拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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春が近づき、何かも近づく

#222 ちょっとした夜中の事デス 

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SIDEフィーア

‥‥‥カーン、カーンッと何かを叩きつけ、またジュウジュウと何かを茹でたり、溶かしたりするような音がする。

 そう聞こえるも、それが何なのかは見るすべがない。

『フー‥‥‥』
『セー、セー』
『シ』

 暇だねーっと他の姉妹に話しかけつつ、彼女達は音だけを頼りに、状況を把握する。



 今されているのは、自分たちを作ったワゼによる、自分たちの改良だろう。

 普段の部品を交換したり、新しいものに変えるだけのメンテナンスとは違い、今行われているのは大幅な改造とも言える。

 そのために今回、自分たちはここに集められ、身体が出来上がるのを待つだけだ。

『フ~』
『ツ~ツ』
『ス!』

 とりあえず今は、各々の意識はあれども動けない状態。

 出来上がるまでがちょっと暇で、互に声を出すも何もできない。


 ああ、でもこの暇な感じは久しぶりだ。

 そうフィーアは思い、少しばかり物思いにふけり始める。

 今のこの動けない状況、護衛対象の側にいる事が出来ず、何かあった時に動けないもどかしさがあれども、この家の中なら安心であると彼女は分かっている。

 ゆえに、こうやって何もできない時間を過ごすのも新鮮な事なのかもしれない。


「ふむ、計算通りに進んでますが‥‥‥ちょっと足りないですネ」
『フ?』
「ええ、一応完成しないと言う訳ではありまセン。ただ、ほんの少しだけ味気が無いというか、付け加えたいというか…‥‥」

 ワゼの言葉に、ミニワゼシスターズは意識だけで首を傾げる。

「となると、やはり色々と必要ですが‥‥‥ふむ、ちょうど今の時間ならいけますカネ?」

 棚に書けてある時計を見てワゼがそうつぶやき、一旦作業を中断して部屋を出て行く。

 できれば早く完成させてほしいので、帰って来るまでがもどかしい。

『フー』
『ファァ‥‥』

 そして30分ほどでワゼが戻って来た。

「よしよし、ちょうどいい量が漏れ出てましたし、十分確保できましタネ」

 そう言いながら、何かを置き、その中身が何かフィーアたちは理解した。

『フー?』
「ええ、漏れ出ている魔力を特殊な方法で液状にしたものデス。ハクロさんの捕食本能を抑えるために、ちょっとばかり今晩の食事に色々と盛りましたが‥‥‥その余波として、あふれ出る魔力を回収しやすいのも良いですネ。まぁ、今晩の方は、まだミスティアさんがかかりませんでしたが‥‥‥」

 その言葉に、フィーアはあの計画が実行されつつ、今晩のは失敗だと悟る。

 まぁ、ここに滞在する期間がどの程度になるのかはわからないが、時間があるし、興味を道さえすれば何とかなりそうなものである。

 というか、今はその事よりも…‥‥

『セー、セ』
『シ‥‥‥シ?』
『ツー‥‥‥』

 ごぼごぼっとあふれ出ている魔力の前に、どう考えてもこの後の作業で色々な目に遭いそうな事が目に見えていた。

「大丈夫デス。流石にこのまま使用すれば壊れますので加工しマス。‥‥‥少しばかり不安があるとすれば、ご主人様がハクロさんとの営み中に、こっそりのぞきつつ魔力を取らせてもらったことがバレれば、色々と叱られそうですが‥‥‥黙ってくれますヨネ?」
『『『『『『‥‥‥』』』』』』

