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火種はどこにでも落ちていた
#297 良からぬものは自ら禍も呼んでしまうのデス
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SIDEグズゥエルゼ
‥‥‥砂漠の小国、グラント。
いや、そこはもはや国ではなく、死者のみが徘徊しまくる領域と化していた。
かつては砂漠のオアシスの一つとして、そして奴隷市場の場として栄えていたころとは違い、今は既に荒れ果てている。
度重なる砂嵐、生者を獰猛に襲うが周囲の点検を行わない死者たち。
ゆえに今、その国の中心、その国を治めていた者たちがいた王城の中には、誰もいなかったはずであったが‥‥‥数日前から、その場所に音が鳴り響き始めた。
その城の中というよりも、その地下奥深くにいつの間にか作られていた地下室。
死者たちは音が聞こえても、それが何なのか理解することもなく、また、その場所は厳重に施錠され、隠されており、誰一人として迷い込むようなことは無かった。
「‥‥‥アンデッド共が、あと10体ほど必要か‥‥‥で、こっちには20体‥‥‥」
そうぶつぶつつぶやきながら、地下室で作業を行う紫ローブを深くかぶった人物‥‥‥悪魔、グズゥエルゼ。
その素顔はさらすこともなく、砂漠の強い日差しを避けるために地下に部屋を作って行動を起こしているものの、設計ミス故か、暑さ対策の冷房が効きすぎて、少々厚着を追加していた。
「地道に貯まっていくのは良いが‥‥まだ足りないか。一旦、生産面の方に力を入れるべきか」
作るのは良いが、その材料となるアンデッドの数が足りない。
新たに増やそうにも、生きている者たちをどこからか調達するにも労力がいるので、別の方法で行っているのだが‥‥‥いかんせん、未だに生産と消費のバランスがとれていない。
「しかしなぁ‥‥‥できればもっと、手っ取り早く助手とかが欲しいが‥‥‥心があれば裏切るだろうし、無ければ命令で動かせても扱いが面倒だ‥‥‥」
はぁっと溜息を吐くが、解決するわけもない。
今やっている生産部分を少々改造すれば、その面も解決するだろうが‥‥‥まだ、技術的に足りないのだ。
「ああ、稀代の錬金術師の研究を盗み取れたとは言え、重要な部分は全てないからなぁ‥‥‥独学なのも大変なことだ」
悪魔と言えども万能ではなく、無ければ地道にやっていくしかない。
とはいえ、研究成果もそれなりに出せているので、無駄な徒労とかはほとんどないのが救いであった。
「そうだ、いっその事、前に聖剣に利用したアレを使ってみるか。純度向上にも役立つだろう」
ふと、思いついたことを実行しようと、彼は地下室内を動き回り始めるのであった…‥‥
―――――――――――――――――――――
SIDEシアン
「‥‥‥ワゼ、小国グラントの人口ってそんなに多くないはずだよね?」
「ええ、小国というだけあって、王国、騎士王国などと比べても半分もありまセン」
ボラーン王国の城内にて、シアンはシスターズから常に送られてくる報告をまとめた書類を見て、そう問いかけた。
あの砂漠の小国‥‥‥アンデッドたちが多いとはいえ、元は生者。
生きていた人間にも限りがあり、流石にそう無限増殖なんてことはないはずである。
某配管工のおっさんのように亀を踏んづけて‥‥‥とかはないよなぁ。
「それなのに、フロン、合計人数を調べて見ても、数が合わないんだよね?」
「そうでござるな。奴隷市場であった点を考慮し、奴隷たちのアンデッド化なども視野に入れて計算しているのでござるが…‥‥あきらかに、その状態になる間にいた生者よりも、今の死者の数が多いでござる」
「そうか」
…‥‥報告書を読んでいる中、ふとその数字に僕は疑問を抱いていた。
シスターズが砂漠でアンデッドたちを殲滅しながら爆走し、悪魔の元へ向かっているのだが、その道中で討伐した死者の数と、その状態になる前の国の人口などが合わないのである。
