拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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寒さ到来面倒事も到来するな

#182 積りゆく夜中デス

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SIDEハクロ

……深夜、誰もが寝静まる時間帯。

 シアンはハクロと共に寝ており、熟睡していた。

 ベッドもきちんと改造されており、ハクロが共に寝ても大丈夫な構造で、こうして一緒になって眠れるのは二人にとっては嬉しい。

 一応、別々に寝る時もあるので彼女のハンモックも用意されてはいるが、本日はしまっていた。




 そんな中で、ふとハクロは目を覚ました。

【ん‥寒っ】

 ぶるっと震え、手探りで何か温かいものが無いか探し求める。

 ちょっと早めに切り上げた営みもしっかり後始末はしているはずなので、衣服もきちんと着ている。

 暖房関係もしっかりとしているはずであり、あのウイルス騒動も終わったはずだ。

 ちょっと寒く感じるのは、寝ている時に布団から少々はみ出てしまったのが原因であろう。


 それならば、布団を手繰り寄せるだけで十分なはずであったが…‥その発想は、眠気ゆえに彼女の頭から抜け落ちていた。

【んー……あ、そうだ】

 眠気ゆえに目が明かないが、ふと手に触れた感触で、彼女はある事を思いつく。

 布団を自分の方へ寄せるのではなく、より深く潜り込めばいいだけのお話。

 さらに言うのであれば、この隣にはシアンが熟睡しているので、更に近寄ってくっ付けばいいのだ。


 思いついたが即実行、と言う訳で、身体を動かし、シアンの感触が確かめられる位置へと付き、彼を抱きしめる。

 一応、抱きしめ死などもさせないように注意しつつ、そっと抱き着けばその温かさに心の芯からほっと体までもが温まった。

「んぅ……」
【っと、起きなくていいですよシアン。私が単に、くっ付いているだけですからね‥‥‥】

 なにやら起きかけたようなので、睡眠を邪魔しないためにもそっと顔を撫で、優しくつぶやくハクロ。

 愛おしく、大事な相手だからこそ密着もしたいが、これ以上接近してしまえば、おそらく気が付いて目が覚めてしまう可能性がある。

 もう少しだけ近くへ寄りたいが、少しだけ我慢をして、そのまま眠気に負けて再び眠りにつくのであった‥‥‥‥。




――――――――――――――――――――――
SIDEワゼ

「‥‥‥おや、降り始めましタネ」

 深夜、自身とミニワゼシスターズのメンテナンスを行っていたワゼは、ふと窓の外を見てそうつぶやいた。

 周囲は既に闇で包まれており、普通の目であれば見えないのであろうが、ワゼの目ならばはっきりと見える。

「積雪予報通りのようですが…‥‥この様子だと、明日の朝には相当積りそうデス」

 軽く降る物かと思いきや、ちょっと強めの吹雪のように吹き荒れる様子から、翌朝の積雪量が予想できて彼女はそうつぶやく。

「ふむ、早朝には雪かきをしましょうカ。ですが、すぐに出られるような状態にはできなさそうですし、色々とやっておく必要がありそうデス」

 一応、この家はワゼの設計の元、防寒対策はある程度施している。

 とはいえ、先日のウイルス騒動もあり、完璧ではないところを確認したので、まだまだ改良の余地はあるようだ。

 そう思いつつ、念のために寝ているご主人様達……シアンが冷えないようにと思い、布団がずれていないか確認しに彼女は向かった。

 ハクロに関しては、現状まだまだ対応が荒いが…‥‥一応、暫定的にはシアンの奥さんのようなものなので、いつの日か奥様、奥方など呼ぶ可能性もあるが…‥‥まだ言うつもりはない。

 言う時が来るとすれば、子どもを成した時であろうか?



