18 / 69
チャンネル1 レッツ、配信スタート!
閑話 とある新聞部の取材記録ー前編
しおりを挟む
―――どこの教育機関だろうとも、部活動が存在しているところはある。
ダンジョンが出現しで大配信者時代になったとしても、配信の道だけが全てではない。
中にはそこから得られる情報を、スクープとして世に広めたりする部活もあるが…
「それでも、今我が新聞部の発行部数は…下落の一方だ!!」
「そりゃまぁ、ダンジョンに潜っても近場だとだいぶ取り尽くした感じもあるし」
「他の新しいダンジョンに挑もうにも、こっちのレベルが低かったりするからなぁ…」
…構内に設けられた部室の一室…新聞部の部長が怒鳴るが、だるーんっとやる気なさそうにしている部員たち。
この高校生活の中で、華々しいスクープを得て、将来の就職に役立てようとしたあの志は、いつのまにか失われてしまったのだろう。
いや、彼らのやる気がないそもそもの原因は、目の前で怒鳴っている部長がかつて、盛大に大馬鹿な捏造スキャンダルを出したことではあるのだが…自業自得のようなものとはいえ、それでもやる意味はない。
「くそう、このままでは部に流れる資金が滞って、廃部の可能性が…どうにかして、スクープをぉ…」
「と言っても部長、そう都合よく転がっているものですか?」
「週刊四コマ、『大惨事だよ部長さん』で、この間ようやく部長が剥げビームを打って、世界平和になったことで評価が持ち直したのに」
「どんな四コマを流しているんだ、貴様あぁぁ!!」
荒ぶる部長だが、現在の新聞部の新聞で一番評判がいいのがそれしかないのだからしょうがない。
とはいえそろそろ廃刊しかけているのであれば、本当にもうこれ以上打つ手はないはずだったが…その状況は、つい先日変っていた。
「…こうなれば、最後の手段だ。いや、これこそ我が新聞部の起死回生の一手になるだろう」
「お?何かあるんですか、部長。前みたいに、うちの生徒会長の隠し撮り写真集なんてものをやらないでくださいよ?」
「そうそう、あのせいで社会的な死を覚悟しなきゃいけなくなっていたんだからさぁ…」
「それは我が部の黒歴史だ。だが、それに近いが…今度は、そうではない。あの悪魔の生徒会長は裏ルートで流すとしてだ、今度の我が部の狙いは…メイドだ!!」
ダァンッツ!!っと勢いよく机を叩きつけるようにして、部長が懐から取り出した今回のターゲットの写真。
それを見て、部員たちの顔が変わった。
「メイド…ああ、最近入ってきたという、あのメイドですか」
「初級ダンジョンから掘り起こされたという、マジックアイテムにしてとんでもない性能のあの…」
「その通り。しかし、奴は未だに秘密が多そうであり…ならばこそ、特大のスクープがあると見た!善は急げ、スクープも追い求めて、徹底取材をおこなぇぇぇぇ!!」
どやぁぁっと自慢げな顔で、自信満々に告げる部長。
確かに、マジックアイテムのメイドとかいう、字面だけですでに訳の分からないような相手ならば、何かしらのスクープが隠されているのかもしれない。
「あの部長が、珍しくまともな…いや、なんか生徒会長の時と同様のろくでもない末路を迎えそうな気がしなくもないが、気になることだよなぁ…」
「ああ、今度は社会的な死どころか、人としての尊厳を部長は無くすかもしれないが、対象としては興味深いのかもしれない」
「スクープが無くて、部長が首になっても別に良いけど、あのメイドさんを深く知りたい人は多いだろうしね」
「お前ら皆、さらっとディスってないかな!?」
「「「ソンナコトナイデスヨ」」」
とにもかくにも、流石にちょっと自慢気な顔がうざかった部員たちは後で生徒会長にシメてもらうための材料を懐へ入れつつ、その噂のメイドに関しての取材を行うことにした。
「でも、そうは言ってもどうやって接触するか?異土チャンネルで、放課後にダンジョンで配信している姿は見るけど…他人の配信番組に、突撃をかますのは避けたいよなぁ」
「それに、ダンジョンで配信している姿はもう見慣れたし、可能なら普段の彼女がどう生活しているのかが…そっちのほうが気になるかも…」
「…それなら、朝から晩までの、密着取材とかで良いんじゃない?」
まずは彼女が普段そもそもどうやって過ごしているのかという疑問もあるため、一日を使って観察することにしてみた。
幸いなことにアポイントもすぐに許可が取れ、実際に取材できるかどうか彼女に打診した結果…
【ふむ…まぁ、別に良いですヨ】
「本当ですか!?」
【ですが、一応出す前に見せてもらいますネ。そちらの都合の良いように編集されては困りますからネ】
「あ、はい」
しっかりと釘は刺されたが、無事に取材はできるようである。
そのため、ゆっくりと彼らは撮影し…メイドの一日が記録されるのであった…
「ちなみに、変な編集をしていたら?」
【社会的に制裁を与えますヨ】
…やらかせないぞと、部員たちにプレッシャーを与えられた状態で…
ダンジョンが出現しで大配信者時代になったとしても、配信の道だけが全てではない。
中にはそこから得られる情報を、スクープとして世に広めたりする部活もあるが…
「それでも、今我が新聞部の発行部数は…下落の一方だ!!」
「そりゃまぁ、ダンジョンに潜っても近場だとだいぶ取り尽くした感じもあるし」
「他の新しいダンジョンに挑もうにも、こっちのレベルが低かったりするからなぁ…」
…構内に設けられた部室の一室…新聞部の部長が怒鳴るが、だるーんっとやる気なさそうにしている部員たち。
この高校生活の中で、華々しいスクープを得て、将来の就職に役立てようとしたあの志は、いつのまにか失われてしまったのだろう。
いや、彼らのやる気がないそもそもの原因は、目の前で怒鳴っている部長がかつて、盛大に大馬鹿な捏造スキャンダルを出したことではあるのだが…自業自得のようなものとはいえ、それでもやる意味はない。
「くそう、このままでは部に流れる資金が滞って、廃部の可能性が…どうにかして、スクープをぉ…」
「と言っても部長、そう都合よく転がっているものですか?」
「週刊四コマ、『大惨事だよ部長さん』で、この間ようやく部長が剥げビームを打って、世界平和になったことで評価が持ち直したのに」
「どんな四コマを流しているんだ、貴様あぁぁ!!」
荒ぶる部長だが、現在の新聞部の新聞で一番評判がいいのがそれしかないのだからしょうがない。
とはいえそろそろ廃刊しかけているのであれば、本当にもうこれ以上打つ手はないはずだったが…その状況は、つい先日変っていた。
「…こうなれば、最後の手段だ。いや、これこそ我が新聞部の起死回生の一手になるだろう」
「お?何かあるんですか、部長。前みたいに、うちの生徒会長の隠し撮り写真集なんてものをやらないでくださいよ?」
「そうそう、あのせいで社会的な死を覚悟しなきゃいけなくなっていたんだからさぁ…」
「それは我が部の黒歴史だ。だが、それに近いが…今度は、そうではない。あの悪魔の生徒会長は裏ルートで流すとしてだ、今度の我が部の狙いは…メイドだ!!」
ダァンッツ!!っと勢いよく机を叩きつけるようにして、部長が懐から取り出した今回のターゲットの写真。
それを見て、部員たちの顔が変わった。
「メイド…ああ、最近入ってきたという、あのメイドですか」
「初級ダンジョンから掘り起こされたという、マジックアイテムにしてとんでもない性能のあの…」
「その通り。しかし、奴は未だに秘密が多そうであり…ならばこそ、特大のスクープがあると見た!善は急げ、スクープも追い求めて、徹底取材をおこなぇぇぇぇ!!」
どやぁぁっと自慢げな顔で、自信満々に告げる部長。
確かに、マジックアイテムのメイドとかいう、字面だけですでに訳の分からないような相手ならば、何かしらのスクープが隠されているのかもしれない。
「あの部長が、珍しくまともな…いや、なんか生徒会長の時と同様のろくでもない末路を迎えそうな気がしなくもないが、気になることだよなぁ…」
「ああ、今度は社会的な死どころか、人としての尊厳を部長は無くすかもしれないが、対象としては興味深いのかもしれない」
「スクープが無くて、部長が首になっても別に良いけど、あのメイドさんを深く知りたい人は多いだろうしね」
「お前ら皆、さらっとディスってないかな!?」
「「「ソンナコトナイデスヨ」」」
とにもかくにも、流石にちょっと自慢気な顔がうざかった部員たちは後で生徒会長にシメてもらうための材料を懐へ入れつつ、その噂のメイドに関しての取材を行うことにした。
「でも、そうは言ってもどうやって接触するか?異土チャンネルで、放課後にダンジョンで配信している姿は見るけど…他人の配信番組に、突撃をかますのは避けたいよなぁ」
「それに、ダンジョンで配信している姿はもう見慣れたし、可能なら普段の彼女がどう生活しているのかが…そっちのほうが気になるかも…」
「…それなら、朝から晩までの、密着取材とかで良いんじゃない?」
まずは彼女が普段そもそもどうやって過ごしているのかという疑問もあるため、一日を使って観察することにしてみた。
幸いなことにアポイントもすぐに許可が取れ、実際に取材できるかどうか彼女に打診した結果…
【ふむ…まぁ、別に良いですヨ】
「本当ですか!?」
【ですが、一応出す前に見せてもらいますネ。そちらの都合の良いように編集されては困りますからネ】
「あ、はい」
しっかりと釘は刺されたが、無事に取材はできるようである。
そのため、ゆっくりと彼らは撮影し…メイドの一日が記録されるのであった…
「ちなみに、変な編集をしていたら?」
【社会的に制裁を与えますヨ】
…やらかせないぞと、部員たちにプレッシャーを与えられた状態で…
44
あなたにおすすめの小説
裏庭係の私、いつの間にか偉い人に気に入られていたようです
ルーシャオ
恋愛
宮廷メイドのエイダは、先輩メイドに頼まれ王城裏庭を掃除した——のだが、それが悪かった。「一体全体何をしているのだ! お前はクビだ!」「すみません、すみません!」なんと貴重な薬草や香木があることを知らず、草むしりや剪定をしてしまったのだ。そこへ、薬師のデ・ヴァレスの取りなしのおかげで何とか「裏庭の管理人」として首が繋がった。そこからエイダは学び始め、薬草の知識を増やしていく。その真面目さを買われて、薬師のデ・ヴァレスを通じてリュドミラ王太后に面会することに。そして、お見合いを勧められるのである。一方で、エイダを嵌めた先輩メイドたちは——?
