拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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幸せを乱されたくないので、徹底したい

#374 苦労人なのかもしれないデス

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SIDEシアン

「ご主人様方、お茶の用意ができまシタ」
「ああ、ありがとうワゼ」
「ふむ…‥‥味わい深いというか、この紅茶明らかに市販品ではないな」

 ワゼから渡された茶を飲みながら、僕等はそう語り合う。

 明日になれば、ハクロとミスティア、それぞれの義姉と姉が来るのだが、本日は僕らの方の客。

「というか、ゼリアス。何でいるんだ?」
「こっちにも関係ある事だからな。というか、やらかす前に動いたというべきか…‥‥」

 本来は別大陸の森にすむ悪魔ゼリアスが、今日はこの王城内に来ていた。

 妹であるミーナも、今はハクロたちと娘たちの面倒を見ているようだが、今回彼はこちらと動くらしい。

 というのも、本日の客は‥‥‥‥

「…‥‥魔界の魔王は、こちらにとっての王。だからこそ、失礼のないように出迎えるのも良いと思ってな」
「本音は?」
「あの魔王、絶対に、確実に、100%、断言できるほど、やらかす。3秒間の降臨だというが、あの魔王、それだけに収まる気がないと思うからだ」

 嘘偽りなく、本気の言葉でそう返答するゼリアス。

 そう、本日の客は、魔界を治める魔王。ドーラからもらった手紙に、訪れるとあったのだ。


 と、魔王と言っても、この世界の中立の魔王である僕とは色々と異なるようで、そもそも魔王という存在自体、世界によっては非常に異なるらしい。

 だが、この世界での意味合いはどうも色々と秘匿されていることが多いようで、調べてもらったがデータも出ず、真実を知っている可能性が大きい預言者や目の前の悪魔に聞いても、教えてくれない。

 いわく、調べようにも色々と制約があるらしいし、ゼリアスの方はそう言う類はなく、本来は語れるらしいが、語る気もないのだとか。

 過去に何かあったそうで、そういう話はNGにしているらしいが…‥‥まぁ、人それぞれ、悪魔それぞれだし、無理に聞き出す必要もないだろう。

「あれ?というか魔界の魔王がそっちの王なら、悪魔ベルゼブブとかはどうなんだ?」
「ああ、あいつの場合は単純に逃げられた。こっちの魔王陛下がやらかす所業で、過去に酷い目にあっていたからな…‥‥」
「何があった」
「悪魔に人権云々の話はどうなのかという事にもなるが…‥‥アレの人権を一応尊重して、話す気はない。流石に、アレは非常に同情したからな…‥‥」

 遠い目をして、そう語るゼリアス。

 内容が気になるが、相当なことがあったのかもしれず、深く聞けないな。


 そうこうしているうちに、間もなくその魔界の魔王とやらの降臨時間である。

 通常の悪魔がこの世界に現れるには、召還などの手順を踏むらしいが、魔王の場合はさらに面倒な事も多いようで、しかも今回はこちらから呼ぶのではなく、あちらが勝手に無理やりの意思で来るそうなので、さらに面倒な手順を行っているらしい。

「具体的には、100回儀式の踊りをして、特別製の料理を食べ‥‥‥魔界の魔王がこの世界に降臨するには、非常に面倒な手順を踏まなければいけないんだよなぁ」
「ゼリアスの場合は?」
「俺は元々、ミーナ義妹に召喚された悪魔だからな。契約されている以上、契約主の元へどこの世界だろうと渡れるし、そもそも俺は世界を渡る程度の力ならある。だから制限は特にないな」
「神々は?」
「あっちはあっちで、ずるい手段が多い。先日降臨したというロキも、いろいろやらかしたんだろうが‥‥‥まぁ、当分降臨できないだろう。他の神にも被害があるからこそ、神の降臨の方はそうそうない」

 そっか、あの神ロキ大馬鹿はそう言う理由でこの世界に来ていたのか…‥‥治療時にスライム状になったとはいえ、また来る可能性も考慮していたが、当分大丈夫そうならそれはそれで良いのかな?

