拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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清算する時も新しく生み出す時も

#395 平和の裏で、話し合いもデス

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SIDEシアン

「…‥‥ラニスにレナも、皆に受け入られらているなぁ」

 良く晴れた昼下がりの午後。王城の中庭にて、遊んでいる娘たちの姿を見て僕はそうつぶやいた。


 先日、悪魔討伐後に孵化したアルケニーの娘二人ではあるが、足腰がしっかりしたようで、歩きまわっている。

 そしてそんな娘たちを見て、姉としての矜持なのか、それとも種族がちょっと違えども同じアルケニーとしてか、ヒルドとノルンが歩行の仕方や糸の渡り方を丁寧に教えつつ、ノルンとエイルが周囲を飛び回ったり、柔らかい草花を咲かせて万が一の保護もできるように気を遣っていた。

【きゅあぁ?】
【そうそう、そうやって歩けばいいだけふみゅ】
【ぷわぁ♪】
【上手上手ぴゃーい!】

 ぱちぱちと手を叩きつつ、糸の上を渡り切ったことに彼女達は喜ぶ。

 その光景は微笑ましく、横にいたハクロモくすりと笑っていた。

‥‥‥なお、ミスティアは女王としての仕事に励んでおり、できるだけ早く触れ合えるようにものすごい勢いでやっているのだとか。

 ついでにラクスとレイアも王子・王女としての教育をささっと本日分を終えて、異母妹とはいえ彼女達の元に駆け寄り、一緒に兄や姉として遊んであげているようだ。

「親なのに、子どもたちの方が積極的なんだよなぁ…‥‥」
【でもきちんと親としても務めてますからね!】

 ぐっとこぶしを握り締めつつ、ハクロは持っていた糸をつかみなおし、編み始める。

 今、彼女が作っているのは娘たちの衣服用の布らしく、新しい服の材料としてワゼに渡し、作ってもらう気らしい。

 それもそうだろう。ラクスとレナは生まれたてではあるが、他の子供たちは5年は経過しており、成長が著しいのだから。特にロールとかが一気に成長したよなぁ…‥‥今、妹たちの相手をして、縛られているけどね。

 しかも、この時期になると進化というか急成長を遂げるというか…‥‥アルケニーからアラクネへと種族が変わる頃合いになって来るらしい。

【まぁ、私はそんな何時にどのような変化が起きるのかってのは良く分かりませんけどね。気が付いたらこうなっていたって感じですし、自身の成長って他人に指摘されないと分からないものなんですよ】
「そういうものか?」
【ええ。かつてのアラクネの群れで、指摘されるまで身長などが大きくなっていたことに気が付かなかったことがありましたからねぇ…‥‥】

 僕の問いかけに対して、遠い目をしてハクロはそう答える。



‥…忘れがちだが、というか普段のハクロの姿を見ても信じられないかもしれないが、本来アラクネというのは残忍、冷徹、冷酷、残虐非道などと言われるような種族らしい。

 けれども、かつてハクロがいた群れでは彼女は本当に優しく育てられていたようで、損な性質はまったく受け継ぐことはなかったようである。

 まぁ、彼女の義姉に気になって聞いたところ、その非道な性質は何処かで思いっきり間違えて、無鉄砲というかおてんばなものになっていたようだが…‥‥アラクネの群れがなんか苦労していそうな想像がつくのはどうなのだろうか。

 とはいえ、その群れはもういない。冒険者の手によって討伐されてしまったからだ。

 そして彼女の美しい容姿がきっかけで仲間割れが起きて、その隙に逃げ出せたという過去があったようだが‥‥‥それはもう、過去の話。

 今はもう、彼女も娘たちを得ているし、悲しみに暮れることはないだろう。

 ただ、しいていうのであれば…‥‥

【マーマー!!パーパー!!ちょっと外に皆で出かけるねー!!】
【門限までに帰るっぴゃーい!!】

【あ、ちょっと待ってください!!背中にラニスとレナを載せっぱなしなんですけど!!】
「というか寝ているし、先にベッドで寝かせてあげてー!!」

‥‥彼女の義姉いわく、娘たちのおてんばぶりは確実に昔の彼女と同等、いや、数が多い分それ以上らしい。

 この様子を見る限り、絶対にそのアラクネの群れも苦労していただろうと確信を持ててしまいつつ、流石にまだ幼すぎる娘も連れて行くのは考えものなので、慌てて僕らは止めるために動くのであった…‥‥

‥‥‥でもまぁ、温かい家庭なのは良いか。前世の僕の方は、酷い家庭だったからな…‥‥全員こっちに来て死亡しているらしいのはどうなのかと思うが。

 あれ、でもそういえばあの前世の両親って愛人の話とか隠し子の話もあったような気がするのだが…‥そっちは流石に来ないよね?



