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チャンネル1 レッツ、配信スタート!
閑話 とある新聞部の取材記録ー後編
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―――メイドたるもの、その一日は常に臨機応変に対応を求められるもの。
いつ、いかなるときであっても、ご主人様の命令に応じられるように…
【---朝、まずは起床と共に、素早くいつものメイド服を取り出し、着替えておきマス】
ご主人様の前では清潔にいられるように、基本的には防菌・防火・防水・防爆等のコーティングをしているメイド服でも、しっかりと新しいものに着替えておく。
起床される前に手早く準備を終え、周囲の誇りもないも無いように手早く進め、ご主人様が起床されれば替えの着替えを出しつつ、すぐに寮の食堂へ向かう。
「もしかしてですが、ここ最近の食堂の料理がおいしいのって」
【…少し、工夫をしただけですヨ。まぁ、下ごしらえ等は手伝っていますガ】
基本的には、ご主人様以外の相手をする必要はない。
しかしながら、先日の構内での経験や、その他この世界においての人間関係や話題などに関しては、しっかりと学んだほうが良いということはわかっている。
だからこそ、寮の食堂…配信者の生徒をしっかりと管理できる全寮制だからこそ、より多くの配信者や話題に触れられる場所ならば、手を出すのもありだ。
そこで、色々な人へ頼み込み、朝食や昼食時でのお手伝いを行えるようにして、なおかつしっかりとレシピを確認して腕前を振るうようにはした。
健全な精神はまず、健全な食生活や運動から。
怪しい企みを行えないようにしつつ、健康面でサポートをして、より多くでのつながりを獲得できれば、ご主人様のためにもなるだろう。
【それに、私は元々メイド…戦闘用には作られておりませんので、こちらの方が性能的に見合っているんですよネ】
「ダンジョンの壁をぶち抜けるほどの武器を有しているのに?」
【ハイ。戦闘用のメイドでしたら、私でもシャレにならないものを装備してますが…まぁ、こういう家事手伝いのほうが、気分的に楽なんですよネ】
メイドのマジックアイテムであるからこそ、本来の使用方法は戦闘方面ではない。
メイドとして働く方が、エリーゼの性分にはあうのだ。
とにもかくにも、朝食も終え、彼女の主である異土が学業に努めて、放課後のダンジョン配信までの時間はどうするのか。
以前は寮の室内で清掃や彼のための道具作りなども行っていたが、今の行動範囲は広がっている。
一口に、きちんと人を知ってもらうほうが絶対に良いだろうという上の判断のもとで…
「ぐわぁぁぁぁぁぁづ!!」
「ほげぇっぇえっづ!!」
【…少々、配信者が生き残りやすいように、体術の基礎を見ましたが、まだまだですネ】
「「「普通のメイドが相手にできるようなものでもないんだけどぉ!!」」」
…配信者になる生徒たちがいるからこそ、ダンジョン内での生き抜くすべもしっかりと身につけてほしい。
そのために、授業の一環に並大抵の体育ではない、配信のための身体づくりの科目がいくつかあるのだが、その中で体術の分野に関してエリーゼは臨時講師のような形で参加していた。
【この手の護身術は、ダンジョン内でもモンスターに対応したものを使えばかなり良いですからネ。武装はあるに越したことはないですが、使えなくなった時は素手…ゆえに、基礎部分を鍛えるのは重要なことなのデス】
「ちなみに、他の人に教える別の目的は?」
【実力を測っておくことで、万が一ご主人様と敵対した時に、手加減するレベルを…というのは冗談デス】
冗談のつもりなのだろうか、このメイド。
何にせよ、学業の時間が終わるまでゆったりと過ごし、後は放課後の配信の時間。
この日の配信は、コボルトやスライムの惨殺もとい討伐光景ではなく、採掘のもの。
エリーゼ曰く、【全てを戦闘にすると、それはそれで単調になりかねないので、こうやってゆっくりと掘る時間もまた必要なのデス】、と言う理由があるらしい。
【可能でしたら、私の姉妹機等も掘り当ててほしいですが…それもまた、難しそうデス】
「ホイホイ出てきたら、それはそれで物騒な話になりかねないんだよなぁ…」
”ザッツライト””
”いや本当に、この同レベルのメイドが他に出土したら、あちこちで胃が痛みそう”
”いっそ、全世界メイドになれば平和では…?”
