90 / 459
その素質の片鱗
#83 不穏な天候デス
しおりを挟む
SIDEシアン
カンカン照りの真夏日だった翌日、嘘のように大雨となっていた。
ザバアアアアアアアアアアア……
「うわぁ‥‥‥バケツをひっくり返したような大雨だな」
【すごい大雨ですよね】
昨日休んだし、今日は都市へ向かって依頼を受けようと思っていたのが、ゲリラ豪雨並みにひどい。
ダジャレとかでゴリラ豪雨とか言うやつもいたが、この世界では一部の地域に本当にあるそうだ。
まぁ、それは置いておくとして、ここまでひどい雨でも洪水とかにはなっていないようだが…‥‥
「‥‥‥おかしいデス」
と、ここでふとワゼがそうつぶやいた。
「ん?何かおかしいか?」
「ええ、天気の予報なども最近していたのですが、今日はここまでひどい豪雨になる可能性は無かったはずなのデス」
いつのまにか天気予報が出来るようになっていたのか、と驚きつつも、僕は少し引っかかりを覚えた。
「ん?てことは、この雨はもしかして…‥」
「人為的なものが予想されマスネ」
ワゼの無茶苦茶ぶりはもう身に染みて分かっているので、彼女の天気予報もそう外れることはないはずだ。
それなのに、こうも豪雨になるという事は‥‥‥‥何者かの手によって人工的に雨が降ったのだろうか?
一応、魔法でも降らせようと思えば降らせられるようだが、少々魔力の消費が激しい。
それに、自然を弄るわけにもいかないので、普段はそんな魔法を使うことはしないのだが‥‥‥
「人為的なものだとして、誰がやったとかは分かるかな?」
「不明デス。一応、魔力探知機能程度であれば備え付けられているのですが、この森ですとご主人様やフェンリル一家‥‥‥特にロイヤルさんといった魔力が高すぎる面々で、逆に見えにくいのデス」
さらっとロイヤルの名前が出たが、ポチはどうなのだろうか?というか、その口ぶりだとロイヤルの方がポチよりも強い‥‥‥‥というのは、もう分かり切った事だったな。うん、それは問題ないか。
「何にしても、人為的なものなのか…‥‥ワゼ、ミニワゼシスターズで原因を調べられないか?}
「可能かもしれまセン。では、今から調査させまショウ」
この豪雨の中、出かけるのは危険だろう。
でも、ミニワゼシスターズならば大丈夫なはずである。
とは言え、メイド服では動きにくいので、今回は雨対策にハクロ糸に防水加工を施した雨合羽を装備してもらい、出てもらう。
「それじゃ、皆頼むよ」
「ツー!」
「スー!」
「ファー!」
「シー!」
「セー!」
全員びしっと決め、豪雨の中へ出撃する。
足回りが滑るのも防ぐためにキャタピラを出し、出陣していくその様は何処か勇ましい。
今の所問題はないとはいえ、このまま振り続けられるのも困るので、調査しに出かけてもらうのであった‥‥‥。
―――――――――――――――――――
SIDEロイヤル
‥‥‥丁度その頃、森の奥のフェンリル一家の巣に、来訪者が来ていた。
あのヴァルハラは元々の住みかに帰っており、いるのはポチとロイヤル、雨の中でも元気いっぱいにはしゃぐ子フェンリルたちだけである。
【‥‥‥まさか、あなたが来るとは、どういう風の吹き回しでしょうか?】
【いや、グラタン様から挨拶でもしておけと言われたのでな。神獣同士のコミュニケーションというらしい……】
ロイヤルはやや警戒しつつ尋ねた言葉に、目の前の神獣…‥‥いや、正確にはヨルムンガンドの配下である眷属とも言えるモノ…‥‥そう、見た目が超・巨大ナメクジに羽が生えた生物『グルーン』のグルツゥスはそう答えた。
表向きは、確かにたまにとる挨拶。
