや、先ず入り婿であった当主ですし、知らぬかもしれませんなぁ」
うんうんと頷き合いつつ、把握している貴族たちの質の問題に頭を悩ませる者たち。
「次代にも潰れかねないが、潰れたら領地の管理などは次はどこが引き受けるかという問題もあるからな…‥‥大問題な貴族家がそれなりにあるのは分かっているのに、手が付けにくいもどかしさをどうにかしたい」
「ここは皇帝陛下に意見を出さねばな…‥‥何にしても、我々も貴族平民含めた国の未来を論議しているはずなのに、問題が貴族に関することばかりになってしまうのは頭が痛い」
「ああ、良く効く頭痛薬が欲しいなぁ…‥‥」
問題をある程度理解していても、理想と現実とで食い違う部分が出てしまい、解決策に悩み過ぎて胃を痛める者たち。
実は帝国内でこの会議を行う者たちの給料はかなり高いのだが、その精神的負担の大きさから不人気だったりする。
けれども、それでも国をどうにかして良くしたいと熱意を持つ者たちが集まっているので、仲が良いとも言えるだろう。
「そういえば、今年の教育機関への新入生に‥‥‥ああ、ヘルズ男爵家の3男がいたな。話題に出ていた中の貴族家に属する、最後の一人か」
「長男、次男が大問題児だが…‥‥この三男も何かしらの問題を抱えているのだろうか?何にしても、この者次第では、次回の貴族家の再編成会議時に、ヘルズ男爵家は潰れるなぁ」
はぁっと溜息を吐きつつも、新入生たちの名簿を見ながら子供たちへできる限りの期待を寄せる者たち。
何にしても、アルスの知らないところで男爵家滅亡の危機が迫っていたのであった‥‥‥‥
「‥‥‥ふえっくしょん!!」
【キュ!?】
「あ、驚かせてごめん、ハクロ。なんか今、くしゃみが出ちゃったからね‥‥‥風邪でも引いたかなぁ?」
【キュルゥ?】
「大丈夫大丈夫。念のために風邪の予防薬を飲んでおくよ。‥‥‥っと、出来た出来た」
まぁ、この世界のモンスターとかはどういうのがあるのかはまだ勉強不足なので分からない。
なので、しっかりと知るためにも教育を受けようという心構えがよりついたような気がする。
「何にしても、真面目に勉学に励む気はあるけどね」
【キュルルルルゥ】
ガタガタと揺れる馬車の中で僕がそうつぶやくと、ハクロはむしゃむしゃと持って来た果物にかぶりつきながら返答する。
一応この馬車自体は、帝都へ向かう定期便の一つなのだが…‥‥どうやら今年度、領地から帝都の教育機関へ向かって入学する生徒は僕一人しかいないらしい。
そもそも、貧乏領地なので領民も乏しいのだが…‥‥そのおかげで、馬車内でハクロを出していても誰にも気が付かれないので気は楽だろう。
とはいえ、御者の人とかいるのだが‥‥‥牽引している馬の制御に意識を向けており、内部まではそう見ることはない。
なので、特に困る事もないのだ。
「とはいえ、盗賊とかも出そうな旅路なのに、護衛とかそう言うのがいないのは不安だけどね」
【キュルゥ?】
‥‥‥そう、良く異世界転生や異世界転移などでありがちな盗賊の強襲の可能性が無いわけではない。
薬などで対応できそうだが…‥‥たかが10歳の男子が相手できるわけもないだろう。
あ、でもそのために透明化できる薬などはあるので、いざとなれば空っぽに見せかけてやり過ごすことはできる。
もしくは、ハクロに使っているのと同じ小さくなる薬で小さくなって逃亡したり、はたまたは変身薬で大空へ…‥‥あれ?案外盗賊の脅威って僕らには関係ないのか?
