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面倒事は、何故やってくる
#47 反省して改善した‥‥‥はずデス
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SIDEシアン
……新しい家になってから2週間ほど。
花壇の管理人と化し、いつの間にか根っこを足のように器用に動かすドーラに見送られつつ、僕らは都市アルバスへ、今日も魔法屋としての依頼を受けに来ていた。
「んー、今日の依頼はどれも面白そうなのが多いな」
「珍しく、当たり日のようデス」
【こういう時もあるんですね】
今日のギルド内の依頼版は、珍しく当たりだと思えるような依頼が多い。
と言うのも、内容の軽さに比べ報酬も多かったり、内容自体が面白そうだと思えるのがあるのだ。
この当たりの依頼の多さのせいか、魔法ギルド内の他の魔法屋たちも喜んでいるようである。
「今日は中々面白そうなのが多いな」
「ああよかった、今月はちょっと金欠だったからなぁ」
「魔法屋としては、この依頼はどうなのかと思うのもあるが、中々悪くはない」
「蛇吉たちの飼育費で圧迫されるからなぁ、ちょうどよかったなり」
こういう人気の依頼程競争率はあれども、皆が存分にできるほどである。
何にしても、僕らも依頼を選ぶのであった。しかし一人、語尾おかしくなかった?
選んだ本日の依頼は、『商店街での呼び込み作業』である。
以前の薬屋での反省を生かして、一か所に集中させるのではなく、分散しまくって、ある程度負担を減らすのだ。
そう、これこそ平和的な依頼達成方法……であったはずだった。
「こっちの品を3点!後こちらを6点頼む!!」
「いやいやいや!!だったらおすすめにされたあの品を10個、こちらでは30個を!!」
「のーっ!!すべてはこれにするのでーす!!20個くださーい!!
「ふぉぉぉぉぉ!!ふぉぉおぉぉぉぉぉ!!」
「‥‥‥どうしてこうなった?」
……狂乱のような光景とはこの事なのであろうか?
商店街が、これまでに見たことがないほどぎっちぎちに人で埋め尽くされ、その集客効果はすさまじかった。
【皆さん慌てないでくださーい!!こちらの店ではただ今割引中で、こちらはセットで販売中ですので、落ち着いて並んでくださーい!!】
流石にハクロの体格では、この満員すし詰め状態の中を動くのは難しかったので、特別に許可をもらって上の方を糸でつなぎ、あっちこっちを移動して宣伝していたが‥‥‥目まぐるしい忙しさがある。
と言うか、上をハクロが必死で動いている中で、揺れるものとか見えそうな部分を見ようと無駄な努力をしている者たちがいるようだ。
……なんというか、そういう人たちはちょっと面白くない。
「‥‥‥『パルスショック』」
バチィッツ!!
「「「「あんびしゃすぅ!?」」」」
「ご主人様、今魔法で何人かが昏倒しましたが」
「ついうっかり手が滑っただけだよ……ワゼ、とりあえず片付けよう。この人込みなら数人ほど昏倒してもバレないだろうしね」
いや本当にね、ついうっかりなんだよ。‥‥‥でも、何でなのかは自分でも分からないな。
そう思いつつも、ハクロにはバレないように、こっそり倒れた人たちを運ぶのであった。
―――――――――――――――――
SIDEハクロファンクラブ(正式名称近日決定予定)
……実は本日の大混雑、ハクロが客寄せをやっているだけではなかった。
この混雑に置いて、近寄ろうとする者はよほどのもの好きなどならあり得るが、大抵の場合は根気がなくて向かえないだろう。
そう、その根気の無い人ならば、辿り着くことができないという事がファンクラブの人達の狙いだったのだ。
『こちらプーデルワン、対象はこの混雑を見て早々に諦めたもよう。作戦は成功したようだ』
『了解、こちらメーデルワン。まだ油断するな。こちらから確認したが、どうも対象はその身に呪いが浸透しているようだ』
『ヌーッメルワン、こちらでも確認はしたが‥‥‥なんだあの人物は?あれだけの呪いだと、もう頭の前に死んでいそうなものなのだが‥‥‥』
呪い、それは様々な魔法が原因だったり、何かしらの業を犯した者の身につくことがあるモノ。
人為的なモノもあれば、天然のモノもあるのだが‥‥‥‥ファンクラブたちの見立てでは、その人物に憑いていたのは人為的、いや、少々天然とも言えるモノであった。
ただ、あまりにも強すぎる呪いなのに、ぴんぴんしていることに皆違和感を覚えたが、あることに気が付いた。
もしや、呪いへの抵抗手段を持っているのではないだろうかと。
いや、今はそんなことはどうでもいい。
彼らハクロファンクラブ(正式名称近日決定予定)にとって、そのような人物を彼女に近づけたくはないのだ。
ゆえに、今回、彼女の主が受けたい依頼に便乗し、ファンクラブは動いた。
すべてはその呪われし人物を、ハクロへ近づけないためにと。
そして現在、商店街が埋め尽くされているのは、ファンクラブの人員が動いているのだ。
誰の者にもできないが、それでもこの美しさを守るためならばと思い、皆は動く。
……一種の宗教のような気もするが、まぁ、それは別に良い。
何にせよ、目的は果たせたと考えればいいだろう。
だがしかし、その人物になぜそのような呪いがあるのかは、まだ全容をつかめていなかった。
その人物はあちこちを冒険者として活動しているというところまでは得たが‥‥‥おそらくは、その際に何かの呪いを受けたのであろう。
そして、彼らはその人物になぜそのような呪いが憑いたのか、数時間後に知る事になるのであった‥‥‥
……新しい家になってから2週間ほど。
花壇の管理人と化し、いつの間にか根っこを足のように器用に動かすドーラに見送られつつ、僕らは都市アルバスへ、今日も魔法屋としての依頼を受けに来ていた。
「んー、今日の依頼はどれも面白そうなのが多いな」
「珍しく、当たり日のようデス」
【こういう時もあるんですね】
今日のギルド内の依頼版は、珍しく当たりだと思えるような依頼が多い。
と言うのも、内容の軽さに比べ報酬も多かったり、内容自体が面白そうだと思えるのがあるのだ。
この当たりの依頼の多さのせいか、魔法ギルド内の他の魔法屋たちも喜んでいるようである。
「今日は中々面白そうなのが多いな」
「ああよかった、今月はちょっと金欠だったからなぁ」
「魔法屋としては、この依頼はどうなのかと思うのもあるが、中々悪くはない」
「蛇吉たちの飼育費で圧迫されるからなぁ、ちょうどよかったなり」
こういう人気の依頼程競争率はあれども、皆が存分にできるほどである。
何にしても、僕らも依頼を選ぶのであった。しかし一人、語尾おかしくなかった?
