拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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清算する時も新しく生み出す時も

#404 ひと息つきつつ、気が付きもしているのデス

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SIDEシアン

‥‥‥結婚式そのものが終了し、招待された客たちは全員それぞれの宿泊施設へ戻っている中、僕等も同じく宿へ戻っていた。

「‥‥‥というか、終わったら終わったで、国内で記念セールとか、キャンペーンとかやるのはどうなんだろうか」
「めでたい事には、乗っかりたいのでしょウ」
【観光して、土産などを買うのには都合が良いのですが…‥‥】
「商魂たくましい感じもしますわね」

 この国でやるとすれば、残りはまだ見ていない場所を観光して回ることぐらい。

 けれども、どうやらその行く先々の状態を聞くと、この国のトップ二人の結婚式に乗じたキャンペーンを行っているところが多いらしい。

 速攻でトップの祝辞すらネタにして儲けようとしているのか…‥‥商魂たくましいというか、ちょっと落ち着きがないというか、何とも言えないだろう・

 とはいえ、ここは他国でもあるわけだし、僕らが言う必要もないし、楽しめそうならばそれで良い。

「というかミスティア、今夜はそっちの家族でそろって話はしないの?」
「んー、考えていたのですけれども、兄たちの初夜ですもの。無粋な真似はせずにしておきたいですわね」

‥‥‥言われてみればそうであった。ちょっと僕自身の頭からそこが抜けていたな。

「そう言えばそうなるのか…‥‥」
【初夜ですものね‥‥‥それは確かに、二人っきりにさせた方が良いですよ】

 結婚してすぐに迎える、夫婦となっての初めての夜。

 その夜に、いくら家族と言っても割って入ることはせずに、ちょっと待っても良いのかもしれない。


 なお、この手の話題は聞きつけた娘たちが質問してきそうだが、既に全員寝ている。

 式の間中大人しくしていたから、その反動で思いっきり動くと思ったんだけど‥‥‥明日から観光して回ると言ったら、そっちで動くと全員一致でそう言って寝たんだよね。

 今ここで体力を使うよりも、明日全力で遊ぶために体力配分を考える子供たちの成長に、親としてはちょっとうれしくも思う‥‥‥のかな?

 うん、計算深くなったというか、やんちゃ・おてんば度が増しているような気がしなくもない。女の子ってこういう育て方で良かったんだっけ‥‥‥?あ、息子一名いるし、そっちはそれで合っているのかもしれない。

 何にしても、こうやって落ち着く夜も悪くはないだろう。

 というか、色々騒動が今まで結構あるからこそ、この数少ない落ち着ける時こそが非常に貴重なんだよね…‥‥

「‥‥‥っと、そう言えばワゼ、一つ聞いて良いか?」
「何でしょうカ?」
「昼間にシスターズまで動員したって言うけどさ、結局どのぐらいの規模のやらかそうとしていた人たちがいたのかな?」
「かなり多かったですネ。何しろ、各国からの招待客を狙っての方々もいましたし、それぞれでさらに別の組織の頼み込むなどして、人数を増やした結果‥‥‥5~6ケタほどの人数を捕縛したはずデス」

 ちょっとシスターズ動員時の許可の時から考えていたけど、予想以上に多かった。

 そりゃ、この国の警備員たちだけでは手も回らないだろうなぁ…‥‥でも、それだけの人数を動員して相手にできるシスターズはシスターズでどうなのかと思ったが、一応今は全部落ち着いたので、しばらくは大丈夫そうである。

 しいていうのであれば、今夜からでも尋問拷問が始まるようで、数日以内には確実にあちこちの家や国規模レベルで潰れる場所が出るらしいが‥‥‥僕らにはもう関係もない話し。

 面倒事はこの国自体が行えば良いとして、今はもう、明日の観光に備えて寝た方が良いのかもしれないな。

「娘たちも寝ているし、僕等もゆっくりと寝ようか」
【そうですね‥ふわぁ、ちょっと欠伸が出てきました】
「のんびりぐっすりと、眠りましょう‥‥‥」

 ゆったりとしつつ、欠伸も出始め、ベッドに横になる。

 そのうちじわじわと睡魔がやって来て、意識が夢の中へ飛んでいくのであった…‥‥‥




――――――――――――――
SIFRワゼ

「…‥‥」

 シアンたちが熟睡し、寝息を立てはじめたのを確認してから、彼女はシスターズに一旦その場を任せ、宿屋から出た。

 そして少しばかり歩き、とある高台まで来たところで、足を止めた。



「‥‥‥夜風も良いですが、こうやって一人だけになったところで‥‥‥来たようですネ」

 さぁぁっと吹く風に髪をなびかせながら彼女が振り向くと、その視線の先には先ほどまでいなかった人影が立っていた。


「ははは、なんだ、こちらの動きを読んでいたのか」
「ええ、フロンの予測精度も向上し、ある程度人脈もこの国で築きましたので、予測できていたのデス」

 軽く笑い声をあげた相手に対して、ワゼもふふっと笑みを浮かべる。

 だが、その目の奥は笑ってはいない。…‥‥むしろ、ようやく見つけたというべき執念と、別件での怒りの火が灯っていることに、目の前の人物は気が付いているようだ。

「それで、なぜわざわざこの国に来てくれたのでしょうかネ‥‥‥‥私の、製作者様の本体様」
「…‥‥お、君を作ったのが、私にとっては別の私でありつつ、それでも私であることには変わりなく、それでもどこか違いつつも私な事にも気が付いていたのか」
「‥‥‥ややこしいですから、もっと簡易的に言ってくだサイ」

