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一難去ってもなぜこうも来るのか
#164 ほのぼのではないところデス
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SIDE旧アヴァロ法国残党たち
「試合場は今も盛り上がっているようだが…‥‥ここに来れた仲間はこれだけとなったか」
「ああ、だが我々は目的を変えるわけにもいかないのだ」
首都内のとある一軒家の地下室内にて、残党たちは人数を確認し終え、親善試合の会場へ攻撃を行うための準備をしていた。
この試合を邪魔することによって、国同士のいざこざの元にしつつ、どのどさくさに紛れてかつての法国を取り戻すための、最後のチャンス。
この首都内に潜り込んでからというものの、どこぞやの組織とか謎の者たちによって阻止され続け、ここまで数を減らし、中には裏切った者もいるようだが…‥‥ここに集まった者たちは、その裏切り者たちとは違う。
「さぁ、各々武器を取れ!!これより会場へ向けての総進撃を行うのだ!!」
「「「おおおおおおおお!!」」」
数も減り、されども野望は捨てず、気合いと根性で立ち向かおうとする者たち。
その力が良い方向へ向かえばいいのに、この者たちは救いようのない欲望に囚われ、悪しき方向へ向かおうとする。
数が減っても、これだけの人数を総動員すれば目的は少なからずも果たせるはずだ。
そう考え、各々が用意された武器を取り、いざ、外へ出ようとした…‥‥その時であった。
……ドドドドドドドドドド
「ん?」
「なんの音だ?」
突然聞こえてきた謎の音。
何事かと思い、振り返って見れば…‥‥
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
「「「なんだこりゃあぁぁ!?」」」
迫ってくるのは、何やら液体状の、いや、若干凍っているシャーベット状の波。
それが見る見るうちに室内へ貯まっていき、彼らを飲み込んでいく。
「くそう!!どこかの誰かの妨害だ!!」
「さっさと退出して逃れるぞ!!」
このシャーベットの津波から逃れるには、単純に部屋から出て行けばいい。
そう考え、彼らは次々と飛び出すが、途中でドアが閉じられた。
「お、おい!!まだ俺たちは残っているんだぞ!!」
「すまん!!その勢いから開けるのは無理だと判断した!!」
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!!」
謎のシャーベットの波が押し寄せてこられてもこまり、防ぐためにどうやら閉じ込められたらしい。
「「「ぎゃぁあああああああああああああ!!」」」
室内から断末魔が上がり、ドアが内部から膨らむ。
だが、流石にそこで止まったようであった。
「ふぅ‥‥‥危なかった」
「しかし、何ださっきのは」
「もしや、もうバレているのではないのか?」
「落ち着け!!我々は目的を果たすために動くだけでいい!!犠牲になった者たちの分も、今から取り返せばいいだけの話なのだか‥‥‥」
何とか脱出に成功しつつも、今の謎の波によって不安が彼らの中に広がる。
その不安の波は良くないと思ったものが声を張り上げ、皆の士気を高め直し、再行動させようとしたが、その言葉は続かなかった。
なぜなら、ある気配を彼らは感じてしまった。
ぞくっとするような、恐怖の気配を。
いや、恐怖というよりも、抗えぬ強者からの威圧というべきなのだろうか。
・・・彼らは別に、すごい鍛えているとか、達人とか、プロではなく、それなりに気配には疎いはずの者達。
けれども、そんな者たちでさえも感じ取れてしまう異様な気配。
「な、なんだこの悪寒は…‥‥」
「横か!上か!?それとも……」
ぞくぞくと震えが止まらなく、恐怖の予感に彼らは震えてしまう。
そして、その予想は…‥‥正しかった。
ガゴン!!
