拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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火種はどこにでも落ちていた

#290 ちょっと見てはいけない物のようデス

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SIDEシアン

‥‥‥忘れがちだが、この世界はなにも人間だけしか存在しないわけではない。

 モンスターもいれば、当然のごとくファンタジーの世界に居るような、エルフやドワーフと言った亜人種族もいるらしい。

 まぁ、そのような者たちはそうそう見る機会もなく、精々交易のために来る商人だとか、鍛冶屋で弟子たちを鍛えている姿とか、噂では冒険者ギルドの方のギルドマスターに居るとか、その程度の認識ぐらいしかない。

 そういう訳で、人間以外の種族も普通に存在している程度ならば理解していたのだが‥‥‥‥




「‥‥‥悪魔?」
「ああ、そうだ。とは言え、聖魔法も扱える変わり者でもあると自覚はしているがな」
「兄様は変わり者じゃありませんよ。いろいろできる超変人ですよ」
【それ、変人のカテゴリから結局抜け出せていませんよね?】

 珍しくツッコミに回るハクロに対して、目の前の男女‥‥‥義理の兄妹関係らしい者たちの言葉に、僕等はあっけに取られていた。


 先日の、怪物化王子に対して治療を施せる者たちがいたという報告を受け、すぐに来てもらったのだが‥‥‥どうもこの兄妹、人間ではないらしい。

 銀髪赤目の兄という方は、悪魔であり、名前はゼリアスと名乗った。

 金髪緑目の少女は‥‥‥ミーナという名前であり、悪魔の妹であれば悪魔なのではと思ったが‥‥‥

「あ、この妹の方は流石に悪魔じゃなくて魔女だからな?」
「魔女?魔法が扱えるなら普通に魔法使いとかじゃないのか?」

 魔法ギルドとかもあるぐらいで、この世界には魔法がある。

 なので、普通に魔法が扱える程度で魔女とは言えないような気がするのだが…‥‥どうも事情が違うらしい。

(ワゼ、そもそも悪魔って何?)
(データ不足ですが、なんとか説明できる範囲であれば‥‥‥)

―――――――――――――
『悪魔』
種族の立場上、亜人系統に入るかと思いきやそうでもなく、モンスターの中にも入らない、まったく別の種族。
とは言え、普段見る事は無く、特殊な方法を経て姿を現し、契約を結ぶことによって相手の様々な願いを叶えるその代償に、悪魔が分から求めるものは確実に支払わなければいけないらしい。
過去には悪魔を呼びだして国を滅ぼした代わりに、魂を抜かれて地獄へ堕とされたなどという例もあるが、悪魔側からの情報抹消が多く、詳細は不明なことが多い。

――――――――――――――

‥‥‥ゼリアスと名乗る方が、悪魔だと言うが容姿的にはほぼ人間だ。

 イメージ的には、こう角生えて尻尾あって‥‥‥某正義のパンに星にされるやつがそれっぽいかもと思っていたが‥‥‥いや、あれどっちかというと悪魔じゃなくてばい菌か?

 何にしても、悪魔であろうと何であろうと、今はその事はどうでもいい。


「そのあたりは置いておくとしてだ、本当に聖魔法とかであの王子を治せるのか?」
「一応、見てみない限りわからないが、それでも治せる自信はあるだろう。そもそも、今回の剣やその情報を聞く限り、こっちの知り合いが‥‥‥いや、とりあえず治療を先にして、その話しは後で言おう」

 あの騒動の元凶についても心当たりがあるならば、かなり重要な人物という事になるだろう。

 でも今は、まずお荷物になっている怪物王子を治すのが先決だと思い、そちらから行動することにした。


【‥‥‥というか、悪魔‥‥‥ですか】
「ん?ルルさん、何か心当たりでも?」

 王子の拘束されている、ハルディアの森の湖の下に作った、特別牢獄へ向かう中、ふと同行しているルルさんがそうつぶやいた。

【いえ、同僚‥‥あのララが、ついうっかりで知り合いの悪魔に浄化されかけたという話を聞いたことがありまして‥‥‥】
「ララ?‥ああ、あのデュラハンのやつか」
【あ、もしかして本人だったのでしょうか?】
「うっかりでというのであれば、間違いないかな‥‥‥色々あってやらかしかけたが、今大丈夫か?」
【ええ、多分】

 どうやら騎士王国の女性騎士団副団長と、この悪魔は互に知り合いでもあったらしい。

 なんというか、世間って案外狭いな…‥‥というか、ついうっかりで浄化されかけたって何?


