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5章 高等部~そして卒業まで
5-17 たまにはこんな視点もあるのだが
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‥‥‥人というのは、良く分からないことも多い。
元々が人ではないからこそ、理解をしているわけでもないのだが、それでもある程度学んできている。
それに、ずっとそばにいるからこそ、些細な変化も気が付きやすくもあって‥‥‥
「‥‥‥んー、アルス、大丈夫?昨晩も変な寝言言っていたよ?」
「変な寝言?いや、そんなのを口にする覚えもないんだけど‥‥‥」
「本当?」
「しいて言うのであれば、昨晩から続けて変な奴と夢の中で出会って、忠告を貰っているぐらいかな」
「原因、思いっきりその夢の人じゃないの?」
ふわぁぁっと欠伸をしているアルスに問いかけてみるけれども、その返事はあやふやなものである。
夢の中に二夜連続で出てくるって‥‥‥分からないけれども、何かロクデモナイ予感しかしない。
「キュルル‥‥‥不安、かも」
「まぁ、何かとわからないものが動いているとかって情報は聞けるから凄い悪くもないけれどね。でも、なんだろうな、本日はハクロから離れないほうが良いって、言われたんだよね」
「言われなくとも、そうだと思う。昨日から変なの、狙っているもの」
‥‥‥大事な大事な、私のアルス。
彼が何者かにどのような目的で狙われているのかは分からないけれども、何かがあるのは非常に困る。
アルスとは一緒にいたいのに、それを引き裂かれるのは嫌だ。
だからこそ私は、大好きな彼を守るために、一生懸命策を練る。
「…‥‥今のところ、大丈夫、かな?」
ピンっとあちこちで人には捉えられない細い糸を張って、周囲を警戒してみたが、今のところは不審な気配はない。
けれども、昨日のいくつかの出来事は、私の糸の感知も避けていたので、今日はちょっと特別な糸も使用しているのだが…‥‥
―――ピンッ
「‥‥‥」
っと、思っていたところで、ふとその特別な糸に反応が合った。
以前に捉えられない、攻撃できなかった透き通った怪物に出くわして、手も足も出にくかった経験から学び、そして修得した警戒手段だったけれども見事に活きた様子。
いや、もしかするとあの怪物の同類が、昨日から何かと仕掛けてきている者たちが生み出したものだったかもしれない。
確証は持てないけれども、この糸に感知で出来たのであれば、される前に動くべきである。
でも、今のアルスと離れるのは不味い予感がするので、私はそっと糸を操作し、意識の一部を人形に寄せてその視界を貰うことにした。
(‥‥‥うん、やっぱり見えない。でも、反応がある)
アルスの方に目を向けつつ、人形から得られる情報を私の頭の中で確認していく。
ちょっとばかり扱いやすい体の構造だった18番目あたりの姉さんの身体を模した蜘蛛の人形を動かし、周囲を見渡して糸の状態を見る。
ぴんぴんっと当たり、普通の糸には反応はしていない。
特殊な魔道具を用いた侵入という話もあったけれども、この感じだとその可能性が非常に高い。こういう能力を天然の生き物が持っているわけもないし、何より感じ取れるサイズは人間サイズ。
でも、なんだろうこの感じ。人間のような姿形はしているけれども、何かがずれているというか、曲がっているような、言い表せない不気味さがある。
人の思考に近い動きをしつつも、それでも大事な何かが壊れているかのような、呑まれているというような‥‥知りたくない代物。
とはいえ、そんなのが動いていても、アルスに対して害をなすような真似をするのであれば、容赦はしない。
(‥‥‥キュルル)
くいくいっと指を動かし、人形の手の先を更に動かして他の人形たちも出現させ、気配を消して忍び寄らせていく。
さらに言えば、その人形たちもまた、特別製の糸で出来ているので相手を捕らえられるだろうけれども‥油断したら痛い目を見るのは分かっているので、気を抜くつもりはない。
ぐいっと強く糸を動かし、周囲から逃げられない状態にして飛び掛からせていく。
