拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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何をやらかしてくれるのでしょうか

#133 メイドの手のひらの上なのデス

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SIDE第2皇子ゴジャール

……朝になり、ゴジャールたちは都市にある馬車用の停留所にとどまっていた。

 彼の周りには帝国から一緒の取りまきたちと、物陰には私兵たちが相手の顔を確認しておくために数人ほど潜んでいた。

「ゴジャール様、なぜこのような場所で待ち伏せを?」

 取りまきの一人が、疑問の声を上げる。

「先日の都市キュルストンでは、無駄な人込みの中にいたがゆえに、余たちは撒かれてしまった!!騒ぎもいらぬほど大きくなってしまったし、都市内でやらかすのは少々不味いであろう!!」
「なるほど‥‥‥それで馬車の停留所ですか」
「そういうことだ!!幸いというべきか、どうも今日は人も少ないし、目撃情報も最小限にできるのだ!」


 そうこうしているうちに、一台の馬車が接近してくるのが目に見えた。

「ほぅ、中々の大型馬車‥‥‥‥あれだな!!」


 事前に集めた情報から、ある程度の確信を持ちつつ、彼らはその馬車が停車するのを待つ。

 そして、その馬車から降りてきた人物たちを見て、ゴジャールは満足そうな笑みを浮かべた。

「うむ、ちょうど当たりだったな…‥‥まさに余の思い描いた計算通りである!!」



―――――――――――――――――――
SIDEシアン

「…‥‥うわぁ、想定通りやっぱり待ち伏せていたよ」
【私兵の姿はありませんが…‥‥周囲に潜んでいそうですよね】
「いえ、確実に潜んでいマス。ちょっとばかり工作したとはいえ、こうも人が少ない時を罠とも思わずに堂々と狙ってくるあたり馬鹿ですが…‥‥」

 馬車に据え付けた窓から見える、馬鹿殿下の姿を見て僕らは思わず呆れたような声が出た。

 いや、呆れるのは後にして、今はまず作戦を遂行しよう。



 取りあえず、気が付かないふりをして馬車を止め、僕らは下車する。



 数歩ほど歩いたところで…‥‥物陰から隠れていたらしいバレバレの馬鹿殿下一行が出て来た。

「よーしよしよし!!久しぶりだな、不思議ポケットメイドにその主!!後オマケ!!」
「久し振りって言われても、数日前なんだが‥‥‥」
「不思議ポケットって、メイド要素抜かれていマス」
【私オマケ扱い!?】

 言われてみれば、ある意味珍しい。ハクロの方を狙う輩が多かったので、このように彼女をオマケ扱いというか、興味ないように言うのはある意味新鮮である。

「そんなことはさておき、先日はよくも余の交渉を断ったな!!とはいえ余は寛大、ゆえにこの場で再びそのメイド服について交渉をさせてもらおう!!」
「お断りします」
「‥‥‥ぬわにぃ!?」

 僕の返答に、予想していなかったのか驚愕の声を上げる馬鹿殿下。

 いや、流石に予想できるよね‥‥‥‥まさかとは思うが、都市の移動で考え直したとかそういう風に考えていたのではなかろうか?

「そもそもなのですが、私のメイド服の機能は私以外効果はありまセン。譲ったところで、ただのメイド服となるだけデス」
「黙れぇ!!それは嘘であろう!!そのような超絶便利なものが、そう都合良くできているはずがないのだ!!」

 都合が良いのはお前の頭だというツッコミが入りそうだが、今は入れないほうが良いだろう。

「おおかた、その便利な衣服を譲りたくない、独占したいだけであろう!!そのような秘宝のようなメイド服は、余たちの方が使いこなせるのに渡さないのか!!」
「思いっきりそちらが独占したように聞こえるんだけど」
「そもそも、使いこなすとか言っていますが…‥‥仮に私がメイド服を譲ったとして、そちらはどなたが着るのでしょうカ?」

 その質問に対して、馬鹿殿下はしばし考え、すぐに返答した。


「おおっと!!都市キュルストンでのような変態呼ばわりは嫌でな!!そのメイド服はその便利なポケットを切り取って、後は廃棄処分なのだ!!さすがに着れるような人材はいないのでな!!」

……意外にも、そこは考えていたらしい。

 そもそも、求めているのはワゼのメイド服のポケットで有り、メイド服自体はオマケのようなものと考えられる。

「おおぅ?そう考えるとメイド服全部の購入ではなく、その大容量の謎ポケットだけの購入で良かったな‥‥‥良し!!その部分だけ切り取って余へ渡せ!!」
「メイドの衣服の一部だけ切り取って…‥‥‥その行為だけ聞くと、ちょっとなぁ」

