拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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森での生活

#9 とりあえず帰宅なのデス

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SIDEシアン

 調味料も買い終え、ひとまずはこれで今回の僕らの目的は果たしたことになる。

 あとは、あの商人ディックさんに教えてもらった通り、アイーマ村とやらへ行く馬車に乗って、途中下車をして森へ……確か、ハルディアの森という名称があるのを知ったが、そこにある家へ帰ればいいだけの話だ。

「とはいえ、金貨がまだ残っているといっても、いつかは無くなるんだよな」

 今帰って、また必要な物を買う時があるだろうし、その事を考えると何かしらの金銭を稼ぐ手段が欲しいところだ。


「盗賊退治とかは儲かりそうだけど、そう都合よくいるわけもないな」
「一応、探そうと思えば探せマス。お望みでしたら、今すぐにでも全滅させに行きましょうカ?」
「いや、別に良いよ。負担が大きいだろうし……」

 今回は商人さんたちの馬車に引きずる形で連れてくることができたが、次からはその輸送手段がない。

 絶対に途中で暴れたりするだろうし、色々と面倒なのだ。


「…‥‥あ、そうだ、馬車か」
「ン?」
「いや、今ふと思ったんだけどさ、ここまで来たのは商人たちの馬車で、帰りは交通機関の馬車で帰宅するよね?この馬車は乗車料金がいるけれどさ、僕たちだけで乗って行ける馬車があれば森からここまで楽に進めるだろうし、荷台があれば盗賊に出くわしてもそこに詰め込めばいいと思ってね」
「なるほど、流石ご主人様。そのアイディアは良いですね」

 金ならまだ金貨が48枚ほどあるのだし、予算内に収まるような馬車があればいい。

 幸いと言うべきか、この都市ブリジットの市場には小型の馬車程度なら売っているところを見かけており、買おうと思えば可能なはずだ。


「って駄目か。考えたら馬車の操縦の御者やそれを牽引する馬が必要だし、ここで買ったとしてもその両者が見つからないような‥‥‥」
「‥‥‥あ、そうデス。その問題を解決する方法なら、思いつきましタ」

 と、ここでぽんっと手を打ってワゼがそうつぶやいた。

「え?何かあるの?」
「ええ、あてがあるというか、ご主人様もおそらくわかるでしょうが…‥‥まぁ、今は秘密デス。ですが、今買うのであれば先にそちらを優先すればいいでしょウ」

……?何かあてがあるのか気になるが、秘密ってなんだ?

 まぁ、ワゼがそう言うのであれば先荷馬車を買っておいて良いかな。







 とりあえず、適当に馬車を売っている店を僕らは巡った。

 ある程度荷台もあって、中のスペースも整えられ、なおかつ乗り心地も良さそうなものを探したが…‥‥いま一つ、これと言ったものが見つからない。


「…‥‥なかなか良いのがないというか、予算はあるけれども都合よくいかないか」
「ふむ……でしたらいっその事、ゼロから作ってみるべきでしょうカ?」
「え?ワゼ、馬車を作れるのか?」
「ええ、馬車を数台ほど見た時点である程度の設計図を思いつきましたので、帰宅してあの森の中の木を使えば組み立て可能デス」

 なんというか、馬車を自ら作るメイドってどうなのだろうか?

 予算を使わなかったのはいいかもしれないが…‥‥ちょっと不安がある。

 何にせよ、ここは帰宅するために、僕らはアイーマ村行きの馬車に乗車して、ハルディアの森付近まで戻るのであった‥‥‥‥

「そう言えば、稼ぐ手段もきちんと見つけていかないとだめだよね。いつかはお金も尽きるしね」
「そのことに関しても、実は方法を探し、解決手段を得ましタ。ただ、これは少々私ではできず……」


 ワゼができないって、なんだ?

 さっきからというか、今までの事を考えてこのメイドにできなさそうなことがないような気もしたが‥‥‥まぁ、全て完璧という訳でもないのかもしれない。

 その稼ぐ手段も気になるが、とりあえずさっさと帰宅のために帰路へつくのであった‥‥‥‥





――――――――――――――――――――――
SIDEワゼ

……帰宅したその日の夜、ワゼは森の奥地へ訪れていた。

 と言うのも、シアンに話した解決手段のためにも、ある者たちに協力してもらう必要があるからだ。


「という訳で、その手段のために貴女の夫をしばし使いたいのですが‥‥‥大丈夫ですよネ?」
【もちろん、あの馬鹿夫をこき使うのなら問題ないよ。というか、謝罪した時に許可しているしね】

 ワゼの問いかけに対して、その奥地に巣を作っていたフェンリル(妻)は気前よく返答した。

 馬車を引く手段として‥‥‥ワゼはフェンリル(夫)を利用することを思いついたのだ。


 フェンリル(夫)自身は思考できるし、馬よりもパワーがあるし、馬車を牽引する動物としては最適なはずなのだ。

……一介の神獣を馬車としてこき使うのはどうなのか、そもそもそれは「馬」車ではないようなというツッコミが入りそうなものだが、フェンリル(妻)としてはどうでもいいことらしい。


「一応、ただではなく、それなりに調理した料理などもふるまうことを約束いたしましょウ。貴女には可愛い子供がいるようですし、養うためにも、成長してもらうためにも食べ物が必要そうですからネ」
【お、そんなことをわざわざしてもらわなくても良いのだが‥‥‥でも、ご厚意に甘えよう。我が子供たちはまだ幼いが、それでも食欲は旺盛だからな】

 今は深夜であり、スヤスヤ寝ているフェンリル(子供たち)を見ながら、フェンリル(妻)はそう答える。


 とりあえず、ここで取引はできたようで有り、馬車を牽引する手段は確保できた。


「あとは設計し、組み立ててご主人様に乗ってもらうのデス」
【ああ、そういえばあの馬鹿夫を利用するのならば‥‥‥‥っと、これだ】

 ワゼが戻ろうとしたところで、ふとフェンリル(妻)が呼び止め、何かを巣から取り出した。


【この鞭を持っていくといい。フェンリルの毛で衝撃は弱められるから通常の鞭は効果がないが、これは特別製のでね、あるドワーフに作ってもらって、確実にダメージを与えるようになっているのさ】
「なるほど…‥‥確かにこれならいいでしょう」
【今は祖父の元へ行っているが、帰ってきたらまたあの傲慢さが戻る可能性があるし、それでビシビシしばいておやり!妻であるあたしが許可したから、遠慮はいらないよ!】
「はい、どうもありがとうございマス」


…‥‥ワゼはその特性の鞭を手に入れ、帰宅した。

 フェンリル(妻)としては、ワゼを敵に回すのは良くないと理解しているので、夫を生贄にして自身の身を確実に確保した。

 互いに実りのある取引であり、しばらく自分たちは安全であるとフェンリル(妻)は嬉しく思うのであった。


 知らぬは、まだ帰ってこないフェンリル(夫)である。

 帰宅した後に、彼は自身が妻によって生贄にされていたことを知るが…‥‥時すでに遅しであった。
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