 そう思いつつ、寝ているシアンたちを起こさないようにそっと部屋の扉を開けて室内に入ってみると、二人ともぐっすりと眠っていた。

「‥‥‥いえ、どちらかと言えば、ハクロさん布団からちょっと出ましたね?」

 ぴとっとシアンに抱きしめるような形で寝ているハクロと、その足元の方の布団を見て彼女はそう推測する。

 このままでも大丈夫そうだと思いつつ、過去の例からちょっと考えて、間をもう少しだけ開けさせつつ、そっと布団をかけ直しておく。

 その際に、ちょっとだけハクロの豊満な部分に手が触れ、ふと彼女は殺意のようなものがわいた。

「‥‥‥‥うん、ですがまぁ、関係ない話しなのデス」

 そう言葉でごまかしつつも、自然と手が震えてしまうのはなぜであろうか。

 メイドゴーレムとして、メイド業とは関係ないとはいえ、やはり気にしてしまう。

 自己の改造を施せば再現もできるが、それでは負けたような気もするし、どうにもならないもどかしさ。

「ああ、もしも私の製作者に出会う機会があれば、ちょっと頼んでみたほうが良いですカネ…‥‥」

 自分で直すよりも、壊れたデータにあるかもしれない製作者を想像し、そっちに直してもらえば負けではないと彼女は結論を出す。



……けれども、何故かその製作者を捜すような気にはならない。

 彼女は元々、シアンに拾われた身であり、その場所から想定して探すことも可能ではあるが、月日が経てどもそのような事は思わないのだ。

「ま、気にしなくてもいいですカネ」

 気にしないのは、自分にあるプログラムなどに仕掛けが施されている可能性がある。

 けれども、それはそれでどうでもいい。

 今のままでも大丈夫なのだし、ご主人様へ忠誠を誓う身であり、支障が無ければいいのだから……。



「‥‥‥っと、ン?」

 部屋から出て、明日の雪かきの用意をしようとしたところで、ふと彼女は動きを止めた。

『フー』
「通信ですカ」

 深夜という時間帯ながら、どうもミスティア王女の護衛になっているフィーアからの遠距離通信が届いたのである。

 先日の親善試合の際に改良も施しており、距離が離れていようとも支障はない。

「どうしたのですか、こんな時間に連絡をよこすトハ」
『フーフフフフ』
「‥‥‥ふむ、なるほド。面倒そうなことがあるト」
『フーフ、フー』
「人間の欲望というか、そういう思いもがけない方向性の行動は、私たちにとっては予想できないことも有りますからネ」

 フィーアからの説明に対して、ワゼはそう答える。

 メイドゴーレムであり、主人に忠誠を尽くすようにしているとはいえ、彼女達だって完璧ではない。

 それも、人の思考なんぞ一番読みにくいものであり、想定外な事をされると対応にしにくかったりするのだ。

 まぁ、今回は幸いな事に相手の方が単純故か、読みやすい方ではあったが‥‥‥‥

「でしたら、きちんと記録を取りましょウ。そういう相手には正論で、なおかつきちんとした法的措置を取ればおそらくは大丈夫と考えられマス。一応、不具合はありませんネ?」
『フ!』

 ワゼからの言葉に、フィーアはびしっと敬礼した様子を想像させる返答を行う。

「では、そうするようにしてくだサイ。それと、こちらではある程度の積雪が見込まれますが、王城の方でも同様ですカ?」
『フ~……フ!』
「でしたら、早朝から雪かきをしたほうが良いでしょウ。念のために、後付け用外部装備を送っておきますので、そちらも利用しておきなサイ」
『フ!』

 ひとまずはこれで用事も済み、通信が切られる。


「ふぅ…‥‥あれはあれで経験を積んでますので、中々いい刺激にはなりマス」

 通信も終え、今晩はもうやることもないのでひと息をつき、彼女も就寝に入る。

 メイド業を切り上げるためにメイド服を脱ぎ、自分様に作り上げたベッドへ体を乗せ、スリープ状態へと移行していく。

「…‥‥あ、そう言えばアレ・・も、完成しましたっケ。後の作業はこちらの専門外ですし……まぁ、神聖国の預言者にでも押し付けましょウ。引き換えとしては…‥‥屑な魂の人は遭いにくないですが、代わりとして義体の整備にミニワゼシスターズを向かわせましょうカ」

 ふと思い出し、その予定もしっかりとメモっておくワゼ。

 メモを終え、きちんとやるべきことを果たし、目をつむって意識を途絶えさせる。



……スリープ状態へ移行した後、自身の得た情報を整理しているのだが、自身の意識は分からない。

 生物で有れば夢を見るそうだが、彼女はその夢というものを良く分からない。

 とはいえ、見ていないとも限らないのだが‥‥‥‥何にしても、ワゼも眠りにつくのであった。





―――――――――――――――――――
SIDE???

 
……深夜になり、ますます外は吹雪が吹き荒れ、雪原が広がっていく。

 雪の深さも増し、この吹雪から逃れるために夜行性のものたちが避難場所を探す中、ソレ・・は彷徨っていた。


 吹雪の中の移動は難なく行えるのだが、どこへ向かえば良いのかわからない。

 雪に体を沈めることはないが、宛もない道というのは辛いもの。

 かと言って、その宛を作ろうにもどうしようもなく、ソレは彷徨う。




 そんな中で、ふとそれはあるものを感じ取った。

 似てはいるが、異なるもの。されども、何か感じ取れるものであれば、道しるべにはなる。

 そして、その何かをひとまずの目的地にしようと歩く中、ついうっかりでソレは盛大にすっころび、まだ雪に埋もれ切っていなかった岩にぶつかり、そのまま気絶した。

……雪に埋もれていくが、ソレは雪には耐性があった。

 けれども、雪の圧力というのは馬鹿にはできず、動きが徐々に取れなくなっていくのであった‥‥‥



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