突然、床が揺れ足元が崩される。
どごぉぉぉう!!っと勢いよく何かが飛び出し、彼らの前に現れた。
……その姿は、何と言えばいいのだろうか。
2人組のようだが、それぞれの格好が統一されていない。
片や、メイド服を着ているのだが、その腕が何やらおかしく、片腕は回転する鋭くとがったものになっており、もう片方の腕には筒のようなものが幾つも纏わりついている。
そしてもう一人、何やら大きなコートのようなものを着ており、角の生えた仮面で顔を隠しているようだが…‥‥その異様な気配は、その者から漂っていた。
「な、何者だ!!」
圧倒的な恐怖に震えつつ、勇気を振り絞って叫ぶ残党たち。
その勇気は、ある意味勇者と言って良いような類だったのかもしれない。
……だが、彼らは残念ながら勇者ではなく、過去の爛れた栄光に縋り付き、求めるだけの愚者である。
そんな者たちに、勇者の資格なんぞありはしないだろう。
「‥‥‥何者だと問われて、答えるわけもない。ただ一つ、言うのであれば……そうだな」
その問いかけに答える様なそぶりを見せる仮面の者。
「あえて名乗らせてもらうのであれば、お前たちを潰すだけの者ということか」
「「「答えになってねぇぇぇぇぇぇ!!」」」
知りたい回答ではないと、思わずツッコミを入れる残党たち。
だがしかし、はっきり言えることとすれば、目の前の者たちは明らかに彼らが相手にするには分が悪すぎることである。
人数は彼らの方が多いのに、その威圧は明らかに彼らを押しつぶせるだけのものだ。
「何にしても、数を減らさせてもらったが…‥‥これでもまだ多いな」
ぐるっと見渡し、彼らを見ながらつぶやいたその言葉で、残党たちは先ほどの波の原因が目の前の相手からであることを悟った。
「ま、とりあえず時間に間に合うように潰せばいいか。ああ、安心しろ。こちらとしては命を奪うのは趣味じゃないから、さっきの奴で死ぬ奴はいない」
「精々、冷凍保存されるだけの優しい仕様なのデス」
それのどこが優しいのだと言いたいが、そこで気が付いた者がいた。
あのシャーベットのような波で、冷凍保存される‥‥‥‥つまり、一時的とはいえ意識を簡単に奪わされるだけのことは、まだ優しい方なのだと。
そして、これから始まる惨劇については…‥‥
「気絶させる技術は、残念ながらそう高くないからな。電撃、水攻め、腹パン、急所潰し、謎の物体X投入…‥‥好みのものがあれば、そのリクエストに応えてやろう」
……考えたくもないような、ものであると。
いつでも逃れるすべはあったし、引き返す手段もあったのかもしれない。
けれども、もう遅い。
地下室で冷凍保存されるだけの優しい未来は消え失せ、これから起こるのは圧倒的な力による狩りしかない。
「それじゃ、今から3秒数えるから述べろ。1、2、3、ハイ終了!!それじゃ、始めるよ!!」
「了解デス!!」
早すぎるだろ、とツッコミを入れようとする者たち。
されどもその声は届かず、絶叫がその場を支配し始めるのであった‥‥‥‥
「試合場は今も盛り上がっているようだが…‥‥ここに来れた仲間はこれだけとなったか」
「ああ、だが我々は目的を変えるわけにもいかないのだ」
首都内のとある一軒家の地下室内にて、残党たちは人数を確認し終え、親善試合の会場へ攻撃を行うための準備をしていた。
この試合を邪魔することによって、国同士のいざこざの元にしつつ、どのどさくさに紛れてかつての法国を取り戻すための、最後のチャンス。
この首都内に潜り込んでからというものの、どこぞやの組織とか謎の者たちによって阻止され続け、ここまで数を減らし、中には裏切った者もいるようだが…‥‥ここに集まった者たちは、その裏切り者たちとは違う。
「さぁ、各々武器を取れ!!これより会場へ向けての総進撃を行うのだ!!」
「「「おおおおおおおお!!」」」
数も減り、されども野望は捨てず、気合いと根性で立ち向かおうとする者たち。
その力が良い方向へ向かえばいいのに、この者たちは救いようのない欲望に囚われ、悪しき方向へ向かおうとする。
数が減っても、これだけの人数を総動員すれば目的は少なからずも果たせるはずだ。
そう考え、各々が用意された武器を取り、いざ、外へ出ようとした…‥‥その時であった。
……ドドドドドドドドドド
「ん?」
「なんの音だ?」
突然聞こえてきた謎の音。
何事かと思い、振り返って見れば…‥‥
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
「「「なんだこりゃあぁぁ!?」」」
迫ってくるのは、何やら液体状の、いや、若干凍っているシャーベット状の波。
それが見る見るうちに室内へ貯まっていき、彼らを飲み込んでいく。
「くそう!!どこかの誰かの妨害だ!!」
「さっさと退出して逃れるぞ!!」
このシャーベットの津波から逃れるには、単純に部屋から出て行けばいい。
そう考え、彼らは次々と飛び出すが、途中でドアが閉じられた。
「お、おい!!まだ俺たちは残っているんだぞ!!」
「すまん!!その勢いから開けるのは無理だと判断した!!」
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!!」
謎のシャーベットの波が押し寄せてこられてもこまり、防ぐためにどうやら閉じ込められたらしい。
「「「ぎゃぁあああああああああああああ!!」」」
室内から断末魔が上がり、ドアが内部から膨らむ。
だが、流石にそこで止まったようであった。
「ふぅ‥‥‥危なかった」
「しかし、何ださっきのは」
「もしや、もうバレているのではないのか?」
「落ち着け!!我々は目的を果たすために動くだけでいい!!犠牲になった者たちの分も、今から取り返せばいいだけの話なのだか‥‥‥」
何とか脱出に成功しつつも、今の謎の波によって不安が彼らの中に広がる。
その不安の波は良くないと思ったものが声を張り上げ、皆の士気を高め直し、再行動させようとしたが、その言葉は続かなかった。
なぜなら、ある気配を彼らは感じてしまった。
ぞくっとするような、恐怖の気配を。
いや、恐怖というよりも、抗えぬ強者からの威圧というべきなのだろうか。
・・・彼らは別に、すごい鍛えているとか、達人とか、プロではなく、それなりに気配には疎いはずの者達。
けれども、そんな者たちでさえも感じ取れてしまう異様な気配。
「な、なんだこの悪寒は…‥‥」
「横か!上か!?それとも……」
ぞくぞくと震えが止まらなく、恐怖の予感に彼らは震えてしまう。
そして、その予想は…‥‥正しかった。
ガゴン!!