「----!?」
そして相手の方も流石に触れられるとは思っていなかったのか驚愕の様子を見せたが、その動きは遅い。
多くの人形で埋め尽くしつつ、他の人には迷惑をかけないようにその場から移動させ、別の人に投げておく。
自分ではどうやればいいのか分からないからこそ、人形を介してその手の人がいるというのを知って、そちらに渡せばいいのはもう学んでいるのだ。
(‥‥‥キュル、これでどうにか、アルスへ変な事をする人、ちょっとは減らせたらいいんだけどなぁ)
「ハクロ、そろそろ次の授業だから移動するよー」
「キュル!わかったよー!」
っと、意識を戻したところでアルスが話しかけてくれたので、私はさっさと意識を自分に戻した。
ある程度分散して考えられるようにもなったけれども、やっぱり私は私としてアルスの事だけを考えたい。
私にとって大事な人で、好きな人で、愛するべき人。
私に対して色々とやってくれている人が存在して守ってくれているのは分かっているけれども‥‥‥でも、やっぱり私が彼を一番に守りたいもの。
「アルス、休み時間、ちょっと空に行こう!空なら、変な人、仕掛けようがないもの!キュルル!」
「そう?でも、移動があるけれども‥‥‥いや、この状況だからこそギリギリまで届かないところにいたほうが良いかも。それじゃ、ちょっとだけ一緒に空に連れてって」
「わかったよ!」
ぎゅーーっと大事なアルスを抱きしめ、返事をして、私は翼を広げる。
あの蜘蛛の身体も失せてしまったが、代わりに得た翼で少しでも安全な場所に彼と一緒にいるのが、今の状況で最適な回答。
相手が空にいる私たちを狙う手段を持っていないとも限らないけれど、今は一瞬たりとも離れずに一緒にいたほうがいい。
ついでに油断しないように空からも操作できるように糸を伸ばしつつ、私達は一緒に大空に飛び立つのであった。
‥‥‥愛するべき、私の番。奥さんになるんだったら、アルスのことは夫と言うべきなのかも。
でも、アルスはアルスで変わらない。
「ふふふ、アルスと一緒の大空、やっぱり楽しい♪」
大地を駆け抜ける疾走感もあれはあれでよかったけれども、大空で一緒にいるのも面白い。
今はとりあえず、何事も起きなければいいなぁ‥‥‥‥
元々が人ではないからこそ、理解をしているわけでもないのだが、それでもある程度学んできている。
それに、ずっとそばにいるからこそ、些細な変化も気が付きやすくもあって‥‥‥
「‥‥‥んー、アルス、大丈夫?昨晩も変な寝言言っていたよ?」
「変な寝言?いや、そんなのを口にする覚えもないんだけど‥‥‥」
「本当?」
「しいて言うのであれば、昨晩から続けて変な奴と夢の中で出会って、忠告を貰っているぐらいかな」
「原因、思いっきりその夢の人じゃないの?」
ふわぁぁっと欠伸をしているアルスに問いかけてみるけれども、その返事はあやふやなものである。
夢の中に二夜連続で出てくるって‥‥‥分からないけれども、何かロクデモナイ予感しかしない。
「キュルル‥‥‥不安、かも」
「まぁ、何かとわからないものが動いているとかって情報は聞けるから凄い悪くもないけれどね。でも、なんだろうな、本日はハクロから離れないほうが良いって、言われたんだよね」
「言われなくとも、そうだと思う。昨日から変なの、狙っているもの」
‥‥‥大事な大事な、私のアルス。
彼が何者かにどのような目的で狙われているのかは分からないけれども、何かがあるのは非常に困る。
アルスとは一緒にいたいのに、それを引き裂かれるのは嫌だ。
だからこそ私は、大好きな彼を守るために、一生懸命策を練る。
「…‥‥今のところ、大丈夫、かな?」
ピンっとあちこちで人には捉えられない細い糸を張って、周囲を警戒してみたが、今のところは不審な気配はない。
けれども、昨日のいくつかの出来事は、私の糸の感知も避けていたので、今日はちょっと特別な糸も使用しているのだが…‥‥
―――ピンッ
「‥‥‥」
っと、思っていたところで、ふとその特別な糸に反応が合った。
以前に捉えられない、攻撃できなかった透き通った怪物に出くわして、手も足も出にくかった経験から学び、そして修得した警戒手段だったけれども見事に活きた様子。
