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寒さ到来面倒事も到来するな
#190 なぜそうなるのデス
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SIDEハクロ
【‥‥‥シアン、まだ目覚めませんね】
ベッドに寝かせ、寝ているシアンを見てハクロはそうつぶやいた。
ロール……もとい、雪の女王の暴走は、確かに止まった。
だが、あの絶叫は戦闘で疲労していたシアンには結構効いてしまったようで、まだ気絶しているのである。
そして肝心のロールの方は…‥‥
「こちらは、どうしてか元に戻って、いえ、どうなのでしょうカ?」
流石のワゼも、どう言えばいいのか、ちょっと困惑した声を出した。
暴走中は確かに元の姿に戻っていたロール。
だがしかし、気絶してから数分後、何故か呪いにかかっていた時と同じ幼き姿になっていたのである。
「まぁ、アレが溶けてなんとかなれば、多分分かるかもしれませんが…‥‥」
そう言いながら、ワゼはある処へ視線を向ける。
【…‥‥何とかなるのでしょうか?】
そこには、かっちんこちんと見事に氷の中に閉じ込められたままの預言者が、ミニワゼシスターズによって解凍作業を受けている最中であった。
「シーシ!!」
「セー!!」
「ス!」
お湯をかけ、火であぶり、やすりで氷を削っていく。
ちょっと面倒くさいのか、業火であぶっているようにも見えるが、さすがに先代魔王というべき相手と戦った経験のある雪の女王が作った氷というべきか、解凍作業は今一つ進んでいないようである。
【んー……シアンが目覚めて、一発でどうにかできそうな気もしますけど‥‥‥むしろあれはあのままで良いような気もしますよね】
「奇遇ですが、私もそう思いマス」
とはいえ、氷漬けになっているあれは神聖国のトップ。
放置してこのままにしておくと、国際問題にもなりかねないので、解凍作業を嫌々行う。
【何にしても、すべてはまだ終わっていないというべきなのでしょうか…‥‥はぁ、シアンはぐっすり寝て、のんきなのが羨ましいですねぇ】
溜息を吐きつつ、目を覚まさないシアンに寄り添い、そっと撫で上げるハクロ。
戦闘で疲れ、魔力を消費したのもあるだろうが…‥‥まぁ、あの絶叫を間近で聞いてしまえば無理もない気絶ぶりであろう。
マンドラゴラとか、何かしらの獣の咆哮とかよりも、確実に心に響く断末魔とも、言えたのであったから。
【‥‥‥あれ?そう考えると、シアンの気絶の元凶って、結局あの濃縮体とやらを作ったワゼさんでは?】
「‥‥‥」
ハクロの指摘に対し、そっぽを向くワゼ。
いつもならばワゼがハクロを追撃できているのだが、今回ばかりは逆の立場であった。
――――――――――――――――――
SIDEドーラ
【シャゲーッ、シャゲーッ!】
家の中にて、シアンたちが寝かされている傍ら、庭の方ではドーラは今、除雪作業に追われていた。
雪の女王の気絶によって、吹雪もやみ、自然と雪解けも始まっているのだが、季節が冬なのもあってそこまでのものでもない。
むしろ、ガンガンに冷え切ったせいで土の中まで凍っており、除雪してまともにしないと潜れない状況でもあったのだ。
【シャゲェ】
ふぅっと、汗をぬぐうように葉っぱで頭をさすり、一息を入れるドーラ。
ようやく3分の1の作業を終え、まだ残っているのを見て溜息を吐く。
……実はドーラ、ドーラであってドーラではない…‥‥過去のハイプラント時代に、雪の女王と一線を交えたことがあった。
その時には、植物ゆえの相性の悪さというべきか、撤退を余儀なくされたので、苦い記憶が変わった今でもなんとなく体が覚えているのである。
【シャゲェ……シャゲシャゲ】
周囲の状況を見て、こんな状態にできる相手と呪いをかけるレベルまでやった昔の魔王は馬鹿じゃないか?とドーラは思わずつぶやく。
まぁ、今の魔王と思われるシアンが、暴走した雪の女王相手に善戦したのは流石に驚いたが…‥‥実力は、もしかするとすでに過去の魔王を越えているのかもしれない。
【シャゲ】
何にしても、除雪し、土を正常化しなければドーラは土に潜って冬を乗り切れない。
温室を作製するという手段もあるとはいえ、作業的には潜ったほうが楽なのだ。
【シャゲー……シャ】
途中で除雪が面倒くさくなったので、気分転換も兼ねて、ドーラはフェンリル一家の巣の様子を見に行くことに決めた。
あの暴走であふれ出る吹雪が森全体を覆ったので、何らかの影響が出ていてもおかしくないとも思えたのだ。
【…‥‥シャゲェ?】
到着した後、ドーラはその光景を見て、思わずそんなマヌケな声を出した。
【ガウガウー!】
【ガウッツ!!】
子フェンリルたちは、積もった雪を転がったり、跳ねたり、潜ったりして遊んでいる。
だが、その中心にあるのは…‥‥
【シャゲ‥‥】
【ん?ああ、お前さんか。子供たちと遊びに来たのか?】
【シャ、シャーゲ】
【なるほど、あの吹雪はそっちであった事か…‥‥で、アレが気になるのか?】
【シャゲ】
【まぁ、なんてこともないさ。ただ、あの猛烈な吹雪の中で、たまたまやって来た祖父が夫にこの吹雪を活かさぬ手はないと言って、無理やりやらされた末路だよ】
【…‥‥】
ロイヤルの説明を聞き、どうコメントしたものかと悩むドーラ。
そこにあったのは、盛大に格好をつけて固まっているフェンリル一家の祖父ヴァルハラと、どう見てもマヌケな格好で投げ飛ばされた形そのままで凍ったポチ、2体の氷像があるのだった。
心なしか、遊ぶ子フェンリルを見てヴァルハラが笑顔で、ポチは助けを求める絶望の顔のような気がしなくもないが‥‥‥‥
【シャゲシャゲ?】
【ああ、解凍したほうが良いとは思うが‥‥‥‥むしろ雪解けまで、このままの方が平和なような気もするんだよねぇ】
【シャゲ……】
ロイヤルの言葉に、思わず納得してしまうドーラ。
とはいえ、流石にポチはシアンたちの移動手段の一つでもあり、近々ワゼが新しい移動方法を開発したとかで首にされかけているようだが、放置はできないので、解凍するためにドーラは彼らを運び始めるのであった。
【ガウガウ?】
【シャゲ、シャシャ】
【ガーウ!】
・・・途中で子フェンリルたちが手伝い、引きずっていったのは言うまでもない。
ちょっとばかり、氷像が欠けたが…‥‥まぁ、許容範囲内であろう。
【‥‥‥シアン、まだ目覚めませんね】
ベッドに寝かせ、寝ているシアンを見てハクロはそうつぶやいた。
ロール……もとい、雪の女王の暴走は、確かに止まった。
だが、あの絶叫は戦闘で疲労していたシアンには結構効いてしまったようで、まだ気絶しているのである。
そして肝心のロールの方は…‥‥
「こちらは、どうしてか元に戻って、いえ、どうなのでしょうカ?」
流石のワゼも、どう言えばいいのか、ちょっと困惑した声を出した。
暴走中は確かに元の姿に戻っていたロール。
だがしかし、気絶してから数分後、何故か呪いにかかっていた時と同じ幼き姿になっていたのである。
「まぁ、アレが溶けてなんとかなれば、多分分かるかもしれませんが…‥‥」
そう言いながら、ワゼはある処へ視線を向ける。
【…‥‥何とかなるのでしょうか?】
そこには、かっちんこちんと見事に氷の中に閉じ込められたままの預言者が、ミニワゼシスターズによって解凍作業を受けている最中であった。
「シーシ!!」
「セー!!」
「ス!」
お湯をかけ、火であぶり、やすりで氷を削っていく。
ちょっと面倒くさいのか、業火であぶっているようにも見えるが、さすがに先代魔王というべき相手と戦った経験のある雪の女王が作った氷というべきか、解凍作業は今一つ進んでいないようである。
【んー……シアンが目覚めて、一発でどうにかできそうな気もしますけど‥‥‥むしろあれはあのままで良いような気もしますよね】
「奇遇ですが、私もそう思いマス」
とはいえ、氷漬けになっているあれは神聖国のトップ。
放置してこのままにしておくと、国際問題にもなりかねないので、解凍作業を嫌々行う。
【何にしても、すべてはまだ終わっていないというべきなのでしょうか…‥‥はぁ、シアンはぐっすり寝て、のんきなのが羨ましいですねぇ】
溜息を吐きつつ、目を覚まさないシアンに寄り添い、そっと撫で上げるハクロ。
戦闘で疲れ、魔力を消費したのもあるだろうが…‥‥まぁ、あの絶叫を間近で聞いてしまえば無理もない気絶ぶりであろう。
