拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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色々集めた結果を見せ始めたり

#412 根本的に解決していくのデス

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SIDEシアン

 治療法を間違えたのか、それとも最初から何かを間違えていたのか、筋肉ムキムキになっていたポチ。

 フェンリルだというのに犬種も違うような姿になり果ててしまったので、改めて違う治療法が試された。



 と言っても、特に変わったことはさせない。

 ただ単純に、筋肉が付きすぎたのであれば落とすようにやや軽めの運動程度にさせつつ、太り過ぎないようにと筋肉が付きすぎないように食事の面でも、栄養バランスを考えて従来の野生での食生活に近い状態にしただけである。

 そして特別な医療施設に収容され、治療法を試されて一週間。

 ダイエットであればもっと時間がかかっただろうが、筋肉をそぎ落とす程度であり、脂肪もちまちまと憑けるだけであればこの程度の短い期間で済んだらしい。

 治療の末に、ようやく面会可能になったので、今度はミスティアも仕事の合間に、興味を持ったので一緒に来てくれたのだが…‥‥

「‥‥‥復活した、とも言えなくもない?」
【んー、ポチってこんな感じ‥‥‥でしたよね?】
「わたくしはそこまで見てなかったですし、分からないですわね」

【ああ、あの理想の体はいずこへ…‥‥】
【いや、あんたはこれで十分なんだよ】

 ずーんっと鏡の前で落ち込むポチに対して、ロイヤルさんがそう口にするが、ちょっと違和感を覚えてしまうような気がする。

 筋肉がまだ残っているのか、若干引き締まっているような気がするのだが‥‥‥‥まぁ、だいたいこんなものだったかなぁっと僕らは思う。

「治療過程で、色々データも取りましたが…‥‥一度、変わり果てると完全に戻すのは難しいようデス。内面からも鍛えられていたようですし、現状はこれが限界ですネ」
「あれで限界なのか…‥‥」

 はぁっと、珍しくワゼが溜息を吐いているが、まぁこれで戻ったようなものだし特に問題もないだろう。

 なお、クロに関しては今回は来ておらず、城の方で娘たちとじゃれ合っており、父親よりもそっちを優先しているのだが…‥‥それはそれで問題ないはずだ。多分。

 あ、でもポチの子供であるし、将来的に似たような事例が起きる可能性も否定できないので、今度検査予定だったりする。


 それはともかくとして、ちょっと引き締まった程度の元の肉体に戻ったのは良い事だろう。

 少々落ち込んでいるようだが、あの筋肉マッスルナルシストマンというべき喋り方も収まっているようだし、これにて治療完了とも言えなくはない。

 しいて言うのであれば、全体的にちょっと‥‥‥

「ところでワゼ、ポチの毛の色ってもうちょっと濃くなかったかな?なんか薄くない?」
「単純に、本数が無くなっただけデス。どうも鍛え過ぎていた反動のせいなのか、毛穴の方が引き締まり過ぎて生育が阻害され、間引かれたようですからネ」

 なお、鍛えたところで毛が薄くなるとかは本当はないと思う。単純に、ポチだからこそ起きた悲しき代償なのだろう。

 とにもかくにも、これでようやく退院となり、野生復帰可能なはずである。

【夫の事で、ここまで手間を取らせて済まなかったねぇ】
「いえいえ、良いデータが取れましたし、今後の治療機会にもいかせますので、特に困ってはいまセン」

 はははっと苦笑しながらロイヤルさんがそう礼を述べるけど、ワゼは気にしたような様子を見せない。

 それもそうだろう。普段のポチがちょっとアレなので忘れがちになりそうだが、フェンリルは神獣。

 神獣の肉体的なデータは結構貴重なようで、彼女にとっても今回の治療は良いデータが取れるようで、不満もなく、むしろ搾り取ったらしい。

【あれ?てことは、ポチさんの治療が長引いたのは、そのデータを取るためとかだったりしませんかね?】
「いや、流石に無いかな…‥‥ワゼだってそのあたりはきちんとわきまえているだろうし‥‥‥」

 ハクロのその言葉はちょっと考えさせられたが、多分ないとは思う。

 単純に、本当に偶然ポチがやらかした結果が今に至るだけだと思うのだから。

‥‥‥そもそも、そんな目的があるんだったらもっとあくどい方法があったと思うからね。彼女の技術力を考えると回りくどい事はしないだろうし、メイドとしては「治療してあげて」という僕の命令に従うと思う。