いや、もしかするとあの怪物の同類が、昨日から何かと仕掛けてきている者たちが生み出したものだったかもしれない。
確証は持てないけれども、この糸に感知で出来たのであれば、される前に動くべきである。
でも、今のアルスと離れるのは不味い予感がするので、私はそっと糸を操作し、意識の一部を人形に寄せてその視界を貰うことにした。
(‥‥‥うん、やっぱり見えない。でも、反応がある)
アルスの方に目を向けつつ、人形から得られる情報を私の頭の中で確認していく。
ちょっとばかり扱いやすい体の構造だった18番目あたりの姉さんの身体を模した蜘蛛の人形を動かし、周囲を見渡して糸の状態を見る。
ぴんぴんっと当たり、普通の糸には反応はしていない。
特殊な魔道具を用いた侵入という話もあったけれども、この感じだとその可能性が非常に高い。こういう能力を天然の生き物が持っているわけもないし、何より感じ取れるサイズは人間サイズ。
でも、なんだろうこの感じ。人間のような姿形はしているけれども、何かがずれているというか、曲がっているような、言い表せない不気味さがある。
人の思考に近い動きをしつつも、それでも大事な何かが壊れているかのような、呑まれているというような‥‥知りたくない代物。
とはいえ、そんなのが動いていても、アルスに対して害をなすような真似をするのであれば、容赦はしない。
(‥‥‥キュルル)
くいくいっと指を動かし、人形の手の先を更に動かして他の人形たちも出現させ、気配を消して忍び寄らせていく。
さらに言えば、その人形たちもまた、特別製の糸で出来ているので相手を捕らえられるだろうけれども‥油断したら痛い目を見るのは分かっているので、気を抜くつもりはない。
ぐいっと強く糸を動かし、周囲から逃げられない状態にして飛び掛からせていく。
「----!?」
そして相手の方も流石に触れられるとは思っていなかったのか驚愕の様子を見せたが、その動きは遅い。
多くの人形で埋め尽くしつつ、他の人には迷惑をかけないようにその場から移動させ、別の人に投げておく。
自分ではどうやればいいのか分からないからこそ、人形を介してその手の人がいるというのを知って、そちらに渡せばいいのはもう学んでいるのだ。
(‥‥‥キュル、これでどうにか、アルスへ変な事をする人、ちょっとは減らせたらいいんだけどなぁ)
「ハクロ、そろそろ次の授業だから移動するよー」
「キュル!わかったよー!」
っと、意識を戻したところでアルスが話しかけてくれたので、私はさっさと意識を自分に戻した。
ある程度分散して考えられるようにもなったけれども、やっぱり私は私としてアルスの事だけを考えたい。
私にとって大事な人で、好きな人で、愛するべき人。
私に対して色々とやってくれている人が存在して守ってくれているのは分かっているけれども‥‥‥でも、やっぱり私が彼を一番に守りたいもの。
「アルス、休み時間、ちょっと空に行こう!空なら、変な人、仕掛けようがないもの!キュルル!」
「そう?でも、移動があるけれども‥‥‥いや、この状況だからこそギリギリまで届かないところにいたほうが良いかも。それじゃ、ちょっとだけ一緒に空に連れてって」
「わかったよ!」
ぎゅーーっと大事なアルスを抱きしめ、返事をして、私は翼を広げる。
あの蜘蛛の身体も失せてしまったが、代わりに得た翼で少しでも安全な場所に彼と一緒にいるのが、今の状況で最適な回答。
相手が空にいる私たちを狙う手段を持っていないとも限らないけれど、今は一瞬たりとも離れずに一緒にいたほうがいい。
ついでに油断しないように空からも操作できるように糸を伸ばしつつ、私達は一緒に大空に飛び立つのであった。
‥‥‥愛するべき、私の番。奥さんになるんだったら、アルスのことは夫と言うべきなのかも。
でも、アルスはアルスで変わらない。
「ふふふ、アルスと一緒の大空、やっぱり楽しい♪」
大地を駆け抜ける疾走感もあれはあれでよかったけれども、大空で一緒にいるのも面白い。
今はとりあえず、何事も起きなければいいなぁ‥‥‥‥
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