拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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一難去ってもなぜこうも来るのか

#159 ぶつかり合いなのデス

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SIDEシアン

 ついに始まった親善試合。

 試合場では今、剣戟が鳴り響き、騎士たちの白熱した戦いが行われている。


「いけいけぇ!!そこだー!!」
【そっちですよ、おっと色々ですぅ!!】

 観客たちも僕らも、その戦いの熱さに呑まれ応援に回る。

 どっちの国であろうとも、騎士同士の正々堂々とした戦いだけに、見ていてちょっと硬い部分があるような気もしなくもないが、それでも試合と割り切って見ればかなり面白い。

 まぁ、あの騎士たちの立場になって試合を行えと言われた逃げるけどね。流石にあれは無理。


「しかし見ていて思うけど、魔法とは違ってこういう力技も中々面白いよね」
【んー、シアンの魔法も一部力技ありますよね?】
「まぁ、あると言えばあるか」

 水の触手や氷の腕などがそれに当たるかもしれない。

 とは言え、僕の場合は遠距離攻撃を基本にするし、こんな騎士たちのような戦いとは違うからなぁ‥‥‥正々堂々戦うのもありだけど、そもそも戦う機会もそんなにないか。


 何にしても試合が進み、今回の親善試合の中で注目の一戦がついに来た。

『それでは、次の試合は…‥‥ヴェールヌイ騎士王国女性騎士団という、騎士たちの華麗なる花とも言える部隊、その第3小隊の騎士団長と!!ボラーン王国の騎士団長との対戦だぁぁぁ!!』
 
 司会者の言葉に、観客席が沸き上がる。

【ついに姉さんの出番ですよ!!物凄く楽しみです!!】
「とは言え、相手は騎士団長のほうか…‥‥どっちも実力はあるだろうけど、気になる試合なのは間違いないね」

 ぐっとこぶしを握り、興奮するように話すハクロに対して、僕は冷静につぶやく。

 果たして、どのような戦い方を見せるのだろうか。


 わぁぁぁぁっと観客席が騒ぐ中、試合場にその姿を現した。

 ボラーン王国の騎士団長の方は、こちらは全身鎧の重装備。

 大きな盾を装備しており、守りを非常に固めているのだろう。

 一方で、ヴェールヌイ騎士王国女性騎士団長、ルルの方はやや軽装に近い。

 守るべきところは鎧で固めているとはいえ、どちらかと言えば動きやすいように薄めの装甲に見える。

 だが、その武器は大きな槍である。

 馬に乗る騎士だと、確かに剣よりも槍を構えるランサーのイメージはあったが、ケンタウロスでもある彼女でも、そのイメージは間違っていなかったらしい。

 ただし、その武器が普通の槍ではない。

 なんというか、大きい、長い、トゲトゲいっぱいといった、少々ロマンあるような感じである。

 流石にドリルとかではなさそうだが…‥‥‥人間で扱えるような代物では無さそうだ。

「うわ、軽く動かしているのか準備運動をしているけど、結構細そうな腕なのに良く動かせるな」
【あの程度なら、私も扱えそうですよ。まぁ、技量はないので多分負けますけど】

……考えてみたら、あの人はモンスターだった。

 人間用のものじゃなくても、そりゃ扱えるよね…‥‥ハクロも結構力があるし、まさに見た目に騙されてはいけない例なのだろう。

【さぁ、姉さんやってくださーい!!】

 ぶんぶんと手を振って応援するハクロ。

 観客席の彼女の様子に気が付いたのか、ルルが微笑み返す。

 
 というか、ハクロの応援に他の人達も気が付いたのか、半々ぐらいあった応援が今、ほとんどルル側に回ったんだけど‥‥‥‥まぁ、良いか。

 何にしても、この試合は見逃せない。

 ぐっとこぶしを握りつつ、試合が始まるのであった‥‥‥‥


――――――――――――――――――――――
SIDEワゼ

「…‥‥ふむ、ルルさんの方から出ましたカ」

 聞こえてくる観客たちの声援から、ワゼはそう判断していた。


 本当は試合を見続けていたかったが…‥‥今、彼女は少々観客席から席を離れ、試合会場から出ていた。


「しかし、見たかったのに水を差すような真似をする者がいるとは、ちょっと掃除不足でシタ」

 そう言いながら、彼女は腕を変形させ、小さなボールのようなものを装填した。


「ですが、裏ギルドの方にも協力を取れましたし、首都のHWGにも協力者はいるようですので、手間はある程度省けますし‥‥‥‥さっさと終わらせましょウ」

 狙いを定め、相手に気が付かれる前に彼女は引き金を引いた。


 消音を決めており、撃たれた音すら出ない状況で、装填された球体は発射される。

 綺麗な軌道を描き、別の場所にいた人物の口に入り込み、その一瞬だけは何が起きたのか理解されないだろう。

 いや、したところで‥‥‥‥出来るのは、その凶悪な味だろう。


「(&$&(G%&V&R&$'%$'!?」

 声にならない悲鳴が上がり、そのまま相手は気絶する。

「‥‥‥ちょっとばかり味に関しては同情したくなりますが、これも愚か者たちへの裁きとして考えましょウ。では、ご主人様たちの観戦を邪魔されぬためにも、続けますかネ」

 再度装填されていく弾。

 試合会場では盛り上がりを見せる中、今、こちらでは静かなる地獄が幕開けるのであった…‥‥
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