黄金の魔導書使い  -でも、騒動は来ないで欲しいー

志位斗 茂家波

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秋の訪れで章

149話

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 秋の収穫祭。

 それは、皆が楽しみにしている祭りでもあり、この時期はありとあらゆる露店が都市に並ぶのだ。


 先日のセカンド液体襲撃事件とかの面影は残さず、祭りは祭りで楽しんでしまえという意気込みがあふれており、いつも以上に都市内は賑やかになっているのであった。


「というか、去年に比べるとやっぱり露店が増えているな‥‥‥」

 学園も本日は休みであり、収穫祭に来てみたら思った以上の賑わいに驚きつつ、ルースはそうつぶやいた。

「そりゃそうよ、去年から6割は増えたそうよ」
「6割!?」
「ああ、そういえばそう聞くな。様々な理由があるらしいが‥‥‥ルースが原因でもあるんだぞ」
「は!?」

 エルゼの言葉と、レリアの言葉にルースは驚いた。



……その原因は、物資の運搬方法の変化であるらしい。

 さかのぼる事、去年の夏休み。

 その時、ルースはタキを利用して宿題の運搬を行って、周囲の勧めから特許も取得していた。

 その運搬方法は、召喚魔法によってモンスターをその場に召喚できるのであれば、あらかじめ荷物と共にモンスターを一緒に置き、召喚する際に一緒に持ってきてもらうだけの簡単な方法だ。

 これは魔導書グリモワール所持者であり、なおかつ召喚魔法が扱え、そのうえ召喚できるモンスターがきちんとその指示内容を理解できるだけの知性を持っていることが必要条件なのだが‥‥‥これは、この世界の運送情勢に革命をもたらした。


 何しろ、使い方次第では大量の荷物でさえも一気に輸送出来て、応用すれば野菜などの生鮮食品も品質を保ったままで販売できるのだ。


 
 この運送方法に目を付けたのは、商人たち。

 彼等は素早く特許料をきちんと払い、そして魔導書グリモワール所持者たちを雇い、召喚魔法が扱える者たちが優遇され、アッという前に運送方法が劇的に改善され、以前とは比べ物にならないほど流通業界は発展したのであった。



 そして現在、この収穫祭の祭りも、露店の増加分はその輸送方法で物資を素早く確保できるようになったがゆえにできたことなのであった。



「‥‥‥というのが、この増加理由なんだ」
「ルース君、もしかして最近自分の特許状態をよく確認していなかったの?」
「‥‥‥」

 説明を気化され、ルースは唖然とした。

 正直言って、特許を取っていたことを忘れかけていたし、確認も特にしていなかったのである。

「‥‥‥なんだろう、確認するのが怖いんだけど」


 特許を取ってある輸送方法。ゆえに、この輸送方法を利用するには特許料を支払う必要性があり、そのお金はルースの懐に入ってくるのだ。

 銀行の口座のような物を作ることはできていたのだが‥‥‥金額の確認をルースは怠っていたのだった。


 ちなみに、この特許に関してだが特許料を支払わない者はいないらしい。

 なんでも、かなり厳しくその監査の目が行き届いているそうで、不正をサーチ&デストロイの精神でやって、きちんと管理がされているそうだ。

 軽くて罰金、重くて没落だと言うのだから、その高低差は激しい。




 何はともあれ、自身の蓄えられてしまった財産は後で確認して行いといけないなとルースは思うのであった。




「ま、今はその事を考えないでおこう」

 考えたところで、高すぎる金額であれば庶民的金銭感覚であれば卒倒する未来が見えている。

 将来喰うには困らないだけの財産を得たのだと考えれば、まだ気が楽な方であった。





 
 とりあえず、収穫祭の街中を歩くルースたち。

 左にはエルゼ、右にはレリア、上でパタパタはばたくのはバト。

 タキを召喚していないから彼女はこの場にはいないが、いつものメンバーで回ることにした。

……ちなみに、スアーンは去年同様親戚に狩り出され露店の手伝いをしているらしい。

 エルゼ達と遊んで回る予定のルースに対して、血の涙を流していたのは言うまでもあるまい。


「気まずいから奴がいる店には近づかないようにして‥‥どこから行ってみようかな?」
「あたしとしては遊べるところが良いわね」
「私なら、この露店限定商品を見てみたいかな」
―――――食ベ物ガ気ニナルヨー。

 それぞれの意見を聞きつつ、じゃんけんで優先順位を決める。

「順番はエルゼ、俺、レリア、バトとなるか」

 というわけで、まずはこの収穫祭の露店の中から、遊べそうなところへとルースたちは向かうのであった。














【‥‥‥のう、エルモアよ】
「ん?どうしたのかな?」

 ちょうど同時刻、都市のとある露天にて、タキとエルモアが一緒にめぐっていたが、タキの声にエルモアが反応した。

【先ほどから気になっておったが…‥‥あやつ、何をしておると思うのじゃ?】
「あー、あの様子だと品定めかな?観光目的と言うのもあったんだろうけど、この時期だと人が多いから、見定めしやすいのかもな」

 タキの視線の先を見て、エルモアはそう答える。

【できるだけ召喚主殿に近づけたくないのぅ。当初はモフテクにやられるだけで、眼中に無さそうな感じがしておったが‥‥‥モンスターゆえの本能があるのじゃろうか?】
「本能というと‥‥弱肉強食に従うような部分かな?」
【そうじゃな。強き者は惹きつける力がある。それでうすうす感じておるのじゃろうけど…‥‥どうしたら奴の興味の対象から召喚主を外せるかのぅ…?」


 そうつぶやきながら、タキは視線を彼女から離さなかった。

 その先には、人間ほどの大きさの巨大な兎の姿があり、周囲の人達から驚かれつつも、一言聞かれてはモフモフさせて人気を持つモンスターがいたのであった。


【というか、あやつ何故人の姿を取らぬのじゃ?そろそろ取れてもおかしくないがのぅ】
「ああいう格好だと、人気がでるからじゃないかな?ほら、あのモフモフに溺れた者が、また一人何か捧げたようだな」
【‥‥‥我もモフモフじゃのに、この差は一体何であろうか?】
「さぁ?」

 タキの言葉に、エルアモは興味が無さそうに答えるのであった。


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