 気になりはするものの、そうこうしているうちに牢の前に僕らはついた。


【ぶじゅ‥‥‥じゅぶぶぶぶ‥‥‥‥】

 僕らの姿に気が付いたのか、牢の中に囚われている怪物大男‥‥‥元騎士王国の王子がそう唸り声をあげる。

 ワゼの鑑識では意識も汚染されており、正気の沙汰ではないらしいが…‥‥


「…‥‥うわぁ。醜悪な汚染状態というか‥‥‥想像以上だな。いや、だが逆に確信が持てたのは良い事‥‥‥なのか?」
「確信って‥‥‥さっき言ってた、心当たりに関してか?」
「そうだ。このぐらい酷い状態にする程度ならば、間違いなくそいつが関わっているだろうし‥‥‥とにもかくにも、さっさと綺麗にしてやるか」

 そうつぶやきつつ、僕等に一歩後方へ下がるようにゼリアスはいう。

 言われたとおりすると、ゼリアスは檻にいる怪物男の方へ向き合った。

「剣がある方が楽だが‥‥‥こういう時に限って、忘れてきてたな」
【なら、この剣を貸そうか?】
「ああ、ありがたい」

 ルルさんから剣を受け取り、ゼリアスが構えると…‥‥剣が発光し始めた。

 柄の部分から徐々に白い光で覆われ始め、剣先まで包み始める。

 そして、その色は白から次第に金色へと移り変わり、黄金の輝きを放ち始める。


「浄化もやり過ぎると命を奪うが‥‥‥今回はそのギリギリの汚染状態のみを完全に切り離す程度に調節して…‥‥」

 そうぶつぶつつぶやきながらも、その黄金の輝きは剣の刃先を越え、長く、太く、大きく伸びていく。


「…‥‥この程度で十分か。当たればこの世の地獄を越えた痛みを得るかもしれないが、なんとかもちこたえろよ」

 そう語りかけるようにして、大きく剣を上に掲げる。

 そして…‥‥一気に振り下ろした。

「『偽物の聖剣フェイクエクスカリバー』!!」


 一気に振り下ろされた時には、その光は強大なものと化し、そのまま怪物男を飲み込む。

【ぶじゅわあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?ぎ、ひ、ぎやぁぁぁあああああああああああああああああああああああああ!?」

…‥‥断末魔を上げたと思いきや、途中からまともな人の声に変わり、強烈な悲鳴を上げる。



 数十秒後、光が収まったころには、その場には怪物の姿は消え失せ、元の人の姿に戻っているレパーク王子と、大量の目だまが外れた、元の地味な剣が残っていたのであった…‥‥


「‥‥‥あ、しまった。ちょっと出力制御誤ったか?」
「え?戻っているから成功なんじゃ?」
「そうじゃない。上、上」
「ん?」

…‥‥指さした方向を見れば、そこには大きな穴が開いていた。

 そう、ここ、「湖の下」の牢獄なので、穴が開けば当然…‥‥


ぶしっ!!どばあああああああああああああ!!
「水がぁああああああ!?」
【ごぼべばぶぶぶ!?】
「やり過ぎたな…‥‥」
【いや、冷静に考えている場合じゃ、ごぼっべっ!?】

 ワゼ&シスターズが素早く動き、穴をふさいで水を排出するまでの間、僕等は水攻め地獄にあわされたのであった‥‥‥‥
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