突然、床が揺れ足元が崩される。
どごぉぉぉう!!っと勢いよく何かが飛び出し、彼らの前に現れた。
……その姿は、何と言えばいいのだろうか。
2人組のようだが、それぞれの格好が統一されていない。
片や、メイド服を着ているのだが、その腕が何やらおかしく、片腕は回転する鋭くとがったものになっており、もう片方の腕には筒のようなものが幾つも纏わりついている。
そしてもう一人、何やら大きなコートのようなものを着ており、角の生えた仮面で顔を隠しているようだが…‥‥その異様な気配は、その者から漂っていた。
「な、何者だ!!」
圧倒的な恐怖に震えつつ、勇気を振り絞って叫ぶ残党たち。
その勇気は、ある意味勇者と言って良いような類だったのかもしれない。
……だが、彼らは残念ながら勇者ではなく、過去の爛れた栄光に縋り付き、求めるだけの愚者である。
そんな者たちに、勇者の資格なんぞありはしないだろう。
「‥‥‥何者だと問われて、答えるわけもない。ただ一つ、言うのであれば……そうだな」
その問いかけに答える様なそぶりを見せる仮面の者。
「あえて名乗らせてもらうのであれば、お前たちを潰すだけの者ということか」
「「「答えになってねぇぇぇぇぇぇ!!」」」
知りたい回答ではないと、思わずツッコミを入れる残党たち。
だがしかし、はっきり言えることとすれば、目の前の者たちは明らかに彼らが相手にするには分が悪すぎることである。
人数は彼らの方が多いのに、その威圧は明らかに彼らを押しつぶせるだけのものだ。
「何にしても、数を減らさせてもらったが…‥‥これでもまだ多いな」
ぐるっと見渡し、彼らを見ながらつぶやいたその言葉で、残党たちは先ほどの波の原因が目の前の相手からであることを悟った。
「ま、とりあえず時間に間に合うように潰せばいいか。ああ、安心しろ。こちらとしては命を奪うのは趣味じゃないから、さっきの奴で死ぬ奴はいない」
「精々、冷凍保存されるだけの優しい仕様なのデス」
それのどこが優しいのだと言いたいが、そこで気が付いた者がいた。
あのシャーベットのような波で、冷凍保存される‥‥‥‥つまり、一時的とはいえ意識を簡単に奪わされるだけのことは、まだ優しい方なのだと。
そして、これから始まる惨劇については…‥‥
「気絶させる技術は、残念ながらそう高くないからな。電撃、水攻め、腹パン、急所潰し、謎の物体X投入…‥‥好みのものがあれば、そのリクエストに応えてやろう」
……考えたくもないような、ものであると。
いつでも逃れるすべはあったし、引き返す手段もあったのかもしれない。
けれども、もう遅い。
地下室で冷凍保存されるだけの優しい未来は消え失せ、これから起こるのは圧倒的な力による狩りしかない。
「それじゃ、今から3秒数えるから述べろ。1、2、3、ハイ終了!!それじゃ、始めるよ!!」
「了解デス!!」
早すぎるだろ、とツッコミを入れようとする者たち。
されどもその声は届かず、絶叫がその場を支配し始めるのであった‥‥‥‥
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