 分かっているはずなのに、なぜこうも回りくどい言い方をするのかとワゼは呆れつつ、目の前の相手‥‥‥彼女の作り手の、その本当の人物に対してそう口にした。


「まぁ、ここに来た目的はね、私の‥‥‥分体?とでも言うべきものの作品が今、どうなっているのか確認しに来ただけだよ。こうやってみると、流石私だった者の作品というべきか、素晴らしい出来だが‥‥‥」

 じーっと目で見られるも、その視線の感覚は、常人とは異なるだろう。

 外見ではなく、中身まで見透かされているかのような感覚を感じ取り、ワゼは少しだけ警戒してしまう。

「‥‥‥うん、なるほど。ブラックボックス部分に軽度な損傷があって、直せてないのか」
「‥‥‥流石に、自分のその部分は直しようが無いですからネ」

 数分ほど見られた後で出てきたその言葉に、ワゼはそう返答する。


‥‥‥そう、ワゼは完全な状態ではない。

 シアンと出会った時から損傷している個所があり、シスターズを大勢生み出し、様々な技術を入手してものにした今でさえも、彼女はその損傷個所に手を出せないのだ。

 神々や悪魔、はたまたは異界の者たちの技術もものにしているのだが…‥‥それらを利用しても、直せない深い場所。

 ゆえに、100%の能力を発揮することはできないのだが‥‥‥‥今のところは・・・・・・問題がないので、これ以上壊れることがないように注意するだけで済んでいるのだ。


「でも、そのまま直さないのもダメだね。君は、思った以上に無理をしている・・・・・・・よね?」
「‥‥‥」

 その言葉に対して、ワゼは答えない。

 無理をしているつもりもないのだが…‥‥それでもある程度の予測技術などができている今、将来的に地震がどうなるのか、ということに関しても理解しているのだ。

「直したいなら、直そうか?そのまま放置していても、いずれはそれが蝕んでくるはずだよ」
「‥‥‥いえ、結構デス。あなたも本当は知っているはずですよね?この箇所を直そうとすれば‥‥‥」
「当然、全部リセット・・・・・・だね」

‥‥‥それが意味するのは、ワゼがワゼ自身ではなくなることだろう。

 ある程度のバックアップを取ったりなどの対策は可能だが…‥‥それは通所の部分での話。

 ブラックボックスであるその部位‥‥‥修理すべき箇所を直すにしてもバックアップを取ることはできるのだが、戻した後にそれが彼女であるという保証はないのだ。

 そう、それが自身で自身を修理しない理由の一つであり、彼女はその無くなる可能性を心で恐れているのだ。


「ま、しないならしないでいいか。やるのもやらないのも君次第だし、何も今のすべてを失いたくないのであれば、失った後にやればいい話しだもの。君の推測耐用年数は億単位だし、流石に最後まで今の主が生きているとは思えないからねぇ」
「その耐用年数、自分で算出した時には、どれだけふざけた技術をぶち込んだのだろうかと思わずツッコミを入れまシタ」
「ははは、まぁ分体の考えが自分でもよく分からないことも多いけど、ずいぶんとんでもない事をしたなぁ。流石に、永久耐用まではできなかったようだけど‥‥‥それでもやっぱり、君は最高傑作なのだろう」


 そこまで話し、笑い終えたかと思うと、目の前の人物はくるりと背を向け、何かを取り出し呼び出す。

 すると、何もない場所から乗り物のような何かが出され、それに乗車した。

「何にしても、今晩はこの程度にしておこう。また会う機会があれば、その時にでも修理に関しての話でもしようかなぁ」
「できれば修理ではなく、私の‥‥‥‥」
「あ、流石にそこ大きくするのは無理。残念ながら、固定処理技術をちょっと行わせてもら、」





…‥‥その言葉は、最後まで続かなかった。

 言い切られたら最後と思い、ワゼが素早く全システムをフル稼働して、やめさせたからだ。

 だが、押さえつけ、どうにかしてもらおうと思っていたのだが…‥‥自身の製作者のその元ゆえか、性能に関しては熟知していたようで、一瞬のスキをついて逃げられてしまう。


「‥‥‥またの機会、というように言ってましたが‥‥‥‥その機会、相手から来る前に、絶対に捕まえる方針で生きましょウ」

 ふふふっと不気味な笑い声をあげつつ、ワゼはすぐに落ち着かせ、その場から立ち去る。



 結局、その機会が来るか作り出せたのかは…‥‥神のみぞ知るのであった…‥‥
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