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チャンネル2 地道に広がる他者との交流
第四十一話 ハジマリノキノコ
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―――それは、本当に何気ない日常の一幕だった。
巣から外に出て、獲物を狩り、時折ダンジョンに来る人間もまた獲物としてぶつかり合う、そんな日々。
この中級ダンジョンを脅かすような輩もおらず、のんびりゆったりと罠を仕掛けていた日々だったが…そこに、紛れ込んだのが醜悪なキノコ…パラサイトノッコリス。
いや、今はこのアルゴニアを覆い尽くすだけの…
「…マザータラテクトを内包した、巨大な寄生キノコに…?」
【グガァ…】
かくかくしかじかと、救出したアラクネ…ここでのかなり重要な役職にいたらしい彼女の話を聞けば、どうやらそんな話だったらしい。
餌として色々取ってくる中で、ある日まぎこんでいたとあるキノコ。
それが、恐怖の寄生キノコ…パラサイトノッコリスであり、よりによって彼女たち蜘蛛系モンスター、このダンジョンの中で最も強靭なマザータラテクトとかいう存在の食卓に運ばれ、そのまま寄生してしまったようだ。
【まず、怪しいものを出す前に毒見とかしなかったのでしょうカ】
【グ…】
【あー…マザー、大抵の状態異常は無効だから、毒が入っていようがなかろうが、問題ないことが多かったのだとか】
「状態異常無効の時点で、そもそも毒殺が意味ないのか」
「配信者でも、レベルアップで耐性がいつの間にかついて、毒料理を食す配信者がいるぐらいだからなぁ」
いるんかそんな配信者。
そう思ったが、意外と耐性が付く系統の配信者は結構いるようで、それを活かして無茶苦茶な過激さが視聴者を呼び込んでいたりするらしいが…過信は厳禁なようで、中にはそのまま哀れにも…
「まぁその話は置いておくとして、そのキノコにマザータラテクトが寄生されたのか」
【しかも、体から生えるどころか全体を包み込む巨木のように…結構大変な事態でハ】
この中級ダンジョンの異常事態の元凶である、パラサイトノッコリス。
そこまで大きく成長してしまえば、ダンジョンに収まりきらずに外へ出るのが目に見えている。
むしろ、それを見越して配信者たちを攫い、自身の情報を中々出さないようにしてたとかいう可能性もあり…寄生実験的なものをやってたかもしれないことも含めると、放置できない状態になったようだ。
「大変だ大変だ!!」
「どうした!!」
「救助配信者たちを輸送していたが、出入り口が寄生された蜘蛛たちに占拠されて、巣を張られている!!」
「「「なんだってえ!?」」」
「しかも、一部配信者からもキノコが生えて、襲ってきた!!」
「「「寄生既にやってたんかい!!」」」
とっくの前に、色々と手遅れな状態になっていたらしい。
隠していたものが堂々と出てくるような状況はもう手遅れだという話も聞くが、まさにそれだ。
「色々と駄目だろ…どうする、退路が確保できないならもう元凶を討伐するしかないんじゃ」
「だが、この面子でやれるのか…いや、やれそうか?」
戦隊、ゴリラ魔法少女、マジックアイテムのメイドにアイアンナーガ。
戦力だけで言えば、それなりに充実しているが、人相手に寄生できるようになってきたキノコを相手にするとなると、それだけでは不十分な気がしなくもない。
【滅菌用のアルコール剤や、カビ殲滅用小型熱線銃、ご主人様の武装用に試作中のレーザーナイフなどもありますが…皆さまにこれを扱ってもらえば、多少は補強できますかネ】
「最初は良いけど、後二つが物騒では」
「だが、今の状況下では使えるか。熱線銃の響きが危険な香りがするが」
エリーゼお手製の道具もあれば、何とかなるかもしれない。
「ついでに外に知らせる方法は?配信用のカメラや通信機器が使えるなら、まずそれが一番良いが…」
「駄目だな、電波妨害っぽいのでできない」
「キノコ間の意思疎通の波が影響しているのか…」
何にせよ、やれるのは今の段階では異土たちしかいない。
仮に異常事態に外が気が付いてくれれば早いが、その時はより一層手遅れな状況になってもおかしくはない。
救助の方針で固めていた臨時パーティのようなものだったが、今はもう対パラサイトノッコリスへと意識を切り替える。
【グ…グァ】
「っとその前に彼女が…」
戦闘準備を進める中、このダンジョン内の情報をまだ出していたようで、書き終えたところで命の炎が尽きるようだ。
ぴしりと音がして砕け散り…体が崩れていくアラクネ。
その目が最後に、異土の方を見て祈るような気持ちが伝わり…そして、残されたのはナイフのようなもの。
「…アラクネのレアドロップ、『タラテクトナイフ』だ」
これを最後に託して、どうにかしてくれとでも言うのだろうか。
ドロップ品自体はモンスターの意志に関係ないともいうが…それでも、最後に見たあの目は、無念を晴らしてほしいという思いも感じ取れた。
だからこそ、異土はそれを拾い、装備する。
「効果は…糸での遠隔操作や、毒のエンチャント付きか」
攻撃力自体はこの面子の中で軽いものになってしまうので、パラサイトノッコリスに対してどこまでやれるのかはわからない。
けれども、このダンジョンでのモンスターだとしても、抗い続けた彼女を想い、使うことを決めるのであった…
