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学園1年目
54話
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‥‥‥うん、またここか。
そう思い、ルースは平常心でその場にいた。
周囲は真っ暗だが、自分の体がはっきりと見え、目の前にあるのは毎度おなじみの、ルースの持つ金色に輝く黄金の魔導書。
この言い方は二重の意味で言っているから、どちらかで統一したほうが良いかなと思いつつ、今のこの状況は、いつもの魔導書との夢での会話の時だと、ルースは理解できた。
――――――我ガ主ヨ、ドウニカシテ死ヲ免レタナ。
ほっとしたような声をだす魔導書。
その言い方から察するに、あのディゾルブゴーレムによってルースが命を落としていたら、魔導書も何か危なかったのかもしれないなとルースは思えた。
「っと、そういえばあの後どうなったんだっけ?」
そこでふと、ルースはなぜこの状況になったのか思い出した。
何かを解放すると言われ、力が湧き、そして何か魔法を唱えて敵は金色の粒子となって天に昇り、消滅した。
そこから後は、どうやら気を失ったようであり、現在体がどうなっているのかはわからないのだ。
――――――主ノ気絶デ、召喚シテイタモンスターガ、召喚解除サレ、元ノ場ヘ送還サレタ。ソノセイデ、足場ヲ無クシ、他二人ハナントカ着地シタガ、主ハ気絶シテオリ、頭カラ打チ付ケタヨウダ。
‥‥‥どうやら召喚が解除され、タキが送還、そして足場の消滅で頭からもろにルースは落ちたらしい。
「…‥え、ということはもしかして、俺打ちどころが悪くて今ぽっくり逝っていないよな?」
なんとなく、そう思い慌ててルースは尋ねる。
―――――・・・・ゴ愁傷サマデス。
「嘘だろぉぉぉぉぉぉお!?」
帰ってきた返答は、明らかに申し訳なさそうな声であり、思わずルースは絶叫した。
まさかの死亡である。
――――――ト、言ウノハ冗談ダ。危険ナ目二付キ合ワサレタ仕返シダ。
「冗談かよ!!そして付き合わされたって、あれは不可抗力だろうが!!」
生きていたのは良かった。けれども理不尽な仕返しだと、ルースは憤慨した。
「というか思い出したけど、そもそもあの『力』とかいうのは何だよ!!敵を一瞬で消滅ってなんだあれは!!」
勢いで、ルースはついでに尋ねたかったことをここで叫んだ。
あの一瞬で、相手を葬り去ったその『力』とやらが気になっていたのだ。
あの時、魔導書が、その『力』とやらはルースの前世の死因だとも言っていたが…‥‥何なのだろうか。
――――――‥‥‥今ハ答エラレナイ。マダマダ実力不足故二、無理ナノダ。
そう何処か残念そうな声で、魔導書がそう返答した。
‥‥‥どうやら、ある程度の実力を付けないと教えてくれないようだが‥‥‥なぜだろうか?
そもそも、今の魔導書の主はルースなのに、その主にも従わず、いや、従えられずに答えを言えないのはどういうわけだろうか。
改めて考えてみれば、この金色に輝く魔導書には謎が多い。
ルースはそう思い、腕組みをして観察するように魔導書を見て…‥‥
「…‥‥って、ここ何処だよ」
そして、目を覚ましてみれば、どこかの部屋に彼は入れられていたのであった。
どうやら時間切れというか、起床してしまったゆえに問いただせなかったようである。
すぐに次の問い合わせのチャンスは無さそうだし、今のうちにとも考えていたが…‥‥とにもかくにも、今はこの現状の把握が良さそうであった。
あたりには薬品の匂いが漂い、清潔そうな白い壁や床、天井。
窓は開いており、外の景気を眺めると、どうやら都市メルドランのようである。
‥‥‥ここから導き出される答えとしてはただ一つ。
どうやら、あの戦闘の後、ルースはメルドランにある病院の一室に入院させられているようであった。
たいした怪我もないはずだと思って頭を触ってみると‥‥‥包帯でぐるぐる巻きにされていた。
そう言えば、魔導書が頭から落ちて打ち付けていたとか言っていたな。
頭かち割れて血でも出たのだろうか。
【…‥お、目が覚めたようじゃな召喚主殿。いや、今は召喚状態でないゆえに主殿とだけ呼ばせてもらおうかのぅ】
ふと気が付けば、いつの間にかタキが人の姿でそばにいた。
…‥‥あと、そのすぐ横でエルゼが寝ながら、タキに手錠をかけていたのはどうツッコミを入れればいいのだろうか?
