拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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何をやらかしてくれるのでしょうか

#130 苦いもの前に甘いものデス

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SIDEシアン

「っ……」
【あ、シアン大丈夫でしょうか?】
「ハクロ……」

 目を覚ますと、ハクロの顔が近くにあった。

 どうやらベッドに寝かされていたようで、ハクロはずっとそばにいたらしい。


「‥‥‥そっか、そういえばさっきのゲームで、潰されたんだっけ」
【うっ】

 この状況を理解してつぶやいた言葉に、ハクロがびしっと固まった。

「いや、気に病むようなことじゃないよ。予想し切っていなかったが故の、事故だからね」

 手を伸ばし、そっとハクロの頭をなでる。

 流石に床の方が持たないという事まで想定していなかったからね‥‥‥普通に歩くのならまだしも、一点集中に近い力であちこちに力が加わり過ぎたのが原因だろう。

 後でワゼに起こられる未来しか見えないが、今はその現実逃避をしたい。


「そのうえ、ちょっと潰された僕を手当てして、ここに寝かせてくれたんだろう?ありがとう、ハクロ」
【は、はい!】

 微笑みながらそう言葉にすると、ハクロがびしっと身体を伸ばして答える。

「っと‥‥」

 と、まだちょっと治り切っていなかったのか、少しだけふらついた。

【よっと】

 ふらついた身体を支えるように、ハクロが手を伸ばして受け止める。

【まだちょっとショックが原因で、身体が治っていませんよ。安静にしてください】
「んー‥‥でも、まだハクロと遊びたかったんだけど‥‥‥」

 せっかくの二人きりだし、もうちょっと仲を深めたい。

 そこでふと、僕は思いついた。

「それじゃあハクロ、ちょっと食指をベッドに乗せて。あ、先は曲げてね」
【?】

 足を曲げ、ベッドの位置に体を合わせ、ハクロが食指をベッドの上に乗せる。

 人で言うのであれば足のように見える部分だが、アラクネの場合は捕らえた獲物を逃さないために使用される部位でもあるらしく、先端部分は人の足の形状をしていない。

 でも、根元の部分・・・・・そこはきちんとね。

「もうちょっと上‥‥‥そこでストップ」
【ええと、シアン?これで何を‥‥‥】
「それじゃ、ちょっと寝かせてもらうね」
とすっ

 首をかしげるハクロに対して、僕はその柔らかい、ふとももものような部分になっている食指の上部へ頭を乗せた。

【!?】
「あ、やっぱり結構柔らかいというか‥‥膝枕のようだ」

 普段の体勢であれば少々やりにくいが、ベッドの高さと合わせて使えば可能と判明。

 そう、ハクロの膝枕である。

 食指なので正確には違うかもしれないが、高さ、柔らか、温かさ共に最適というか、すごい心地よい。

 語彙力の無さが悔やまれるが…‥‥それでも、一言で言うの出れば快適としか言いようがない。

【え、えっとシアン。ここ膝でもないし、ちょっと高めなのですが‥‥】
「良いよ良いよ、大丈夫だよハクロ」

 僕へ問いかけるハクロだが、身体を横にして僕はそう答える。

 真上に向けず、お腹とは反対側の方へ視線を向けたが‥‥‥まぁ、上を見ると顔が見にくいし、お腹の方へ向けるとちょっとばかり見えるからね。

 背を向ける形に近いが、それでも中々安心できるような、心地よい膝枕。

 ハクロの蜘蛛の部分の背中の乗り心地も良いが、こちらの乗せ心地も悪くない。


 段々とその心地よさに、意識が沈み始める。

「ふわぁ‥‥‥ちょっとここで寝かせてね、ハクロ」
【えええええ……】

 ちょっと困ったような声が面白く感じられつつ、僕はそのまま眠るのであった‥‥‥


――――――――――――
SIDEハクロ

【シアン…‥‥あ、ダメですねこれ。完全に眠られてしまいました…‥‥】
「すぅ……すぅ……」

 寝息を立て、熟睡し始めたシアンにハクロはなすすべがなかった。

 
 自分の食指を、人間の膝枕のようにされ、そのまま眠られてしまったのだが、コレデはハクロは動きようはない。

 迂闊に動けば眠りを妨げそうだし、かと言って…‥‥

【‥‥‥これはこれで、悪くないですよね】

 自分の足元、いや、食指元で寝息を立てるシアンの温かさに、彼女自身も心地よさを得ていた。


 でも、こちら側に顔を向けないのは、シアンなりに配慮しているところがあるのかもしれないが‥‥‥できれば、遠慮なく顔を向けて欲しい。

 寝ているこの隙に、起こさないように慎重に手で動かし、シアンの身体をハクロ側の方へ向ける。

【ふふふ、ぐっすり寝てしまってますね…‥‥】

 そっと顔に手で触れ、寝息を立てているシアンを微笑ましく見るハクロ。

 大好きな相手が、自分の身体でぐっすりと寝ているのは、嬉しいのだが…‥‥できればやはり、起きて話してもらいたいところもある。





 そう思っている中で、ハクロは自分の足が辛くなってきた。

 ベッドに合わせて足をかがめているが、人間でいうのであれば屈伸の曲げた状態維持の状態。

 できればもう少し高くして、立った状態で楽にしたいのだが…‥‥と、ここでふとハクロは閃く。



 しゅるるるっと糸を出し、ベッドの四方に糸をくくりつけ、天井に貼りつける。

 そして、糸を引っ張り上げればベッドが高くなり、自然な高さにまで上がった。

 ついでに自分の身体の方にも糸を通らせ、即製のハンモックを作り、身体を乗せて楽にする。

 こうしてしまえば、負担もほとんどなく、シアンに膝枕が出来るのだ。

【ふわぁ‥‥‥ちょっと私も眠くなってきましたね】

 じっとしているうちに眠気が来て、ハクロもうつらうつらとしてきた。

 ただ、このまま眠ってしまった場合、上半身が前のめりになって、再びシアンを圧迫してしまう可能性がある。

【‥‥‥でしたら、これでいいかもしれません】

 糸を伸ばし、自分の身体が倒れ込み過ぎないように少々つるし上げる。

 糸が体に食い込むが、ゴムのように伸びるようにしたタイプなのでそこまで圧迫感もない。

【それじゃ、私も寝ますね‥‥‥シアン】

 少しだけシアンを起こさないように動かし、そっとその顔にハクロは口づけをする。

 そしてすぐに膝枕の状態へ戻し、彼女自身も寝息を立てはじめるのであった‥‥‥




……数時間後、都市キュルストンでそれ相応の準備をしてきたワゼたちと、子フェンリルたちと遊んできたドーラが帰宅してきて、その光景を見てニヤリと笑みを浮かべた。

「出来れば、ここからさらに深まると面白いんですけれどネ。清き交際状態なのが、ちょっとばかりもどかしいデス」
【シャゲ?シャシャゲ】
「ええ、その手の薬を盛るのは流石にいたしまセン。確かにもどかしいですが、ご主人様にとっては自然に深めたほうが良いと判断できますからネ。‥‥‥ですが、ちょっとばかりハクロさんに嫉妬したくなりマス」

 ワゼにとっては、ご主人様であるシアンがハクロを愛しているのは、ちょっとばかりメイドとして嫉妬を覚える。
 
 ゆえに、後でしっかりハクロをからかいまくろうと思い、密かに隠し撮りをして、その光景を撮った写真がとある組織に流され、羨ましすぎて血の涙が溢れたり、自分がその立場であったらと想像し、血の花を咲かせて倒れ込む者たちがいたのも、言うまでもなかった‥‥‥‥
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