‥‥‥だが、やはりそうごまかせることはない。
【ふん、それではないだろう。あの毒蛇からのだと、挨拶だけではすむまい。おおかた、あの鬼畜ヴァルハラの話に興味を持ったやつが調べるためによこしてきたのだろう?】
【…‥‥ああ、そうだ。ごまかせはしないとは思っていたが‥‥‥】
【あなたがまさか、そこまで頭を使うなんて…‥‥だから今日は大雨なの!?】
【さらっと酷いこと言ってないか!?】
ポチの言葉にグルツゥスは肯定する。
ただ、この目の前の威厳0フェンリルが、まさかこうもすぐに答えを導き出すとは思っておらず、ロイヤルの方も同意していたようで、そろって驚愕したのであった。
【はぁ、なぜこうも我が馬鹿に…‥‥いや、それはもう置いておこう】
溜息を吐きつつも、一種の悟りを開きつつあるポチは話を変える。
【その調べる事とは‥‥‥おそらくは、ヴァルハラから聞いたのだろう。この森に我ら以外に住まう者たちの事に関してだろうな】
【ああ、そうらしい。グラタン様も何故興味を持ったのか、わたしとしては不思議だがな】
【ならば、先に警告しておこう。その者たちと敵対するような真似だけは絶対にやめろ】
ポチの言葉に、グルツゥスは首を傾げた。
【なぜだ?なぜ猪突猛進突貫脳筋馬鹿と神獣仲間で噂されるお前が、何故そのような警告を?】
【一度、戦闘したことがあってだな、迂闊に敵に回せばそれこそ危険だと‥‥‥‥いや、ちょっと待て。なんだその噂、初耳なのだが】
【…‥‥まぁ、色々とな。しかし、そうか、そのような警告をする相手とは…‥‥逆に興味がわき始めたな】
【おいコラ、何故答えぬ】
ポチの言葉に耳を貸さず、動き始めるグルツゥス。
もともとはヨルムンガンドのグラタンから命じられたことであったが、ポチからこうも警告が来るとは思わず、興味を持つ。
【ならば、戦いを挑んでみるか…‥‥おおよその森の中での位置は掴んでいるし、そこへ向かう。ああ、安心しろ、そちらに被害は出ぬようにやるからな】
【あら、そう?でも甘く見ない方が良いわよ。馬鹿夫は見事に返り討ちに遭ったし、あなたも第2の犠牲者になるかもね】
【そうなれば、笑い話だがな】
後ろでぎゃーすかと騒ぐポチを放置しつつ、ロイヤルの言葉に苦笑を漏らすグルツゥス。
だがこの後、グルツゥスは本当に後悔する羽目になる事は、グルツゥス自身思ってもいないのであった‥‥‥
カンカン照りの真夏日だった翌日、嘘のように大雨となっていた。
ザバアアアアアアアアアアア……
「うわぁ‥‥‥バケツをひっくり返したような大雨だな」
【すごい大雨ですよね】
昨日休んだし、今日は都市へ向かって依頼を受けようと思っていたのが、ゲリラ豪雨並みにひどい。
ダジャレとかでゴリラ豪雨とか言うやつもいたが、この世界では一部の地域に本当にあるそうだ。
まぁ、それは置いておくとして、ここまでひどい雨でも洪水とかにはなっていないようだが…‥‥
「‥‥‥おかしいデス」
と、ここでふとワゼがそうつぶやいた。
「ん?何かおかしいか?」
「ええ、天気の予報なども最近していたのですが、今日はここまでひどい豪雨になる可能性は無かったはずなのデス」
いつのまにか天気予報が出来るようになっていたのか、と驚きつつも、僕は少し引っかかりを覚えた。
「ん?てことは、この雨はもしかして…‥」
「人為的なものが予想されマスネ」
ワゼの無茶苦茶ぶりはもう身に染みて分かっているので、彼女の天気予報もそう外れることはないはずだ。
それなのに、こうも豪雨になるという事は‥‥‥‥何者かの手によって人工的に雨が降ったのだろうか?