 その言葉に、シスターズ一同、沈黙した。

 メイドが覗き見とは良いのかと言いたいが、自分たちは元々ワゼと同じようなところがあるので、何も言えない。

 ただ、これは口にはできないなぁ、っと思うのであった。



――――――――――――――――――――――――
SIDEミスティア

「‥‥‥ちょっとばかり、気になりますけれども‥‥‥まぁ、うん、そうは入れませんわね」

 真夜中、客室のベッドに横になりながら、ミスティアはそうつぶやいていた。




‥‥‥数分前。

 普段ならぐっすりと眠れるが、まだ来たばかりなせいか、少々睡眠が浅く、先ほど起きてしまっていた。

 喉も乾いており、フィーアがおらず、一応この家の案内をシアンたちから受けていたので、自力で台所の方へ行き、水を飲んでいたが、ふと物音が聞こえた。

 その音が気になったが、ふとその位置がシアンたちの部屋の場所辺りと考えると、何が起きているのか察してしまった。

 昼間にハクロが捕食本能とやらで甘噛みをしまくっていたが…‥‥真夜中の今もくっ付いている可能性があり、共に寝ているだろう。

 魔王の伴侶ともされるし、この時間帯であれば…‥‥何が起きているのか、分からないほどの知識がないわけでもない。

 まぁ、流石にミスティアの父親である国王のように、今日のやらかしでしごかれるというようなことはないだろうが‥‥‥それは関係ない。


 何にしても、何となく気まずくなり自室へ戻ったが、考えてしまうと寝付きにくかった、


「…‥‥いやまぁ、確かに夫婦なのは分かりますけど‥‥‥何というか、色々考えてしまいますわね‥‥」

 色々なものを見て回ることが多いが、ミスティアはこれでも王女。

 箱入り娘のようなものとも言い難いが、それでもやはり気になってしまうお年頃。




‥‥‥夫婦関係にもいろいろあるが、このままいくと自分はどういう事になるのか、ミスティアも考える時はあった。

 ミスティアはボラーン王国の第2王女であり、王位継承権は低い方。

 ゆえに、婚姻があるとしても、政治的な思惑があるようなところと婚約しての、政略的なものになる可能性があり、愛があるとはいいがたい。

 いや、王族としては国の平和のために動かなければいけないとは思うが、それでも何処かで幸せな夫婦となりたいという思いもあるのだ。


 その事をくみ取ってか、今の所ミスティアの方には婚約者の話もないし、来ることもない。

 けれども、やはりというか、政治的な面をみてそのような話をするような輩もいるし、いつまでたっても答えを出さないと言う訳にもいかないのだ。

 ‥‥‥そう考えると、相手を探すべきなのだろうが‥‥‥残念ながら、そのような相手に思い当たる者はいない。

 王族、血筋、ミスティア自身の容姿などを目当てにするような輩も多く、相手になるような異性がいないのだ。

 いや、いるとしても‥‥‥

「‥‥彼ぐらいですか」

 王女という身でも気にするようなことはそうなく、むしろ立場的に言えば相手の方が圧倒的なのに、無茶な要求をするような物でもない。

 政治的に見ても問題はないだろうし、むしろ国の方としてはいいかもしれないが‥‥‥


「あの中に入るのは、ちょっと考えさせられますわね‥‥‥」
「うにゅ?どうしたにょ、ミスティアお姉しゃん」
「いえ、ちょっとした独り言ですわ…‥‥んん!?」

 ふと、自然に返したつもりであったが、どこからかきた言葉にミスティアは気が付いた。

 見れば、自分のベッドにいつの間にかこの家の娘、ロールが潜り込んでいた。

「えっと、ロールだったかしら!?なんであなたがここでいつの間に潜り込んでいるのかしら!?」

 驚きつつも、夜中なので出来るだけ音量を下げ、そう叫ぶミスティア。

「にゅ?えっと、ミスティアお姉しゃんが独り言で、『いやまぁ、確かに夫婦なのは‥‥‥』あたりからにょ」
「‥‥‥」

 つまり、ほぼ全部聞かれていたことにミスティアは唖然とする。


「ええっとね、本当はロールも寝ようと思ったんだけど、トイレで起きたにょ。で、その時に姿を見て‥ついてきちゃった」

 てへっ☆というように舌を出し、そう告げるロール。

「‥‥‥いつの間にというか、わたくし油断しすぎたかしら‥‥‥ああ、フィーアで慣れたせいなのかもしれないわね」

 がっくりとしつつも、ロールを追い出すような真似をしないミスティア。

 流石に心が狭くもないし、ちょっとばかり布団がより温かくなっているからだ。


「そうなにょ?‥‥‥それにしても、ミスティアお姉しゃん、なんか悩んでいるにょ?」
「いえ、そう悩むというほどでもないけど…‥‥気にするほどのことでもな、」
「おとうしゃんに横恋慕というのをしたいにょ?」
「で、ごえぶっふ!?」

 言い切る前に出たロールの言葉に、思わず淑女らしからぬような咳き込みをミスティアはした。

「ごっふごえっふ‥‥‥あ、あのね、子どもがそう言う言葉を使うのは良くないと思うのですわ」
「ん?ロール、こう見えても子供というほどでもないにょ!今の自分とは違うけど、ちゃーんっと雪の女王リザの記憶があるからだにょ!」

 そう返答があると、納得せざるを得なかった。

 目の前の幼い少女、ロール。

 今でこそ年相応の少女にしか見えないが、フィーア経由で得た報告によれば、彼女は元々はるか北の国に存在していた国の女王リザ。

 色々あってそのリザという人格は失せ、今のロールという事になったようだが…‥‥どうもリザとしての記憶もあるようで、そこまで子どもというようなことでもないらしい。

 というか、何を子供に記憶として残しているのだろうかと、ミスティアは今は亡きリザとやらに文句を言いたくなった。

「まぁ、そうすべてと言う訳でもないし、傍観しているだけなかんじだけど…‥‥それでもだいたいそういう事を悟るほどの目はあるにょ!おとうしゃんとおかあしゃんはその目が滅茶苦茶ないけどね」

 さらっと毒舌が出たような気がしたが…‥‥どういう訳か、説得力が怖ろしくあった。


「何も言えないですわね…‥‥」
「っと、ワゼがぼそっとつぶやいていたことを引用したにょ」

 ある意味、説得力の元凶が見えたような気がした。

 というか、子どもの前で何を言っているのだろうかあのメイドは…‥‥



 それはそうとして、どうもロールはミスティアの悩みをある程度把握したらしい。

「まぁ、確かにおとうしゃんとおかしゃんはラブラブだし、付け入るスキは無さそうなのはわかっているにょ」
「それは分かりますわね」
「でも…‥‥」

 言葉を区切り、ロールはじっとミスティアを見た。

「な、何かついているかしら?」
「いえ、そんなことなないにょ。ただ思っているのは…‥‥んー、ロール、子どもだからうまいこと言えないけど‥‥‥ん、大丈夫だとは思うにょ」
「いや、大丈夫と言われましても、何が‥‥‥」
「くぴー‥‥」
「‥‥‥あ、寝てしまいましたわ」

 ついさっきまでぺらぺら話していたと思ったら、すぐに撃沈して肝心な話しが聞けない状態になった。

 何を言いたいのかはわからなかったが、とりあえずこのまま一緒に寝ることした。

「はぁ、結局なんだったのですわ‥‥‥‥」

 何を言いたいのかはわからなかったが、どうもロールはそういう事に関しては聡かったようで、ミスティアの悩みに対する答えを得ていたのかもしれない。

 けれども、明日になれば忘れている可能性もあるし、結局何がしたいのか分からず、溜息と共に、ミスティアも眠気がようやく来て、寝直すのであった…‥‥


「‥‥‥ロールにとって、おかあしゃんが増えても良いにょ‥‥‥その分、弟か妹チャンス、ふえるにょ‥‥‥」

 そのつぶやきを聞いた者はいない。

 ただ一つ言える事とすれば、今晩の事を彼女は忘れておらず、しっかりとワゼたち側に就くぐらいであろうか…‥‥
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