いや、周辺諸国が対策に乗り出て、その犠牲となった人たちもアンデッドになった可能性もあるのだが‥‥‥その予想される数よりも多いのが、明かにおかしくなっているのだ。
「‥‥‥フロン、計算だと、その原因既に出ているよね」
「ええ、出ているでござる…‥‥一応、合理的と言えば合理的で、効率面を考えてもそれなりに割に合うかもしれぬでござるが‥‥‥」
「ちょっとこれは、面倒な可能性も出てきましたネ」
全会一致というか、全員大体同じ予想ができており、フロンの計算でもその可能性は非常に高いと出たようだ。
死者がはびこる間にいたはずの生者の数と、今の討伐されまくっている死者の数の差。
その原因として考えられるのは…‥‥
「討伐中のアンデットたちの成分分析も行いましたが‥‥‥個体値に差はあれども、いくつかは共通した類がありマス」
「そこから導き出せるのは‥‥‥‥」
「ある意味、生という事に対しての冒涜でもござろう」
「「「意図的に、何処かで生者を作って、死者に変えている(マス)(でござる)」」」
…‥‥何処からか攫ってきた人たちがいて、それをアンデッドにする可能性もあった。
でも、この結果を見る限り‥‥‥どこかで生者を作っているようにしか思えないのだ。
しかも、子どもを産むとかそういう方法ではなく…‥‥人工的な生命体として。
「私たちのような、メイドゴーレムの技術にも近いですね…‥‥技術的にも、何処かで使用されてますネ」
「ワゼたちのような技術‥‥‥悪魔が製造したとかじゃなくてか?」
「ええ。どこからかの盗難…‥‥未だに見ぬ、私を作った製作者の技術を模したと思われるものがありますからネ」
厄介事に対しての分析を行う中で、見つけてしまったその事実。
つまり、相手の持つ技術に、ワゼの元となるような物もあると考えると…‥‥相当面倒なことになるだろう。
いや、元から面倒な相手が、更に進化したぐらいか…‥‥
そう考えると、他にもいろいろ考えられる可能性が出てきてしまい、頭が痛くなるような気分になるのであった‥‥‥
‥‥‥砂漠の小国、グラント。
いや、そこはもはや国ではなく、死者のみが徘徊しまくる領域と化していた。
かつては砂漠のオアシスの一つとして、そして奴隷市場の場として栄えていたころとは違い、今は既に荒れ果てている。
度重なる砂嵐、生者を獰猛に襲うが周囲の点検を行わない死者たち。
ゆえに今、その国の中心、その国を治めていた者たちがいた王城の中には、誰もいなかったはずであったが‥‥‥数日前から、その場所に音が鳴り響き始めた。
その城の中というよりも、その地下奥深くにいつの間にか作られていた地下室。
死者たちは音が聞こえても、それが何なのか理解することもなく、また、その場所は厳重に施錠され、隠されており、誰一人として迷い込むようなことは無かった。
「‥‥‥アンデッド共が、あと10体ほど必要か‥‥‥で、こっちには20体‥‥‥」
そうぶつぶつつぶやきながら、地下室で作業を行う紫ローブを深くかぶった人物‥‥‥悪魔、グズゥエルゼ。
その素顔はさらすこともなく、砂漠の強い日差しを避けるために地下に部屋を作って行動を起こしているものの、設計ミス故か、暑さ対策の冷房が効きすぎて、少々厚着を追加していた。
「地道に貯まっていくのは良いが‥‥まだ足りないか。一旦、生産面の方に力を入れるべきか」
作るのは良いが、その材料となるアンデッドの数が足りない。
新たに増やそうにも、生きている者たちをどこからか調達するにも労力がいるので、別の方法で行っているのだが‥‥‥いかんせん、未だに生産と消費のバランスがとれていない。
「しかしなぁ‥‥‥できればもっと、手っ取り早く助手とかが欲しいが‥‥‥心があれば裏切るだろうし、無ければ命令で動かせても扱いが面倒だ‥‥‥」
はぁっと溜息を吐くが、解決するわけもない。
今やっている生産部分を少々改造すれば、その面も解決するだろうが‥‥‥まだ、技術的に足りないのだ。