頭のおかしくなっていそうなコメントも散見しつつ、適度に採掘して配信が終わり、後は帰路につく。
寮へ戻り、夕食を取り、風呂の時間になれば…そこで少しだけ、メイドはメイドとしてではなく風呂をゆったりと…
―――
「…あとは普通に、就寝の準備をして、夜間には軽く寮内を回り、室内に戻ってます」
「ちょっとまてぇぇい!!なんか肝心の風呂場シーンとか、そういう部分は撮影できていないんかい!?」
「申し訳ないですが、撮影上NGシーンもしくは悪用されそうな部分はカットされたりしましたので…」
…ある程度撮影し終え、編集された映像を見て部長が声を張り上げるが、部員たちは肩をすくめて全員が同じ返答をする。
仕方がないというか、それを撮影したら色々とアウトなので、しなかった部分もある。
「ついでに、もっと具体的な報告としては、忠告もありましたね」
「部長、これなんだと思いますか?」
「ん?」
そう言いながら彼らが出したのは、ある金属片。
何か強い衝撃でも与えられたのか砕けているようだが、何の金属かは皆目見当がつかない。
「…鋼鉄だろうと粉砕できるとか言って目の前でやった…と言う可能性はあるが…見たことが無い金属だな?」
「どうやらこれ、魔法金属らしいです…」
「…は?」
魔法金属…それは、ダンジョンから出土する、貴重な鉱石。
今までの常識を覆すようなものも多いため、並大抵の銅や鉄程度ならば民間にも開放されているのだが、その性質が並外れている特殊な魔法金属に関してはそう簡単に流通しないはずだが…
「…あ、レッドコアブロック…賢者の石…それで生み出したものか!?」
過去の彼女の配信映像の中で、事故かと思われるような配信内容。
賢者の石…それは、様々な金属を産みだすことができる代物ではあるということを聞いたことがあり、それを利用して作り上げたのであればありえない話ではない。
「なお、部長の前に、きちんと専門家の方に鑑定されたようで、証拠の鑑定書もご丁寧にセットで出されました」
「ただ、きちんと本物か確認するために、目の前でぶち壊したようで…悲鳴が上がっていたとかなんとか」
そう言われながら部長が受け取った鑑定書には、虚偽ではない本物の証である鑑定書。
「魔法金属『人造版:ドラメタル』…?強度指数は…ダイヤ以上!?」
「鑑定家の話によれば、流石にアダマンタイトなどの超硬度の魔法金属よりは劣るらしいですが…それでも差がほんのわずかの未知の魔法金属のようで…そんなものを、こんな形で叩き割れる時点で、下手なものを出せばそうなると示されたようです」
「あががが…!!」
部長は正直言って、少し舐めていた。
マジックアイテムにしてメイド、そのことだけでもある程度はスクープになるが、限度は多少はあるだろうと。
しかし、今出てきた情報では、魔法金属も生成が出来るが、破壊できるだけの力も同時に有しているということでもあり、もしもやらかせばどうなるのかは、砕け散った金属片がまざまざとその予想できる末路を見せているのだ。
「よし、絶対に不味いものは出ないように、徹底的な監修と編集を。こうなりたくはない」
「おお、あの部長がついに真面目に…」
「流石に、未知の魔法金属をぶち壊すような相手を敵に回すと、命が確実にないと分かったのだろうか」
「いや、油断はできんぞ。実はこっそりと、別に盗撮…もとい、かくし撮りして裏から回しているとか…」
「ごまかしきれてないぞ、ソレ」
とにもかくにも、真面目に動いてくれるのであれば、それはそれで良い。
メイドの軽めの一日はあっさりと流れ、スクープとまではいかずとも多少は興味のある者たちに購入されたことによって、新聞部は廃部の危機を脱却できたのであった…
「…その前にさ、この魔法金属の破片はどうしろと?砕けていても、価値は変わらないような…」
「…これもあのメイドからの伝言ですが、『担保デス』と」
…多少は存続を許すが、変なことをしでかせば、その瞬間に潰すとでもいう警告なのかは…定かではない。
いつ、いかなるときであっても、ご主人様の命令に応じられるように…
【---朝、まずは起床と共に、素早くいつものメイド服を取り出し、着替えておきマス】
ご主人様の前では清潔にいられるように、基本的には防菌・防火・防水・防爆等のコーティングをしているメイド服でも、しっかりと新しいものに着替えておく。
起床される前に手早く準備を終え、周囲の誇りもないも無いように手早く進め、ご主人様が起床されれば替えの着替えを出しつつ、すぐに寮の食堂へ向かう。
「もしかしてですが、ここ最近の食堂の料理がおいしいのって」
【…少し、工夫をしただけですヨ。まぁ、下ごしらえ等は手伝っていますガ】
基本的には、ご主人様以外の相手をする必要はない。
しかしながら、先日の構内での経験や、その他この世界においての人間関係や話題などに関しては、しっかりと学んだほうが良いということはわかっている。
だからこそ、寮の食堂…配信者の生徒をしっかりと管理できる全寮制だからこそ、より多くの配信者や話題に触れられる場所ならば、手を出すのもありだ。
そこで、色々な人へ頼み込み、朝食や昼食時でのお手伝いを行えるようにして、なおかつしっかりとレシピを確認して腕前を振るうようにはした。
健全な精神はまず、健全な食生活や運動から。
怪しい企みを行えないようにしつつ、健康面でサポートをして、より多くでのつながりを獲得できれば、ご主人様のためにもなるだろう。
【それに、私は元々メイド…戦闘用には作られておりませんので、こちらの方が性能的に見合っているんですよネ】
「ダンジョンの壁をぶち抜けるほどの武器を有しているのに?」
【ハイ。戦闘用のメイドでしたら、私でもシャレにならないものを装備してますが…まぁ、こういう家事手伝いのほうが、気分的に楽なんですよネ】
メイドのマジックアイテムであるからこそ、本来の使用方法は戦闘方面ではない。
メイドとして働く方が、エリーゼの性分にはあうのだ。
とにもかくにも、朝食も終え、彼女の主である異土が学業に努めて、放課後のダンジョン配信までの時間はどうするのか。
以前は寮の室内で清掃や彼のための道具作りなども行っていたが、今の行動範囲は広がっている。
一口に、きちんと人を知ってもらうほうが絶対に良いだろうという上の判断のもとで…
「ぐわぁぁぁぁぁぁづ!!」
「ほげぇっぇえっづ!!」
【…少々、配信者が生き残りやすいように、体術の基礎を見ましたが、まだまだですネ】
「「「普通のメイドが相手にできるようなものでもないんだけどぉ!!」」」
…配信者になる生徒たちがいるからこそ、ダンジョン内での生き抜くすべもしっかりと身につけてほしい。
そのために、授業の一環に並大抵の体育ではない、配信のための身体づくりの科目がいくつかあるのだが、その中で体術の分野に関してエリーゼは臨時講師のような形で参加していた。
【この手の護身術は、ダンジョン内でもモンスターに対応したものを使えばかなり良いですからネ。武装はあるに越したことはないですが、使えなくなった時は素手…ゆえに、基礎部分を鍛えるのは重要なことなのデス】
「ちなみに、他の人に教える別の目的は?」
【実力を測っておくことで、万が一ご主人様と敵対した時に、手加減するレベルを…というのは冗談デス】
冗談のつもりなのだろうか、このメイド。
何にせよ、学業の時間が終わるまでゆったりと過ごし、後は放課後の配信の時間。
この日の配信は、コボルトやスライムの惨殺もとい討伐光景ではなく、採掘のもの。
エリーゼ曰く、【全てを戦闘にすると、それはそれで単調になりかねないので、こうやってゆっくりと掘る時間もまた必要なのデス】、と言う理由があるらしい。
【可能でしたら、私の姉妹機等も掘り当ててほしいですが…それもまた、難しそうデス】
「ホイホイ出てきたら、それはそれで物騒な話になりかねないんだよなぁ…」
”ザッツライト””
”いや本当に、この同レベルのメイドが他に出土したら、あちこちで胃が痛みそう”
”いっそ、全世界メイドになれば平和では…?”
頭のおかしくなっていそうなコメントも散見しつつ、適度に採掘して配信が終わり、後は帰路につく。
寮へ戻り、夕食を取り、風呂の時間になれば…そこで少しだけ、メイドはメイドとしてではなく風呂をゆったりと…
―――
「…あとは普通に、就寝の準備をして、夜間には軽く寮内を回り、室内に戻ってます」
「ちょっとまてぇぇい!!なんか肝心の風呂場シーンとか、そういう部分は撮影できていないんかい!?」
「申し訳ないですが、撮影上NGシーンもしくは悪用されそうな部分はカットされたりしましたので…」
…ある程度撮影し終え、編集された映像を見て部長が声を張り上げるが、部員たちは肩をすくめて全員が同じ返答をする。
仕方がないというか、それを撮影したら色々とアウトなので、しなかった部分もある。
「ついでに、もっと具体的な報告としては、忠告もありましたね」
「部長、これなんだと思いますか?」
「ん?」
そう言いながら彼らが出したのは、ある金属片。
何か強い衝撃でも与えられたのか砕けているようだが、何の金属かは皆目見当がつかない。
「…鋼鉄だろうと粉砕できるとか言って目の前でやった…と言う可能性はあるが…見たことが無い金属だな?」
「どうやらこれ、魔法金属らしいです…」
「…は?」
魔法金属…それは、ダンジョンから出土する、貴重な鉱石。
今までの常識を覆すようなものも多いため、並大抵の銅や鉄程度ならば民間にも開放されているのだが、その性質が並外れている特殊な魔法金属に関してはそう簡単に流通しないはずだが…
「…あ、レッドコアブロック…賢者の石…それで生み出したものか!?」
過去の彼女の配信映像の中で、事故かと思われるような配信内容。
賢者の石…それは、様々な金属を産みだすことができる代物ではあるということを聞いたことがあり、それを利用して作り上げたのであればありえない話ではない。
「なお、部長の前に、きちんと専門家の方に鑑定されたようで、証拠の鑑定書もご丁寧にセットで出されました」
「ただ、きちんと本物か確認するために、目の前でぶち壊したようで…悲鳴が上がっていたとかなんとか」
そう言われながら部長が受け取った鑑定書には、虚偽ではない本物の証である鑑定書。
「魔法金属『人造版:ドラメタル』…?強度指数は…ダイヤ以上!?」
「鑑定家の話によれば、流石にアダマンタイトなどの超硬度の魔法金属よりは劣るらしいですが…それでも差がほんのわずかの未知の魔法金属のようで…そんなものを、こんな形で叩き割れる時点で、下手なものを出せばそうなると示されたようです」
「あががが…!!」
部長は正直言って、少し舐めていた。
マジックアイテムにしてメイド、そのことだけでもある程度はスクープになるが、限度は多少はあるだろうと。
しかし、今出てきた情報では、魔法金属も生成が出来るが、破壊できるだけの力も同時に有しているということでもあり、もしもやらかせばどうなるのかは、砕け散った金属片がまざまざとその予想できる末路を見せているのだ。
「よし、絶対に不味いものは出ないように、徹底的な監修と編集を。こうなりたくはない」
「おお、あの部長がついに真面目に…」
「流石に、未知の魔法金属をぶち壊すような相手を敵に回すと、命が確実にないと分かったのだろうか」
「いや、油断はできんぞ。実はこっそりと、別に盗撮…もとい、かくし撮りして裏から回しているとか…」
「ごまかしきれてないぞ、ソレ」
とにもかくにも、真面目に動いてくれるのであれば、それはそれで良い。
メイドの軽めの一日はあっさりと流れ、スクープとまではいかずとも多少は興味のある者たちに購入されたことによって、新聞部は廃部の危機を脱却できたのであった…
「…その前にさ、この魔法金属の破片はどうしろと?砕けていても、価値は変わらないような…」
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