 なんだろう、まだまともな案っぽいのに、色々アウトな気がする。


「と言うか、渡せとか、もはや交渉ではなくて命令になっていますよね?僕らにはそのような命令を聞く義務はありませんし、そもそもの話なのですが、あなた方はどなたなのでしょうか?」

 既にワゼの情報網で調査済みだが、最初からこいつらは名乗っていない。

 ここで堂々と名乗りを上げ、自らの身分を明かすほどの愚行をする可能性は…‥‥


「ふはははははは!!余の事を知らぬのなら無理もない!!余は第2皇子ゴジャール・ザ・ベルガモット。そう!!ベルガモット帝国の時期帝王となるであろう者なのだぁぁぁぁ!!」

……100%であった。というか、第2皇子という事は他にもいるのに、堂々と時期帝王宣言をして良い物なのだろうか?場合によっては、詐欺にもなると思うが‥‥‥


「そうですカ。帝国の皇子なのですカ」
「ああそうだ!!さぁ、それが分かれば余にそのメイド服のポケットを」
「でもここはベルガモット帝国ではなく、ボラーン王国内デス。帝国ではないですし、仮に帝国民であろうとあなたのような人が皇子なのか色々と疑いますヨ」

 ワゼの言葉に、カキンッと馬鹿殿下が固まる。

「なっ、なっ、余を疑うというのか!!この無礼者ども!!」
「そうだそうだ!!このお方こそ、帝国の第2皇子!!」
「色々と声がでかいが、それでも時期帝王になられる方だぞ!!」
「今は負け組だが、それでも帝国の皇子であるのだ!!」

 皇子の言葉に取りまきたちもフォローする。

 しかし、さりげなく普段の嫌さがにじみ出ているような気がするのだが…‥‥その取りまきの皆さん、本当はこの皇子嫌がってませんかね?


「ええい!!問答無用!!そもそも最初から交渉なんぞ無駄だったのだ!!」

 取りまきたちの言葉にさりげなくイラついたのか、それともすでに思い通りにいかない時点でイラついていたのだろうか。

「一旦ここで打ちきりだ!!覚えていろぉ!」

 そう小物臭たっぷりな捨て台詞を吐き、馬鹿殿下及び取りまきたちが去っていった。


 ここであきらめて逃げたふりをしているようだが……この後どう動くのか既に予測済み。

 ワゼたちの調査でも大体わかっているのだし、今はここまでにしておこう。

 お楽しみは‥‥‥いや、簡単に潰せるものだから、楽しみと言う訳でもないか。

 いうのであれば、あの馬鹿殿下がこの後やらかす行為に対して僕らはきちんと徹底的に反撃するのだが…‥‥その時に浮かべるであろう馬鹿殿下の絶望の表情が面白そうである。


「というか、相手にするだけで結構ストレスがたまったな‥‥‥」
「あの手の馬鹿の行動は読みやすいですが、その行動に移させるまでが本当にストレスが溜まりマス」

 はぁっとワゼと互に僕は溜息を吐いた。

【まぁまぁ、後で解消すればいい話しですよ。私なんて、途中から完璧に空気と化して無視されてましたからね】

 さらっとハクロがそうつぶやいたが、確かに彼女が珍しく空気であった。

 なんとなく言いようの無いような空気が漂う。

 とにもかくにも、後での追殲滅作業でストレス発散することにしたのであった‥‥‥


「でも、やっぱりちょっとストレスあるなぁ‥‥‥あ、そうだ。ハクロ、ちょっと手を出して」
【はい?】

 首を傾げつつも、ハクロは手を出してきた。

 その手に対して、僕も手を伸ばし、ぎゅっと手をつないだ。

「こうやって手をつないでギルドへ向かおっか。たまにはこういうのもいいだろう?」
【‥‥‥はい!】

 ぎゅっと握り返し、返事するハクロ。

 こういう軽い事でも、互に感じられると安心感もあるし、ストレスも軽くなる。

 そう思いつつ、僕らは魔法ギルドの方へ向かうのであった‥‥‥‥


「‥‥‥私の方は、とりあえず情報収集で計画の調整デス。あの馬鹿殿下のより一層増えるであろう余罪調査は案外面白いですからネ」

 ワゼはワゼなりに解消できる方法があるようだし、それはそれでいいか‥‥‥‥


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