「まぁ、戦力的には十分行けるか」
「大丈夫、ゴリラたちにもレーザーナイフとやらを装備させたわ」
…絵面的な問題は後にして。
巣から外に出て、獲物を狩り、時折ダンジョンに来る人間もまた獲物としてぶつかり合う、そんな日々。
この中級ダンジョンを脅かすような輩もおらず、のんびりゆったりと罠を仕掛けていた日々だったが…そこに、紛れ込んだのが醜悪なキノコ…パラサイトノッコリス。
いや、今はこのアルゴニアを覆い尽くすだけの…
「…マザータラテクトを内包した、巨大な寄生キノコに…?」
【グガァ…】
かくかくしかじかと、救出したアラクネ…ここでのかなり重要な役職にいたらしい彼女の話を聞けば、どうやらそんな話だったらしい。
餌として色々取ってくる中で、ある日まぎこんでいたとあるキノコ。
それが、恐怖の寄生キノコ…パラサイトノッコリスであり、よりによって彼女たち蜘蛛系モンスター、このダンジョンの中で最も強靭なマザータラテクトとかいう存在の食卓に運ばれ、そのまま寄生してしまったようだ。
【まず、怪しいものを出す前に毒見とかしなかったのでしょうカ】
【グ…】
【あー…マザー、大抵の状態異常は無効だから、毒が入っていようがなかろうが、問題ないことが多かったのだとか】
「状態異常無効の時点で、そもそも毒殺が意味ないのか」
「配信者でも、レベルアップで耐性がいつの間にかついて、毒料理を食す配信者がいるぐらいだからなぁ」
いるんかそんな配信者。
そう思ったが、意外と耐性が付く系統の配信者は結構いるようで、それを活かして無茶苦茶な過激さが視聴者を呼び込んでいたりするらしいが…過信は厳禁なようで、中にはそのまま哀れにも…
「まぁその話は置いておくとして、そのキノコにマザータラテクトが寄生されたのか」
【しかも、体から生えるどころか全体を包み込む巨木のように…結構大変な事態でハ】
この中級ダンジョンの異常事態の元凶である、パラサイトノッコリス。
そこまで大きく成長してしまえば、ダンジョンに収まりきらずに外へ出るのが目に見えている。
むしろ、それを見越して配信者たちを攫い、自身の情報を中々出さないようにしてたとかいう可能性もあり…寄生実験的なものをやってたかもしれないことも含めると、放置できない状態になったようだ。
「大変だ大変だ!!」
「どうした!!」
「救助配信者たちを輸送していたが、出入り口が寄生された蜘蛛たちに占拠されて、巣を張られている!!」
「「「なんだってえ!?」」」
「しかも、一部配信者からもキノコが生えて、襲ってきた!!」
「「「寄生既にやってたんかい!!」」」
とっくの前に、色々と手遅れな状態になっていたらしい。
隠していたものが堂々と出てくるような状況はもう手遅れだという話も聞くが、まさにそれだ。
「色々と駄目だろ…どうする、退路が確保できないならもう元凶を討伐するしかないんじゃ」
「だが、この面子でやれるのか…いや、やれそうか?」
戦隊、ゴリラ魔法少女、マジックアイテムのメイドにアイアンナーガ。
戦力だけで言えば、それなりに充実しているが、人相手に寄生できるようになってきたキノコを相手にするとなると、それだけでは不十分な気がしなくもない。
【滅菌用のアルコール剤や、カビ殲滅用小型熱線銃、ご主人様の武装用に試作中のレーザーナイフなどもありますが…皆さまにこれを扱ってもらえば、多少は補強できますかネ】
「最初は良いけど、後二つが物騒では」
「だが、今の状況下では使えるか。熱線銃の響きが危険な香りがするが」
エリーゼお手製の道具もあれば、何とかなるかもしれない。
「ついでに外に知らせる方法は?配信用のカメラや通信機器が使えるなら、まずそれが一番良いが…」
「駄目だな、電波妨害っぽいのでできない」
「キノコ間の意思疎通の波が影響しているのか…」
何にせよ、やれるのは今の段階では異土たちしかいない。
仮に異常事態に外が気が付いてくれれば早いが、その時はより一層手遅れな状況になってもおかしくはない。
救助の方針で固めていた臨時パーティのようなものだったが、今はもう対パラサイトノッコリスへと意識を切り替える。
【グ…グァ】
「っとその前に彼女が…」
戦闘準備を進める中、このダンジョン内の情報をまだ出していたようで、書き終えたところで命の炎が尽きるようだ。
ぴしりと音がして砕け散り…体が崩れていくアラクネ。
その目が最後に、異土の方を見て祈るような気持ちが伝わり…そして、残されたのはナイフのようなもの。
「…アラクネのレアドロップ、『タラテクトナイフ』だ」
これを最後に託して、どうにかしてくれとでも言うのだろうか。
ドロップ品自体はモンスターの意志に関係ないともいうが…それでも、最後に見たあの目は、無念を晴らしてほしいという思いも感じ取れた。
だからこそ、異土はそれを拾い、装備する。
「効果は…糸での遠隔操作や、毒のエンチャント付きか」
攻撃力自体はこの面子の中で軽いものになってしまうので、パラサイトノッコリスに対してどこまでやれるのかはわからない。
けれども、このダンジョンでのモンスターだとしても、抗い続けた彼女を想い、使うことを決めるのであった…
「まぁ、戦力的には十分行けるか」
「大丈夫、ゴリラたちにもレーザーナイフとやらを装備させたわ」
…絵面的な問題は後にして。
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