タキに事情を聴くと、どうやらあの後すぐに都市から光の速さ並みでバルション学園長がルースたちの下へ駆けつけてきたらしい。
タキもまた、エルモア先生の家に戻った後すぐに、その場から駆けつけてきたようである。
【あのディゾルブゴーレムについての情報じゃが、主殿の連れの二人が証言し、あのバルション学園長という者が素早く動き、既に王城の方に届けられたようじゃな】
案の定というか、あの巨大な敵は都市の方でもその姿が見えたが、一瞬のうちに消滅したことに驚愕があったらしい。
詳しく問い合わせなどをしようとした者がいたが、余計な混乱が広がる前に学園長が対応し、今は落ち着いているのだとか。
【あの者たち‥‥‥奴らが持っていた薬品や、その他マジックアイテムなどもボロボロだったとはいえ、なんとか押収でき、分析が進められているようじゃ】
モーガス帝国に恨みを持っていたらしい人たちが持っていた道具。
どうやらその分析の結果、案の定というか、反魔導書組織フェイカーによるものだと弾的出来たそうだ。
もともと帝国に恨みがあった者たちをそそのかし、自分たちの代わりに暴れてもらう事を狙ったのではないだろうかというのが結論であった。
また、使用されていた物の数々がどうも改良の余地があり、試作品に近いものであったことから、おそらくはその実験台としても利用したのだろう。
‥‥‥そう考えると、今回一番得したのは、代打兼実験台を出せたフェイカーであり、そのごたごたに巻き込まれたルースたちは一番損したのであろうか。
そう考えると、思わずルースは溜息を吐いた。
「はた迷惑なというか、最悪だろ‥‥‥」
【まぁ、気持ちは分かるのぅ。‥‥‥とはいえ、今回の件で一層油断できなくなったがな】
ルースが肩を落とすのを見て、同情するかのように肩を叩くタキであったが、すぐに真面目な表情になった。
「‥‥‥というと何だ?また面倒事か?」
【正解じゃ】
‥‥‥今回の件、よくよく細かくほどいてみると、国際問題になりかねないことがあった。
まず、このグレイモ王国内の都市での帝国の王女の誘拐未遂。
そして、その誘拐を企んだのが帝国を恨む属国の者たちであり、その者たちによって平民のルースと、公爵令嬢であるエルゼの誘拐未遂である。
一国の王女、および公爵令嬢の誘拐が起きたというのは、これはよく考えなくても大問題。
下手すれば戦争が起きかねないような事件でもあったのだ。
そのうえさらに、ここで問題となったのが、あのディゾルブゴーレムを消し去ったルースの力である。
どれほど巨大な怪物だったのかは都市からでも見えており、それが一瞬で消された。
どのようなものでやられたのかはわからないが、魔法によるものだという見解はあるようだ。
そして、その一瞬で強大な敵を排除できるような実力者がいたとなれば‥‥‥‥
「戦時のバランスがおかしくなると?」
【そういう事じゃ。そもそも我を使役している時点で十分主殿は色々と大問題児じゃがのぅ。あはははは、がもごぶ!?】
なにやら深刻そうなことだが、タキが笑って言おうとした時、その口に何かが突っ込まれた。
「…‥女狐、ルース君は問題じゃないし、笑うようなことでもないのよ」
いつのまにか起きていたエルゼが、何かをタキの口に突っ込んだようである。
【もごごも・・・・・もぶっつ!?】
もぐもぐと口を動かし、タキは何が突っ込まれたのかが気が付いたようだ。
【か、か、か、辛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?】
口から一気に火を吐き、タキは慌てて水を探すために退出した。
「あ!?もしかして『ロシアンルーレッドラヤーキ』のある意味当たりのやつか!?」
「ええその通りよ、あの女狐、当たるなんてついているわね」
騒ぎですっかり忘れていたが、元々手土産に持っていこうとしたお菓子。
どうやらエルゼが、あの眠らされた時に反撃用に使えないかと思い、素早く一個だけ懐に忍び込ませていたそうなのだ。
だけど、使用する機会がなくて、すっかり忘れていたのだが、どうやらタキとルースとの会話中に目覚め、その時に思い出して突っ込んだそうである。
とはいえ、一発でその激辛すぎるやつを引き当てるというのはどうなのだろうか…‥‥エルゼ、恐ろしい子。
「そうそう、あのきょ、コホン、レリアさんは今回の件で、その戦争になる危険性を無くすために、一旦帝国に連絡しに行ったようよ。今回は自分が原因のようだし、出来るだけ平和的に解決したいそうね」
一瞬、何か言いかけなかっただろうか?