疑問に思ってしまったが、一番良いのは盗賊が来ないことであろう。
そう、平和な道のりでゆったりと進み、教育機関を平穏無事に拝めればいいだけの話だ。
「何にしても、到着まで時間がかかるし…‥‥ゆっくりと昼寝をしようかな?やる事もないしね」
【キュルゥ!】
賛成、と言うようにうなずきながら、果物の汁で汚れた手を拭くハクロ。
ごそごそと動き、僕の頭が当たる位置に移動し、どうぞと言うそぶりをする。
「ありがとう、ハクロ」
【キュルル】
ひとまずは彼女のふわもこな蜘蛛部分を枕にさせてもらいつつ、ゆったりと馬車の旅を楽しむのであった…‥‥
【キュル、キュルル】
「ん?出来ればもう一個、果物頂戴って?ちゃっかりしているね‥‥‥」
【キュル】
人に似た容姿を手に入れた分、ウルウルした目でおねだりしてくるとか、なんかずる賢さも手に入れてないかな?綺麗な容姿だけど、こうやって小さいと可愛くも見える。
‥‥‥アルスがハクロのお腹でゆったりと安眠している丁度その頃。
その向かっている先‥‥‥エルスタン帝国の帝都エルスタンの中央部にある王城では今、会議が開かれていた。
「…‥‥今年も我が国の教育制度によって生徒が集められてくるが…‥‥人数差をどうにかしたいな」
「各貴族領によって子供の数は違いますし、平民に門戸を開いておっても家の手伝いを優先して通うのを拒否するなど、問題はありますからなぁ」
王城内の会議室内で、出されたその議題に対して話し合う、王城勤務の貴族たち。
何かと頭を悩ます案件を会議しているがゆえに、各自の席には胃薬や頭痛薬が完備されており、王城内には薬屋も常設されていた。
「一応、現状の改善策としては教育の浸透や学園内での平民・貴族の暗黙の了解の差を受け入れさせつつ、できるだけ抵抗の無いようにとしたいのだが‥‥‥いかんせん、意識改革は難しいからな」
「ああ、きちんと貴族の矜持をもった生徒もいるのだが、はき違えてやらかすのが出たりするのが頭が痛い」
「また、爵位が低いのに貴族であるので偉いとして、平民に対して高慢的過ぎるのが‥‥‥」
今の議題である、教育に関しての問題。
帝国のより良い発展を目指すために、国民をより高めようとして設立された教育機関についてなのだが、まだまだ問題はあるようだ。
「それに、最近では無断でダンジョンなどに挑もうとして、突き進む子らも出ましたからな‥‥‥救出されたとはいえ、それでも懲りないのはいるようです」
「まぁ、宝の山と言っても過言でもないし、うまく功績を残せば叙爵や陞爵も、と考える輩がいるからな…‥‥それ相応の実力が無ければいけないのに、なぜこうも自分の実力を把握しないのやら」
「過去の功績で貴族家に成りあがったは良いが、何代か経過するうちに落ちぶれるところもありますからな‥‥‥良い例が、ヘルズ男爵家でしょう。過去に王族を救ったことで侯爵家まで上がりつつも、今の当主の代では男爵家まで下降してますからな。いや、先ず入り婿であった当主ですし、知らぬかもしれませんなぁ」
うんうんと頷き合いつつ、把握している貴族たちの質の問題に頭を悩ませる者たち。
「次代にも潰れかねないが、潰れたら領地の管理などは次はどこが引き受けるかという問題もあるからな…‥‥大問題な貴族家がそれなりにあるのは分かっているのに、手が付けにくいもどかしさをどうにかしたい」
「ここは皇帝陛下に意見を出さねばな…‥‥何にしても、我々も貴族平民含めた国の未来を論議しているはずなのに、問題が貴族に関することばかりになってしまうのは頭が痛い」
「ああ、良く効く頭痛薬が欲しいなぁ…‥‥」
問題をある程度理解していても、理想と現実とで食い違う部分が出てしまい、解決策に悩み過ぎて胃を痛める者たち。
実は帝国内でこの会議を行う者たちの給料はかなり高いのだが、その精神的負担の大きさから不人気だったりする。
けれども、それでも国をどうにかして良くしたいと熱意を持つ者たちが集まっているので、仲が良いとも言えるだろう。
「そういえば、今年の教育機関への新入生に‥‥‥ああ、ヘルズ男爵家の3男がいたな。話題に出ていた中の貴族家に属する、最後の一人か」
「長男、次男が大問題児だが…‥‥この三男も何かしらの問題を抱えているのだろうか?何にしても、この者次第では、次回の貴族家の再編成会議時に、ヘルズ男爵家は潰れるなぁ」
はぁっと溜息を吐きつつも、新入生たちの名簿を見ながら子供たちへできる限りの期待を寄せる者たち。
何にしても、アルスの知らないところで男爵家滅亡の危機が迫っていたのであった‥‥‥‥
「‥‥‥ふえっくしょん!!」
【キュ!?】
「あ、驚かせてごめん、ハクロ。なんか今、くしゃみが出ちゃったからね‥‥‥風邪でも引いたかなぁ?」
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