一応、魔法でも降らせようと思えば降らせられるようだが、少々魔力の消費が激しい。
それに、自然を弄るわけにもいかないので、普段はそんな魔法を使うことはしないのだが‥‥‥
「人為的なものだとして、誰がやったとかは分かるかな?」
「不明デス。一応、魔力探知機能程度であれば備え付けられているのですが、この森ですとご主人様やフェンリル一家‥‥‥特にロイヤルさんといった魔力が高すぎる面々で、逆に見えにくいのデス」
さらっとロイヤルの名前が出たが、ポチはどうなのだろうか?というか、その口ぶりだとロイヤルの方がポチよりも強い‥‥‥‥というのは、もう分かり切った事だったな。うん、それは問題ないか。
「何にしても、人為的なものなのか…‥‥ワゼ、ミニワゼシスターズで原因を調べられないか?}
「可能かもしれまセン。では、今から調査させまショウ」
この豪雨の中、出かけるのは危険だろう。
でも、ミニワゼシスターズならば大丈夫なはずである。
とは言え、メイド服では動きにくいので、今回は雨対策にハクロ糸に防水加工を施した雨合羽を装備してもらい、出てもらう。
「それじゃ、皆頼むよ」
「ツー!」
「スー!」
「ファー!」
「シー!」
「セー!」
全員びしっと決め、豪雨の中へ出撃する。
足回りが滑るのも防ぐためにキャタピラを出し、出陣していくその様は何処か勇ましい。
今の所問題はないとはいえ、このまま振り続けられるのも困るので、調査しに出かけてもらうのであった‥‥‥。
―――――――――――――――――――
SIDEロイヤル
‥‥‥丁度その頃、森の奥のフェンリル一家の巣に、来訪者が来ていた。
あのヴァルハラは元々の住みかに帰っており、いるのはポチとロイヤル、雨の中でも元気いっぱいにはしゃぐ子フェンリルたちだけである。
【‥‥‥まさか、あなたが来るとは、どういう風の吹き回しでしょうか?】
【いや、グラタン様から挨拶でもしておけと言われたのでな。神獣同士のコミュニケーションというらしい……】
ロイヤルはやや警戒しつつ尋ねた言葉に、目の前の神獣…‥‥いや、正確にはヨルムンガンドの配下である眷属とも言えるモノ…‥‥そう、見た目が超・巨大ナメクジに羽が生えた生物『グルーン』のグルツゥスはそう答えた。
表向きは、確かにたまにとる挨拶。
‥‥‥だが、やはりそうごまかせることはない。
【ふん、それではないだろう。あの毒蛇からのだと、挨拶だけではすむまい。おおかた、あの鬼畜ヴァルハラの話に興味を持ったやつが調べるためによこしてきたのだろう?】
【…‥‥ああ、そうだ。ごまかせはしないとは思っていたが‥‥‥】
【あなたがまさか、そこまで頭を使うなんて…‥‥だから今日は大雨なの!?】
【さらっと酷いこと言ってないか!?】
ポチの言葉にグルツゥスは肯定する。
ただ、この目の前の威厳0フェンリルが、まさかこうもすぐに答えを導き出すとは思っておらず、ロイヤルの方も同意していたようで、そろって驚愕したのであった。
【はぁ、なぜこうも我が馬鹿に…‥‥いや、それはもう置いておこう】
溜息を吐きつつも、一種の悟りを開きつつあるポチは話を変える。
【その調べる事とは‥‥‥おそらくは、ヴァルハラから聞いたのだろう。この森に我ら以外に住まう者たちの事に関してだろうな】
【ああ、そうらしい。グラタン様も何故興味を持ったのか、わたしとしては不思議だがな】
【ならば、先に警告しておこう。その者たちと敵対するような真似だけは絶対にやめろ】
ポチの言葉に、グルツゥスは首を傾げた。
【なぜだ?なぜ猪突猛進突貫脳筋馬鹿と神獣仲間で噂されるお前が、何故そのような警告を?】
【一度、戦闘したことがあってだな、迂闊に敵に回せばそれこそ危険だと‥‥‥‥いや、ちょっと待て。なんだその噂、初耳なのだが】
【…‥‥まぁ、色々とな。しかし、そうか、そのような警告をする相手とは…‥‥逆に興味がわき始めたな】
【おいコラ、何故答えぬ】
ポチの言葉に耳を貸さず、動き始めるグルツゥス。
もともとはヨルムンガンドのグラタンから命じられたことであったが、ポチからこうも警告が来るとは思わず、興味を持つ。
【ならば、戦いを挑んでみるか…‥‥おおよその森の中での位置は掴んでいるし、そこへ向かう。ああ、安心しろ、そちらに被害は出ぬようにやるからな】
【あら、そう?でも甘く見ない方が良いわよ。馬鹿夫は見事に返り討ちに遭ったし、あなたも第2の犠牲者になるかもね】
【そうなれば、笑い話だがな】
後ろでぎゃーすかと騒ぐポチを放置しつつ、ロイヤルの言葉に苦笑を漏らすグルツゥス。
だがこの後、グルツゥスは本当に後悔する羽目になる事は、グルツゥス自身思ってもいないのであった‥‥‥
32
あなたにおすすめの小説
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
エルティモエルフォ ―最後のエルフ―
ポリ 外丸
ファンタジー
普通の高校生、松田啓18歳が、夏休みに海で溺れていた少年を救って命を落としてしまう。
海の底に沈んで死んだはずの啓が、次に意識を取り戻した時には小さな少年に転生していた。
その少年の記憶を呼び起こすと、どうやらここは異世界のようだ。
もう一度もらった命。
啓は生き抜くことを第一に考え、今いる地で1人生活を始めた。
前世の知識を持った生き残りエルフの気まぐれ人生物語り。
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバ、ツギクルにも載せています
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?
八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ
『壽命 懸(じゅみょう かける)』
しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。
だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。
異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる