拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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寒さ到来面倒事も到来するな

#196 こちらはこちらでデス

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SIDEミスティア王女

「…‥‥なんて危険で居心地が良い物なのかしら、このこたつは‥‥‥」

 ボラーン王国、王城内。

 その中で、第2王女の執務室にて、ミスティア王女はそうつぶやいていた。



 いつもの執務室であれば、暖房を利かせ、きちんと着席し、書類に向き合う姿。

 だがしかし、今の彼女はちょっと堕落したとも受け取られかねない状態……こたつの魔の魅力にやられていたのである。

 一応、元々が生真面目なので、堕落し切る事はないが、それでもこたつの魔性の魅力の影響は受け、しっかりと入り込んでた。


「で、王城内でお父様、お母様方、お兄様及びお姉様方もこれにやられているし…‥‥いえ、こういうのは北方の友好国へ進呈すれば、案が良いのかもしれないわね」

 こたつの温かさに眠気を誘われつつも、彼女は真面目に考察し、こたつの可能性を切り開く。



……シアンから関係上の付き合い的なもので、とりあえずの粗品として贈られた、数台ほどのこたつ。

 数日前に送られたばかりだが、それだけの短い間で今、こたつは猛威を振るっていた。



 雪も積り、寒さも厳しくなるこの季節。

 暖房系の道具があるとは言え、こたつの魅力は見事に城内勤務をしている者たちの心をつかみ、少々仕事が滞ってしまったのである。

 一時的な措置として、動けるフィーアに頼み、一旦没収をしたのだが、それでも求める者たちは多く、交代制という事で現状落ち着いていた。


「何にしても、各所への配属及び、あちらからの贈り物故の、増産許可なども必要ですわね‥‥‥まさか、こんなものでここまで騒動が大きくなるとは思いもしませんでしたわ」
「フー」

 ミスティアの言葉に、追加の書類を持ってきたフィーアが、苦笑いを浮かべてそう答える。

「フ、フー」
「ええ、なんとか各所の納得できるところに置いたとはいえ‥‥‥まだまだ、改善が必要ですわね」

 交代制などを取ったとはいえ、やはり誰もがこの寒い季節にこたつを求めたくなる。

 しかるべきところへ回したいが‥‥‥まだ難しいのだ。


「それに、もうすぐ他の国々との交流もありますしね‥‥‥」

 ボラーン王国は他国と友好条約を結び、良好な関係を築き上げている。

 年に数回はそれらの国々からの使節団が来たりして、関係の見直しや交友を深めたりするのだが、雪が降り積もるこの季節でも、訪れてくる国はあるのだ。

 そしてその国々から来た使節団などが、このこたつを求めるようなことがあれば、更に対応が増えてしまうのが目に見えてしまっているのである。


「特に今は、面倒くさい国が数か国ほど……はぁ、大変ですわぁ……」
「フ」

 ぐったりとこたつに伏し、つぶやくミスティアにフィーアはお疲れ様と、同情するようにぽんっと手を置く。

 たかがこたつ、されどこたつ。

 下手をすると国家間での争いごとの種になりそうな代物に対して、ミスティアは面倒そうに溜息を吐く。

「まぁ、どうにかできそうなのだからいいけれども…‥‥それにしても、あっちはあっちで大変そうな連絡もありましたわね」

 こたつ騒動の前に、シアンたちの方であった騒動の連絡ももらっており、あっちはあっちで大変そうだなと彼女は思う。

 数百年前の魔王と対峙したことがある雪の女王、その暴走体との戦闘と、結果として残った幼体の養子手続き‥‥‥考えるだけでも、面倒さは良く伝わった。

 まぁ、可愛い娘が出来たようなものであると聞くが‥‥‥まだ娘を持たない身としてはまだ共有し切れない。

「でも、これでより厄介事も増えそうですわね…‥‥」



……フィーア経由で、あちらの情報が色々来るのは良い。

 だがしかし、その情報がたびたびとんでもないものばかりなのは良くない。

「あのシアンという人物が魔王確定間近‥‥‥、雪の女王の幼体養子‥‥‥、後ついでに良からぬ馬鹿粛清……色々とありますわね」

 特に、この魔王確定間近という情報は、ちょっと重すぎる。


 もともと魔王疑惑があったが、これでより一層高まり‥‥‥‥

「彼が完全に魔王となったら、それこそやらかす馬鹿がいないことを祈るしかないわね」

 何にしても、簡単に彼へやらかすような馬鹿をする輩が出る者はいないだろう。

 あの者周囲には色々いるし、あのメイドも様々な手があるようで、ある程度の予防はされている。


……とは言え、他国からの場合は色々と難しくもあり、そのやらかしそうな人物が、もう間もなくこの国へ来るという話がある。

「遭遇して、やらかさないことを祈るしかできないですわね‥‥‥」
「フ」
 
 その通りだとフィーアが頷き、ひとまずは空気を換えるために仕事へ再び取り組み始める。

 嫌な予感がひしひしとしていたが‥‥‥これが的中するとは、この時の彼女はまだ知らないのであった。

 
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