マンドラゴラとか、何かしらの獣の咆哮とかよりも、確実に心に響く断末魔とも、言えたのであったから。
【‥‥‥あれ?そう考えると、シアンの気絶の元凶って、結局あの濃縮体とやらを作ったワゼさんでは?】
「‥‥‥」
ハクロの指摘に対し、そっぽを向くワゼ。
いつもならばワゼがハクロを追撃できているのだが、今回ばかりは逆の立場であった。
――――――――――――――――――
SIDEドーラ
【シャゲーッ、シャゲーッ!】
家の中にて、シアンたちが寝かされている傍ら、庭の方ではドーラは今、除雪作業に追われていた。
雪の女王の気絶によって、吹雪もやみ、自然と雪解けも始まっているのだが、季節が冬なのもあってそこまでのものでもない。
むしろ、ガンガンに冷え切ったせいで土の中まで凍っており、除雪してまともにしないと潜れない状況でもあったのだ。
【シャゲェ】
ふぅっと、汗をぬぐうように葉っぱで頭をさすり、一息を入れるドーラ。
ようやく3分の1の作業を終え、まだ残っているのを見て溜息を吐く。
……実はドーラ、ドーラであってドーラではない…‥‥過去のハイプラント時代に、雪の女王と一線を交えたことがあった。
その時には、植物ゆえの相性の悪さというべきか、撤退を余儀なくされたので、苦い記憶が変わった今でもなんとなく体が覚えているのである。
【シャゲェ……シャゲシャゲ】
周囲の状況を見て、こんな状態にできる相手と呪いをかけるレベルまでやった昔の魔王は馬鹿じゃないか?とドーラは思わずつぶやく。
まぁ、今の魔王と思われるシアンが、暴走した雪の女王相手に善戦したのは流石に驚いたが…‥‥実力は、もしかするとすでに過去の魔王を越えているのかもしれない。
【シャゲ】
何にしても、除雪し、土を正常化しなければドーラは土に潜って冬を乗り切れない。
温室を作製するという手段もあるとはいえ、作業的には潜ったほうが楽なのだ。
【シャゲー……シャ】
途中で除雪が面倒くさくなったので、気分転換も兼ねて、ドーラはフェンリル一家の巣の様子を見に行くことに決めた。
あの暴走であふれ出る吹雪が森全体を覆ったので、何らかの影響が出ていてもおかしくないとも思えたのだ。
【…‥‥シャゲェ?】
到着した後、ドーラはその光景を見て、思わずそんなマヌケな声を出した。
【ガウガウー!】
【ガウッツ!!】
子フェンリルたちは、積もった雪を転がったり、跳ねたり、潜ったりして遊んでいる。
だが、その中心にあるのは…‥‥
【シャゲ‥‥】
【ん?ああ、お前さんか。子供たちと遊びに来たのか?】
【シャ、シャーゲ】
【なるほど、あの吹雪はそっちであった事か…‥‥で、アレが気になるのか?】
【シャゲ】
【まぁ、なんてこともないさ。ただ、あの猛烈な吹雪の中で、たまたまやって来た祖父が夫にこの吹雪を活かさぬ手はないと言って、無理やりやらされた末路だよ】
【…‥‥】
ロイヤルの説明を聞き、どうコメントしたものかと悩むドーラ。
そこにあったのは、盛大に格好をつけて固まっているフェンリル一家の祖父ヴァルハラと、どう見てもマヌケな格好で投げ飛ばされた形そのままで凍ったポチ、2体の氷像があるのだった。
心なしか、遊ぶ子フェンリルを見てヴァルハラが笑顔で、ポチは助けを求める絶望の顔のような気がしなくもないが‥‥‥‥
【シャゲシャゲ?】
【ああ、解凍したほうが良いとは思うが‥‥‥‥むしろ雪解けまで、このままの方が平和なような気もするんだよねぇ】
【シャゲ……】
ロイヤルの言葉に、思わず納得してしまうドーラ。
とはいえ、流石にポチはシアンたちの移動手段の一つでもあり、近々ワゼが新しい移動方法を開発したとかで首にされかけているようだが、放置はできないので、解凍するためにドーラは彼らを運び始めるのであった。
【ガウガウ?】
【シャゲ、シャシャ】
【ガーウ!】
・・・途中で子フェンリルたちが手伝い、引きずっていったのは言うまでもない。
ちょっとばかり、氷像が欠けたが…‥‥まぁ、許容範囲内であろう。
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