拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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面倒事は、何故やってくる

閑話 使い魔健康診断デス

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SIDEシアン

 魔法ギルドに所属し、使い魔を有していた場合、魔法屋にはある義務が課せられていた。

「『使い魔の定期健康診断のお知らせ』か」
「そのようデスネ」
【定期健診ですか】

 使い魔は魔法屋が扱うものたちであり、その健康状態は普段何もないように見えても、何か異常があったりする場合がある。

 万が一の事も考え、使い魔をギルドで行われる定期健康診断に受けさせる義務が、魔法屋にはあるのだ。

 そして僕らの場合でも、ハクロが使い魔登録されているので、彼女を定期健康診断へ出さなければいけないようであった。

【というか、ワゼさんは使い魔登録しないんですね】
「メイドですからネ。そもそもの話、私はメイドゴーレムであり、生物とはまた違うくくりのような物デス、自分でメンテナンスとして分解していたりしますが、自己修復機能や進化機能で特に問題はないのデス」
「でも、まだ数%ほど壊れている部分はあるよね?」
「…‥‥それはそれ、これはこれデス」

 あ、目をそらした。

 まぁ、ワゼの場合その壊れた個所はどうもブラックボックスのような事になっているらしく、製作者本人ぐらいでないと直せないらしい。

 今の所問題はないが、機会があれば完全に直したいな…‥‥。


 何にせよ、定期健診の日に、僕らは魔法ギルドに訪れていた。

 健診場所はギルドの地下に作られた特別室。

 地下にある理由としては、使い魔たちが暴れたときにすぐに対応しやすいようにしているのだとか。


「暴れるのかなぁ?」
「注射などもあるそうですからネ。それから逃亡するのでしょウ」
「注射で?」
「ええ。人間とは違い、分厚い皮膚を持つ使い魔もいるそうで、それ専用の極太巨大注射があるそうデス」

 なるほど、それは確かに嫌だろうな。

 何にせよ、ハクロを送りつつ、終わるまで僕らはゆっくりと使い魔主専用待合室の場で待つのであった。



―――――――――――――――――――――
SIDEハクロ

【ウゴギュルルウ】
【ビルーン】
【ニュッペ~ラ】

【‥‥‥何か新鮮な光景ですね】

 使い魔用健康診断の列に、ハクロは並びながらそうつぶやいた。

 普段はシアンたちと共に過ごしているのだが、この健康診断では各魔法屋が所有する使い魔たちが並んでいた。

 蛇や犬、猫や鳥などといった一般的なものから、不定形なスライムや熊のようなものなど、ある意味珍しい光景であろう。

 その中では、人型でもあるハクロはやや目立っていた。


「次、23番のアラクネ、ハクロさんの番です」
【あ、はーい】

 自分の番が来て、呼ばれてハクロは返答した。

 健康診断を受ける際、各使い魔の身体によってその内容は異なる。

 鱗や翅ならその艶など、牙は虫歯などがないか、様々な部分で見られるらしい。

 そしてハクロの場合、彼女はアラクネ…‥‥上半身が人間の女性、下半身が蜘蛛の身体で出来ているので、受診も特殊なことになる。

「まずはバスト・ウエスト・・・・あとヒップなどのサイズ測定なのですが、ウエストは上半身部分と下半身の蜘蛛の部分の2か所、ヒップは丁度の境目部分と蜘蛛部分で行います」
【わかりました】

 ハクロの身体を測るのはギルドの女性職員である。

 モンスターとは言え、女性なのでそのあたりの配慮はされていたようだ。

…‥‥なお、彼女の受診の裏で、男性職員も計測したいと願い出ていたそうだが、それらはすべてファンクラブが秘密裏に動き、ハクロに負担がかからないように手回しをしていたのは言うまでもない。

 何にしても、測るためにいったん彼女は衣服を脱いだ。

【よっと】

 上着を脱ぎ、下着を脱ぎ、その肢体がさらされる。

 美しく白い滑らかな肌に、思わず同性とはいえ女性ギルド職員たちも息をのむ。

「で、では測定しますね」

 取り出されたメジャーを使用して、ハクロは測定された。

「‥‥‥モンスターなのに、何このサイズ」
「何を食べたらこんなに育つの‥‥‥?」
「90越えとかしかももうすぐ100……あははは、負けているわ」
「ぐふぅ、絶壁は価値がないと!?」

【?】

 測定後に何故か、数人の女性ギルド職員たちがその結果を見て落ち込んでいたり、嘆いていたりしたが‥‥‥ハクロはその理由が分からず、首をかしげるのであった。

「あ、あのハクロさん。一応健診としてお聞きしますが、普段の食生活とかはどうなさっているのでしょうか?」
【え?そうですね‥‥‥シアンの使い魔になってからは、きちんと三食取ってますね。とは言え、ワゼさんが作る料理なのでバランスは良いはずですよ】
「そうですか…‥‥バランスの良い食事、それが美容の秘訣なのかしら?」
「残業に徹して食をおろそかにしてしまったのかも……」

「あと他に、何か健康に関して気を使っていることなどはあるでしょうか?」
【美容液ですかね】
「美容液・・・・・ですか?」
【ええ。この都市の薬屋、メディさんのところの美容液を定期的に使わせてもらっているんですよ。昔は余り気にしていなかったのですが、ストレスなどで肌が荒れる可能性があるので、その解消にちょうどいいとおっしゃられたので、試しに使って見たらこれが思いのほかしっとりして、気持ちよかったんです】
「なるほどなるほど‥‥‥それもあるのね」
「誰か、至急その店へ向かって美容液を確保しましょう。私たちにとっても重大な事です」

 なにやら真剣に話し始め、動き出す女性職員。

 まぁ、ハクロはその様子を気にせず、どんどん受診していくのであった。


「糸の射出速度なども記録しますが‥‥‥まぁ、これは次回辺りできちんと確認しましょう。アラクネの使い魔のデータはそうそうないので、そのあたりは手探りです」
【ああ、すいませんね。手間を取らせてしまって】
「いえいえ、こちらとしても貴重なデータとなりますので」
「と言うか、今回の結果をもとに次回も調べるのだけれども……またあの美のデータを見せつけられるのねぇ」
「そう考えると、私達の方がちょっと辛いかも……」
「良し、できるだけ私たちも気を使うようにしましょう」



……健康診断後、ハクロはその結果を手に持ってシアンたちの元へ戻った。

 そして、一応異常なしという結果にほっとしたのであった。


 だがしかし、ハクロは知らない。

 今回のデータをもとに、女性職員たちが努力し始めたことを。

 そのおかげで、魔法ギルドの女性職員の美しさが上がり、徐々にその秘訣が広まる事を。

 そして、どこぞやの薬屋では連日売り切れの商品となったせいで、店長が過労で寝込んでしまう事も。


……それは全て、ハクロの事を健診でよく知った女性職員たちの行動によるものなのだが、ハクロが知る事はないのであった。


 なお、ハクロのスリーサイズなどのデータが流出し、ファンクラブ内で論議され、ギルドの情報の機密性がより一層練度を増したのは言うまでもない。

「‥‥‥でも、このデータはすごいな」
「と言うか、見た目よりもあれで着やせしていた方なのかよ‥‥‥包まれたい」
「何にしても、バレたことに彼女が恥ずかしくならないように、秘密にしなければな‥‥‥」

 
 
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