「ああ、稀代の錬金術師の研究を盗み取れたとは言え、重要な部分は全てないからなぁ‥‥‥独学なのも大変なことだ」
悪魔と言えども万能ではなく、無ければ地道にやっていくしかない。
とはいえ、研究成果もそれなりに出せているので、無駄な徒労とかはほとんどないのが救いであった。
「そうだ、いっその事、前に聖剣に利用したアレを使ってみるか。純度向上にも役立つだろう」
ふと、思いついたことを実行しようと、彼は地下室内を動き回り始めるのであった…‥‥
―――――――――――――――――――――
SIDEシアン
「‥‥‥ワゼ、小国グラントの人口ってそんなに多くないはずだよね?」
「ええ、小国というだけあって、王国、騎士王国などと比べても半分もありまセン」
ボラーン王国の城内にて、シアンはシスターズから常に送られてくる報告をまとめた書類を見て、そう問いかけた。
あの砂漠の小国‥‥‥アンデッドたちが多いとはいえ、元は生者。
生きていた人間にも限りがあり、流石にそう無限増殖なんてことはないはずである。
某配管工のおっさんのように亀を踏んづけて‥‥‥とかはないよなぁ。
「それなのに、フロン、合計人数を調べて見ても、数が合わないんだよね?」
「そうでござるな。奴隷市場であった点を考慮し、奴隷たちのアンデッド化なども視野に入れて計算しているのでござるが…‥‥あきらかに、その状態になる間にいた生者よりも、今の死者の数が多いでござる」
「そうか」
…‥‥報告書を読んでいる中、ふとその数字に僕は疑問を抱いていた。
シスターズが砂漠でアンデッドたちを殲滅しながら爆走し、悪魔の元へ向かっているのだが、その道中で討伐した死者の数と、その状態になる前の国の人口などが合わないのである。
いや、周辺諸国が対策に乗り出て、その犠牲となった人たちもアンデッドになった可能性もあるのだが‥‥‥その予想される数よりも多いのが、明かにおかしくなっているのだ。
「‥‥‥フロン、計算だと、その原因既に出ているよね」
「ええ、出ているでござる…‥‥一応、合理的と言えば合理的で、効率面を考えてもそれなりに割に合うかもしれぬでござるが‥‥‥」
「ちょっとこれは、面倒な可能性も出てきましたネ」
全会一致というか、全員大体同じ予想ができており、フロンの計算でもその可能性は非常に高いと出たようだ。
死者がはびこる間にいたはずの生者の数と、今の討伐されまくっている死者の数の差。
その原因として考えられるのは…‥‥
「討伐中のアンデットたちの成分分析も行いましたが‥‥‥個体値に差はあれども、いくつかは共通した類がありマス」
「そこから導き出せるのは‥‥‥‥」
「ある意味、生という事に対しての冒涜でもござろう」
「「「意図的に、何処かで生者を作って、死者に変えている(マス)(でござる)」」」
…‥‥何処からか攫ってきた人たちがいて、それをアンデッドにする可能性もあった。
でも、この結果を見る限り‥‥‥どこかで生者を作っているようにしか思えないのだ。
しかも、子どもを産むとかそういう方法ではなく…‥‥人工的な生命体として。
「私たちのような、メイドゴーレムの技術にも近いですね…‥‥技術的にも、何処かで使用されてますネ」
「ワゼたちのような技術‥‥‥悪魔が製造したとかじゃなくてか?」
「ええ。どこからかの盗難…‥‥未だに見ぬ、私を作った製作者の技術を模したと思われるものがありますからネ」
厄介事に対しての分析を行う中で、見つけてしまったその事実。
つまり、相手の持つ技術に、ワゼの元となるような物もあると考えると…‥‥相当面倒なことになるだろう。
いや、元から面倒な相手が、更に進化したぐらいか…‥‥
そう考えると、他にもいろいろ考えられる可能性が出てきてしまい、頭が痛くなるような気分になるのであった‥‥‥
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