 まぁ、その可能性も完全に否定し切れたわけではないが…‥‥それでも、ポチが無事に元に戻ったのは喜ばしい事だと思えるのであった。

「あのナルシスト筋肉犬みたいな喋り方は気持ち悪かったからなぁ‥」
【物凄く同意ですよ‥‥‥】
「見たかったような気がするのですが‥‥‥見なくて正解だったのかしら?」

 うん、ミスティア。あのポチの喋り方は違和感バリバリの気持ち悪さがあったからね。聞かなくて正解だったと思う。



―――――――――――――――――――――
SIDEアルドリア王国

‥‥‥ポチの治療も終え、ようやく一息ついていた丁度その頃。

 海の向こうにあるアルドリア王国では今、そのひと息すら付けない状況にあった。

 人員が減少し、国庫の消失‥‥‥それらが重なり合って混乱が生じ始めた中、さらなる問題が発生したのだ。


「‥‥‥なんだと?食糧庫が尽きただと?」
「正確に言えば、尽きたのではなく…‥‥」

 今でこそ腐り切っているアルドリア王国ではあるが、それでもたまに腐っていない者が頑張っていた時があった。

 その中で、万が一の飢饉などに備えて、対応できるようにしていた非常食を蓄える食糧庫が各地に設立され、何処か一か所が駄目になっても補えるようにしていたはずであったが‥‥‥今回、その食糧庫に異常が起きたのだ。

「食糧庫にモンスターが侵入して食い荒らされたり、保管状況が悪化して腐っていたりしたようで、全滅してしまったようなのです。食料を他国へ売り払って、金に換えようともしていたのですが、その矢先に見つかりました」
「うーむ、非常用のとは言え、食糧庫がか…‥‥だが、あくまでも非常用であって、普段の生活には影響せぬよな?」
「そのはずです。何しろ、去年は豊作であり、税収として納めてもらってますからね」
「ならば、放置で良いだろう。場合によっては余剰分を売却すればいい」

 食糧庫とはいえ、そこにしまわれていたのは非常食。

 なので、今はそんな非常食が必要な事態ではないがゆえに、必要性は薄いと考え、国王はその対策を後回しにして金策及び失われた人員補充に移るように指示を出した。


…‥‥だがしかし、彼らは知らなかった。

 去年は豊作だとしても、今年はそうなるとは限らなかったことを。

 そもそも腐った人しかいない状態でまだ持っている状態なのに、食料という人の命に係わる要因の一つが絡めば、そこから崩れていくことを。

 いや、わざと・・・もたされている・・・・・・・という現状にすら、彼らは気が付かない。
 
 国が滅びるのは短くはあるが、その滅びるまでの過程を長くされることで、より苦しみなどは増えていく。
 
 じわりじわりと滅亡の時が迫り切っているのだが、腐った果実は堕ちるその時までぶら下がっているのである‥‥‥



「‥‥‥重要無さそうですが、場合によってそれは変わるでしょウ。しかし、この非常時用の食糧庫の用意などは良い政策でしたネ。今でこそ腐り切ってますが、まだもっているのは過去の出来た人たちの功績も支えとなっているようですが…‥‥ええ、そちらも切り崩しましょウ」
「あれ、ワゼ何やっているの?」
「今度、奥様‥‥‥ミスティア女王様の政策案として、こちらを出そうかと思って、少し練ってまシタ。メイドたるもの、ご主人様の奥様方の力になるために、他国の政策なども参考にしているのデス」

 その滅亡の時が来るまで、彼女はその事を主へ悟らせない。

 国一つ滅びるだろうが、知らない方が良い事もあるからだ。

「じゃぁ、そこの謎の物体は?」
「謎の物体X最新バージョンを、シスターズに活かせないかと思い、まずはスライム状にと思って作ったのですが…‥‥なんか自走クッションになってしまいまシタ。疲れ果てた人がいましたら、その人の元に駆け寄って乗せて癒してくれる優れものデス」
「シスターズじゃなくてクッションにか‥‥‥何がどうなってそうなったんだろう」
「私でも、分析し切れない成分がありますからネ‥‥‥‥生涯をかけても、解き明かせる日が来そうにないデス」

‥‥‥とは言え、知りたくとも分析できないこともあるので、特にたいした問題ではないと思っておくのであった。


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