選んだ本日の依頼は、『商店街での呼び込み作業』である。
以前の薬屋での反省を生かして、一か所に集中させるのではなく、分散しまくって、ある程度負担を減らすのだ。
そう、これこそ平和的な依頼達成方法……であったはずだった。
「こっちの品を3点!後こちらを6点頼む!!」
「いやいやいや!!だったらおすすめにされたあの品を10個、こちらでは30個を!!」
「のーっ!!すべてはこれにするのでーす!!20個くださーい!!
「ふぉぉぉぉぉ!!ふぉぉおぉぉぉぉぉ!!」
「‥‥‥どうしてこうなった?」
……狂乱のような光景とはこの事なのであろうか?
商店街が、これまでに見たことがないほどぎっちぎちに人で埋め尽くされ、その集客効果はすさまじかった。
【皆さん慌てないでくださーい!!こちらの店ではただ今割引中で、こちらはセットで販売中ですので、落ち着いて並んでくださーい!!】
流石にハクロの体格では、この満員すし詰め状態の中を動くのは難しかったので、特別に許可をもらって上の方を糸でつなぎ、あっちこっちを移動して宣伝していたが‥‥‥目まぐるしい忙しさがある。
と言うか、上をハクロが必死で動いている中で、揺れるものとか見えそうな部分を見ようと無駄な努力をしている者たちがいるようだ。
……なんというか、そういう人たちはちょっと面白くない。
「‥‥‥『パルスショック』」
バチィッツ!!
「「「「あんびしゃすぅ!?」」」」
「ご主人様、今魔法で何人かが昏倒しましたが」
「ついうっかり手が滑っただけだよ……ワゼ、とりあえず片付けよう。この人込みなら数人ほど昏倒してもバレないだろうしね」
いや本当にね、ついうっかりなんだよ。‥‥‥でも、何でなのかは自分でも分からないな。
そう思いつつも、ハクロにはバレないように、こっそり倒れた人たちを運ぶのであった。
―――――――――――――――――
SIDEハクロファンクラブ(正式名称近日決定予定)
……実は本日の大混雑、ハクロが客寄せをやっているだけではなかった。
この混雑に置いて、近寄ろうとする者はよほどのもの好きなどならあり得るが、大抵の場合は根気がなくて向かえないだろう。
そう、その根気の無い人ならば、辿り着くことができないという事がファンクラブの人達の狙いだったのだ。
『こちらプーデルワン、対象はこの混雑を見て早々に諦めたもよう。作戦は成功したようだ』
『了解、こちらメーデルワン。まだ油断するな。こちらから確認したが、どうも対象はその身に呪いが浸透しているようだ』
『ヌーッメルワン、こちらでも確認はしたが‥‥‥なんだあの人物は?あれだけの呪いだと、もう頭の前に死んでいそうなものなのだが‥‥‥』
呪い、それは様々な魔法が原因だったり、何かしらの業を犯した者の身につくことがあるモノ。
人為的なモノもあれば、天然のモノもあるのだが‥‥‥‥ファンクラブたちの見立てでは、その人物に憑いていたのは人為的、いや、少々天然とも言えるモノであった。
ただ、あまりにも強すぎる呪いなのに、ぴんぴんしていることに皆違和感を覚えたが、あることに気が付いた。
もしや、呪いへの抵抗手段を持っているのではないだろうかと。
いや、今はそんなことはどうでもいい。
彼らハクロファンクラブ(正式名称近日決定予定)にとって、そのような人物を彼女に近づけたくはないのだ。
ゆえに、今回、彼女の主が受けたい依頼に便乗し、ファンクラブは動いた。
すべてはその呪われし人物を、ハクロへ近づけないためにと。
そして現在、商店街が埋め尽くされているのは、ファンクラブの人員が動いているのだ。
誰の者にもできないが、それでもこの美しさを守るためならばと思い、皆は動く。
……一種の宗教のような気もするが、まぁ、それは別に良い。
何にせよ、目的は果たせたと考えればいいだろう。
だがしかし、その人物になぜそのような呪いがあるのかは、まだ全容をつかめていなかった。
その人物はあちこちを冒険者として活動しているというところまでは得たが‥‥‥おそらくは、その際に何かの呪いを受けたのであろう。
そして、彼らはその人物になぜそのような呪いが憑いたのか、数時間後に知る事になるのであった‥‥‥
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