と、どうやらレリアがいないのは、戦争を回避するための話し合いのために、連絡しに向かったようなのだ。
彼女の責任というわけではないが、それでも帝国に恨みを持つ者たちからの襲撃に、ルースたちを巻き込んでしまったのは何処か申し訳ないような気持だったようだ。
「そっか、わざわざそうしてくれるとは…‥‥後で感謝しないとな」
王国と帝国で、今回の件で戦争になってしまうのは嫌である。
そう思っていたが、何とかそうなることを防ぐために動いてくれたのは、ルースにとってはうれしいことであった。
「‥‥‥と言っても、おそらくちょっと、いやかなりの面倒ごとが来るでしょうけどね」
そうエルゼが何やら嫌そうな顔をしてつぶやいたが…‥‥その予測は延べないでほしい。
世のなかには「口は禍の元」とか、「言霊」とか言うのがあるのだし、迂闊に言ってくれない方が安心できるのだが‥‥‥‥あれ?もうすでに何か遅いかな?
嫌な予感がして、ルースは思わず現実から目をそむけたくなるのであった…‥‥
数分後、何とか収まって戻ってきたタキが、盛大にすっころび、その豊満な胸元でルースに体当たりをかましてしまったあとに、エルゼがキレて大変なことになったのだが…‥‥
「な、な、何をやっているのよこの女狐はぁぁぁぁぁあ!!あたしへの嫌味かぁぁぁぁぁ!!」
【ちょっと落ち着くのじゃ!!ここ病院でその他の患者がいる場所じゃぞ!?だからそんな明らかにやばそうな魔法はやめるのじゃあぁぁぁぁぁ!!】
「‥‥‥ああ、これならフェイカーとか国家間の争いの方がましかも」
‥‥‥現実逃避をして遠い目をしたルースの傍らで、タキが悲鳴を上げながら逃げ、エルゼが追いかけていったのは言うまでもない。
仮にも、国を滅ぼしたことがあるモンスターを憤怒の形相で追いかけられる公爵令嬢って本当にどうなのだろうか。
そう思い、ルースは平常心でその場にいた。
周囲は真っ暗だが、自分の体がはっきりと見え、目の前にあるのは毎度おなじみの、ルースの持つ金色に輝く黄金の魔導書。
この言い方は二重の意味で言っているから、どちらかで統一したほうが良いかなと思いつつ、今のこの状況は、いつもの魔導書との夢での会話の時だと、ルースは理解できた。
――――――我ガ主ヨ、ドウニカシテ死ヲ免レタナ。
ほっとしたような声をだす魔導書。
その言い方から察するに、あのディゾルブゴーレムによってルースが命を落としていたら、魔導書も何か危なかったのかもしれないなとルースは思えた。
「っと、そういえばあの後どうなったんだっけ?」
そこでふと、ルースはなぜこの状況になったのか思い出した。
何かを解放すると言われ、力が湧き、そして何か魔法を唱えて敵は金色の粒子となって天に昇り、消滅した。
そこから後は、どうやら気を失ったようであり、現在体がどうなっているのかはわからないのだ。
――――――主ノ気絶デ、召喚シテイタモンスターガ、召喚解除サレ、元ノ場ヘ送還サレタ。ソノセイデ、足場ヲ無クシ、他二人ハナントカ着地シタガ、主ハ気絶シテオリ、頭カラ打チ付ケタヨウダ。
‥‥‥どうやら召喚が解除され、タキが送還、そして足場の消滅で頭からもろにルースは落ちたらしい。
「…‥え、ということはもしかして、俺打ちどころが悪くて今ぽっくり逝っていないよな?」
なんとなく、そう思い慌ててルースは尋ねる。
―――――・・・・ゴ愁傷サマデス。
「嘘だろぉぉぉぉぉぉお!?」
帰ってきた返答は、明らかに申し訳なさそうな声であり、思わずルースは絶叫した。
まさかの死亡である。
――――――ト、言ウノハ冗談ダ。危険ナ目二付キ合ワサレタ仕返シダ。
「冗談かよ!!そして付き合わされたって、あれは不可抗力だろうが!!」
生きていたのは良かった。けれども理不尽な仕返しだと、ルースは憤慨した。
「というか思い出したけど、そもそもあの『力』とかいうのは何だよ!!敵を一瞬で消滅ってなんだあれは!!」
勢いで、ルースはついでに尋ねたかったことをここで叫んだ。
あの一瞬で、相手を葬り去ったその『力』とやらが気になっていたのだ。
あの時、魔導書が、その『力』とやらはルースの前世の死因だとも言っていたが…‥‥何なのだろうか。
――――――‥‥‥今ハ答エラレナイ。マダマダ実力不足故二、無理ナノダ。
そう何処か残念そうな声で、魔導書がそう返答した。
‥‥‥どうやら、ある程度の実力を付けないと教えてくれないようだが‥‥‥なぜだろうか?
そもそも、今の魔導書の主はルースなのに、その主にも従わず、いや、従えられずに答えを言えないのはどういうわけだろうか。
改めて考えてみれば、この金色に輝く魔導書には謎が多い。
ルースはそう思い、腕組みをして観察するように魔導書を見て…‥‥
「…‥‥って、ここ何処だよ」
そして、目を覚ましてみれば、どこかの部屋に彼は入れられていたのであった。
どうやら時間切れというか、起床してしまったゆえに問いただせなかったようである。
すぐに次の問い合わせのチャンスは無さそうだし、今のうちにとも考えていたが…‥‥とにもかくにも、今はこの現状の把握が良さそうであった。
あたりには薬品の匂いが漂い、清潔そうな白い壁や床、天井。
窓は開いており、外の景気を眺めると、どうやら都市メルドランのようである。
‥‥‥ここから導き出される答えとしてはただ一つ。
どうやら、あの戦闘の後、ルースはメルドランにある病院の一室に入院させられているようであった。
たいした怪我もないはずだと思って頭を触ってみると‥‥‥包帯でぐるぐる巻きにされていた。
そう言えば、魔導書が頭から落ちて打ち付けていたとか言っていたな。
頭かち割れて血でも出たのだろうか。
【…‥お、目が覚めたようじゃな召喚主殿。いや、今は召喚状態でないゆえに主殿とだけ呼ばせてもらおうかのぅ】
ふと気が付けば、いつの間にかタキが人の姿でそばにいた。
…‥‥あと、そのすぐ横でエルゼが寝ながら、タキに手錠をかけていたのはどうツッコミを入れればいいのだろうか?
タキに事情を聴くと、どうやらあの後すぐに都市から光の速さ並みでバルション学園長がルースたちの下へ駆けつけてきたらしい。
タキもまた、エルモア先生の家に戻った後すぐに、その場から駆けつけてきたようである。
【あのディゾルブゴーレムについての情報じゃが、主殿の連れの二人が証言し、あのバルション学園長という者が素早く動き、既に王城の方に届けられたようじゃな】
案の定というか、あの巨大な敵は都市の方でもその姿が見えたが、一瞬のうちに消滅したことに驚愕があったらしい。
詳しく問い合わせなどをしようとした者がいたが、余計な混乱が広がる前に学園長が対応し、今は落ち着いているのだとか。
【あの者たち‥‥‥奴らが持っていた薬品や、その他マジックアイテムなどもボロボロだったとはいえ、なんとか押収でき、分析が進められているようじゃ】
モーガス帝国に恨みを持っていたらしい人たちが持っていた道具。
どうやらその分析の結果、案の定というか、反魔導書組織フェイカーによるものだと弾的出来たそうだ。
もともと帝国に恨みがあった者たちをそそのかし、自分たちの代わりに暴れてもらう事を狙ったのではないだろうかというのが結論であった。
また、使用されていた物の数々がどうも改良の余地があり、試作品に近いものであったことから、おそらくはその実験台としても利用したのだろう。
‥‥‥そう考えると、今回一番得したのは、代打兼実験台を出せたフェイカーであり、そのごたごたに巻き込まれたルースたちは一番損したのであろうか。
そう考えると、思わずルースは溜息を吐いた。
「はた迷惑なというか、最悪だろ‥‥‥」
【まぁ、気持ちは分かるのぅ。‥‥‥とはいえ、今回の件で一層油断できなくなったがな】
ルースが肩を落とすのを見て、同情するかのように肩を叩くタキであったが、すぐに真面目な表情になった。
「‥‥‥というと何だ?また面倒事か?」
【正解じゃ】
‥‥‥今回の件、よくよく細かくほどいてみると、国際問題になりかねないことがあった。
まず、このグレイモ王国内の都市での帝国の王女の誘拐未遂。
そして、その誘拐を企んだのが帝国を恨む属国の者たちであり、その者たちによって平民のルースと、公爵令嬢であるエルゼの誘拐未遂である。
一国の王女、および公爵令嬢の誘拐が起きたというのは、これはよく考えなくても大問題。
下手すれば戦争が起きかねないような事件でもあったのだ。
そのうえさらに、ここで問題となったのが、あのディゾルブゴーレムを消し去ったルースの力である。
どれほど巨大な怪物だったのかは都市からでも見えており、それが一瞬で消された。
どのようなものでやられたのかはわからないが、魔法によるものだという見解はあるようだ。
そして、その一瞬で強大な敵を排除できるような実力者がいたとなれば‥‥‥‥
「戦時のバランスがおかしくなると?」
【そういう事じゃ。そもそも我を使役している時点で十分主殿は色々と大問題児じゃがのぅ。あはははは、がもごぶ!?】
なにやら深刻そうなことだが、タキが笑って言おうとした時、その口に何かが突っ込まれた。
「…‥女狐、ルース君は問題じゃないし、笑うようなことでもないのよ」
いつのまにか起きていたエルゼが、何かをタキの口に突っ込んだようである。
【もごごも・・・・・もぶっつ!?】
もぐもぐと口を動かし、タキは何が突っ込まれたのかが気が付いたようだ。
【か、か、か、辛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?】
口から一気に火を吐き、タキは慌てて水を探すために退出した。
「あ!?もしかして『ロシアンルーレッドラヤーキ』のある意味当たりのやつか!?」
「ええその通りよ、あの女狐、当たるなんてついているわね」
騒ぎですっかり忘れていたが、元々手土産に持っていこうとしたお菓子。
どうやらエルゼが、あの眠らされた時に反撃用に使えないかと思い、素早く一個だけ懐に忍び込ませていたそうなのだ。
だけど、使用する機会がなくて、すっかり忘れていたのだが、どうやらタキとルースとの会話中に目覚め、その時に思い出して突っ込んだそうである。
とはいえ、一発でその激辛すぎるやつを引き当てるというのはどうなのだろうか…‥‥エルゼ、恐ろしい子。
「そうそう、あのきょ、コホン、レリアさんは今回の件で、その戦争になる危険性を無くすために、一旦帝国に連絡しに行ったようよ。今回は自分が原因のようだし、出来るだけ平和的に解決したいそうね」
一瞬、何か言いかけなかっただろうか?
と、どうやらレリアがいないのは、戦争を回避するための話し合いのために、連絡しに向かったようなのだ。
彼女の責任というわけではないが、それでも帝国に恨みを持つ者たちからの襲撃に、ルースたちを巻き込んでしまったのは何処か申し訳ないような気持だったようだ。
「そっか、わざわざそうしてくれるとは…‥‥後で感謝しないとな」
王国と帝国で、今回の件で戦争になってしまうのは嫌である。
そう思っていたが、何とかそうなることを防ぐために動いてくれたのは、ルースにとってはうれしいことであった。
「‥‥‥と言っても、おそらくちょっと、いやかなりの面倒ごとが来るでしょうけどね」
そうエルゼが何やら嫌そうな顔をしてつぶやいたが…‥‥その予測は延べないでほしい。
世のなかには「口は禍の元」とか、「言霊」とか言うのがあるのだし、迂闊に言ってくれない方が安心できるのだが‥‥‥‥あれ?もうすでに何か遅いかな?
嫌な予感がして、ルースは思わず現実から目をそむけたくなるのであった…‥‥
数分後、何とか収まって戻ってきたタキが、盛大にすっころび、その豊満な胸元でルースに体当たりをかましてしまったあとに、エルゼがキレて大変なことになったのだが…‥‥
「な、な、何をやっているのよこの女狐はぁぁぁぁぁあ!!あたしへの嫌味かぁぁぁぁぁ!!」
【ちょっと落ち着くのじゃ!!ここ病院でその他の患者がいる場所じゃぞ!?だからそんな明らかにやばそうな魔法はやめるのじゃあぁぁぁぁぁ!!】
「‥‥‥ああ、これならフェイカーとか国家間の争いの方がましかも」
‥‥‥現実逃避をして遠い目をしたルースの傍らで、タキが悲鳴を上げながら逃げ、エルゼが追いかけていったのは言うまでもない。
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