黄金の魔導書使い  -でも、騒動は来ないで欲しいー

志位斗 茂家波

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組織との決着で章

239話

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カツン…‥‥カツン……カツン……

 グレイモ王国の地下牢に足音が響き渡る。

 
 その地下牢は罪人たちが住まう場所。

 その中でも、より一層重い罰が待ち受けている者たちが置かれている場所なのである。




 その足音の主は、いくつもあった牢の前を通り過ぎ、そしてある牢の前に立った。



「‥‥‥久し振りでアルな、エルフルニア、と以下2名」
「おお、数週間ぶりかな?」
「というか今、省略されなかった!?」
「無視か!!」

 その牢の前に立った人物…‥‥ミュルの言葉に、エルフルニアは笑いながら答え、残る2名はツッコミを入れた。

 彼らはフェイカーの幹部たちであった者であり、現在この牢に囚われているのである。

 

 沙汰を待って、ここにいたのだが…‥‥‥


「まぁ、それは放っておくとしてでアルがな、今日は用事があってここに来たのでアルよ」
「用事とはなんだ?我々の処刑とかが決まったのか?」
「いや、そうではなく…‥‥これを見るでアル」

 そう言って、ミュルが取り出したのはある紙の束。

 そして、その紙の束を渡され、牢の中で呼んだ彼らは驚愕のあまり目を見開いた。


「なんだと‥‥‥!?ついに影の王が倒されたのか!!」
「うむ、ついでにその跡地にあった取引の文書などが見つかったがゆえに、現在残党もバリバリ捕縛中。組織はもう、潰えたも同然でアルよ」
「でも、こう言うのは完全にできないんじゃ」
「それは問題なかったでアル。と言うのも‥‥‥‥」

 納得いかないようなその他に対して、ミュルは説明した。


 影の王をルースが消し飛ばした後、事後処理が行われた。

 組織のトップを消したとはいえ、何処かに組織の残党が潜んでいる可能性がある。

 ゆえに、その残党まであぶり出し、つながりのあった者たちも洗い出して処罰して、それで完全に潰せるのだが…‥‥通常は、全てを捕えきれず、後年復活する可能性があるのだ。




 だがしかし、この残党狩りにおいて、20数年前に潰し損ねた経験から王国は捜査に手を抜かずに徹底的に調べ上げ、そしてその調査には…‥‥

「妖精姫、いや、既に妖精女王として認められたバトに、国滅ぼしモンスター組合に所属しているタキとヴィーラが仲間たちに伝えたり、レリアによってモーガス帝国の諜報員部隊を借りるなどして、ありとあらゆる協力の下、完全に潰し終わったのでアルよ」


 コネというか、圧倒的権力・力・数によって、フェイカ―の残党たちは全てあぶりだされ処分が下された。

 そして昨日、ついに完全にフェイカー復活の目は摘み終えたという発表がなされ、組織の終焉を迎えたのである。


「‥‥‥けれども、ここで一つ自分がお願いしたことがあったのでアルよ。エルフルニア、ついでにその他2名……いや、ルースの前では偽名だったようアルな、ハンブルドーンではなくマッチョンに、リゴーラではなくマッスルボンバーよ」

 そう言いながら、ミュルは牢の中にいる彼らを見ながら告げた。


「皆、このままフェイカーの幹部として、処刑される未来があるのでアル。しかし‥‥‥自分としては、元幹部とは言え、やはり組織内で共に過ごした皆を見捨てることができなかったのでアル」
「‥‥‥何をするつもりだ?まさか、我々の処刑を死刑から終身刑へ変えたのか?」
「いや、違うでアル」

 そう言うと、再び懐をごそごそと探り始め、ミュルは再び何か別の紙を取り出した。

「今後、もう二度とフェイカーのような組織にもならず、立ち上げず、心を入れ替えて、真面目に働くと言うのであれば‥‥‥‥学園での教師にどうかと誘いに来たのでアルよ」
「「「…‥‥は?」」」

 その言葉に、牢の中の3人は目を丸くし、手渡された神の内容を見た。


「…‥‥教師の求人か。しかも、魔導書グリモワールを扱えない人を優先か」
「座学や体術などの科目に関してか」
「これならば我々でもできそうなことばかりだが…‥‥良いのかそれで?」
「問題ないでアルよ」

 エルフルニアの問いかけに対して、ミュルはきっぱりとそう言い切った。

「過去は過去、実験されていた時代を憎んでいても、今はもう意味がないのでアル。そんなことに囚われずとも、その過去のような悲劇を起こさぬためにも、次世代を担う若者たちを育て上げたほうが良いと思って、勧誘しに来ただけでアルからなぁ。断るのであれば、もう二度と遭えぬ旅路に逝ってもらうだけでアル」
「それはほぼ脅しにしか思えないのだが…‥‥」
「うん、脅しでアル」
「「否定しないんかい!!」」


 何にせよ、処刑されたくなければ教師になれと言うのならば、迷いなく教師になる方が良いだろう。

 だが、本当にそうしても良いのだろうか?



 しばし、牢の中の3人は考え、返答を待ってもらった。

 そして数分後、彼らは決断した。


「‥‥‥良いだろう、その案に乗ろう」
「命が惜しければ今日資するしかないしね」
「別に良いのだが…‥‥本当にこんな我々を教師として招いて良いのか?」

「大丈夫アル。色々と手を回しているし、何よりも…‥‥」
「「「何よりも?」」」
「何か馬鹿をやらかせば、もれなく『国滅ぼしモンスターたちとの戦闘』、『学園長による徹底制裁&処刑』、『ルースの手による複合魔法攻撃最大出力』、『すでに処分を待っている元フェイカー構成員たちに向けての貴方達の黒歴史&秘蔵の見られちゃまずいものたち大放出』のいずれかがあるだけアル」
「「「一番最後のがえげつないんだけど!?」」」


 とりあえず、永遠に逆らってはいけないと、牢の中の3人は学んだ。

 とにもかくにも、今はまだ時期が時期なので、教員として迎えるにはその教育などの関係上すぐとはいかず、早くても2~3年はかかる事だけは伝えつつ、その報告をするためにミュルはその場を去ったのであった。

……なお、最後の方で出てたものに関しては、ミュル自身がかつて幹部として過ごしていた時に得た情報と、妖精部隊が全力を持って調べ上げたことでもあるのは言うまでもない。

―――――ソノ他ニ、社会的死ヲ迎エルモノモアリマシタ!
―――――フム、利用シマショウ。

 そのようなやり取りが、裏であったとかなかったとか‥‥‥‥

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