――――――――――――――――――――――――
SIDEゼリアス


「…‥‥相変わらず、悪食だな」
「悪食と言われるような筋合いはないんだけどね。というか、食事中にここに出てきちゃったそっちが悪いじゃん」


‥‥‥神聖国の神殿内にて、ゼリアスの言葉に預言者がそう言い返す。

 今まさに食事中だったようだが、とりあえずそれから目をそらしつつ、ゼリアスは口を開く。

「それもそうだが‥‥‥っと違った。今日来たのは話があるからだ」

 ぱんっと手を叩くと即座に椅子が出て、預言者の方も同じく手を叩き、両者とも向かい合うように座った。


「話ってなんだ?最近、あのメイドから養殖用キットを貰って、リスト入りした人たちを密かに入れているんだけど…‥‥」
「それはそれで倫理的な大問題しかないような気がするが、それはどうでもいい。ちょっとこちらというか、お前の方にも関係あるものだ」
「というと」
「…‥‥先日、悪魔が冥界から脱走した件があったことを既に知っているよな?」
「そりゃそうだ」
 
 先日の悪魔の脱走‥‥‥グズゥエルゼによる冥界の植物盗難脱走事件。

 それは既に神々とかそう言う者たちと関係ある者たちには伝わっており、その悪魔は既に処罰されて存在が消し飛ばされたという詳細まで、預言者は掴んでいた。

「その件に関してだが…‥‥妙だと思うことはなかったか?」
「…‥‥ふむ、言われてみればおかしいよね。冥界に堕ちておいて、何で脱走できたのかな?」

 冥界を治める冥王が色々と面倒くさいような類ではあるという話もあるが、それでも冥界を治めるだけあって、普通に脱走できないような位置にある。

 そんな冥界へ堕とされた悪魔が、何故再びこの世界へ舞い戻れたのか…‥‥情報を探ったらとある別の悪魔の召喚陣を乗っ取って顕現したとか言うことのようだが、それでもどことなく不自然さが残る。

「そもそも、冥界に堕ちたんだよね?しかも体もなくしてだったはずなのに‥‥‥それだったら魂だけになって、普通は何もできなさそうな気がするんだけどなぁ」
「それが普通と言えば普通なのだが‥‥‥いや、そもそも冥界にもそいつの体が作られ、そこで過ごすようにされていたので、あっちに体が合ってもおかしくはなかった」

 だがしかし、その体はあくまでも冥界で作られたものであり、他の世界に持ち込めるような類ではないらしい。

 実際に冥界に堕ちたことがないのだが、そのような体になっている以上はどのような手段をとっても普通は冥界から脱出するなんてことはできないのだ。

「‥‥‥それなのに、その体ごと出てきたっていうのは‥‥‥確かに変な話だね」
「ああ、それで色々と封鎖されていた神界などに出向き、ちょっとごたごたしたり一部神殺しをしてしまったが‥‥‥そこで面倒な情報を得てしまった」

 さらっととんでもない発言が出ていたような気がするが、そんな事よりも重要だというような表情に預言者は黙り込む。

「‥‥‥この世界の神・・・・・・が行方不明らしい」
「‥‥‥うわぁ、なんかすっごい嫌な予感しかしないんだけど」

 ゼリアスのその言葉に、預言者は思いっきり嫌な顔をする。

 というのも、二人ともその神に面識もありつつも、嫌悪感しか抱いていないのだ。


 それなのにその神がいなくなった事実は普通は喜びたいのだが…‥‥消滅したとかではないらしいことに対して、物凄い嫌な予感を抱く。

「あのロクデナシ、絶対何処かに潜伏してやらかそうとする気満々だよね?」
「ああ、既に神としての力もほぼないような、似非神ともいえるような奴だが…‥‥絶対にとんでもない馬鹿をやらかすのが目に見えているからな。念のためにあのメイドなどに伝えているが、直ぐに発見は出来ないだろう」

 腐っても神というべきか、それとも元々がそうなのか‥‥‥‥とにもかくにも、非常に悪い情報に彼らは頭を抱え込みたくなる。

「それでだ、多分あの神はここへ来る可能性がある。お前と一番つながりも深かっただろうし‥‥‥ここでしばらく来るまで見張らせてくれないだろうか?」
「ああ、監視が目的ってことだったのか…‥‥うん、まぁわかったよ。こちらとしても、アレの思い通りに動きたくもないしね」

 互に利害が一致しつつ、嫌なその神を思い出して思わずはぁっと深い溜息を吐く。


‥‥‥吉報が続けてあったのに、直ぐに訃報が来てしまうとは、ツイていないなぁっと互に思うのであった。

「いや、そもそも運とかそう言うものは考えない方が良いんだっけか…‥‥預言者、お前の肩の方には物凄い怨霊が付いているけどな」
「ん?‥‥‥あ、そう言えばさっきの、ドロドロなところの奴だったっけ‥‥‥あとで浄化しないと、肩こりが酷くなるんだよなぁ…‥‥」

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