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
剣と魔法の世界で俺だけロボット
神無月 紅
ファンタジー
東北の田舎町に住んでいたロボット好きの宮本荒人は、交通事故に巻き込まれたことにより異世界に転生する。
転生した先は、古代魔法文明の遺跡を探索する探索者の集団……クランに所属する夫婦の子供、アラン。
ただし、アランには武器や魔法の才能はほとんどなく、努力に努力を重ねてもどうにか平均に届くかどうかといった程度でしかなかった。
だがそんな中、古代魔法文明の遺跡に潜った時に強制的に転移させられた先にあったのは、心核。
使用者の根源とも言うべきものをその身に纏うマジックアイテム。
この世界においては稀少で、同時に極めて強力な武器の一つとして知られているそれを、アランは生き延びるために使う。……だが、何故か身に纏ったのはファンタジー世界なのにロボット!?
剣と魔法のファンタジー世界において、何故か全高十八メートルもある人型機動兵器を手に入れた主人公。
当然そのような特別な存在が放っておかれるはずもなく……?
小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
神眼のカードマスター 〜パーティーを追放されてから人生の大逆転が始まった件。今さら戻って来いと言われてももう遅い〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「いいかい? 君と僕じゃ最初から住む世界が違うんだよ。これからは惨めな人生を送って一生後悔しながら過ごすんだね」
Fランク冒険者のアルディンは領主の息子であるザネリにそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
父親から譲り受けた大切なカードも奪われ、アルディンは失意のどん底に。
しばらくは冒険者稼業をやめて田舎でのんびり暮らそうと街を離れることにしたアルディンは、その道中、メイド姉妹が賊に襲われている光景を目撃する。
彼女たちを救い出す最中、突如として【神眼】が覚醒してしまう。
それはこのカード世界における掟すらもぶち壊してしまうほどの才能だった。
無事にメイド姉妹を助けたアルディンは、大きな屋敷で彼女たちと一緒に楽しく暮らすようになる。
【神眼】を使って楽々とカードを集めてまわり、召喚獣の万能スライムとも仲良くなって、やがて天災級ドラゴンを討伐するまでに成長し、アルディンはどんどん強くなっていく。
一方その頃、ザネリのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
ダンジョン攻略も思うようにいかなくなり、ザネリはそこでようやくアルディンの重要さに気づく。
なんとか引き戻したいザネリは、アルディンにパーティーへ戻って来るように頼み込むのだったが……。
これは、かつてFランク冒険者だった青年が、チート能力を駆使してカード無双で成り上がり、やがて神話級改変者〈ルールブレイカー〉と呼ばれるようになるまでの人生逆転譚である。
異世界ラーメン屋台~俺が作るラーメンを食べるとバフがかかるらしい~
橘まさと
ファンタジー
脱サラしてラーメンのキッチンカーをはじめたアラフォー、平和島剛士は夜の営業先に向けて移動していると霧につつまれて気づけばダンジョンの中に辿りついていた。
最下層攻略を目指していた女性だらけのAランク冒険者パーティ『夜鴉』にラーメンを奢る。
ラーメンを食べた夜鴉のメンバー達はいつも以上の力を発揮して、ダンジョンの最下層を攻略することができた。
このことが噂になり、異世界で空前絶後のラーメンブームが巻き起こるのだった。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜
mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
【週三日(月・水・金)投稿 基本12:00〜14:00】
異世界にクラスメートと共に召喚された瑛二。
『ハズレモノ』という聞いたこともない称号を得るが、その低スペックなステータスを見て、皆からハズレ称号とバカにされ、それどころか邪魔者扱いされ殺されそうに⋯⋯。
しかし、実は『超チートな称号』であることがわかった瑛二は、そこから自分をバカにした者や殺そうとした者に対して、圧倒的な力を隠しつつ、ざまぁを展開していく。
そして、そのざまぁは図らずも人類の命運を握るまでのものへと発展していくことに⋯⋯。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる