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何をやらかしてくれるのでしょうか
閑話 ‥‥‥とある記録デス
しおりを挟む……それは、我が一族にとっては当たり前の行為であった。
捕え、捕食し、再び別のモノを求めて再び繰り返す。
我が一族はその行為を繰り返しつつ、数を増やしていた。
討伐しようとしてくる者たちもいたが、大抵は意味をなさない。
我が一族は、冷酷に対処し、害をなす者を許さないのだから。
……しかしながら、その最中で、私はある変わった娘を授かった。
我が一族はそろって冷たい眼差しを持ち、それに合わせて心まで冷たくしていたはずである。
だが、今回私が授かった娘は、何というかそれらとは真逆であった。
美貌はあるが、冷たいものではなく、ほんわかとした太陽のような温かさを持つ。
心もまた冷酷などではなく、ほのぼのと、どこか緩い感じであった。
清き白さを持ち、のんびりとしつつどこか抜けている我が娘。
我が一族ではありえない様な気もしたが…‥‥それでも、間違いなく、大事な娘であった。
冷酷な風が吹き抜け、満たされない様な嵐があった我が一族は、私の娘の温かさに癒された。
喰らい、血に染まり、襲撃しているその様子を見せないように交代で遠ざけさせ、娘を我が一族のように染まらせないように、何時しか注意を払っていた。
ああ、可愛らしい私の娘。
まるで、一族の悪しき者をすべて優しき者に変える様な、癒しの娘。
欲望に飢えた一族の、唯一の温かい拠り所。
皆で可愛がり、それでいて我が一族は行為を改めることはできなくとも、娘には伝えないように協力し合う。
純粋なその優しさを汚さないように、愛情を注ぎ、大切に育て上げる。
大事に育て上げていくうちに、娘は美しく育っていき、その美貌は一族の誰よりも勝った。
嫉妬する者もでたが、それでも大事な一族の娘であり、すぐに勝てない美貌だと悟り、優しく接するようになった。
……とは言え、問題もあった。
我が一族のそれぞれの相手は、各自攫いつつ、増やす種とし、終われば喰らい、また探すようにしている。
だがしかし、その大事な娘にはそのような行為をしてほしくないという想いが、皆に湧き上がっていた。
娘を捨てず、本当に大事に愛せる様な、それでいて娘も想い合えるような、損な相手が欲しい。
いつもいつも、他から奪うだけであった一族ではあったが、その娘の相手に関してだけは妥協したくなかった。
最高の相手、真に愛せる者のみを娘に与えたかった‥‥‥‥。
その者を捜していたりしたのだが…‥‥ある時、その日々は終わってしまった。
いや、今までの行いを清算させられたというべきなのだろうか。
……いつものように、娘には見られないようにしつつ、奪ったばかりの者たちを性的に捕食していく。
穢れ無きあの子の相手になるような者がいないかと品定めをしてみたが、そうそういい相手はないようだ。
そう考えつつ、ふと私たちはきな臭さを感じた。
見れば、いつの間にか周囲に火が回っており、炎上していたのである。
慌ててその場を離れようとしたところで……仲間が撃たれた。
そう、どうやらこの奪った者たちを追跡し、やってきた冒険者たちが、我が一族を討伐し始めたのである。
応戦しようにも、先ほどの火災の影響ですぐには動けない者や、慌て過ぎていつも通りの実力が出せない者がおり、地の利があった場所だが、炎上によって無くなっている。
次第に倒されていき、最後には私だけが残って迎撃しようとしたが…‥‥敗れてしまった。
大剣を振るわれ、弓矢と魔法が直撃し、頭を殴り飛ばされる。
力尽き、目もかすみ、もう動けなくなったところで‥‥‥‥その声が聞こえた。
【あううううっ‥‥‥】
行為を見られないようにするために、一時的に離れていた娘の声が。
霞む目で捉えて見れば、倒れた一族の者たちに駆け寄り、焼けた者や切り裂かれた者たちの手を取っては、生死を確認している。
と、我が一族を襲ってきた冒険者たちが、娘の元へ近づくのが見えた。
ああ、いけない。それ以上、進んではいけない。
逃げて、逃げて、大事な我が娘よ…‥‥
身体を動かそうにも、力は入らない。
冒険者たちが娘へ近づき、剣を振り下ろそうとしたが…‥‥そこで、予想外の事が起きた。
どうも娘を直視して‥‥‥‥その美貌にやられたらしい。
一瞬、固まったかと思うと急に議論し始めた。
聞こえてくる内容は…‥‥討伐するべきか、彼らの慰み者にすべきか…‥‥聞くに堪えないような内容。
だが、娘の美貌が彼らを止め、そして同士討ちをし始めさせるとは、ある意味罪深き娘の美貌である。
だが、この隙を逃してはならない。
最後の命を燃やし尽くす勢いで、私は力を振り絞り、動けないはずの身体を無理やり動かすという暴挙に出て、この命で最後の糸を放った。
感触すらも分からない様な、か細い糸。
その糸で、娘の顔を一旦別の方向へ向けさせ、逃げるように促す。
冒険者たちから視線を外し、逃走経路を見つけたのか娘は駆けだし、その場を去っていく。
娘の姿が見えなくなったところで、遂に私は完全に動けなくなった。
聞こえてくるのは、同士討ちしている愚かな冒険者たちと、死肉をかぎつけ喰らうべくやって来た獣たちの足音だけ。
……大事な、大事な私の娘。
一族の者たちはもう亡くなってしまったが、せめて、真に愛してくれるような者に恵まれて欲しい。
欲望で纏わりつく者ではなく、真に想い、互いに愛しあえるようなそんな相手に。
娘の幸せを願いながら、同士討ちしている愚か者達の横から隠れてやって来た獣たちが近づき、大きな口を開けてきたところで、私の命は尽きたのであった…‥‥
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