拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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何をやらかしてくれるのでしょうか

#146 話もそこまでなのdeath

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SIDEシアン

‥‥‥ファイスとの話の中で出て来た、魔王という単語。

 ゲームとかそういったもので聞くことはあるが、大抵のイメージとしては得体のしれない様な怪物がある。

 だがしかし、僕がその魔王かもしれないと言われても…‥‥実感ないな。


「と言うかそもそも、魔王ってなんだ?」
「魔王とはね…‥‥」


―――――――――――――
『魔王』
…‥‥それは、歴史に極稀に出現する存在。
魔物を従える王、すべての魔法を扱う王、すべての魔道具を扱う王、魔とつく何かしらを操れる王など、一口に魔王と言っても様々なモノが存在する。
すべてが悪であるというような者たちもいるが、魔王の中には悪を好まず善を好んだり、どちらのも付かず傍観する中立など、その立場も異なる。
ただ、魔王にはある5つの共通点が存在する。
――――――――――――――

「1つ目には、この世界ではないどこかの世界の魂の持ち主かな。というのも、魔王が産まれるタイミングで、死んだ世界の人が来るという話だからね。魔王の体そのものはその世界で用意されるから、後はタイミングさえ合えば、死んだ瞬間に引き込まれるんだよ」

…‥‥となると、僕の場合はあの兄に潰され両親に刺されて殺害されたあのタイミングで、この世界のこの身体へ引き込まれたという事なのだろうか?

 改めて思い出すと、ひどい死因だよね…‥‥潰されたのが先か、刺されたのが先か。

「2つ目には、突出した才能がある事。歴代魔王だと、怪力だったり、高速で走ったり、ありとあらゆる魔法を扱えたりと、戦闘面に関してはその才能ひとつで無双可能ともされるようなものだ」
「それならご主人様の魔力量がそれに当てはまりますネ」

 魔力量も馬鹿みたいにあるし、無詠唱型なので魔法をバンバン放てる。

 基本的には攻撃に使用していないが、いざという時に使用すると、加減無しでは威力が高すぎるんだけどね…‥‥良い例が、加減無しを知りたくて山をふっ飛ばしたことか。

 でもあれは秘密にしておこう。できれば謎の爆発で山が吹っ飛んだだけであるとして欲しい。

‥‥‥最近聞いた話だと、吹っ飛んだ山の騒動はわりと早期に収拾したらしいが、今度はえぐれたところから鉱床が見つかったとかで、利権争いが始まっているらしいけれどね。うん、関係ない事だ。



「そして3つ目だが、魔王は必ず伴侶を得る定めにあることだ」
「伴侶……」
「魔王の妃という事で、魔王妃と呼ばれるようになるのだとか」

 その言葉に、僕はハクロを見て、彼女の方も僕へ向いた。

 魔王妃か…‥‥何でもかんでも魔を付ければ良い話しではないが、なんかしっくりくるな。


「4つ目だが…‥‥これは正直なところ共通なのか言いにくい類だけど、魔王は善か悪か、中立の3つのどれかに所属するようだ。こればかりはどの魔王もバラバラだけど、そのどれかの傾向に固まるという部分で共通としているかな」
「悪は無いな」
【シアンの場合は善か中立ですかね?】
「どちらかと言えば、中立ですネ」

 家族を害されない限りはこちらも手を出す気もないし、積極的に良いことしようとも思えないからね。

 何事もきれいごとだけじゃすまないのは理解しているし、中立と言えばそうなのかも。

「最後の5つ目だが…‥‥通常の人に比べて、魔王は何かしらの厄介事に巻き込まれやすいそうだ。引き起こすというのもあるらしいけれどね」
「…‥‥それは否定したいなぁ」
【でも、これまでの事を考えると…‥‥否定できませんよね】


 そんな5つ目の共通点は欲しくなかった。

 というか、ここまで色々当てはまっているし、魔王と言われてその可能性もあるが、その5つ目は絶対に要らないと思う。




 何にしても、どれもこれも当てはまり過ぎていた。

「…‥‥何というか、当たる点が多いなぁ」
【という事は、シアンは魔王なのでしょうか?】
「いや、正確に言えばまだ違うと言った方が良いだろうね」

 ハクロの言葉に、ファイスはそう答えた。

「魔王であって、まだ魔王ではない状態…‥‥不完全な状態と言った方が良いだろう。とは言え、放置しておけば多分完全な魔王に…‥‥なるかな?」
「何故疑問形?」
「魔王が魔王らしさを持つには、どうも時間がかかるようでね。短くて1カ月、長くて20年かかるようだ。完全な魔王になると、何か新しいものを生み出すというのがあるらしいが…‥‥今の所、そのような変わった物を持っているように思えないからね」

 どうも僕自身、まだ完全な魔王とやらではないらしい。

 とは言え、当たっている点が多いので将来的には完全に魔王になるのかもしれないが‥‥‥

「魔王というけど、何も国を持つとかは無いからね。孤高の魔王、放浪の魔王、迷子の魔王という例もあるし、生活自体は特に変わらないことだけは保証しておこう」
「最後の魔王だけ、それ魔王なのかという疑問があるんだけど」