 とにもかくにも、降臨まであと一分を切った。

 今回は3秒間だけの降臨と手紙にあったが、ゼリアスいわく、絶対に何かをやらかすという事らしい。

 3秒以上の滞在をすれば、魔界の方に入る魔王の配下たちの心労が増えるらしいが…‥‥本当に、何をしでかされるのかもわからない。


「あと30秒」
「20秒」
「10‥‥‥9…‥‥」

 カウントダウンをしつつ、降臨予定場所である用意した椅子の方を見て、出る瞬間を待つ。

 一応、周囲への被害も考慮して、部屋全体を現在僕の魔力の衣で覆っているが…‥‥大丈夫かなぁ、コレ。

「4、3、2、1‥‥‥」
「「ゼロ」」

 その瞬間、ボンッという音と共に、椅子の上に煙幕が発生し、1秒経過してすぐに晴れ、そこに角を生やした少女が現れる。

 そして2秒目には、さっと懐へ手を突っ込み、折りたたんだ紙を取りだし、素早く展開した。

 一瞬とは言え、見えたその中身は何やら複雑な文字が書かれており、3秒目にカッと光り輝き‥‥‥



「‥‥‥くっふっふ~!!成功したようじゃ!!」

 3秒はもう過ぎたのに、周囲を見てニヤリと笑みを浮かべ、彼女はそう口にした。

 横目でゼリアスを見れば、やらかしたなコイツとでも言いたげな表情になっていた。

「うむ、お主がこの世界の魔王と、そっちは…‥‥あれぇ?何で、ゼリアスがここに‥‥‥」
「お前が出ると、魔界からの連絡があってな‥‥‥というか、魔王ベル。お前今、3秒の降臨のために何を持ちだしてきた?」
「ああ、これかのぅ?先代の置き土産、時間一時停止簡易魔法陣じゃ。世界を越えて、全世界の時間が今、3秒経つ前に止まったのじゃ!」


 エッヘンと自信満々に胸を張って答える魔王‥‥‥ベル。

 が、その使った物に問題があったのか、何かをゼリアスは取り出す。

スッパァァァン!!
「痛ぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
「お前それ、使用禁止されている禁忌魔法の類だぞ」

 巨大なハリセンで、盛大に叩いたが…‥‥禁忌魔法?

「魔王が禁忌魔法を使って何が悪い!!」
「世界軸の色々とな部分がこじれる。だから禁忌なんだ。他の攻撃系禁忌魔法ならいざ知らず、他の世界へ影響を与えるような類はさらに最悪なんだが…‥‥まぁ、後で、冥界送りして、冥王の方に説教してもらうからな」
「さらっと魔王暗殺宣言しないでおくれなのじゃ!!あ、でもそうなれば次期魔王にお主が‥‥‥」
「安心しろ、冥界送りと言っても魔王の座は譲れんぞ。何しろ生きたまま送るからな」

 一瞬何かに期待したかのように目を輝かせた魔王ベルであったが、にこやかに言ったゼリアスの言葉に、びしっと固まった。

‥‥‥冥界って、確か前に悪魔グズゥエルゼが落ちた場所だったか。そこにどうやって送るのかはともかく、一瞬是彼女の顔が絶望の顔になったんだが。

「うう、酷いのじゃ…‥‥まぁ、ここでくよくよしても仕方がないのぅ。せめて今を、できるだけ楽しむべきか」

 そうつぶやき、さっと身だしなみを整え直し、彼女はこちらに向き直った。

「さてと、改めて名乗るのじゃ。我が名は魔界の魔王ベル!!異世界の魔王であり、色々と聞くお主に興味を持って、ここに降臨したのじゃ!!」

 自信満々に、改めてそう告げてきたが…‥‥うん、さっきのやり取りのせいでというか、最初から威厳とか全然ない。

 まぁ、なにはともあれ、色々ツッコミどころの多そうな、魔王との話し合いが今、始まるのであった…‥‥

 
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