拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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その素質の片鱗

#83 不穏な天候デス

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SIDEシアン

 カンカン照りの真夏日だった翌日、嘘のように大雨となっていた。


ザバアアアアアアアアアアア……

「うわぁ‥‥‥バケツをひっくり返したような大雨だな」
【すごい大雨ですよね】

 昨日休んだし、今日は都市へ向かって依頼を受けようと思っていたのが、ゲリラ豪雨並みにひどい。

 ダジャレとかでゴリラ豪雨とか言うやつもいたが、この世界では一部の地域に本当にあるそうだ。



 まぁ、それは置いておくとして、ここまでひどい雨でも洪水とかにはなっていないようだが…‥‥

「‥‥‥おかしいデス」

 と、ここでふとワゼがそうつぶやいた。

「ん?何かおかしいか?」
「ええ、天気の予報なども最近していたのですが、今日はここまでひどい豪雨になる可能性は無かったはずなのデス」

 いつのまにか天気予報が出来るようになっていたのか、と驚きつつも、僕は少し引っかかりを覚えた。

「ん?てことは、この雨はもしかして…‥」
「人為的なものが予想されマスネ」

 
 ワゼの無茶苦茶ぶりはもう身に染みて分かっているので、彼女の天気予報もそう外れることはないはずだ。

 それなのに、こうも豪雨になるという事は‥‥‥‥何者かの手によって人工的に雨が降ったのだろうか?

 一応、魔法でも降らせようと思えば降らせられるようだが、少々魔力の消費が激しい。

 それに、自然を弄るわけにもいかないので、普段はそんな魔法を使うことはしないのだが‥‥‥


「人為的なものだとして、誰がやったとかは分かるかな?」
「不明デス。一応、魔力探知機能程度であれば備え付けられているのですが、この森ですとご主人様やフェンリル一家‥‥‥特にロイヤルさんといった魔力が高すぎる面々で、逆に見えにくいのデス」

 さらっとロイヤルの名前が出たが、ポチはどうなのだろうか?というか、その口ぶりだとロイヤルの方がポチよりも強い‥‥‥‥というのは、もう分かり切った事だったな。うん、それは問題ないか。

「何にしても、人為的なものなのか…‥‥ワゼ、ミニワゼシスターズで原因を調べられないか?}
「可能かもしれまセン。では、今から調査させまショウ」

 この豪雨の中、出かけるのは危険だろう。

 でも、ミニワゼシスターズならば大丈夫なはずである。

 とは言え、メイド服では動きにくいので、今回は雨対策にハクロ糸に防水加工を施した雨合羽を装備してもらい、出てもらう。

「それじゃ、皆頼むよ」

「ツー!」
「スー!」
「ファー!」
「シー!」
「セー!」

 全員びしっと決め、豪雨の中へ出撃する。

 足回りが滑るのも防ぐためにキャタピラを出し、出陣していくその様は何処か勇ましい。

 今の所問題はないとはいえ、このまま振り続けられるのも困るので、調査しに出かけてもらうのであった‥‥‥。


―――――――――――――――――――
SIDEロイヤル

‥‥‥丁度その頃、森の奥のフェンリル一家の巣に、来訪者が来ていた。

 あのヴァルハラは元々の住みかに帰っており、いるのはポチとロイヤル、雨の中でも元気いっぱいにはしゃぐ子フェンリルたちだけである。


【‥‥‥まさか、あなたが来るとは、どういう風の吹き回しでしょうか?】
【いや、グラタン様から挨拶でもしておけと言われたのでな。神獣同士のコミュニケーションというらしい……】

 ロイヤルはやや警戒しつつ尋ねた言葉に、目の前の神獣…‥‥いや、正確にはヨルムンガンドの配下である眷属とも言えるモノ…‥‥そう、見た目が超・巨大ナメクジに羽が生えた生物『グルーン』のグルツゥスはそう答えた。

 表向きは、確かにたまにとる挨拶。


‥‥‥だが、やはりそうごまかせることはない。

【ふん、それではないだろう。あの毒蛇からのだと、挨拶だけではすむまい。おおかた、あの鬼畜ヴァルハラの話に興味を持ったやつが調べるためによこしてきたのだろう?】
【…‥‥ああ、そうだ。ごまかせはしないとは思っていたが‥‥‥】
【あなたがまさか、そこまで頭を使うなんて…‥‥だから今日は大雨なの!?】
【さらっと酷いこと言ってないか!?】

 ポチの言葉にグルツゥスは肯定する。

 ただ、この目の前の威厳0フェンリルが、まさかこうもすぐに答えを導き出すとは思っておらず、ロイヤルの方も同意していたようで、そろって驚愕したのであった。

【はぁ、なぜこうも我が馬鹿に…‥‥いや、それはもう置いておこう】

 溜息を吐きつつも、一種の悟りを開きつつあるポチは話を変える。

【その調べる事とは‥‥‥おそらくは、ヴァルハラから聞いたのだろう。この森に我ら以外に住まう者たちの事に関してだろうな】
【ああ、そうらしい。グラタン様も何故興味を持ったのか、わたしとしては不思議だがな】
【ならば、先に警告しておこう。その者たちと敵対するような真似だけは絶対にやめろ】

 ポチの言葉に、グルツゥスは首を傾げた。

【なぜだ?なぜ猪突猛進突貫脳筋馬鹿と神獣仲間で噂されるお前が、何故そのような警告を?】
【一度、戦闘したことがあってだな、迂闊に敵に回せばそれこそ危険だと‥‥‥‥いや、ちょっと待て。なんだその噂、初耳なのだが】
【…‥‥まぁ、色々とな。しかし、そうか、そのような警告をする相手とは…‥‥逆に興味がわき始めたな】
【おいコラ、何故答えぬ】

 ポチの言葉に耳を貸さず、動き始めるグルツゥス。

 もともとはヨルムンガンドのグラタンから命じられたことであったが、ポチからこうも警告が来るとは思わず、興味を持つ。

【ならば、戦いを挑んでみるか…‥‥おおよその森の中での位置は掴んでいるし、そこへ向かう。ああ、安心しろ、そちらに被害は出ぬようにやるからな】
【あら、そう?でも甘く見ない方が良いわよ。馬鹿夫は見事に返り討ちに遭ったし、あなたも第2の犠牲者になるかもね】
【そうなれば、笑い話だがな】

 後ろでぎゃーすかと騒ぐポチを放置しつつ、ロイヤルの言葉に苦笑を漏らすグルツゥス。


 だがこの後、グルツゥスは本当に後悔する羽目になる事は、グルツゥス自身思ってもいないのであった‥‥‥
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