 色々とツッコミたいところがあったとはいえ、ある程度の情報は得られただろう。

 面倒そうな話が待ち受けていると思っていたとはいえ、今日の話し合いで予想外な話があったし、わざわざやってきたかいはあったのだった。





―――――――――――――――――――
SIDEファイス


…‥‥シアンという人物と、その連れて来た者たちと共に話し終え、今日はこれで別れる事になった。

 謝罪内容も受け取ってもらえたようだし、魔王に関しての情報を提供したので、ファイスたちにとっては良くも悪くも実入りはあった。


 シアンが魔王かもしれない事実がほぼ確定に近くなったが、関係性としては敵対しなかったのは朗報であろう。

 何にしても、シアンたちが去った後に、ファイスたちも帰国しようとしていた、その時であった。



「ガー、ピッ」
「ん?」

 ふと、奇妙な異音が聞こえたのでその方向を見てみれば、あのシアンという者が連れてきていたメイドによく似た、小さなメイドがそこにいた。

「‥‥‥『繋がりましたネ。連動機能は成功したようですが…‥‥もうすでに、何か理解してますね、ファイスさン』」
「‥‥‥なるほど」

 その口から出てきた声を聴き、ファイスはすぐに理解した。

 どのような仕掛けなのかはさておき、あのメイドの声が聞こえてきたという事は、何かしらの理由がある。

 連れてきた護衛代わりの者を馬車へ先に戻らせ、人目につかない場所へ移動した。



「さて、そのメイドを介しての話のようですが…‥‥わたしに、何か要件があるのでしょうか?」
「『ええ、ありマス。あの魔王の共通点ですが、あの時あなたは5つあると言いましたよネ?』」
「ええ」
「『ですが、本当はまだありますネ?』」
「‥‥‥」

 その言葉に、ファイスは口をつぐむ。

「『あなたが嘘をついていないことは理解してマス。ですが、それは裏を返せば嘘をつかないように都合の悪い事も隠している行為も考えられたのデス。そしてその都合の悪い事が何かないかと思いましたが‥‥‥この魔王の共通点、隠された部分がありましたカ』」
「ふぅ、まさか簡単に見破られるとはね‥‥‥」

 嘘はついていない。

 だが、都合の悪い事は話さなかっただけなのだ。


 本当は、魔王の共通点の話には‥‥‥

「この際言いますが、5つではないです。本当は7つあります」
「『ですが、その残る2つは非常に都合が悪いものですカ』」
「そうですね」

 メイドの言葉に、ファイスは悪びれる事もなく答える。

「と言っても、都合の悪さで言えばそこまで悪いものではありませんよ。6つ目には、『歴代魔王の関係者が集まりやすい』ですかね」

  1つは、『歴代魔王の関係者が集まりやすい』。

 これは、各魔王それぞれの魔力は似たような者が多いそうで、その魔力に惹かれて配下になるような関係者もいるらしく、再び関係者として関わる可能性があるという事らしい。

 ただし、その歴代魔王関係者の中には非常に不味い類もあり、下手するとアンデッドだらけになったり、環境が溶岩だらけ、氷河期、ジャングルなどと言う状態にする者もいるのだ。

 その不味さだけで言えば、魔王よりもその関係者の方が非常にやばいのだが…‥‥大抵の場合は寿命が尽きていることが多いので、遭遇率も低いのであった。


「まぁ、歴代魔王の関係者の寿命などを考えて、そうそう不味くもなかったりするんですが…‥‥差後の7つ目、こればかりは話せませんね」
「『…‥‥話せないとハ?』」
「制限がかかっているんですよ。わたしよりも・・・・・・さらに上…‥‥いえ、もうかなりの年月が経っているというのに、未だに縛られる契約をかけた本人によるものが」
「『…‥‥』」

 その言葉に、メイドは察したようだ。

 タダの契約であれば、口で話しても問題ないだろうし、筆談でも伝えることは可能なはずだ。

 だがしかし、それらの手段も使えない様なものであり、神聖国のトップである預言者よりもさらに上の存在となると…‥‥

「『‥‥‥深入りは、危険ですカ』」
「そういうこと。話したくても話せないし、出来たとしても…‥‥まぁ、彼ならば大丈夫と思っていたりするんだよね」

 けらけらと笑うように語るファイスだが、その目は笑っていない。

 軽く吹き飛ばしたい空気なのに、押し上げられない様な空気の重さ。


 それ以上の深入りは危険と判断したのか、メイドはその場を去っていく。




「…‥‥そこまで重要だとも思えないのに、何故その真実を話せないのだろうか。できれば、あの魔王となるだろう彼が、その契約から解き放ってくれればいいんだけどね…‥‥」

 去っていく姿を見ながら、ファイスがつぶやいたその言葉は風に紛れて散っていくのであった…‥‥


 

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